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ぐへーっ!一日休んだだけなのに、落ち着かない!
そういえば…ここに更新したこと、更新記録に書いた方が良いかな?
大丈夫かな?どうかな?
※「戸隠は〜」への御返事は、090307の日記に御返事しました。
TOMOさんへの御返事は、090308の日記に御返事しました。
さて、カタレヤ!!
冬と言えば…遭難ですよね。
そして、恋人同士の男女ならば裸で抱k…(ry
でも、普通なお話では滅多に遭難話なんて書けませんよねぇ…
いやね、書こうと思えば書けるんだけどね…書くとシリアス…というか、長編になりそう。
長編は書いてると飽きt…げふげふ。疲れてくるので、書けないんです私。
そして逃げた先はパロ^^
さて、無駄に長いよ!
こんな長いの…今までの中で一番か二番かな?
赤ずきん
そういえば…ここに更新したこと、更新記録に書いた方が良いかな?
大丈夫かな?どうかな?
※「戸隠は〜」への御返事は、090307の日記に御返事しました。
TOMOさんへの御返事は、090308の日記に御返事しました。
さて、カタレヤ!!
冬と言えば…遭難ですよね。
そして、恋人同士の男女ならば裸で抱k…(ry
でも、普通なお話では滅多に遭難話なんて書けませんよねぇ…
いやね、書こうと思えば書けるんだけどね…書くとシリアス…というか、長編になりそう。
長編は書いてると飽きt…げふげふ。疲れてくるので、書けないんです私。
そして逃げた先はパロ^^
さて、無駄に長いよ!
こんな長いの…今までの中で一番か二番かな?
赤ずきん
「…何だか、嫌な予感がするな…」
八雲はポツリと呟き、窓の外を覗く。
空には灰色の厚い雲が掛かり、太陽の日差しを遮っていた。
そのせいで、時間が分からないお昼過ぎ。
いつもはふわりふわりと舞う雪が、今日は忙しそうに横に飛んでいた。
森に住んで長年の野生の感でいくと、この雪は今夜まで続くであろう…
こんな日は、家で一日中寝ているのが最高の過ごし方。
そう思って、先ほどからベッドに潜っているのだが…
どうも落ち着かない。
虫に食われたみたいに、体がムズムズとする。
「…あいつに、何かあったんじゃないだろうな…」
口にしてみた途端に、ジワジワ広がる嫌な予感。
もしかしたら、この予感は当たってしまうのかもしれない。
八雲は苦笑を浮かべながら、壁に掛かったコートを羽織る。
迷いながらも、彼女に貰ったマフラーを身につけ、隠れ家を飛び出した。
外に出て、一番に感じたのは、風の強さと雪の冷たさ。
引き返そうとする足を無理矢理動かし、宛もなく走り出した。
少しでも寒さを抑えようとフードを被るも、風ですぐに落ちてしまう。
大切な大切なマフラーが飛ばされないように、手で抑えた。
雪は膝丈にまで積もり、足が捕らえられる。
視界も悪くなり、風も強くなる。
そんなに走っていなくても、疲労はすぐに出てきた。
もしかしたら、気のせいかもしれない。
彼女とたくさん居すぎたせいで、野生の感が鈍ったのかもしれない。
八雲は自分自身に言い聞かせ、引き返そうとした。
そのときだ。
どこまでも続く、白い雪景色の中に似合わない、赤を見つけた。
睫に付いた雪を擦り取り、目を凝らしてじっと見る。
その正体に気付いた刹那、頭で考えるより前に体が自然に動いた。
「っは…」
肩で大きく息をしながら、雪に半分以上埋もれているそれを掘り起こす。
見慣れた赤いそれは、大好きな彼女が、いつも頭に被っている頭巾…
だが、そこに持ち主の姿は見えなかった。
「くそっ…どこだ…」
舌打ちを鳴らし、吹雪に堪えるように目を細めて辺りを見渡す。
雪が一面に広がった森は、いつ雪女が出てきてもいいような雰囲気である。
そのときだ。
どこまでも広がる白い大地に、小さな山が出来ていた。
山と言うよりも、何かの上に雪が積もったという感じである。
