×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「だららららららら〜♪」
「………」
「おーかみちゃん、どうちたの?」
「いや、なんでもない」
生チョコの材料買いに行ってきました!
今年は、普通とミルクと抹茶味に挑戦!
普通のはもう数年作り続けているので心配はナシ。
たまに固まらないけど。
我が家の生チョコ、好評なんですよ〜♪
といっても、作り方はいとこの家に教えてもらったので…
いとこの家の作り方が好評なんですね。
さて、専業主夫な八雲君。
最近、料理がうまくなってきた模様。
専業主夫
2月12日…
バレンタインまで、あと二日。
斉藤家。
とある平日の朝のこと。
「じゃ、行ってきまーす!」
「…行ってらっしゃい」
お出かけ前のキスを終えた晴香は、幸せそうに笑いながら出掛けていった。
その幸せそうな笑顔は、今日一日頭に住み着いているであろう。
朝から数えると…計五回目のキス。
いや、もっとしたか。
彼女が仕事に行き、一人で留守番は正直寂しい。
留守番をする犬の気持ちが分かり、溜め息を吐いた。
「…さて、洗いものでもしようか」
それが終わったら洗濯物を干さなくては。
緩んでいたエプロンの紐を結ぶと、八雲はキッチンに向かった。
洗いものと洗濯物が終わり、ついでに部屋の掃除も終えたのはお昼過ぎ。
つい部屋の掃除に夢中になり、気付いたらこの時間。
八雲は台所に向かい、冷蔵庫を開けた。
冷蔵庫の一番上の一番奥。
晴香が届かないと知って、置いた場所。
そこにあったのは、ひとつの紙袋。
「………」
紙袋の中には…
板チョコが数枚、それからミルクやココアパウダーなどが入っていた。
「見つかった形跡は…なし、と」
胸を撫で下ろし、調理器具の準備を始める。
エプロンのポケットから出したのは…
「簡単、手作り生チョコレート」の文字。
「…お菓子なんて作るの、何年ぶりだ?」
八雲は、晴香にあげるバレンタインチョコを作っているのだ。
少し早いけれど、もしも失敗した時にと早めに行動している。
それに、一日置いた方がおいしいと、何かに書いてあった。
「…チョコなんて、溶かしてまた固めれば良いのかと思ってたが…」
この生チョコレートとやらは、ミルクだとか混ぜないといけないらしい。
自分でも、何故生チョコレートにしたのか分からない。
ただ…デパートの広告を見ていた彼女が、おいしそうと言っていたのが…
この生チョコレートだっただけだ。
「全く僕は…」
世界中が呆れるくらい、彼女が好きらしい。
そんな自分が照れくさくて、八雲はさっさと生チョコを作り出した。
晴香が帰ってくる時間を見計らい、八雲は作業を中止した。
とりあえず、溶かしたチョコを型に入れるところまでは出来た。
後は…固まってから、ココアパウダーを振りかけるだけ。
ミルクの分量が多いと、なかなか固まらないらしい。
そんな心配が残り、八雲は落ち着かない。
だが、失敗したときのためにバレンタイン二日前に作っているのだ。
…大丈夫大丈夫。
「………」
そして、彼女の行動ペースを思い出す。
彼女が家に帰ってきた後、冷蔵庫を開けることは少ない。
あるとすれば、夕飯の片付けを手伝ってくれるとき。
…まぁ、それは注意しておけば大丈夫であろう。
「…このまま冷やしておいても…平気だよな?」
冷蔵庫に入ったチョコレートは、隠すように奥に置いた。
手前に高さが合るものでガードしているので、見つかる可能性は低い。
「大丈夫…か」
八雲は冷蔵庫を閉め、使った調理器具の片付けを始めた。
彼女が帰ってくるまで、あと数十分。
さきほどメールが来たので、それは確かな情報。
それまでに、台所に漂うチョコレートの匂いを消さなくては…
どうにか匂いを消した八雲は、リビングのソファーに座っていた。
とりあえずココアを片手に、新聞を読んでいる。
けれども、新聞の内容なんて全然頭に入ってこない。
入ってきた内容といえば、デパートでのバレンタインチョコ特集。
有名シェフが作ったチョコと、自分が作ったチョコを比べて落胆した。
「…駄目駄目だ」
料理は慣れてきたものの、お菓子づくりというものは慣れない。
「……やはり、市販のものをあげた方がいいのか?」
新聞を置き、深い深い溜め息を吐いた。
そのとき、ちょうど玄関のチャイムが鳴る。
「帰ってきたか…」
数時間ぶりに会えることに、八雲はどこか胸躍らせた。
そんな気持ちが顔に出ないよう引き締め、玄関に向かう。
「ただいまー!」
「…おかえり」
飛びついてきた彼女を腕の中に迎え、柔らかい髪を撫でる。
「む?」
「…どうした?」
エプロンに顔を埋めた晴香が、怪しげに眉を寄せた。
「八雲君から…甘い匂いがする」
その言葉に、背中に嫌な汗をかいたのは言うまでもない。
「き、気のせいだろ」
「ううん…確かに甘い匂いがする」
バレたか…?
