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べ、別に色塗りがめんどくさかった訳じゃないんだからね!
たた…た、たまには違う塗り方をしたかっただけよ!(ぷい
ちょっとスプレー塗りとやらをやってみました。
いつもはバケツ塗りなのですよ。
これがめんどくさいやめんどくさい。
線が繋がってないと、ちゃんと出来ず…
さて、バレンタイン翌日の翌日ですが、まじかるすてっきによって…
バレンタイン当日話!
きょうのはるか
「ば…ばばばば…」
「ば?」
「ばれんたんでー…」
「………」
「ばれんたんてー、やきゅもきゅん!」
「…何を言っているんだ?」
「きぅー…」
何かを伝えようとしているらしく、互いの指を合わせる。
「ばれ…ばれえ…?」
右の親指と左の親指をくっつける。
「ばれたん…たんてー…」
右の人差し指と左の人差し指をぴったりとくっつけた。
「もきゅ!」
晴香の小さな指が作り出したのは…ハートだった。
「バレンタインデー…か?」
一人と一匹の住まいである、ペット禁止の部屋。
ちなみに、バレンタインまであと数日の日のこと。
「きゅっふ!」
正解らしく、大きく頷き飛びついてきた。
「ばれえたんいでー!なにっ!?」
膝によじ登り、首に腕を回してくる。
「…知らないのか?」
そのままほっといたら、ぎゅーっと抱きしめてきた。
「きゅ!」
堂々と答え、パタパタと揺れる尻尾。
抱きつかれたままの八雲はというと、その質問に頭を悩ませていた。
「あー……えっと、バレンタインデーって言うのは…」
首に回された手が緩んだかと思えば、続いては肩によじ登ろうとしてくる。
よじ登ることに成功した晴香は、干された洗濯物のように手足の力を抜いた。
…僕の肩は、物干し竿じゃない。
「…好きな人にチョコをあげる日だ」
左右に揺れる尻尾が口の中に入り、慌てて払いのける。
このフローラルな味は、石鹸がなにかか。
「やきゅ、いっちゅも…はりゅにちょこくれりゅ!」
くるっと振り返り、手足をバタ付かせる。
背中やら胸やら、叩かれて痛かった。
「……それとは少し違う」
「…きゅ?」
「バレンタインは…好きな人にチョコをあげる日なんだ」
そう説明してやると、ずるずる足の方から落ちてくる。
「やきゅ、いっちゅもくれる…」
すとんと膝に尻餅をつき、そんなことを呟いた。
小さい脳みそは、バレンタインを理解することが出来ただろうか。
八雲は心配になり、もう一度説明しようかと口を開いたとき。
「わたちのこと、ちゅきなんだ!」
キラキラと輝いた瞳が、八雲を捕らえた。
眩しすぎる眼差しに視線を逸らそうとするも、絡み取られたかのように不可能。
「やきゅもきゅん…はりゅが、ちゅき…」
自分でも落ち着こうと思っているのか、いったん静かになる。
「きゃう〜っ!!」
だが、ここまで興奮してしまっては、無理なのだろう。
一度上がった熱は、なかなか治らない。
「やきゅ、ちゅき!?」
ほんのり火照った頬は、興奮からか照れからか…
「……まぁ、な」
「きゃーふぅーっ!」
緩みきった頬を押さえ、左右にふりふり揺れる。
負けじと揺れる尻尾は、揺れすぎて回っているようだ。
「ちゅきちゅきーっ!」
「…何がだ?」
「やきゅもきゅん!」
「……そうか」
“好き”と言われるのは、こうも嬉しいものだったか。
幸せというか、嬉し恥ずかしな部分もある。
でも…嫌じゃない。
…まぁ、正確には“ちゅき”なのだが。
「…僕も、好きだぞ。…晴香」
「きゃぅーっ!」
その言葉を聞いた晴香が、タックルをするかのごとく、胸に飛び込んできた。
「うっ…」
ちょうど頭が鳩尾にハマり、背筋に鈍痛のような痛みが走る。
「ちゅきー!ちゅきちゅきー!」
「そ…そうか…」
気分を害してはいけないと、引きつりながらも笑みを浮かべた。
晴香が落ち着くまで、あと数分…
「もふー……もふっ」
やっと落ち着きだしたのか、深呼吸を繰り返している。
それでも興奮は冷めないのだろう。
いつの間にか肩に噛みつき、先ほどから離れてくれない。
「…落ち着いたか?」
「きゅ!」
そうは言うが、肩に噛みついたまま。
痛くはないが、少々くすぐったい。
仕方ないとそのままほっておき、八雲は晴香を抱えながら立ち上がる。
「…チョコでも食べて、少し落ち着け」
常温に置かれた一口サイズのチョコを数個手にとり、ベッドに腰をかけた。
チョコの包みを剥ぎ、晴香の前にちらつかせる。
「………」
目でじっと追いかけ、やっと肩から口を離した。
変わりに口の中にチョコを放り込んでやると、尻尾と耳が揺れる。