「まさか…」
生唾を飲み込み、八雲はその山に駆け出した。
雪に足を取られながらも、一生懸命に走る。
辿り着いたときには、息が荒くなっていたが、気にせずに雪山を掘った。
すぐに手が痛くなるも、八雲は気にせずに掘り進んでいく。
その姿を見たくはなかった。
けれども、その姿を探していた。
「っ…!」
雪の中から出てきたのは、雪のように白い晴香…
「おい!しっかりしろ!」
慌てて雪に埋もれた体を引き寄せ、肩を揺らす。
雪よりも冷たい体を暖めるように、晴香を強く抱き寄せた。
「うぅ……んっ…」
微かに聞こえた唸り声が、生きているという証拠。
唸り声に気を失うみたいに、頭がくらくらとした。
「生きてる…な」
その言葉は、晴香と…自分自身に向けられていた。
吹雪の中、似合わない安堵の息を吐き、八雲は晴香を抱えた。
唸り声は聞こえたが、まだ眼を覚ましてはいない。
…早く、暖めなくては…
そう思った八雲の足は、家とは逆方向に向かっていった。
ここは……どこだろう…
暗い…寒い…
「……ぃ…」
?…誰だろう…
「…ぉい……おい、起きろ」
重い瞼を開けた先に見えたのは、ぼんやりと歪んだ赤い瞳…
「おおかみ…さん?」
何度か瞬きを繰り返し、やっと視界が安定する。
目の前にいた八雲は、晴香の声を聞いて安堵の息を吐く。
「わたし……なんでこんなとこに…」
八雲がいなくなった視界に、今にも落ちてきそうな岩の天井が見えた。
どうやら、どこかの洞窟にいるみたいだ。
声が反響し、ときどき聞こえる水音が耳に入る。
「覚えてないのか?」
火を焚いてくれているのか、天井にゆらゆらと明るい光。
パチパチという音が小刻みに聞こえ、不思議と暖かい。
「君は雪に埋もれていたんだぞ?…趣味か?」
八雲の言葉がスイッチのように、蘇る記憶。
私はいつもみたいに迷子になって…遭難した。
「あんな趣味…頼まれても、や…です」
本当は怒鳴りたかったが、声がうまく出なかった。
「…何しに森に入った?」
その声がいつもより低くて、うまく口が動かない。
「お仕事、お休みだったから…狼さんちに遊びに行こうかな…って」
出かけたときは、まだ小降りだったのに、途中から吹雪になった。
「それで迷子になって、遭難した…と」
「はい…」
怒られるのを覚悟し、掛かっていた布団を口元まであげた。
「それで…なぜ、雪に埋もれていた?」
「転んじゃって…足、挫いちゃって…」
段々と意識が遠退いていって…
そして、気付いたら雪の中。
怒声が洞窟の中に響くかと思ったが、聞こえたのは溜め息ひとつ。
恐る恐る眼を開けて見ると、押し倒したかのような体勢の八雲がいた。
なぜか、上半身は裸で…
「なっ…何で裸なんですか!?」
怒声は八雲ではなく、晴香から聞こえた。
うるさいというように、手で頭上の三角耳をぺたんと畳む。
その姿が意外にもかわいかったが、構っている暇はない。
「ま…まさか、寝ている私にイタズラをっ…」
体のだるさも忘れ、起き上がって身構える。
そんな体から、何かがずり落ちた。
「…?」
よく見てみれば、ずり落ちたのは狼さんの緑色のコート。
そして、身につけていたのは狼さんのワイシャツだった。
「わっ、私の服は…」
キョロキョロ見渡すと、火の近くに干された頭巾と洋服。
器用に気の枝で物干し竿を作っている。
「濡れてたからな…風邪、引かないように…脱がせた」
未だに耳を塞いだままの八雲が、性には合わず、頬を染めていた。
「ぬ、脱がせたって…」
シャツの中を覗いた晴香は、慌ててコートを胸元まで上げる。
「…狼さんこそ、風邪ひいちゃうじゃないですか」
脱がされたことに対しての恨みと…
風邪を引かないようにと、気を使ってくれたことへの感謝がごっちゃになった。
「君が風邪を引いて心配する奴はいるが…僕が風邪を引いても、誰も心配しない」
だから大丈夫だ…と続いた言葉が、どこか遠くから聞こえるみたい。
ただ「誰も心配しない」という言葉が、深く胸に刺さった。
