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お仕置き中。

「もきゅ?」

「まったく…またこっそりお菓子食べて…」

はい、遅刻っ!すみません!
また出遅れました!
いえい☆(こら


さて、はりゅかも少し成長しましたよ。
多分。

きょうのはるか

スーパー内を歩く二つの姿。

ひとつはワイシャツにジーパン姿の、どこにでもいる普通の青年。

もうひとつはオレンジ帽子に耳を隠した、犬耳幼女。


「きょうは、なにをおかいもの?」

「寒くなるからな…暖かいものだ」

「あったかい……ほっとみるきゅ!」

「…ハズレ」

「ほっちょとみるきゅー」

「ほっちょと?」

「ほっちょとみるきゅ!」



いやいや、かぼちゃぱんちゅ。



晴香を拾ってから数日…言葉は随分と覚えたみたいだが、まだまだ危うい。

毎日が驚きと発見の毎日だ。



アパートに入る前、辺りに人がいないかを確認してから入る。

それはこのアパートがペット禁止だから。

…まず始めに、こいつが犬なのかはわからないが。


今日も誰にも会わず、アパートの階段を上がって部屋に入れた。
そんな些細なことではあるが、八雲は自然と溜め息を吐く。

「ちゅぱいちゅみたい」

「は?」

緊張する八雲に比べ、危険正体の張本人は興奮し気味に尻尾を振っていた。
「やきゅもきゅんはちゅぱいちゅ?」
「スパイス…だよな。…なんで僕がスパイスなんだ?」


スパイスという言葉は、スパゲティを作ったときに教えた。

…そのまま食べて、僕に文句を言われたのを覚えている。

あの時は、何故か僕までスパイスを食べることになった。


「かくれんぼちて、おうちかえう…から!」
「………」
長文を言えたことに対しての自慢か、胸を反らして鼻息を荒くした。
「ららららー…らりおで、ちゅぱいちゅかっちょいーて」

かっこいいスパイス…そして、ラジオでわかった。

「…それはスパイスじゃなくってスパイだ」

そういえば、数日前耳にしていたラジオでそんなことを言っていた気がする。

「きゅ?」
かく言う晴香は、きょとんと小首を傾げる仕草。
「…こういうのはスパイだ。…わかったか?」
「らじゃ!」
ピンと耳を立てて、敬礼を見事に決めた。
どうやら、わかったみたいだ。

そんなしっかりものの晴香は、耳が垂れるのと同時に消える。
「もきゅーっ!」
言葉を覚えても、まだ鳴き声は消えない。
走っていったかと思えば、机の前に正座をする。
「はーやーきゅっ!」
オーバーアクションな手招きで呼ばれたので、スーパーの袋を持ったまま向かった。
「なんだ?」
晴香の隣に座ると、我が物顔で膝に乗ってくる。
「きゅ!」
机の上に置いたビニール袋を指差し、何かを訴えてきた。
「あぁ…今日買ったものか…」
手を伸ばして引き寄せ、それを晴香の膝に乗せる。
すかさず袋の中を覗く晴香に、八雲は小さく笑った。
「おいちーぎうにう!?」
「ハズレだ」

そういって机の上に出したのは…

「もきゅ?」

「下着…パンツだ」

「やきゅもきゅんの?」

「…僕にこんな趣味はない」


ビニール袋の上に置いたそれは、晴香の下着類。

どういう柄にすれば良いかわからず、店員に選んでもらったのは…

何故かかぼちゃパンツ。


これからの時期、寒くなるだろうと思い買ったのだ。

それに…外で何も履いていないのは危険だと思ったからだ。

晴香も…僕も。


「やきゅもきゅんのぱんちゅ」

「っ…だから君のだ。とりあえず履いてみろ」

「きゅっ」

ぴょんと膝から飛び降り、下着と向き合う晴香。
手に取ってみているが、なかなか履く気配がない。
「もきゅ?」
…どうやら、履き方がわからないみたいだ。
くるくると回しては、首を傾げるだけ。

「…これはな」

仕方がないので、履かせるのを手伝ってやった。

片足立ちが不安定らしく、肩をかしてやる。

…同じ場所に足を入れたりと、ずいぶん時間がかかった。

「…出来た」
「でけた?」
八雲のシャツの為、裾が長くて外見はあまり変わらない。
「…どうだ?」

それを確認し、顔を上げたら…

「………」

もの凄く不満そうな顔があった。

「ど…どうした?」
眉間にしわを寄せ、口をへの字に歪めた表情なんて初めて見た。

「…ぎぅ」

返された返事は、たったのそれだけ。
どうやら、晴香は気に入らなかったみたいだ。
「ぎぅ…ぎぎっ」
不満の声をあげながら、せっかく履かせた下着を脱ごうとする晴香。
「ま、待て!」
そんな小さな手を掴み、慌てて止める。
「………」
眉を寄せ、口がへの字の顔がこちらを見つめてきた。
「ぎふっ…ぎぅぎぅ」
ぼそぼそ文句を言い出したかと思えば、その文句はなかなか止まらない。

「ぎぎ、ぎぅ…ぎぎぎっ」

「わ…わかった」

こうなったら最終手段…

「でも、かわいい…ぞ?」

ぴょんと跳ねる、垂れた耳。

「かわいいし…綺麗だ」

「きゃーいい?」

釣れた。

「あぁ、かわいいかわいい」

褒め言葉を繋げ、栗色の髪を何度も撫でた。

「きゅふっ」

ぱぁ…っと、晴香の表情が明るくなる。
口の両端がぐいーっと上がり、上機嫌晴香の出来上がり。
「ぱんちゅ…きゃーい?きれー?かっちょいー?」
膝に手を当てて、近寄ってくる。

「かわいいし綺麗だしかっこいい」

こんなにも下着を褒めるのは初めてだ。

「きゃふーっ!」

…嬉しさのあまりか、晴香に噛みつかれた。



翌日…


「うぅっ…」

苦しさに目を覚ませば、腹の上に堂々と居座る晴香。

そんなにも寝心地が良いのか、よだれまで垂らして眠っている。

「…ちゃんとダンボール箱で寝かせたのに…」


これは事実。

夜中に息苦しさで目覚め、顔の上で寝ていた晴香をダンボール箱で寝かせた。


「…やっぱり寝相が悪いのか?」

ゆっくり起きあがると、腹の上の晴香が膝にずり落ちていく。

何度か背中を撫でたら、幸せそうに聞き取れない寝言を言った。


「朝ご飯は…冷凍食品だな」

昨日の夜ご飯は残さず食べたがら。

冷凍食品生活もそろそろ直したいが、面倒臭さがそれをさせない。

晴香が来てからは、二日に一日程度で食事を作っている。

…一食だけ。


「…起きるか」

膝の上の晴香を退かせようと布団を捲ったとき。
布団の中であるものを見つけた。

「………」

掴んで顔の高さまで上げる。


それは…

「お、おいこら!起きろ!」

「きゅふふ…」


脱がされたかぼちゃパンツだった…



褒められてもなかなか好きになれない、晴香ちゃんなのでした。



END。



かぼちゃぱんちゅは良いですよね。
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