息を飲みながら次の言葉を待つ。
「まさか…浮気っ!?」
顔を上げた晴香の瞳には、沢山の涙が浮かんでいた。
バレなかったことに、ほっと胸を撫で下ろす。
「…僕が、君以外を好きになると思ってるのか?」
「あ、そっか」
「………」
浮気はするわけないが、彼女の純粋さに正直呆れた。
「…ほら、早く夕飯にするぞ」
今日の晩ご飯は、オムライス。
中のご飯は昼に作って置いたので、調理はすぐに終わった。
「はーい!」
スーツ姿の晴香を寝室まで連れて行くと、八雲はコップにお茶を淹れた。
風呂から上がった晴香は、のどが乾き台所に向かった。
台所では、八雲が洗いものをしている。
八雲の後ろを通ったとき、突然止められた。
「…なによ」
「何をしにきた?」
「何って…風呂上がりに牛乳でも飲もうかと…」
「…わかった。僕が出してやるから、君はあっちで待ってろ」
そういわれると、強制的にソファーへと運ばれる。
それから、八雲が牛乳を持ってきてくれた。
「あ、ありがとう」
「…どういたしまして」
再び台所に帰っていく八雲。
その姿は、まるで台所…特に冷蔵庫を守っているかのよう。
「…変。変だよ、今日の八雲君」
小声で呟いた晴香は、気付かれないように八雲を睨んだ。
「良いか?絶対な冷蔵庫は開けるなよ」
「…はーい」
「…絶対の、絶対にだ」
「はいはい」
「………」
まだ何か言いたげであったが、しぶしぶ風呂場に入る八雲。
中からシャワーの音がするのを見計らい、晴香は洗面所に向かった。
ガラスの戸、一枚向こう先には、入浴中の八雲がいる。
そう思うと、よだれが垂れそうになった。
はっきり言おう。
明るいところで見る八雲の身体は、とても綺麗で整っている。
思い出した姿に赤面し、逃げるように洗面所を抜け出た。
その手には、八雲のパジャマ一式を持って。
もちろん下着もある。
「もしお風呂から上がっても、これなら大丈夫だよね」
そう…これから、八雲が何かを隠している、冷蔵庫を開けるのだ。
あんなにも開けるなと言われたので、開けたのがバレたらただじゃすまない。
今夜は眠れない夜行きだ、きっと。
パジャマ一式を置き、冷蔵庫の前に立つ。
大きく息を吸い込み、深呼吸を繰り返す。
「…よしっ」
冷蔵庫を開けた途端、鼻に来たのは甘い匂い。
どこかで嗅いだことがあると思えば、八雲のエプロンの匂いだ。
「?…どこから匂うんだろ…」
冷蔵庫の中のものを漁り、奥へ奥へと手を伸ばす。
そんな晴香が見つけたのは…
茶色い液体が入った、一つのタッパー。
「チョコ…レート?」
何故チョコが溶かした状態でこんなところに?
