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大雨でしたよ!私の住む街は!!
午前中なんか、雷も鳴ってましたもん!
でも、午後になったら晴れて来て…夕方頃には虹も見れたそうです^^
私ですか?見れませんでしたよ!!
テレビのニュース見ていて気がついた…
そんな訳で!雨の日のお話でございます。
雨宿りー
サラリーマン八雲
午前中なんか、雷も鳴ってましたもん!
でも、午後になったら晴れて来て…夕方頃には虹も見れたそうです^^
私ですか?見れませんでしたよ!!
テレビのニュース見ていて気がついた…
そんな訳で!雨の日のお話でございます。
雨宿りー
サラリーマン八雲
ザーザーと降り続く雨。
雨が神様の涙ならば、何か悲しいことがあって、大泣きしているのだろう。
嬉し泣きだったら、こんなにも空気が冷たいわけがない。
「はぁ……」
溜め息を吐いた晴香は、雨に濡れる時計塔を見上げた。
六時五十九分。
駅前に立っているだけはあり、メルヘンチックな時計塔。
普段ならば誰もが見上げるであろうが、傘を差していては気付きもしない。
二度目の溜め息をかき消すように、時計塔が七時の鐘を鳴らした…
朝は、見事なまでに晴れていた。
天気予報でも、雨の確率は少ないと言っていた。
だから、八雲は傘を持たずに出勤したのだが…
「…やっぱり、無理にでも折り畳み傘渡しておけば良かった…」
雨が降ってきた。
そして、晴香が傘を持って迎えにきているのだ。
すれ違いにならないよう、早くからここで待っている。
だが、八雲はなかなか来ない。
先に帰ってしまったのではないかと、家に電話をしてみた。
コール音が消えて聞こえた声は、留守電を知らせる声。
「まだお仕事終わってないのかな…」
もしかしたら、雨宿りがてら残業をしているのかもしれない。
携帯を確認して見るも、受信メールはゼロ。
着信すらない。
こちらから電話をするという手もあるが、満員電車に乗ってると考えると…
迷惑を掛けたくない。
「待つことしか出来ないのかな…」
しょぼんと肩を落とし、傘をくるくると回す。
こんなにも遅くなるとは思わず、薄着で来たことを呪った。
「…寒い」
腕をさすりながら、改札へ目を向ける。
溢れかえる人混みの中、八雲を一生懸命に探す。
とりあえずメールを入れておいたが、気付いていない可能性の方が大きい。
八雲君にばかり頼らないで、私がしっかりしなくちゃいけないのだ。
「あ!」
人混みの中で見つけた、見覚えのあるくしゃくしゃの髪。
気付いてもらおうと、晴香は大きく手を振った。
向こうも気が付いたみたいで、カバンを傘代わりにしながら駆けてくる。
「…ただいま」
「おかえりなさいっ!」
八雲の傘を差そうとしたが、その前に差している傘が取られた。
「一本で充分だ」
そういうと、手を握られて引き寄せる。
だが、手を繋いだ刹那、八雲が不快そうに眉を寄せた。
「…いつから待ってたんだ?」
「え…」
突然の問い掛けに、正直言葉が出なかった。
上から睨まれるように見下ろされ、気まずさから目を逸らそうとした。
だが、それを防ぐように顎に掛かる指。
「…六時前から…です」
「一時間も前か…」
顎にかかった指が外され、その代わりに髪を掻き回す音。
それから、衣擦れの音。
「……すまなかった」
怒られるだろうな…
そう思った晴香の予想は、見事に外れた。
そして、ふわりと肩からスーツを掛けられた。
思っても見なかった返事に、八雲を凝視する。
すぐそばにいた八雲は、気まずそうにまだ髪を掻き回していた。
「…夕飯、作ってあるか?」
何を言って良いかわからず見つめていたとき、八雲からの質問。
「あ……か、帰ったらすぐに作るね!」
こんなに遅くなるとは思わず、夕飯を作ってこなかった。
確か、挽き肉があったはずだから、それを使ってハンバーグにしよう。
「なら、食べに行くぞ」
え…と、声を上げるよりも先に手を強く引かれた。
「たっ、食べに行くって…」
「今から作るのは大変だろ」
「そうだけど…どうして?」
「雨宿りだ」
メガネが掛かった横顔が、どこか楽しそうに笑っていた気がした。
「僕も君も…こんな格好だから、ファミレスだが…我慢しろよ」
「う…うん」
楽しそうなのを邪魔したくなくて、晴香は流れに任せて頷いた。