「…もう一粒、食べるか?」
チョコは一日三個まで。
それは八雲が決めたルール。
「きゅ!」
膝にちょこんと座り、八雲の手の中からチョコを二粒ほど奪う。
さっそくとばかりに包みを開けようとしていたが…
その手が突然止まった。
「………」
考えるように宙を見上げ、何を思ったか大きく頷く。
ぴょんと膝から飛び降り、晴香が向かった先は…
晴香の使われない寝床である、段ボールハウス。
タオルの他に、最近ポシェットやらが仲間入りした。
段ボールハウスに入ると、辺りをキョロキョロ見渡す晴香。
次の瞬間、ポシェットの中に、八雲から奪ったチョコを隠した。
「きゅふ」
やり遂げた顔で、浮かんでもいない額の汗を一拭い。
そして、何事もなかったかのように戻ってきた。
「…何を隠してきた?」
「きゅっ!?」
気付かれていないつもりだったらしく、随分と驚いている。
「な…なにも、ないないよ?」
胸の前で手を握り、可愛らしく小首を傾げる。
かわいいのは認めよう。
…でも、かわいいで許されるほど、世の中は甘くない。
無言で立ち上がった八雲は、段ボールハウスに駆けた。
「きぅっ!」
それに気付いた晴香に、何故か足を噛まれた…
それから時は流れて2月14日…
「やきゅ、ばれいたんでー…いちゅ?」
「…今日だな」
あれから毎日、同じ質問が繰りかえされた。
一日一回はもちろん。
朝昼晩、三度は言われ続けた…
「ばれたんで…きょう…」
オウムのように繰り返し、はっとした顔。
思い出したかのように駆けていったさきは、段ボールハウス。
チョコを数日前に隠していたのを知っている八雲は、どこかそわそわしていた。
「あった!」
たたた…と駆け、八雲の前で急ブレーキ。
少し走りすぎ、数歩バックしてきた。
「やきゅに、ばれんたでーちょこ!」
浮かべられた満面の笑みに、こちらまで頬が緩む。
「…どうも」
お礼を言い、受け取ったのは…
一粒のチョコレート。
「………」
そこで八雲は、思考回路を全力で回した。
数日前に隠していたチョコの数は?
…二個のはず。
「…あと一個はどうした?」
「ぎゅふ」
晴香の頬をよく見ると、ぷくりと膨らんでいる。
「………」
「や、やきゅ…ちあわせ、はんぶんこ…」
「…はぁ」
まぁ、いいか。
「…ありがとう」
一個だけでも、食べないで我慢したんだから…
「どーいたたまちて!」
口に入れたチョコは、少し溶けていた。
幸せもチョコもはんぶんこした、晴香ちゃんなのでした。
END。
チョコは常温に暖めたのが好きです。
あの口溶けが…
「ば?」
「ばれんたんでー…」
「………」
「ばれんたんてー、やきゅもきゅん!」
「…何を言っているんだ?」
「きぅー…」
何かを伝えようとしているらしく、互いの指を合わせる。
「ばれ…ばれえ…?」
右の親指と左の親指をくっつける。
「ばれたん…たんてー…」
右の人差し指と左の人差し指をぴったりとくっつけた。
「もきゅ!」
晴香の小さな指が作り出したのは…ハートだった。
「バレンタインデー…か?」
一人と一匹の住まいである、ペット禁止の部屋。
ちなみに、バレンタインまであと数日の日のこと。
「きゅっふ!」
正解らしく、大きく頷き飛びついてきた。
「ばれえたんいでー!なにっ!?」
膝によじ登り、首に腕を回してくる。
「…知らないのか?」
そのままほっといたら、ぎゅーっと抱きしめてきた。
「きゅ!」
堂々と答え、パタパタと揺れる尻尾。
抱きつかれたままの八雲はというと、その質問に頭を悩ませていた。
「あー……えっと、バレンタインデーって言うのは…」
首に回された手が緩んだかと思えば、続いては肩によじ登ろうとしてくる。
よじ登ることに成功した晴香は、干された洗濯物のように手足の力を抜いた。
…僕の肩は、物干し竿じゃない。
「…好きな人にチョコをあげる日だ」
左右に揺れる尻尾が口の中に入り、慌てて払いのける。
このフローラルな味は、石鹸がなにかか。
「やきゅ、いっちゅも…はりゅにちょこくれりゅ!」
くるっと振り返り、手足をバタ付かせる。
背中やら胸やら、叩かれて痛かった。
「……それとは少し違う」
「…きゅ?」
「バレンタインは…好きな人にチョコをあげる日なんだ」
そう説明してやると、ずるずる足の方から落ちてくる。
「やきゅ、いっちゅもくれる…」
すとんと膝に尻餅をつき、そんなことを呟いた。
小さい脳みそは、バレンタインを理解することが出来ただろうか。
八雲は心配になり、もう一度説明しようかと口を開いたとき。
「わたちのこと、ちゅきなんだ!」
キラキラと輝いた瞳が、八雲を捕らえた。
