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その名の通り、引越しました。
こちらに絵を上げるのも、これが最後かと…

ついでにいうと、ひなたみち、祝一周年です!
忘れかけてたよ!てへっ☆
引越の影に隠れて、こっそりお祝い!

ぐはー…そう思うと寂しいですね。
日記とかもあっちに移動しちゃったし…
こっちには何を書けば良いんでしょうかねぇ…

変更点などは、あちらの日記に書いてありますのでそちらをどうぞ^^
あ、こちらに頂いたコメント等は、全て本館の日記にて御返事します。
もしこちらにコメントがあった際は、一応お知らせしますが…
何か質問がありましたら、バシバシズカズカどうぞ^^
答えられる限り、答えていきますので。


さて、今日で一周年です。
一周年記念なのに…ぐだぐだ^^



一年前のことが、つい昨日のことのように感じる。

実際、日記帳を見るまで、今日が“特別な日”というのに気が付かなかった。

もう、あれからそんなに経ったのか…


そう…今日は…





晴香は深呼吸をしてから、ドアノブに手をかけた。

「やぁ!」

いつものように開いた、映画研究同好会の扉。

八雲にはトラブルメーカーと呼ばれ続けていたが、今日はトラブルは無し。
「またトラブルか?」と聞かれたら、鼻で笑って否定してやろう。

そう思っていたのだが…
映画研究同好会…八雲の隠れ家に、人の姿は見えなかった。

「あれ……いない」

部屋の隅に転がった寝袋のを覗いてみるも、中はもぬけの殻。
ぐしゃぐしゃになったジャージが、悲しそうに転がっている。

「後藤さんの事件捜査…手伝ってるのかな?」

戸締まりもしないなんて…
本当に不用心な奴だ。

一瞬、帰ろうか迷ったが、あいつが帰ってくるまで居座らせてもらおう。
もう夕方だ…
そう大きな事件で無い限り、帰ってきても良い頃だろう。


…あいつは、覚えているだろうか。

今日が何の日か…


小さく笑いながら、冷蔵庫の扉を開けた。
肌を撫でていく冷気に震え、腕をさする。

三月に入っても、寒さはまだまだ続く。
人肌が恋しいとは、このことだ。

ふと八雲の顔が思い浮かび、振り払うように慌てて首を振った。

「なっ、なんであいつの顔が思い浮かぶのよ!」

冷蔵庫からペットボトルのお茶と、チョコレートを出し扉を閉める。
それらを机に置き、晴香はいつもの席に腰を降ろした。

「………」


一体、何度こうして、この席に腰を降ろしたのだろうか…

時々、八雲の元に来るお客さんに、席を譲ったこともあったっけ。


思い出に浸りながら、板チョコを割れ目にそって割っていく。

「ん…おいし」

割ったチョコが舌の上で溶けていくのを感じながら、机に肘を付く。


いつもは目の前で皮肉を言う奴が今日はいない。

今までにも、いなかったことは何度かあった。

けれども、今日に限っていないというのは…
寂しいものだ。


「はぁ…」

晴香は溜め息を吐き、気分転換に窓の外を見ようとした。

けれども、曇りガラスの窓からは、ぼんやりとしか見えない。
夕日に染まり、ぼんやりと赤が広がっているだけだった。


あの赤よりも、綺麗で優しい赤を…私は知っている。

誰かに教えたいけれど、それはなんだか内緒にしたくて…
自分からは言わない。


その辺り、自分はあいつにベタ惚れなんだと思い知る。

「だって…好きだもん」

しょうがないじゃない。

あいつが目の前にいたら、目を見開いて驚くだろうな。

火照った体を早く冷ましたくて、立ち上がった晴香は、窓を開けた。

そこまで春は近づいているのに、まだ風はひゅるりと冷たい。

風が前髪を弄り、隠れ家の中に入っていく。
晴香は髪を押さえながら、赤く染まった空を見上げた。

秋ではないので、空全体が赤いというわけではない。
高い位置では、まだ空の青さが残っている。

「まだかな…」

昨日会ったばかりなのに、こうも早く会いたいと思うのは…

恋する乙女だからだろうか。


そのとき、背中を撫でるように風が吹いた。

「?」

一瞬、窓からの風かと思ったが、後ろからだと気付き、小首を傾げる。

ふわりと匂った香りが甘くて、お客さんかと思ったが。


そこにいたのは…

「…なんだ、ここにいたのか」

斉藤八雲であった。


疲れているように見えたのは、ほんの一瞬。

「どこに行ってたの?」

「別に…どこだって良いだろ」

片手で髪を掻き回しながら、ゆっくりと近付いてくる。
いつもの席につくかと思いきや、その足はすぐに止まった。

「君こそ、何をしているんだ?」

窓を顎で差し、「寒い」と訴える。

「別に…何でも良いでしょ!」

べーっと舌を出し、八雲を睨む。

どうして私は、八雲を前にすると素直になれないんだろう。

「…その様子じゃ、何も覚えてない、か」