だが、すぐに理解した。
「バレンタインデー…」
そういえば、数日前に生チョコが美味しそうと言った気がする。
「八雲君が…」
あの八雲がチョコを作ってくれたと思うと、自然と口が緩んだ。
「おい、パジャマが無いぞ」
「はーい!」
「………」
「って、なんで何にも巻いてないのよ!」
「風呂上がりなんだから当たり前だろ」
END。
八雲がチョコ作るとかオモロー!
バレンタインまで、あと二日。
斉藤家。
とある平日の朝のこと。
「じゃ、行ってきまーす!」
「…行ってらっしゃい」
お出かけ前のキスを終えた晴香は、幸せそうに笑いながら出掛けていった。
その幸せそうな笑顔は、今日一日頭に住み着いているであろう。
朝から数えると…計五回目のキス。
いや、もっとしたか。
彼女が仕事に行き、一人で留守番は正直寂しい。
留守番をする犬の気持ちが分かり、溜め息を吐いた。
「…さて、洗いものでもしようか」
それが終わったら洗濯物を干さなくては。
緩んでいたエプロンの紐を結ぶと、八雲はキッチンに向かった。
洗いものと洗濯物が終わり、ついでに部屋の掃除も終えたのはお昼過ぎ。
つい部屋の掃除に夢中になり、気付いたらこの時間。
八雲は台所に向かい、冷蔵庫を開けた。
冷蔵庫の一番上の一番奥。
晴香が届かないと知って、置いた場所。
そこにあったのは、ひとつの紙袋。
「………」
紙袋の中には…
板チョコが数枚、それからミルクやココアパウダーなどが入っていた。
「見つかった形跡は…なし、と」
胸を撫で下ろし、調理器具の準備を始める。
エプロンのポケットから出したのは…
「簡単、手作り生チョコレート」の文字。
「…お菓子なんて作るの、何年ぶりだ?」
八雲は、晴香にあげるバレンタインチョコを作っているのだ。
少し早いけれど、もしも失敗した時にと早めに行動している。
それに、一日置いた方がおいしいと、何かに書いてあった。
「…チョコなんて、溶かしてまた固めれば良いのかと思ってたが…」
この生チョコレートとやらは、ミルクだとか混ぜないといけないらしい。
自分でも、何故生チョコレートにしたのか分からない。
ただ…デパートの広告を見ていた彼女が、おいしそうと言っていたのが…
この生チョコレートだっただけだ。
「全く僕は…」
世界中が呆れるくらい、彼女が好きらしい。
そんな自分が照れくさくて、八雲はさっさと生チョコを作り出した。
晴香が帰ってくる時間を見計らい、八雲は作業を中止した。
とりあえず、溶かしたチョコを型に入れるところまでは出来た。
後は…固まってから、ココアパウダーを振りかけるだけ。
ミルクの分量が多いと、なかなか固まらないらしい。
そんな心配が残り、八雲は落ち着かない。
だが、失敗したときのためにバレンタイン二日前に作っているのだ。
…大丈夫大丈夫。
「………」
そして、彼女の行動ペースを思い出す。
彼女が家に帰ってきた後、冷蔵庫を開けることは少ない。
あるとすれば、夕飯の片付けを手伝ってくれるとき。
…まぁ、それは注意しておけば大丈夫であろう。
「…このまま冷やしておいても…平気だよな?」
冷蔵庫に入ったチョコレートは、隠すように奥に置いた。
手前に高さが合るものでガードしているので、見つかる可能性は低い。
「大丈夫…か」
八雲は冷蔵庫を閉め、使った調理器具の片付けを始めた。
彼女が帰ってくるまで、あと数十分。
さきほどメールが来たので、それは確かな情報。
それまでに、台所に漂うチョコレートの匂いを消さなくては…
どうにか匂いを消した八雲は、リビングのソファーに座っていた。
とりあえずココアを片手に、新聞を読んでいる。
けれども、新聞の内容なんて全然頭に入ってこない。
入ってきた内容といえば、デパートでのバレンタインチョコ特集。
有名シェフが作ったチョコと、自分が作ったチョコを比べて落胆した。
「…駄目駄目だ」
料理は慣れてきたものの、お菓子づくりというものは慣れない。
「……やはり、市販のものをあげた方がいいのか?」
新聞を置き、深い深い溜め息を吐いた。
そのとき、ちょうど玄関のチャイムが鳴る。
「帰ってきたか…」
数時間ぶりに会えることに、八雲はどこか胸躍らせた。
そんな気持ちが顔に出ないよう引き締め、玄関に向かう。
「ただいまー!」
「…おかえり」
飛びついてきた彼女を腕の中に迎え、柔らかい髪を撫でる。
「む?」
「…どうした?」
エプロンに顔を埋めた晴香が、怪しげに眉を寄せた。
「八雲君から…甘い匂いがする」
その言葉に、背中に嫌な汗をかいたのは言うまでもない。
「き、気のせいだろ」
「ううん…確かに甘い匂いがする」
バレたか…?