眩しすぎる眼差しに視線を逸らそうとするも、絡み取られたかのように不可能。
「やきゅもきゅん…はりゅが、ちゅき…」
自分でも落ち着こうと思っているのか、いったん静かになる。
「きゃう〜っ!!」
だが、ここまで興奮してしまっては、無理なのだろう。
一度上がった熱は、なかなか治らない。
「やきゅ、ちゅき!?」
ほんのり火照った頬は、興奮からか照れからか…
「……まぁ、な」
「きゃーふぅーっ!」
緩みきった頬を押さえ、左右にふりふり揺れる。
負けじと揺れる尻尾は、揺れすぎて回っているようだ。
「ちゅきちゅきーっ!」
「…何がだ?」
「やきゅもきゅん!」
「……そうか」
“好き”と言われるのは、こうも嬉しいものだったか。
幸せというか、嬉し恥ずかしな部分もある。
でも…嫌じゃない。
…まぁ、正確には“ちゅき”なのだが。
「…僕も、好きだぞ。…晴香」
「きゃぅーっ!」
その言葉を聞いた晴香が、タックルをするかのごとく、胸に飛び込んできた。
「うっ…」
ちょうど頭が鳩尾にハマり、背筋に鈍痛のような痛みが走る。
「ちゅきー!ちゅきちゅきー!」
「そ…そうか…」
気分を害してはいけないと、引きつりながらも笑みを浮かべた。
晴香が落ち着くまで、あと数分…
「もふー……もふっ」
やっと落ち着きだしたのか、深呼吸を繰り返している。
それでも興奮は冷めないのだろう。
いつの間にか肩に噛みつき、先ほどから離れてくれない。
「…落ち着いたか?」
「きゅ!」
そうは言うが、肩に噛みついたまま。
痛くはないが、少々くすぐったい。
仕方ないとそのままほっておき、八雲は晴香を抱えながら立ち上がる。
「…チョコでも食べて、少し落ち着け」
常温に置かれた一口サイズのチョコを数個手にとり、ベッドに腰をかけた。
チョコの包みを剥ぎ、晴香の前にちらつかせる。
「………」
目でじっと追いかけ、やっと肩から口を離した。
変わりに口の中にチョコを放り込んでやると、尻尾と耳が揺れる。
「…もう一粒、食べるか?」
チョコは一日三個まで。
それは八雲が決めたルール。
「きゅ!」
膝にちょこんと座り、八雲の手の中からチョコを二粒ほど奪う。
さっそくとばかりに包みを開けようとしていたが…
その手が突然止まった。
「………」
考えるように宙を見上げ、何を思ったか大きく頷く。
ぴょんと膝から飛び降り、晴香が向かった先は…
晴香の使われない寝床である、段ボールハウス。
タオルの他に、最近ポシェットやらが仲間入りした。
段ボールハウスに入ると、辺りをキョロキョロ見渡す晴香。
次の瞬間、ポシェットの中に、八雲から奪ったチョコを隠した。
「きゅふ」
やり遂げた顔で、浮かんでもいない額の汗を一拭い。
そして、何事もなかったかのように戻ってきた。
「…何を隠してきた?」
「きゅっ!?」
気付かれていないつもりだったらしく、随分と驚いている。
「な…なにも、ないないよ?」
胸の前で手を握り、可愛らしく小首を傾げる。
かわいいのは認めよう。
…でも、かわいいで許されるほど、世の中は甘くない。
無言で立ち上がった八雲は、段ボールハウスに駆けた。
「きぅっ!」
それに気付いた晴香に、何故か足を噛まれた…
それから時は流れて2月14日…
「やきゅ、ばれいたんでー…いちゅ?」
「…今日だな」
あれから毎日、同じ質問が繰りかえされた。
一日一回はもちろん。
朝昼晩、三度は言われ続けた…
「ばれたんで…きょう…」
オウムのように繰り返し、はっとした顔。
思い出したかのように駆けていったさきは、段ボールハウス。
チョコを数日前に隠していたのを知っている八雲は、どこかそわそわしていた。
「あった!」
たたた…と駆け、八雲の前で急ブレーキ。
少し走りすぎ、数歩バックしてきた。
「やきゅに、ばれんたでーちょこ!」
浮かべられた満面の笑みに、こちらまで頬が緩む。
「…どうも」
お礼を言い、受け取ったのは…
一粒のチョコレート。
「………」
そこで八雲は、思考回路を全力で回した。
数日前に隠していたチョコの数は?
…二個のはず。
「…あと一個はどうした?」
「ぎゅふ」
晴香の頬をよく見ると、ぷくりと膨らんでいる。
「………」
「や、やきゅ…ちあわせ、はんぶんこ…」
「…はぁ」
まぁ、いいか。
「…ありがとう」
一個だけでも、食べないで我慢したんだから…
「どーいたたまちて!」
口に入れたチョコは、少し溶けていた。
幸せもチョコもはんぶんこした、晴香ちゃんなのでした。
END。
チョコは常温に暖めたのが好きです。
あの口溶けが…
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