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これ書いてる時はマイホームですがね。
多分、追記か何かでこれがアップされた日の日記書いてます。
多分ね。


お題です。

白黒ごっこ. さまからお借りした
『斉藤八雲と小沢晴香で8つのお題』より

恋人設定

4・映画

君が映画を見に行こうと誘ってきた。

特に断る用事もなかったし、どちらにしろ用事があってもその用事を断っていただろう。

だから僕は首を縦に振った。


……これはデートだよな?



八雲は待ち合わせ場所である駅にいた。
携帯のデジタル時計で時間を調べる。
待ち合わせ時間を五分もすぎていた。

何かあったのか…
八雲は心配になり晴香の携帯に電話をかける。
コールを三回数えたところでそれは収まった。
そして背中をつつかれ、聞きなれた声。しばらく遅れて携帯からも聞こえた。

「ごめんね、遅れちゃって…」
「映画に間に合えばそれでいいだろ?」
携帯に耳を当てたままそう発する八雲は楽しそうに笑う。
そんな八雲を見てしばらく目を見開いていた晴香だが、楽しそうにニコリと微笑んだ。
「そうだね」
晴香は携帯に耳を当てたままそう返した。

可愛い…

少し遅れた声が携帯から聞こえる前に八雲は携帯の電源ボタンを押す。
そして晴香をぎゅっと抱きしめた。
「や、八雲君!街中だって…」
晴香は八雲の肩越しにこちらに集まる視線を真に受けて頬を染める。
「………」
八雲はそう言われてしまい、しぶしぶと晴香を腕の中から解放する。
そして晴香の口が開く前にその手を握りしめ、歩き出す。
晴香は八雲に引かれるがままにその場を離れた。



映画につくと晴香はパンフレットとポップコーンを買いに行く。
八雲はする事もないので晴香の後ろについていった。
そして晴香がお金を出す前にお札を出した八雲。
晴香は目をパチクリと見開く。
そんな視線から目をそらすようにそっぽを向く八雲。
「デートなんだろ…僕に払わせろ」
八雲から聞こえたデートという単語に晴香はますます驚く。
晴香が固まっている間に会計が済まされてしまった。

八雲は晴香がトイレに行っている間に席を取るとレジでもらった紙を見る。
現在公開中の映画がワンシーンと簡単な解説とともにずらりと並んでいた。
そしてある映画で目が止まる八雲。
「楽しみだね〜」
いつのまにか晴香が隣に座っていた。



映画の内容はよく知らない。

君がいうには純愛もの…だとか。

だが僕の視線は映画館特有のデカい画面ではなく、隣に座る君に向かっていた。

純愛ものにはよくあるらしい喧嘩シーン。
何やら男の方が浮気をしたとか。

だがこの場合、女の方の勘違いだな…
………ほら、当たった。

それを謝ろうと女の方が家を飛び出す。
男の姿が道路の向こう側にある。

……この場合は女が飛び出して事故にあう…
また当たった。

で、先ほどから予想していた事がまた一つ当たった。
隣に座る君が泣く…

八雲は映画の大音量に混じって溜め息を吐く。
家だったら抱きしめるとか対処法があったはずだ。
だがここは映画館だ。
いくら皆が映画に夢中だからといっても、こんなところで抱くのは…気が引ける。

ぎゅっ…

晴香は突然、膝に置かれた八雲の拳を握る。
しばらく迷っていた八雲だが、晴香の涙目と目が合ってしまう。

気付いたらぎゅっと握り返していた…




「……いい加減、泣き止め」
八雲は溜め息混じりに隣に座る晴香に声をかける。

映画は終わり、二人は映画館の近くにあるファミレスに来ていた。
デートにファミレスもどうか…と悩んだ八雲だが、晴香が泣いてるまま高級レストランに行くのも気が引けた。
だから泣いててもあまり気付かれないであろう、広めのファミレスに来ていた。

「だ……って…」
八雲は晴香の頬に触れ、顔を上げさせるとポケットに入れておいたハンカチで涙を拭う。
「最後は結ばれたのに…何で泣いてるんだ?」
八雲は晴香の頬から離れるとハンカチをポケットにしまう。

八雲の予想通り、最後は二人は結ばれた。

その顔を見てるのもなんだと思いメニューを開く八雲。
「…嬉し、泣き?」
「なんで最後がクエッションマークなんだ」
「自分でもよくわからないんだもん。涙が出る理由」
晴香は八雲が見ているメニューを覗き込む。
その瞳から水気がないのを見ると、安心して小さく笑った八雲。
だが何を思ったのか突如、口端を上げる。
「八雲君はなに頼む?」
晴香が顔を上げ、八雲はその表情を引き締める。
「コーヒー」
「それだけ?お昼ご飯はいいの?」
晴香は八雲の嫌な笑顔を気付いてはいなかったようでそこには触れずに首を傾ける。
「あぁ、そのかわりにもう一本映画…見ていいか?」
「別にいいけど…時間平気?」
晴香は時計を見る。
お昼ご飯には少し遅め、短針は3を差している。
「あぁ、夕方の6時からだそうだ。だからそれまで、デートでもしようじゃないか」
八雲はウェイトレスを呼ぶと注文をする。
晴香は何を見るのか考えていたが、八雲がウェイトレスを呼んだので慌ててメニューを選んだ。



それからは近くのお店で晴香の服を選んだりとショッピングをしていた。


そして6時が近くなり映画館へと向かった。

結局、最後まで八雲はなにを見るか教えてはくれなかった…



映画館から出た晴香は八雲に引かれるように足を動かしていた。
「……うぅ…」
「よかったな」
八雲はニヤリと笑うと横目で晴香を見下ろす。
真っ赤な顔をした晴香は恨めしそうに八雲を睨みつける。
だが、真っ赤な顔で睨みつけられても八雲にはまったく効いなかった。逆に八雲をその気にさせた。
「で?君はどうだった?」
八雲に見つめられてしまい晴香は何となく目を地面にそらす。
「…ああいう映画は…あんまり…」
「やりたくなるから?」
「ち、違うよ!」
耳まで真っ赤になった晴香は八雲を見上げると慌てて否定をする。
「それなら僕は家に帰る」
「え…」
晴香は眉尻を下げて八雲を見つめた。真っ赤な顔は変わらずに。
「泊まらないの…?」
「あぁ。まぁ、君が泊まって欲しいのならば話は別だがな」
今度は晴香にも見えるくらいニヤリとわざと笑う八雲。
晴香は足元を見ながら何かを考えている。たまに言葉を求めるようにチラリと八雲を見上げるが何も答えてはくれない。


「……泊まってかない?」
しばらくすると微かな声が聞こえた。もちろん晴香の声。
八雲がしばらく黙って晴香を見下ろしているとぎゅっと腕を絡めてきた。
「じゃ、早く帰ろうか?」
八雲は今日一番の意地悪な顔をすると晴香を引っ張るように歩き出した。


END。



見た映画は年齢指定ものでした。
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