ファミレスに入って通されたのは、一番奥の窓際の禁煙席。
雨宿り…という目的の人が多いのか、店内はそれなりに混んでいた。
向かい合って座る二人。
早速八雲が、立てかけてあったメニューを手に取る。
釣られるように、晴香もメニューを手に取った。
写真に写った料理を目で追っていく。
八雲のことが気になり、ちらりとメニュー越しに窺った。
メガネにスーツの八雲。
最初は違和感があったが、今ではしっかりと形になっている。
なにより…かっこいい。
「何か顔に付いてるか?」
「な、なんでもない!」
そこでメガネを掛けっぱなしなのに気が付き、外してしまう。
心のどこかで、落ち込む自分がいた。
「…決まったか?」
「う、うん!」
晴香の返事を聞き、八雲は店員を呼び、注文をした。
注文した内容を確認すると、店員は一礼をして離れていった…
「ハンバーグ…ね」
ポツリと呟き、くすりと笑われる。
「べ、別に良いでしょ!」
「そうだな。君はいつまでも子供らしくて良い」
「…褒められてる気がしない」
「どう取るかは、君次第だ」
そう言うと、氷が入った水を一口飲んだ。
晴香も釣られて水を飲む。
雨が降っているというのに、水の冷たさは変わらない。
「…そういえば、なんでファミレスに来たの?」
訪ねてみると、八雲が目に見えるように表情を歪めた。
じ…っと見つめたら、今度は目を逸らされる。
「…だから、雨宿りに…」
「嘘は、めっ!…だよ?」
ついっ…と、その高い鼻をツツいてやる。
しばらく黙り込んでいたが、晴香が退かないのを見て溜め息を吐いた。
「…今から飯作って、食べて、片付けて風呂入って…大変だろ?」
「それって…」
私のため…
「言っておくが、君のためじゃないからな。僕が食べたかっただけだからだ」
頬を掻き、ぼそぼそと呟く。
その頬が赤いのを見て、晴香は気付かれないように笑った。
「こうやってファミレスで食べるの…久しぶりだね!」
「……最後に食べたのは、結婚前…か?」
「結婚してから…ずっと私の手料理ばっかだったもんね」
「…君の手料理が良いんだ」
「はいはい。なら、今から家で付くって上げましょうか?」
「っ…それじゃ意味が」
「私のためじゃないんじゃなかった?」
「っ……」
「あ、でも来ちゃったから今日のところはここで食べてこっか」
「………」
食べ終わる頃には、雨宿りも終わりますように…
でも、少しでもこうしていられますように。
そんな矛盾したお願いを、神様は叶えてくれるだろうか…
END。
雨宿りファミレス。
雨が神様の涙ならば、何か悲しいことがあって、大泣きしているのだろう。
嬉し泣きだったら、こんなにも空気が冷たいわけがない。
「はぁ……」
溜め息を吐いた晴香は、雨に濡れる時計塔を見上げた。
六時五十九分。
駅前に立っているだけはあり、メルヘンチックな時計塔。
普段ならば誰もが見上げるであろうが、傘を差していては気付きもしない。
二度目の溜め息をかき消すように、時計塔が七時の鐘を鳴らした…
朝は、見事なまでに晴れていた。
天気予報でも、雨の確率は少ないと言っていた。
だから、八雲は傘を持たずに出勤したのだが…
「…やっぱり、無理にでも折り畳み傘渡しておけば良かった…」
雨が降ってきた。
そして、晴香が傘を持って迎えにきているのだ。
すれ違いにならないよう、早くからここで待っている。
だが、八雲はなかなか来ない。
先に帰ってしまったのではないかと、家に電話をしてみた。
コール音が消えて聞こえた声は、留守電を知らせる声。
「まだお仕事終わってないのかな…」
もしかしたら、雨宿りがてら残業をしているのかもしれない。
携帯を確認して見るも、受信メールはゼロ。
着信すらない。
こちらから電話をするという手もあるが、満員電車に乗ってると考えると…
迷惑を掛けたくない。
「待つことしか出来ないのかな…」
しょぼんと肩を落とし、傘をくるくると回す。
こんなにも遅くなるとは思わず、薄着で来たことを呪った。
「…寒い」
腕をさすりながら、改札へ目を向ける。
溢れかえる人混みの中、八雲を一生懸命に探す。
とりあえずメールを入れておいたが、気付いていない可能性の方が大きい。
八雲君にばかり頼らないで、私がしっかりしなくちゃいけないのだ。
「あ!」
人混みの中で見つけた、見覚えのあるくしゃくしゃの髪。
気付いてもらおうと、晴香は大きく手を振った。
