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全力で食べる。ただ、それだけ。

全力ウサギ…
何だかんだで毎週楽しみにしているアニメです。
朝、早起きしないといけないのが悲。

こうやって描いてみると、描き方がトロに似ています。
目が離れてて、可愛いところが。
かわゆいのぉ…

そしてトロ…出て行ってしまいました…
帰ってこないで、出て行ってしまいました。
なんだろう…部屋が凄く寂しく見えます。
なんだ、このぽっかり感は…


さて、とうとう作品を全て出し終えてしまいました。
明日からは蔵出しかな?

恋人未満

晴香は一人、街中を歩いていた。

向かうは大学近所の本屋。


大好きなシリーズ本の新刊が出たのである。

前の巻が半端なところで終わってしまい、この日を待ち通していた。


こんな緩んだ顔、アイツに見られたら「気持ち悪い」とか言われるんだろうなぁ…

「あ!」

噂をすればというのは、このことだ。

道路を挟んだ向こう側の歩道を、アイツこと斉藤八雲が歩いている。

「八雲君…どこ行くんだろ…」

そのとき、晴香の中の優先順位が本から八雲へと変化した…



八雲の後をコソコソと追って付いた先に、少々驚いた。
辿り着いた場所は、本来の目的地…大学近所の本屋さん。

「…な〜んだ。八雲君も本屋さんに用があったんだ」

影からコソコソ後を追っていたのが馬鹿みたい。
だったら、初めから堂々と本屋に行っていれば良かった。

晴香は今まで溜めていた息を吐き出し、自らも本屋の入り口を通った。

目指すはお目当ての本。
それから八雲を探して、偶然を装って話しかける。
よし決定。

心の中で未来予想図を広げ、取りあえず新刊コーナーに向かう。
だが、そこにお目当ての本は置かれていなかった。
「…あんまりメジャーなお話じゃないもんなぁ」

だれかに勧めれば、面白かったと返ってくる。
けれども、なかなか広がることはない。

しぶしぶ、文芸書が置かれたコーナーに向かう。
これで無かったら、店員さんに聞いてみよう。

そんなこんなしている間に、お目当ての本があるであろう、コーナーに付いた。
「え〜っと…あかさたな…」
作者五十音順に並んだ棚を、「あ」から指でなぞっていく。
聞き覚えのある作者の名前で指を止め、お目当ての本を探す。
「……ない」
他のシリーズは見つけることが出来たが、残念ながら新刊を見つけることは出来なかった。
「何かお探しですか?」
自然と漏れた溜め息に気が付き、若い男の店員が話しかけてきた。
「あ…えっと、このシリーズの新刊って…ありますか?」
メジャーでないということもあり、口ごもりそうになる。
「あぁ、それならコチラにコーナーがありますよ」
見事なまでの営業スマイルを向けられ、ついつい見とれてしまう。
だが、すぐ隣にコーナーとして大々的にあることに気付き、頬が熱くなる。
「最近、流行ってきてるんですよ。だから残りが一冊しかないんです」
「あ…ありがとうございます」
「いえいえ」
結局、恥ずかしくて顔を上げることが出来なかった。

うぅ…と唸り、店員が居なくなったところで本とご対面。

「いつの間に有名になっちゃって…」

有名になることは嬉しいが、少し寂しい気分でもある。
昔からの知り合いが、突然遠くの存在になったような…そんな気分だ。

他の巻は何冊かあるが、この新刊だけは一冊しか残っていない。
これは…運命としか言いようがない。
「よしっ、買おう!」
今日は徹夜で読み終えるぞ。

そう心に誓い、レジに向かおうとしたとき。

「あ…」

八雲がスタスタと歩いているのを見つけた。

何か本を探しているのであろうか…

どんな本を八雲が探しているのか気になり、ついつい本を戻してしまう。
本屋で本を持ちながらウロウロするのは、少し気が引ける。

どうせすぐに戻ってくるのだ…
ちょっとの時間くらい、平気であろう。

最後にもう一度振り返ると、晴香は八雲の背中をコソコソと追った。



まず始めに足を止めたのは、八雲と一番繋がりが無さそうな雑誌コーナー。
遠くからではよく見えず、何を読んでいるのかわからない。
だが、随分と熱心に見つめているのは確か。