刺さって傷付いた場所から、じわじわと何かが沁みでる。
「って…何を泣いてるんだ!?」
焦った八雲の顔が、ぼんやり滲む。
そっと肩に触れた手が、泣きたいぐらい冷たかった。
「…心配っ……するもん…」
堪えるように唇を噛んだが、涙はポロポロ落ちる。
それからは、何を言ったか自分でもよく覚えていなかった。
頭に浮かんだ言葉を口にしていたから、何度も同じことを言っていたと思う。
「…すまなかった」
一度文句を言ったら止まらず、八雲の言葉でやっとブレーキがかかった。
「心配…するもんっ」
ひんやり冷たい胸板に引き寄せ、ぎゅっと抱きしめられた。
「わかったわかった…」
八雲の足の間に閉じこめられ、頭を撫でる手。
体は冷たくても…心は暖かかった。
「洋服、返すから……あっち向いてて?」
呼吸が落ち着きだした頃、八雲の胸板を押し返す。
着替えたいためでもあるが、恥ずかしいのが一番。
「いや、返さなくて良い」
「でも…寒いでしょ?」
洞窟ではあるが、冬は冬。
空気も冷たければ、地面も冷たい。
そんな中、上半身裸でいるのは…見てるだけでも寒い。
「風邪、引いちゃうよ?」
「風邪を引いたら、君が看病してくれ」
真顔で言われるものだから、思考回路が全停止してしまう。
「してくれるのか?してくれないのか?」
「して…あげるに決まってるでしょ!」
頼ってくれることが嬉しくて…ぎゅーっと抱きついた。
「ねぇ…この洞窟って、狼さんの家?」
「この森は僕の庭みたいなものだ……家じゃない」
外の様子を窺ってきた八雲が、こちらに向かいながら言う。
この様子だと、吹雪はまだ止まないみたいだ。
「そういえば、足…大丈夫か?」
隣に腰を下ろし、尻尾に付いた雪の塊を取っている。
近い距離にドキドキはしたが、尻尾のお手入れはかわいい。
「少し痛いけど…大丈夫だよ」
「…見せて見ろ」
そう言うと、晴香の返事を聞かずに前に回って足首を見る。
驚き、慌ててワイシャツの裾をぐいっと下ろす。
その行為に気付いた八雲が、怪しく笑ったのを見逃さなかった。
「よく見えないな…こうすれば見やすいか?」
突然、両足首を掴まれ、持ち上げられる。
「きゃっ!?」
バランスを崩し、ころんと岩が転がるように後ろに倒れた。
ちょうど後ろにコートがあったため、痛みは少ないが。
「ちょ…お、狼さん!!」
「ん?」
「足…そんなにあげちゃ……見えちゃ…」
「そういう関係なんだ…おかしくない」
「でも!ここ…洞窟…」
「あぁ、声が響くかもな」
「…やっ」
「そういえば…」
「っ!?」
「遭難したとき、裸で抱き合うって…よく言うよな?」
私たちは遭難してるわけじゃないとか言う暇なく、狼は襲いかかってきた…
END。
食われました^^
八雲はポツリと呟き、窓の外を覗く。
空には灰色の厚い雲が掛かり、太陽の日差しを遮っていた。
そのせいで、時間が分からないお昼過ぎ。
いつもはふわりふわりと舞う雪が、今日は忙しそうに横に飛んでいた。
森に住んで長年の野生の感でいくと、この雪は今夜まで続くであろう…
こんな日は、家で一日中寝ているのが最高の過ごし方。
そう思って、先ほどからベッドに潜っているのだが…
どうも落ち着かない。
虫に食われたみたいに、体がムズムズとする。
「…あいつに、何かあったんじゃないだろうな…」
口にしてみた途端に、ジワジワ広がる嫌な予感。
もしかしたら、この予感は当たってしまうのかもしれない。
八雲は苦笑を浮かべながら、壁に掛かったコートを羽織る。
迷いながらも、彼女に貰ったマフラーを身につけ、隠れ家を飛び出した。
外に出て、一番に感じたのは、風の強さと雪の冷たさ。
引き返そうとする足を無理矢理動かし、宛もなく走り出した。
少しでも寒さを抑えようとフードを被るも、風ですぐに落ちてしまう。
大切な大切なマフラーが飛ばされないように、手で抑えた。
雪は膝丈にまで積もり、足が捕らえられる。
