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なーんにもやる気しないにゃー。

*追記という名の訂正にゃん。

なーんか、昨日の日記振り返ると暗いんで削除!
いまはもう元気なんで!大丈夫です!生きてます!
よし、サンレッド見て笑ってきます!では!


さて、でもやっぱりお話は上げて行きます。
だるだるだるだるだるめしわん。

きょうのはるか
 

どうやら、僕が休まない限り…


こいつはひとりでお留守番のようだ。



はじめてのおるすばん。



テーブルの上に、プラスチックの皿をひとつ置いた。

続けて皿の上に、昨日残しておいたクッキーを全て並べる。
意外にも残っていたらしく、クッキーの山が皿の上に出来た。

「ちゅっきー!ちゅっきーだ!」

隣でピョンピョンと飛び、全身で嬉しさを表している晴香。

「…クッキーだ」

それほど高くないクッキーの山を崩すべく、すかさず晴香が手を伸ばす。

「待て!」

「きゅっ!」

そんな命令を聴いて反射的に手を引き、正座を付いた膝の上に乗せた。
そしてやり遂げた顔で、八雲を見上げてくる。

「もきゅ」

よし…の合図を待っているのか、口端から涎が垂れた。

「…いいか?よく聴け」
八雲も正座を組み、真正面から見つめる。
真剣そうな空気を読んだのか、背筋をぴんとさせる晴香。

「君にはこれから、お留守番をしてもらう」

「お…るちゅばん?」

当たり前だがその言葉を知らない晴香は、小首を傾げた。
「………」
説明をする前に、口端から垂れる涎が気になり、ティッシュで拭う。
「うぢゅ〜っ」
嫌そうに身を捩り反発していたが、気にせず拭い取る。

「留守番というのは…一人で家に残ることだ」

合ってる…よな。

「…きゅ?」

「…要するに、僕は出掛けるから…君一人で家で待ってろ」

これでわからなかったら、黙って出て行くつもりだ。

「……もきゅ?」

「………」

やはり、小さな脳みそでは理解するに出来ないみたいだ。
「…実際にした方がわかりやすいよな」
「おるちゅーちゅちゅばん」
ピコピコと、垂れた耳が上下に揺れる。
その目先にある物は、湿気ってしまったクッキーの山。
「おるちゅーちゅちゅっきー」
せっかく拭いたというのに、口端から涎が垂れる。
「……よし」
その涎を拭い、再び垂れてくる前に許しの合図。
「いただきまちゅ!」
ぴょんと獲物に飛びつき、一枚のクッキーに噛みついた。
「きゅぅ〜」
幸せそうに頬を両手で包み、もう一口かぷり。

「もきゅーっ」

「………」

その隙に鞄を持ち、忍び足で玄関に向かう。


「…行ってきます」

「きゃぅ〜ん!」

クッキーに夢中になる晴香を置いて、八雲はドアの鍵を閉めた。



講義中も、講師のカツラがずれてることよりも、気になるのは晴香のこと。


一人で泣いていないか…

危ない目にあっていないか…

鍵を開けて、一人で外の世界に遊びに行ってないか…

泥棒と鉢合わせて、誘拐なんてことも考えられる。

…はてまた、全然気にせずはしゃいでいるかもしれない。


気になりすぎて、講師に当てられていることに気が付かなかった。

講義が終わったあとに説教されたが、やっぱり気になるのは晴香のこと。

講師の問いかけに全て「はい、すみませんでした」で即答し、場を乗り越えた。


講義が全て終わった後、一目散に帰りたかったが…

機嫌を損ねていたときのために、お土産を買っていこうとスーパーに立ち寄った。



ドアの前で深呼吸。

願わくば、部屋の中で笑っていてくれ…


「…ただいま」

ほんの少しだけドアを開け、中の様子を窺う。

静けさを保っていた自分の部屋は、どこか物足りなかった。

数日前までは当たり前だったこの静けさが…

いまは、なんだか無性に寂しい。

それは…この場所に、晴香が見えないから。

「はる…か?」

ドアを開け、その名を呼ぶ。

「うぎゅっ」

足元からそんな声が聞こえ、見下ろせば…
そこには、玄関に寝そべった晴香がいた。

「うぢゅ…うぎっ、やぎゅ」
うるうると潤んだ瞳からは、ポロポロと涙がこぼれ落ちる。
鼻をすする音が、彼女の寂しさを訴えていた。
「…すまない」
しゃがみ込み、抱き上げようとする前に、晴香が胸に飛び込む。
「やぎゅ、やぎゅもぎゅっ…」
小さな手が、離れまいとシャツを握りしめてくる。
「…すまなかった」
震える体を抱き上げ、ぎゅっと抱きしめ返す。
シャツで鼻をかまれたが、今日のところは許してやろう。
ベッドに移動し、腰を下ろす。

「………」

その途中に皿の上を確認したら、クッキーは残さず食べていた。



晴香が落ち着くまでの間、震える背中を何度も撫でていた。

ぼんやりと部屋を見渡せば、床にはティッシュが散らばっている。

…きっと、期を紛らわすためにティッシュを引っ張っていたのだろう。
足元に転がったティッシュ箱は空っぽ。
床に散らばるティッシュは、細かく刻まれていた。

…これはもう、使えないな。

寝床に詰め込んでいたタオルも、いつの間にかベッドの上…

布団の中にある。

ここで待っていたんだろう。

…一人で。


タオルを手に取っていた見ていたら、もそりと晴香が動いた。

「おるちゅばん、ちゃみちぃ…ひとり、いやっ」
「………」

泣き止んだのはいいが、次は一人は嫌ときた。

「僕は毎日出掛けないといけないんだ」
「はりゅもいく」
こちらを見上げてきた顔は、ぐしゃぐしゃに歪んでいた。
「…それは駄目だ」
きっぱりと断れば、みるみるうちに泣き顔に逆戻りしてしまう晴香。
「で、でも…良いこともあるんだぞ!」
「いい?」

泣き顔になる寸前、くしゃ…っとした顔。

少しでも悲しいことがあれば、泣いてしまう。

「お土産…が、ある」
「おみやげ?」
鞄の中を漁り、一つの青い箱を出す。
それを晴香に渡すが、くしゃくしゃの顔はなかなか元に戻らない。
「これは…こうするんだ」
ぐるぐると見回す晴香から箱を奪い、開けて中に入ってた物を渡す。

「ちゅっきー!」

それは、晴香の大好物であるクッキー。

ついさっきまでいた泣き顔が、キラキラの眩しいくらいの笑顔に変わった。

「!……!?」

八雲と、手の中のビニールに包装されたクッキーを交互に見つめる。

「…食べて良いぞ」

ポンと頭を優しく叩けば、それがスイッチだったみたいにかぶりついた。

まだビニールに包装されていたクッキーを。

「あむーっ…あむあむ」

「ま、待て!」

包装を破いてやろうと手を伸ばしたが、盗られるもんかと渡してくれない。

その間にもクッキーを食べれないことに対して、晴香の怒りは積もっていく。


「ぎぅっ…ぎぎぎっ!」


泣き顔から笑顔へ…

笑顔から怒り顔へ…


怒り顔は不機嫌へと変化する。


彼女の不機嫌を、僕は上機嫌にすることが出来るであろうか。


「ほら…僕が破いてやるから…」

「ぎぅっ!」

「痛っ!」


その怒りは、八雲へと向けられた…


でも…これで彼女の不機嫌が上機嫌になるなら、安いもんだ。



ちょっぴりお留守番が好きになった、晴香ちゃんなのでした。


END。



でもやっぱり嫌いなんだろうけどね。
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