「はっ!…まさかグラビアとかえっちなのとかだったりして…」

えっちなことを考えないオトコはいないと、数日前に美樹から聞かされた。

隠れ家を探した結果、そういうものは見つからなかったから…
やっぱり立ち読みが今夜のおかずなのか。

普段は八雲ばかり推理しているので、こういうときは思う存分推理させてもらおう。

「ふふふ…やっぱりお主もえろかのぉ…」

そんなくだらないことを呟いていると、雑誌を置いて、移動する八雲。
今まで八雲がいた場所に行き、置いた雑誌を手に取る。

「…楽しいガーデニングと盆栽」

表紙に書かれていた文字を復唱する。
晴香が想像していた桃色な表紙ではなく、緑が輝く表紙。

「って、八雲君こんなの熱心に読んでたの!?」

その意外さと、年寄り臭さに思わず苦笑い。
「………」
ノーコメントで雑誌を置き、八雲の後を追った。



次に見つけたのは、これまた意外な漫画本コーナー。

最近の漫画本には、立ち読み防止のビニールが付いている。
そのため八雲は、お試し用の冊子を熱心に読んでいた。

「ふふっ…次こそは八雲君の秘密を暴いちゃうんだからっ」

ついさっきまでは興味心であったのに、いつの間にか秘密を暴くに変わっている。
けれども、晴香は気にせず八雲が読んでいる姿を見つめていた。

「最近は萌えだとか多いからね…もしかしたら隠れオタクだったりして…」

晴香の推理は止まることを知らず、どんどんと妄想へと変化する。
怪しくニヤニヤ笑っていたら、まるで逃げるかのように八雲が立ち去った。
「なに読んでたのかな〜」
薄い冊子を手に取り、中身を開く。

「…にゃんこ倶楽部」

題名からは怪しさはまだ抜けなかったが、中身を見て苦笑する。
飼い主と猫の、なんとも愉快でほのぼのな日常を描いた漫画であった。

…まあ、ある意味萌えだ。

「ますます八雲君が分からない…」

微かな頭痛を残し、晴香は八雲の後を追う。



次に見つけたのは、文芸書コーナー。
今回は立ち読みはせず、本を手にレジに向かおうとしていた。
何の本かと、ちらりと窺ったとき…

「あーっ!」

晴香は思わず声を上げた。
周りにいた人の視線と共に、八雲の視線もこちらに向く。
だが、それどころではない。
「誰かと思ったら君か」
「そ…そんなことより!その本…」

八雲が手にしていたのは、晴香が買おうとしていた本。
最後の一冊の本だ…

「面白そうだったんでな。買うことにした」
「面白そうだった…ってことは、前の巻とか読んでないの!?」
「あぁ」
当たり前だと言わんばかりの回答に、一瞬流されそうになる。
だが、これは良いことを聞いた。
「じゃ!ちゃんと一巻から買って…それは私に」
「ストーカーに譲れと?」
「ストーカー…?」
何のこと…というのと、まさか…という感情がごっちゃになる。
「…ずっと僕の後を付けてきてただろ」
「ぎくっ」
おそるおそる見上げると、口端を上げた八雲が笑っていた。
「そのお返しだ」
「ってことは…もしかして分かっててやってたり…」
「する」
「お…お願い!その本譲って!」
レジに向かおうとする八雲の前に立ちふさがり、どうにか譲ってもらおうとせがむ。
「これは僕が買う。最後の一冊だったしな…運命の出会いってやつかもな」

あんたより先に、こっちが運命の出会いをしていたんだ。

そう言い掛けた口を塞ぎ、しょぼんと俯く。
「…まぁ、君が前作を貸してくれるなら…貸してやっても良い」
「本当っ!?」
「その変わり、僕が全巻読むまでこれは貸さない」
「え…」

イコール、八雲が全巻読み終わるまで、私は最新刊を読めない。

「どうする?」
「わ…わかりました。貸します…」
「交渉成立」
八雲は満足げに言うと、一人レジに向かった。

「うぅ…こんなことなら先に買えば良かった…」

でも…この本を八雲も読んでくれるなら、まあ良いかな。



「ありがとうございましたー」

「ふっ…」

「どうしたの?」

「いや、なんでもない」

あいつが店員と喋ってるだけで…あんなにも嫉妬するなんてな。

「…絶対なにか企んでる」

「何も」


まあ、ゆっくり読んでいこう。

彼女とココアでも飲みながら…


END。



最後の一冊だったりすると、運命感じちゃいます。
なんて安値な運命なんだ…
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