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でも、きっと暗いものが書けない私のことなので無理だ。
きっとギャグ終わりになる^^

そのうち、探偵を職業にした八雲の話を書いてみたいです。
斉藤八雲探偵事務所みたいな!
なんとなく話はまとまっているのですが…細かい設定が…ね。
探偵事務所の中ってどうなってるんだろうか…

さて、今回は晴香ちゃんがストーカーの被害にあっている!?みたいなお話でございやす。
よく素敵サイト様でもストーカー被害話(?)見るので…書いてみたくなっちゃったんですv
でも、やっぱり真面目な話が書けない…orz


そんなわけで!そんなお話なのです。
特に暗い訳でもないので、安心してお楽しみ下さいね^^

恋人未満

「…あー、もう七時回っちゃった…」


腕に巻かれた時計を確認し、晴香は足早に自宅に向かっていた。


特にこれと言って用事はないのだが…

晴香は駆け足であった。


理由を上げるとすれば…


この辺りで最近多発しているという、痴漢であろう。

先日、後藤に会ったとき、注意されたのを覚えている。


だから、なるべく早く帰りたかったのだが…


オーケストラサークルのコンサートが近く、この時間まで練習をしていたのだ。

そのため、忙しい日々が続き、八雲に会えなかったりする。


「って、なんで八雲君が出てくるのよ」

足を止め、何故か火照った頬に手を当てた。


…そのときだ。


ガサッ…


「!」

微かな物音に気付き、慌てて後ろを振り返る。


だが…そこには誰もいない。

辺りを見渡してみるも、見えるのは暗闇を照らす街頭のみ。


遠くから、犬の遠吠えが聞こえた…






「八雲君っ!」


翌日。

最後の講義を終えた晴香は、サークルの練習をサボり…
あの化け猫探偵八雲がいる、映画研究同好会に一直線に向かった。


「君は礼儀というものを知らないのか?」

いつものように耳に指を突っ込み、うるさいコール。
だが、今日は八雲の皮肉に付き合っている場合ではない。

「大変なの、八雲君!」

呆れ顔で溜め息を吐き、読み途中であったであろう本に目を落とす。

「それは君だろ。コンサートが近いんじゃないのか?」


八雲には、練習が忙しくなる前に伝えておいた。

興味が無いような顔をしていたから忘れていたかと思っていたが…
まさか覚えていてくれたとは…

ちょっぴり嬉しかったりする。


「君のことだ。人一倍練習しないと足手まといになるだろうしな」

だが、その一言で全てを台無しにする。

「それも大変なんだけど…もっと大変なことが…」

「君の頭が?」

「違います!」

一気に喋り過ぎたせいか、息苦しくなってむせた。

「…取り敢えず、落ち着いたらどうだ?」

静かに本を閉じ、椅子に座るように促される。
お言葉に甘えて、八雲の目の前に座った。

呼吸が落ち着くまで、胸に手を当て深呼吸を繰り返す。

「…これでも飲んで、少しは落ち着け」

そう言って出されたのは、最後に来たときに置いていったスポーツドリンク。
ご親切にビーカーに注いである。
「私のじゃない」と訴えるより先に、スポーツドリンクを頂く。

冷蔵庫から出したてのスポーツドリンクは、身体に染み渡るようだった。

「久しぶりに来たかと思えば…君はどこまで騒がしいんだ」

「うぅ…」

落ち着いて思い返してみれば、確かに騒がしかったかもしれない。

講義が終わって、逃げるわけでもないのに走ってここに来て…

反論出来ず縮こまっていると、ボトルから直接スポーツドリンクを飲む八雲。
熱いのか、その首に微かに汗が浮かんでいるのが確認出来た。

「…で、何が大変なんだ?」

雪のように白い首に見とれていたため、突然声を掛けられ身体が跳ねた。

膝の上に置いた拳をぎゅっと握りしめる。
今になって、手のひらに汗を掻いていることに気が付いた。

「あの…ね」

内緒話をするように、身体を前に倒して八雲に近付く。
話を察してくれたのか、ペットボトルを置いて近付いてきた。

「………」

いくらなんでも、この距離は近すぎると思い、少し後ろに下がる。

「実は…」


…もしかしたら、勘違いかもしれない。

そうも思ったが、一回や二回のことじゃなく、数日に渡ってだ。


深呼吸ひとつしてから、小声で八雲の耳に囁いた。



「ストーカー?」

その言葉を聞いた八雲は、理解出来ないと言わんばかりに眉を寄せる。
まさか声に出されるとは思っておらず、慌てて八雲の口を塞いだ。

「しっ!今ももしかしたら、近くにいるかもしれないでしょ!」

「…詳しく話してみろ」

めんどくさそうに髪を掻き回してはいるが、聞く気はあるらしい。
椅子に深く座り、偉そうに腕を組む。

「…最近ね、帰りに誰かに付けられてる気がするの…」



そして、晴香はここ数日の出来事を、なるべく詳しく説明した。


帰り道、付けられている気がすること。

誰かの視線を感じること。

振り返ってみても、誰もいないこと…


聞いているのか聞いていないのか、その間八雲は一言も口を開かなかった。

「後藤さんが…最近、痴漢が多いって言ってたし…」

「へぇ、君の後を付けるなんて、者好きもいるんだな」

「っ…真面目に聞いてよ!」

開口一番の言葉に、晴香は思わず声を張る。
だが、気にした様子のない八雲は大きな欠伸をひとつした。

「僕はいつだって真面目さ」

真面目だと言う奴が、目の前で欠伸をするな!