向こうも気が付いたみたいで、カバンを傘代わりにしながら駆けてくる。
「…ただいま」
「おかえりなさいっ!」
八雲の傘を差そうとしたが、その前に差している傘が取られた。
「一本で充分だ」
そういうと、手を握られて引き寄せる。
だが、手を繋いだ刹那、八雲が不快そうに眉を寄せた。
「…いつから待ってたんだ?」
「え…」
突然の問い掛けに、正直言葉が出なかった。
上から睨まれるように見下ろされ、気まずさから目を逸らそうとした。
だが、それを防ぐように顎に掛かる指。
「…六時前から…です」
「一時間も前か…」
顎にかかった指が外され、その代わりに髪を掻き回す音。
それから、衣擦れの音。
「……すまなかった」
怒られるだろうな…
そう思った晴香の予想は、見事に外れた。
そして、ふわりと肩からスーツを掛けられた。
思っても見なかった返事に、八雲を凝視する。
すぐそばにいた八雲は、気まずそうにまだ髪を掻き回していた。
「…夕飯、作ってあるか?」
何を言って良いかわからず見つめていたとき、八雲からの質問。
「あ……か、帰ったらすぐに作るね!」
こんなに遅くなるとは思わず、夕飯を作ってこなかった。
確か、挽き肉があったはずだから、それを使ってハンバーグにしよう。
「なら、食べに行くぞ」
え…と、声を上げるよりも先に手を強く引かれた。
「たっ、食べに行くって…」
「今から作るのは大変だろ」
「そうだけど…どうして?」
「雨宿りだ」
メガネが掛かった横顔が、どこか楽しそうに笑っていた気がした。
「僕も君も…こんな格好だから、ファミレスだが…我慢しろよ」
「う…うん」
楽しそうなのを邪魔したくなくて、晴香は流れに任せて頷いた。
ファミレスに入って通されたのは、一番奥の窓際の禁煙席。
雨宿り…という目的の人が多いのか、店内はそれなりに混んでいた。
向かい合って座る二人。
早速八雲が、立てかけてあったメニューを手に取る。
釣られるように、晴香もメニューを手に取った。
写真に写った料理を目で追っていく。
八雲のことが気になり、ちらりとメニュー越しに窺った。
メガネにスーツの八雲。
最初は違和感があったが、今ではしっかりと形になっている。
なにより…かっこいい。
「何か顔に付いてるか?」
「な、なんでもない!」
そこでメガネを掛けっぱなしなのに気が付き、外してしまう。
心のどこかで、落ち込む自分がいた。
「…決まったか?」
「う、うん!」
晴香の返事を聞き、八雲は店員を呼び、注文をした。
注文した内容を確認すると、店員は一礼をして離れていった…
「ハンバーグ…ね」
ポツリと呟き、くすりと笑われる。
「べ、別に良いでしょ!」
「そうだな。君はいつまでも子供らしくて良い」
「…褒められてる気がしない」
「どう取るかは、君次第だ」
そう言うと、氷が入った水を一口飲んだ。
晴香も釣られて水を飲む。
雨が降っているというのに、水の冷たさは変わらない。
「…そういえば、なんでファミレスに来たの?」
訪ねてみると、八雲が目に見えるように表情を歪めた。
じ…っと見つめたら、今度は目を逸らされる。
「…だから、雨宿りに…」
「嘘は、めっ!…だよ?」
ついっ…と、その高い鼻をツツいてやる。
しばらく黙り込んでいたが、晴香が退かないのを見て溜め息を吐いた。
「…今から飯作って、食べて、片付けて風呂入って…大変だろ?」
「それって…」
私のため…
「言っておくが、君のためじゃないからな。僕が食べたかっただけだからだ」
頬を掻き、ぼそぼそと呟く。
その頬が赤いのを見て、晴香は気付かれないように笑った。
「こうやってファミレスで食べるの…久しぶりだね!」
「……最後に食べたのは、結婚前…か?」
「結婚してから…ずっと私の手料理ばっかだったもんね」
「…君の手料理が良いんだ」
「はいはい。なら、今から家で付くって上げましょうか?」
「っ…それじゃ意味が」
「私のためじゃないんじゃなかった?」
「っ……」
「あ、でも来ちゃったから今日のところはここで食べてこっか」
「………」
食べ終わる頃には、雨宿りも終わりますように…
でも、少しでもこうしていられますように。
そんな矛盾したお願いを、神様は叶えてくれるだろうか…
END。
雨宿りファミレス。
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