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韓国では、四月十四日はブラックデーらしいでございますよ。
日本じゃオレンジデーだけどね!

ブラックデーについて調べていましたら、韓国の記念日が面白いや面白い。
もう次のバレンタインデーに乗っかった祝いごともネタにしてしまおう。
面白いじゃないか!イエローデー!!

…と、まあネタバレしていますね。
今日のお話は、そんなブラックデーについてでございます。
うーむ、ネタバレ無しだとここに書くこと無いしなぁ…

それよりも、バレンタインから二ヶ月。
ホワイトデーから一ヶ月も経ったのですねぇ…
つい最近のように感じます。


さて、というわけでブラックデーなお話です。
黒八雲にしてもよかったのですが…ね^^

恋人設定

「ブラックデー…というのを、君は知っているか?」


春に入り、過ごしやすい日が続いているここ数日。

そろそろ長袖とはおさらばしようか、なんて考えていたお昼過ぎ。

映画研究同好会コト隠れ家にて、のんびりと過ごしていた時のことだ。


「ブラック…?」

ペンを持つ手を止め、顔を上げる。

するとそこには、いつもと同じ体勢で本を読む八雲の姿。

「ブラックデーだ」

ぽん…と本を畳み、こちらを見つめてきた。


…そんなに見るな。恥ずかしい。


「ブラックデー?」

聞きなれない言葉に、小首を傾げて訪ねる。

「…知らないのか」

馬鹿にしたみたいに鼻で笑い、呆れたように溜め息を吐かれた。

「悪かったわね!」

足でも蹴ってやろうとしたが、ひょいと交わされた。

「…で、ブラックデーってなんなのよ」

空振りしたのが恥ずかしく、話を進める。

「ブラックデーっていうのはな…」


バレンタインデー、ホワイトデーに付加されて出来た、韓国の記念日。


「って、韓国の記念日じゃない!」

「僕は知ってたぞ」


日本生まれ日本育ちの私が知るわけない!

と怒鳴ったが、八雲は聞く耳を持たなかった…





バレンタインデー、ホワイトデーに恋人が出来なかった者が…

四月十四日に、黒いものを身につけたり、飲食する日。


その後に八雲から説明された言葉を思い浮かべる四月十三日。

明日着ていく服を選んでいた時のこと。


「………」

なんとなく黒い服を省いているのは…
気のせいと信じよう。うん。

それに、私には斉藤八雲という立派な恋人がいるのだ。
会う度に皮肉を言われ、まともに恋人扱いされたことがないけれど…


「…何着ていこうかな」

そう言って手にしたのは、黒色のシックで大人っぽいジャンパー。
そんな格好では彼氏に失礼…と、美樹が選んでくれたものだ。

ちなみに、一度も着ていない。

「ブラック…デー…」

八雲が教えてくれた…恋人がいない人たちの祭りごと。

「………」

無言で黒のジャンパーを置き、次に手にしたのは白色のワンピース。

だが、これでは…

「明らかに意識してる…って感じよね…」

黒いものを身に着けたくないから、白いものを身につける…
なんて平凡な対処法なのだろう。

溜め息を吐き、洋服ダンスを漁りだす。

そこで見つけたのは、オレンジ色のカーディガン。
ここ最近、よく着ているものだ。

「あ…結構良いかも…」

白色のワンピースの上に合わせ、遠くから眺めてみる。

「…完璧っ!」


あとは…明日の天気次第にしよう。

暖かかったらスニーカー、寒かったらコートにブーツ。

よし、と気持ちを入れ替え、ベッドに倒れ混んだ。

恋人に会うというだけなのに、こんなにも胸が高鳴る自分自信に照れながら…





あんなにもブラックデーについて悩んでいたのに…
一日寝たら、まったくと言って良いほど気にならなくなっていた。

考えてみれば、八雲とは恋人同士なのだ。

ブラックデーなど、恋人同士の二人には、関係の無い祭りごと…

けれども、今日の服装は白のワンピースと、やっぱりオレンジのカーディガン…


自然と苦笑を浮かべていることに気付き、頬を叩いて引き締める。
そして、目の前にある映画研究同好会の扉を開けた…

「やぁ!」

いつも通りと心に言い聞かせ、いつも通りの挨拶を口にする。

すると、いつも通りの席に座った八雲が「あぁ」だか何か返してくれた。
無言でのスルーや、皮肉やらよりは数百倍マシだ。

「君も暇人だな」

そのいつも通りさに、どこか恨みすら感じる。
こっちはコイツの発言に、どれだけ悩まされたか…

「年柄年中、読書に更けてる根暗には言われたくありませーんっ!」

椅子に腰を下ろし、いままでの恨みも込めて、一言言ってやった。
すると八雲は苦笑を浮かべ、読んでいた本に栞を挟んで閉じる。

何か反撃してくるのではないかと構えたが…
結果は、ビーカーに入ったコーヒーを一口飲むだけ。

「なーんだ…」

一気に肩の力が抜け、椅子にもたれかかる。
そんな晴香を見て、八雲がビーカーを置いた。

「君も飲むか?ブラックコーヒー」

「飲むならお砂糖を…」

そこまで言って、晴香は顔を上げた。


ブラック…コーヒー?


フラッシュバックしてくるのは、昨日の会話…


“恋人がいない者が…黒いものを飲食する日”


「え…?」


ということは、八雲は“恋人がいない”と宣言しているということになる。


「…おい」


でも、私は…


「八雲くん…の…」


恋人じゃない…?



「おい」

いつの間にか隣に来てくれた八雲。
けれども、その姿はぐにゃぐにゃに歪んで見えた。

「やっ、やくもく……こい、っと…」

生温かいものが、頬を伝って拳に落ちる。
それが何なのか理解するよりも前に、抱きしめられた…

痛いぐらいに抱きしめられたかと思えば、頭上で深い深い溜め息。

「…まさか、ここまで馬鹿とはな…」

「ば、か……やくっ」

「君は本当に馬鹿だ」

なでなでと優しく頭を撫でられる。

「ブラックデーは、韓国の記念日だろ?」

「だから…なによっ」

「日本人の僕らには、関係がない…ってことだ」

「…?」

意味が分からず、八雲を見上げる。
目があった途端に、気まずそうに反らされた。

「少し…からかうだけのつもりだったんだが…」

「それって…」

シャツををぎゅっと握ったら、それが合図だったようにひょいと身体が浮いた。
突然のことに驚きを隠せずにいる晴香に比べ、八雲は我が物顔。

パイプ椅子に座ると、晴香を膝の上に横に座らせた。

「僕には、君という恋人がいるだろ?」


負けた…

何にかはわからないが、普段は見せないその微笑みに墜とされた。


「ばか…」

「馬鹿は君だろ?」


反論を口にするよりも前に、塞がれた唇から…

ブラックコーヒーの味がした。





「オレンジデー…というのを、君は知っているか?」

「オレンジ…?」

「恋人が、オレンジのものを相手にあげる日だ。ちなみに、日本の記念日だ」

「へぇ……って、何してるのよ!」

「君が着てきたそのカーディガン…」

「!?」

「そういう意味だったんだろ?」

「ちっ、ちが…」

「オレンジデー…充分に楽しませてもらおうじゃないか」


僕らは、日本生まれの日本育ちなんだし…



END。



韓国の14日記念日は凄いですよ…
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無題
確かそれ世界まる見えでやっていましたよね(笑)

はた目から見るとものすごく重いですよね・・・・
幸せな空気の隣にブラックの集団が・・・・・
嫌ですね^^:
光と影 2009/04/16(Thu)22:47:36 編集
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