息を飲みながら次の言葉を待つ。
「まさか…浮気っ!?」
顔を上げた晴香の瞳には、沢山の涙が浮かんでいた。
バレなかったことに、ほっと胸を撫で下ろす。
「…僕が、君以外を好きになると思ってるのか?」
「あ、そっか」
「………」
浮気はするわけないが、彼女の純粋さに正直呆れた。
「…ほら、早く夕飯にするぞ」
今日の晩ご飯は、オムライス。
中のご飯は昼に作って置いたので、調理はすぐに終わった。
「はーい!」
スーツ姿の晴香を寝室まで連れて行くと、八雲はコップにお茶を淹れた。
風呂から上がった晴香は、のどが乾き台所に向かった。
台所では、八雲が洗いものをしている。
八雲の後ろを通ったとき、突然止められた。
「…なによ」
「何をしにきた?」
「何って…風呂上がりに牛乳でも飲もうかと…」
「…わかった。僕が出してやるから、君はあっちで待ってろ」
そういわれると、強制的にソファーへと運ばれる。
それから、八雲が牛乳を持ってきてくれた。
「あ、ありがとう」
「…どういたしまして」
再び台所に帰っていく八雲。
その姿は、まるで台所…特に冷蔵庫を守っているかのよう。
「…変。変だよ、今日の八雲君」
小声で呟いた晴香は、気付かれないように八雲を睨んだ。
「良いか?絶対な冷蔵庫は開けるなよ」
「…はーい」
「…絶対の、絶対にだ」
「はいはい」
「………」
まだ何か言いたげであったが、しぶしぶ風呂場に入る八雲。
中からシャワーの音がするのを見計らい、晴香は洗面所に向かった。
ガラスの戸、一枚向こう先には、入浴中の八雲がいる。
そう思うと、よだれが垂れそうになった。
はっきり言おう。
明るいところで見る八雲の身体は、とても綺麗で整っている。
思い出した姿に赤面し、逃げるように洗面所を抜け出た。
その手には、八雲のパジャマ一式を持って。
もちろん下着もある。
「もしお風呂から上がっても、これなら大丈夫だよね」
そう…これから、八雲が何かを隠している、冷蔵庫を開けるのだ。
あんなにも開けるなと言われたので、開けたのがバレたらただじゃすまない。
今夜は眠れない夜行きだ、きっと。
パジャマ一式を置き、冷蔵庫の前に立つ。
大きく息を吸い込み、深呼吸を繰り返す。
「…よしっ」
冷蔵庫を開けた途端、鼻に来たのは甘い匂い。
どこかで嗅いだことがあると思えば、八雲のエプロンの匂いだ。
「?…どこから匂うんだろ…」
冷蔵庫の中のものを漁り、奥へ奥へと手を伸ばす。
そんな晴香が見つけたのは…
茶色い液体が入った、一つのタッパー。
「チョコ…レート?」
何故チョコが溶かした状態でこんなところに?
だが、すぐに理解した。
「バレンタインデー…」
そういえば、数日前に生チョコが美味しそうと言った気がする。
「八雲君が…」
あの八雲がチョコを作ってくれたと思うと、自然と口が緩んだ。
「おい、パジャマが無いぞ」
「はーい!」
「………」
「って、なんで何にも巻いてないのよ!」
「風呂上がりなんだから当たり前だろ」
END。
八雲がチョコ作るとかオモロー!
PR
この記事にコメントする