視界も悪くなり、風も強くなる。
そんなに走っていなくても、疲労はすぐに出てきた。
もしかしたら、気のせいかもしれない。
彼女とたくさん居すぎたせいで、野生の感が鈍ったのかもしれない。
八雲は自分自身に言い聞かせ、引き返そうとした。
そのときだ。
どこまでも続く、白い雪景色の中に似合わない、赤を見つけた。
睫に付いた雪を擦り取り、目を凝らしてじっと見る。
その正体に気付いた刹那、頭で考えるより前に体が自然に動いた。
「っは…」
肩で大きく息をしながら、雪に半分以上埋もれているそれを掘り起こす。
見慣れた赤いそれは、大好きな彼女が、いつも頭に被っている頭巾…
だが、そこに持ち主の姿は見えなかった。
「くそっ…どこだ…」
舌打ちを鳴らし、吹雪に堪えるように目を細めて辺りを見渡す。
雪が一面に広がった森は、いつ雪女が出てきてもいいような雰囲気である。
そのときだ。
どこまでも広がる白い大地に、小さな山が出来ていた。
山と言うよりも、何かの上に雪が積もったという感じである。
「まさか…」
生唾を飲み込み、八雲はその山に駆け出した。
雪に足を取られながらも、一生懸命に走る。
辿り着いたときには、息が荒くなっていたが、気にせずに雪山を掘った。
すぐに手が痛くなるも、八雲は気にせずに掘り進んでいく。
その姿を見たくはなかった。
けれども、その姿を探していた。
「っ…!」
雪の中から出てきたのは、雪のように白い晴香…
「おい!しっかりしろ!」
慌てて雪に埋もれた体を引き寄せ、肩を揺らす。
雪よりも冷たい体を暖めるように、晴香を強く抱き寄せた。
「うぅ……んっ…」
微かに聞こえた唸り声が、生きているという証拠。
唸り声に気を失うみたいに、頭がくらくらとした。
「生きてる…な」
その言葉は、晴香と…自分自身に向けられていた。
吹雪の中、似合わない安堵の息を吐き、八雲は晴香を抱えた。
唸り声は聞こえたが、まだ眼を覚ましてはいない。
…早く、暖めなくては…
そう思った八雲の足は、家とは逆方向に向かっていった。
ここは……どこだろう…
暗い…寒い…
「……ぃ…」
?…誰だろう…
「…ぉい……おい、起きろ」
重い瞼を開けた先に見えたのは、ぼんやりと歪んだ赤い瞳…
「おおかみ…さん?」
何度か瞬きを繰り返し、やっと視界が安定する。
目の前にいた八雲は、晴香の声を聞いて安堵の息を吐く。
「わたし……なんでこんなとこに…」
八雲がいなくなった視界に、今にも落ちてきそうな岩の天井が見えた。
どうやら、どこかの洞窟にいるみたいだ。
声が反響し、ときどき聞こえる水音が耳に入る。
「覚えてないのか?」
火を焚いてくれているのか、天井にゆらゆらと明るい光。
パチパチという音が小刻みに聞こえ、不思議と暖かい。
「君は雪に埋もれていたんだぞ?…趣味か?」
八雲の言葉がスイッチのように、蘇る記憶。
私はいつもみたいに迷子になって…遭難した。
「あんな趣味…頼まれても、や…です」
本当は怒鳴りたかったが、声がうまく出なかった。
「…何しに森に入った?」
その声がいつもより低くて、うまく口が動かない。
「お仕事、お休みだったから…狼さんちに遊びに行こうかな…って」
出かけたときは、まだ小降りだったのに、途中から吹雪になった。
「それで迷子になって、遭難した…と」
「はい…」
怒られるのを覚悟し、掛かっていた布団を口元まであげた。
「それで…なぜ、雪に埋もれていた?」
「転んじゃって…足、挫いちゃって…」
段々と意識が遠退いていって…
そして、気付いたら雪の中。
怒声が洞窟の中に響くかと思ったが、聞こえたのは溜め息ひとつ。
恐る恐る眼を開けて見ると、押し倒したかのような体勢の八雲がいた。
なぜか、上半身は裸で…
「なっ…何で裸なんですか!?」
怒声は八雲ではなく、晴香から聞こえた。
うるさいというように、手で頭上の三角耳をぺたんと畳む。
その姿が意外にもかわいかったが、構っている暇はない。