「…もう良い。帰る」

言い逃げのようで納得いかないが、これ以上ここにいてもイライラするだけ。
どうせ次は「君の勘違いだ」って言うに違いない。

晴香は立ち上がると、八雲に背を向けてドアに向かった。

悔しさからか、目がぼんやりとぼやける。
それを堪えるように、唇を噛みしめた。


「…帰り」


ぼそりと聞こえたそんな声。


「?」

空耳なんじゃないかと思いつつも、振り返ってしまう。

「帰り……心配なら、一緒に帰ってやっても…良い、ぞ」

言葉を選ぶようにボソボソと吐かれた言葉。
一瞬、信じられなくて、目を見開いて凝視する。

「…別に、嫌なら良いんだが…」

椅子に座った八雲が、照れくさそうに髪を掻き回した。


あぁ…やっぱり。


「ううん!一緒に帰ろっ」


なんだかんだ言っても、八雲君は助けてくれるんだ。


「…ちゃんと来いよ」


やっぱり、八雲君は優しい人だ。


「サークル練習終わったら、すぐに行くもん!」





数時間後…

サークルの練習を終えた晴香は、八雲の元に行こうとした。
だが、まさかのまさかで教室の外で待っていてくれていた。
「彼氏?」と訪ねてくる友人からどうにか逃げ、二人は帰路についた…



「な、なんかごめんね…」

大学を出て数十分、晴香はやっと口を開いた。
八雲に掛かった“彼氏疑惑”のせいで、二人とも口が開けないでいたのだ。

「言いたいなら言わせておけ。…どうせ事実じゃないんだ」


“事実じゃない”…

その言葉が、胸に突き刺ささる。


「うん……そうだね」

八雲に気付かれないように溜め息を吐いた。

「で、何か気配を感じるか?」

「今のところは大丈夫」

「そうか…」

霊…なんて考えもあったが、八雲の眠たそうな目からすればそれは無い。



それから、互いに何か感じたら教える…
となったが、結局なにも感じることは出来ずに家に着いてしまった。

「君の勘違いのせいで無駄な時間を過ごした」
とか、永遠に皮肉を言われるかと思いきや…
「着いたな」の四文字だけ。


「あの…なんかごめんね?」

何故だか分からないが、謝らずには居られず、頭を下げる。

「やっぱり…勘違い、だったみたい。ごめ…」

んね…と続くであろう言葉は、八雲の手によって塞がれた。
何か言いたそうにパクパクと口を動かすも、その口から言葉は出てこない。

「その…」

やっと出てきたかと思えば、気まずそうに頬を掻く。

「なに?」

「…実は……」

真正面から見つめられ、胸が高鳴るのがわかった。
だが、深い深い溜め息とともに俯かれてしまう。

「……心配なら、しばらく一緒に帰ってやっても構わない…」

「え、本当っ!?」

「あぁ…」

「あ!どうせなら、家でご飯食べてく?」

「…今日はもう遅い。帰るよ」

「そっか……今日は、本当にありがとっ!」

「別に…」

晴香は、マンションの中に入っても、見える限り八雲に手を降り続けた。
八雲も、不器用ながらも手を振り返してくれた。





「ストーカー…ね」

晴香を見送り終えた八雲は、ポツリと呟いた。

「…今さら、ストーカーの正体が僕でした。…なんて言えないよな…」


後藤さんから、この辺りで痴漢が増えている…

と聞いた日から、こっそり彼女の後を付けていた。
彼女が、痴漢の被害に遭わないように。

あの鈍感な奴だ。
どうせ気付かないと思ったのだが…

「僕としたことが…甘く見過ぎてたな」



彼女は…

ストーカーの正体が僕だと知ったら、どんな顔をするだろう。



「ま、明日からはストーカーじゃなくてボディーガードになるわけだが」



END。



一度書きたかったストーカー話。
実は八雲でしたオチ^^
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無題
殺那さんの書く八雲カワユ!!私好みなんです~!
(黒八雲も好きですが・・・)
これからも書いてください!
めめ 2010/07/01(Thu)00:08:16 編集
はじめまして
いきなり初コメント失礼します!まさかのストーカーの犯人な展開にびっくりしました笑 ごちそうさまでした^^*
乃恵 2010/09/26(Sun)19:05:27 編集
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