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お留守なんだぜよ。
あ、メルフォと拍手は携帯から見れるので、ばしばしメール待ってます^^

管理人不在中お詫びの管理人の秘密コーナー☆
意外とかわいいもの好き。
ぬいぐるみとか大好き。
動物も大好き。
もふもふしたい。


さて、お盆なお話。
ギャグっぽい?

恋人設定

「はるか…」

「やくも…くんっ」


夜だというのに、外は暑く、夏だというのを思い知らされる。

それとともに、エアコンがかかったこの部屋も暑く、それ以上に二人は熱かった…

「やくもくん…もう無理っ。早く…きて?」

晴香は目の前にいる八雲に手を伸ばす。
八雲はその手を優しく包み込むと、微かながらも確かに頷いた。

熱い眼差しで晴香を見つめ、八雲が動きだそうとしたとき…


その眼差しが、晴香から何もない襖に向かされた。


「叔父さんっ!?」


部屋の電気は消されていた。

だが、月明かりのせいか。
そこだけは白く光っている気がする。

そう…輪郭がぼんやりとするように…


「………。…へ?」

今までとろんとしていた瞳が、まばたきひとつでパッチリとした。

そして意味を求めるように、八雲を見上げる。

「な…なんでここに…」
だが、八雲の視線は晴香に戻ることはない。

じっ…と襖の方に絡みとられたままだ。

「………」

晴香も襖の方に視線を向けるが、そこにはなにも居ない。

「っ!べ、別に関係ないでしょう!?」

顔を赤くしたかと思うと、八雲は腰を上げた。

そのせいで、八雲の腰に掛かっていた布団がずるりとずれる。

「きゃ…」

慌てて自分だけにも布団を掛け、再び八雲を見上げた。

「ね…どうしたの?」

片手で布団を握り、片手で八雲の肩を揺らす。

やっと八雲の顔が晴香の方を向いた。

そして、引きつった笑みで口を開く。


「…叔父さんがいる」



『ははは。きちゃった』

最後に星マークが付いていたのは、気のせいだろうか。
八雲は痛い頭を抱え込んだ。
「きちゃった…じゃないでしょう?」
苛立ち気に髪を掻き回すと、目の前にいる人物を睨みつける。
『久しぶりの再開だというのに…つれないなぁ』
はぁ、と深く溜め息を吐き捨てながらも、ニコリと笑った。


空気を読んでくれれば、涙の再会…とまではいかないが、八雲だってホロリと来たはずだ。
だが、空気を読まずにあんな時に再会し、八雲の不機嫌度は高まるばかり。

見られたことも、おあずけにされたことも八雲にとって、最悪なことであった。


「…そんなことより、なんでいるんですか?」
そんな笑みを無視し、八雲はノースリーブの黒いシャツの上から胸元を掻く。


とりあえず服を着てリビングにやってきた八雲は、食事用の机に座っていた。

…目の前の椅子は、誰もいないのに引かれている。
八雲にしか見えない、一心が何故かいたのだった…


『お盆休みだからね。帰ってきたんだ』
腕を組み、一人納得したかのように何度も頷く。
だが八雲は、納得できないと言わんばかりに腕を組んだ。
「だからって…。………あんな時に出てこなくたっていいでしょう?」
言いにくそうに足元に視線を向け、そう口にする。
『しょうがないじゃないか。我が息子のもとに少しでも早く会いたかったんだから』
「………」
一心の言葉に、気恥ずかしさを感じ、机に肘を付いた。
『でもしばらく見ないうちに、まさかあ〜んなとこまで進んでるとはねぇ』
ニヤリと口を歪め、口元を手で押さえる。
少し前までの照れくさくなった自分が恥ずかしくなり、八雲は両手で顔を覆った。
「…知ってて出てきたんじゃないですか?」
指と指の隙間から、赤い瞳を覗かせる。
一心は、八雲の行動を楽しんでいるようだった。
「ははは。偶然だよ」
「なんで棒読みなんです…」
呆れ顔で溜め息を吐き、背もたれに寄りかかる。
その時、時を見計らったかのように、晴香が台所から出てきた。
「緑茶ですっ」
手に持ったお盆の上から湯呑みを取ると、八雲の前に一つ置く。
そして八雲の隣に一つと、一心の目の前にも一つ置いた。
「…魂は食べたり飲んだりしらいぞ」
「あ…そっか」
八雲の言葉でやっと気付いたのか、晴香は落ち込んだように肩を落とす。
『いやいや。気持ちだけで充分だよ。お供え物なんかもそうだしね』
晴香には見えも聞こえもしないが、どうにか励まそうとする。
だがすぐにその視線は八雲に移った。
『ほら、早く通訳通訳』
命令された八雲は、なんだか乗り気ではなかったが、渋々言う事を聞くことにする。
「…気持ちだけで充分だ。…って言ってる」
「本当…?」
顔を上げ、おそるおそる八雲の顔を窺う。
そんな晴香を見て、小さく微笑むと、八雲は深く頷いた。
「良かったぁ…」
胸を撫で下ろすと、安心した晴香は椅子に座ろうとする。
一心が座っている八雲の目の前の席に…
「ちょ…待て!」
思わず声を荒げ、珍しく机まで叩いてしまった。
晴香は大きく肩を揺らし、驚きと怯えを混ぜた表情を浮かべる。
それに対しての罪悪感からか、下っ腹がきゅっ…と締め付けられた。
「え…えっと。そこには叔父さんが座ってる」
取りあえず晴香を安心させようと、出来るだけ柔らかい表情で晴香を見つめる。
「あ…ごめんなさい」
晴香も意味を理解したらしく、深々と誰も座っていない椅子に頭を下げた。
ほんの少し、一心の位置とずれていたが、あえて二人は突っ込まないことにする。
「…ほら、君はこっちにこい」
ニヤニヤとそんな姿を眺める一心に嫌気が刺し、八雲は晴香を呼んだ。
すると、主人に呼ばれた犬のごとく、晴香はトテトテと八雲のもとにやってくる。
『ほほ〜う。いつのまに手懐けてたんだなぁ』
次はそのニヤニヤな顔が二人に注がれた。
見えない晴香は小首を傾げるだけだが、八雲は疲れたと言わんばかりに溜め息を吐くだけ。
「…ここにでも座ってろ」
隣の椅子を引き、晴香に座るように指示する。
それにも晴香は忠実に従い、ますます一心をにやけさせるばかりだった。
「っ……」
悔しそうに舌打ちを鳴らし、晴香が注いだお茶を口を含む。
普段ならまずくはないなど、不器用ながらにも褒めてくれた。
だが、口に流し込んだ刹那、八雲は口元を押さえることになる。
「?…八雲君?」
きょとんと首を傾げるが、八雲の顔は変わらない。
「なんで…なんでこんなに暑いときに、熱いお茶なんか出すんだっ!」
そんな怒鳴り声に、晴香は思わず耳を塞ぐ。
「だ…だって…一心さんもいるなら、温かい方が良いかなぁ…って…」
肩を縮めながらも発した言葉に、八雲は怒鳴るのを止めた。
そして返す言葉を求めるように、目の前に座る一心に睨む。
『私のことはいいから、二人の分は氷でも入れなさい』
「…氷で冷ませって言ってる」
「はーいっ」
晴香は元気よく返事を返すと、台所に駆け込んだ。


END。



続きます。
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