苦笑を浮かべ、ポツリと呟いたその言葉に、晴香は瞬きを繰り返す。

「晴香」

「はっ、はい!?」

普段では呼ばれ慣れない名前に、背筋が伸びた。
それを見て何を勘違いしたか、八雲も姿勢を正す。

「今日で…」

八雲の白くて薄い唇が、ゆっくりと動く。

その先を聞きたくて、けれども聞きたくなくて…
晴香の鼓動は速まった。

止めようかと思うも、黒と赤の眼差しに絡み取られたように体が動かない。

「二人が付き合いだしてから、一年目だ」


しっかりと口にした八雲は、手を差し出してきた。

その手には、赤いリボンで束ねられた、一本の赤いバラを持って…


「一周年祝いに…受け取ってくれ」

そんな声が、どこか遠くから聞こえるような気がした。

「って…なに泣いているんだ!?」

目の前の八雲が、明らかに動揺して慌てている。

八雲の真っ赤な顔を見て、笑ってやるはずだったのに…
晴香の口からは、泣き声しか出てこない。

「こ…こういうのは、嫌いだったか?」

肩に、手を乗せられるのがわかる。

優しくて、いつも私を抱きしめてくれる大きな手。

「やっ…じゃない、よ」

「か…花粉症だったのか?」

「ばかぁ!ムード壊れる、じゃなっ…」

でも、おかげで笑うことが出来た。


泣き顔なんかより、笑顔が見たい。

そう言ってくれたのは、目の前のひねくれ者。


「なら…なんで…」

「八雲君が…いけない、の」

「?」

「忘れないで…いてくれた」


今日が、付き合いだしてから一年目だ…って。


「…忘れるわけないだろ」

照れくさそうに頬を掻き、そっぽを向かれる。


覚えててくれた。

それだけで嬉しいのに。


「……ありがと!」


こんな素敵なプレゼントが貰えるだなんて。


晴香はバラを受け取ると、涙を拭う前に笑顔を見せた。
笑えていたかは分からない。

けれども、彼は笑い返してくれた。

「泣きながら…笑うなよ」

そして、涙を拭う代わりに、強く強く抱きしめられた。

彼の服からは、甘い匂いがした。





椅子に座った晴香は、ご機嫌にバラを見つめていた。
その目にあった涙は乾き、今は嬉しそうに細められている。

「一周年のお祝い…」


八雲が、私に「好きだ」と言ってくれてから一年。


今でも鮮明に思い出す記憶に、晴香は頬をゆるめた。

「…へらへら笑うな」

何故かこちらに背を向け、パイプ椅子に跨る八雲。
珍しい座り方にハテナを浮かべながらも、口を開く。

「ねぇ、留守にしてたのって…お花屋さんに行ってたから?」

「……花屋に行ってから…君の家に行ってたんだ」

「そのまま家に上がり込んで…変なことしようとしてたんでしょ」

「へっ、変なことじゃないだろ!」

声を荒げ、振り返った八雲の顔は、首まで赤かった。
…否定もしていない。図星のようだ。

「でも…男の人が花屋でバラを買うって…変な顔されなかった?」

「…された」

ぷいと窓の外に目を向けてしまう。

「本当はバラの花束…とか、考えてたんじゃない?」

「別に良いだろ!」

赤い顔が見たかったが、今度は振り返ってくれない。

「バラ一本持ち歩くのも…恥ずかしかったんだぞ」


それはそうだ。

良い年した成人男性が、バラを持つというのは…
告白しか考えられない。


「お疲れさまでした!」

八雲の隣に椅子ごと移動し、頭を撫でてやる。
嫌がるかと思ったが、予想は外れて無反応。

ちらちらと、晴香の手の中にあるバラを盗み見している。

「?」

不思議に思い、晴香もそちらに目を向ける。

何もない…と、バラをゆっくり回す。

「あ」

キラリと、何かが夕日に反射して光った。

目を凝らしてみてみると、赤いリボンの結び目に赤いリング…

いや違う。

銀色に輝くリングが結ばれていた。

「やっ、やくもくん。これって…」

「…いらないなら、捨てても…良いぞ」

「い、いらないわけないじゃない!」

「…受け取って…くれるのか?」

「…はいっ」


そうだ。

私からも一周年のお祝いをあげなくちゃ。


「っ!?」

「ありがと、八雲君!」

「…こちらこそ、ありがとう」



END。



これからもよろしくおねがいします!
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無題
一周年&お引っ越しおめでとうございます
(^o^)/

甘口なプロポーズにニヘラしながら読んでました。(旦那寝てて良かった)
引っ越し先の方もリンク貼っても良いですか?オイラ何処までもついて行きます(笑)
ストーカーの様に…
( ̄ー+ ̄)ニヤリ
シマちゃん 2009/03/07(Sat)06:31:28 編集
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