「ま…まさか、寝ている私にイタズラをっ…」
体のだるさも忘れ、起き上がって身構える。
そんな体から、何かがずり落ちた。
「…?」
よく見てみれば、ずり落ちたのは狼さんの緑色のコート。
そして、身につけていたのは狼さんのワイシャツだった。
「わっ、私の服は…」
キョロキョロ見渡すと、火の近くに干された頭巾と洋服。
器用に気の枝で物干し竿を作っている。
「濡れてたからな…風邪、引かないように…脱がせた」
未だに耳を塞いだままの八雲が、性には合わず、頬を染めていた。
「ぬ、脱がせたって…」
シャツの中を覗いた晴香は、慌ててコートを胸元まで上げる。
「…狼さんこそ、風邪ひいちゃうじゃないですか」
脱がされたことに対しての恨みと…
風邪を引かないようにと、気を使ってくれたことへの感謝がごっちゃになった。
「君が風邪を引いて心配する奴はいるが…僕が風邪を引いても、誰も心配しない」
だから大丈夫だ…と続いた言葉が、どこか遠くから聞こえるみたい。
ただ「誰も心配しない」という言葉が、深く胸に刺さった。
刺さって傷付いた場所から、じわじわと何かが沁みでる。
「って…何を泣いてるんだ!?」
焦った八雲の顔が、ぼんやり滲む。
そっと肩に触れた手が、泣きたいぐらい冷たかった。
「…心配っ……するもん…」
堪えるように唇を噛んだが、涙はポロポロ落ちる。
それからは、何を言ったか自分でもよく覚えていなかった。
頭に浮かんだ言葉を口にしていたから、何度も同じことを言っていたと思う。
「…すまなかった」
一度文句を言ったら止まらず、八雲の言葉でやっとブレーキがかかった。
「心配…するもんっ」
ひんやり冷たい胸板に引き寄せ、ぎゅっと抱きしめられた。
「わかったわかった…」
八雲の足の間に閉じこめられ、頭を撫でる手。
体は冷たくても…心は暖かかった。
「洋服、返すから……あっち向いてて?」
呼吸が落ち着きだした頃、八雲の胸板を押し返す。
着替えたいためでもあるが、恥ずかしいのが一番。
「いや、返さなくて良い」
「でも…寒いでしょ?」
洞窟ではあるが、冬は冬。
空気も冷たければ、地面も冷たい。
そんな中、上半身裸でいるのは…見てるだけでも寒い。
「風邪、引いちゃうよ?」
「風邪を引いたら、君が看病してくれ」
真顔で言われるものだから、思考回路が全停止してしまう。
「してくれるのか?してくれないのか?」
「して…あげるに決まってるでしょ!」
頼ってくれることが嬉しくて…ぎゅーっと抱きついた。
「ねぇ…この洞窟って、狼さんの家?」
「この森は僕の庭みたいなものだ……家じゃない」
外の様子を窺ってきた八雲が、こちらに向かいながら言う。
この様子だと、吹雪はまだ止まないみたいだ。
「そういえば、足…大丈夫か?」
隣に腰を下ろし、尻尾に付いた雪の塊を取っている。
近い距離にドキドキはしたが、尻尾のお手入れはかわいい。
「少し痛いけど…大丈夫だよ」
「…見せて見ろ」
そう言うと、晴香の返事を聞かずに前に回って足首を見る。
驚き、慌ててワイシャツの裾をぐいっと下ろす。
その行為に気付いた八雲が、怪しく笑ったのを見逃さなかった。
「よく見えないな…こうすれば見やすいか?」
突然、両足首を掴まれ、持ち上げられる。
「きゃっ!?」
バランスを崩し、ころんと岩が転がるように後ろに倒れた。
ちょうど後ろにコートがあったため、痛みは少ないが。
「ちょ…お、狼さん!!」
「ん?」
「足…そんなにあげちゃ……見えちゃ…」
「そういう関係なんだ…おかしくない」
「でも!ここ…洞窟…」
「あぁ、声が響くかもな」
「…やっ」
「そういえば…」
「っ!?」
「遭難したとき、裸で抱き合うって…よく言うよな?」
私たちは遭難してるわけじゃないとか言う暇なく、狼は襲いかかってきた…
END。
食われました^^
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