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なんてこと、よくありましたよー…

そんな感じのお話です。
最初はもっと別な感じなお話だったのになぁ…
どこで間違えたんだか。

まぁ、そんなことよくあります。
というよりも、最初に考えた話道理に書けたことなんかないんですけどね!!
ほとんど、途中で脱線して、書き終えたときに気付くことが多々なんですけどね!!
だから、長編・事件物が書けないんですorz


さて、そんな訳で鍵忘れて待ちましょう〜なお話です。
待ちましょう…ね!

高校生日記

「あ、鍵忘れた」


確認のため、もう一度スクールバックの中を漁る。

だが、外側のポケットにも、内側のポケットにも鍵は見つからなかった…





自宅の玄関前。

学校から帰ってきた八雲は、鍵を忘れた自らに苛立ち、髪を掻き回す。


ドアベルを鳴らしても、中から返事は返ってこない。
…当たり前だ。

叔父と奈緒は、町内会に参加しているだとかで帰りが遅い。
こんなときに限って、第二の居候である美雪も留守…

「ったく…」

やっぱり、朝ちゃんと確認をするべきだった…

…今さら後悔しても仕方ない。

どうにか家に上がろうと、家の周りを一周してみる。
だが、用心深い叔父だ。
家には、ネズミ一匹入る隙間さえ無かった…

「はぁ…」

玄関の戸に、寄りかかるようにして腰を下ろす。
コンクリートの床が、冷たく迎えてくれた。

「叔父さん…何時に帰るって言ってたっけ…」

頑張って思いだそうとするも、肝心な時間が思い出せない。
真面目に聞いていれば良かった…

美雪も、すぐには帰ってこないだろう。


残るは…

「あいつ、か…」

脳裏に浮かぶのは、脳天気な笑みを浮かべる居候第一号。
確か、今日は部活は休みの日だったはず。
大人しくここで待っていたら、きっと来るだろう。

あいつに頼るのは気が引けるが…今は仕方ない。

……もしかしてだが、あいつも鍵、忘れてたりして…


「いや、ないない…」

「何が無いの?」

噂をすればなんとやら。

顔を上げた先には、夏用のセーラー服を着た晴香がいた。
…少し早すぎる気がするが黙っておこう。

そんな僕は、まだ学ランを着ていたりする。


「君の脳味噌と胸と色気が無いんだよ」

「なっ、失礼な!色気以外はあるわよ!…多分」

二人の視線が、一気に晴香の胸元に向かう。
八雲の視線に気付いた晴香が、慌てて胸を隠した。

「…で、そんなところで何してるの?ひなたぼっこ?」

「どこがひなたぼっこに見えるのか、詳しく説明して欲しいものだ」

立ち上がり、ズボンに付いた埃を払う。
玄関前にまで掃除が行き渡っていたお陰で、あまり汚れずに済んだ。

「まぁ、それは良しとして…何してたの?」

「………」

鍵を忘れたことを明かさず、彼女が鍵を開けてくれることを祈ったが…
人生、そううまく行くわけがない。

悔しさから唇を噛み、視線を落とす。

「……鍵…忘れた」

「…え?」

「っ…だから、鍵を忘れて、家に入れないんだ!」

苛立ちやら照れやら、つい怒鳴ってしまった。
怒鳴られた晴香はというと、目をパチクリ。

その間がとても気まずくて、早く理解してくれるように願う。
…どこかで、理解するなと言い張る自分もいたりした。

「ぶはっ」

そんな音と共に、腹を抱えて笑い出す晴香。
もし、ここが室内ならば、きっと床の上をのた打ち回っていただろう。

「あの完璧主義な八雲君がっ…鍵忘れたって…」

「誰がいつ、完璧主義になった…」

せっかく答えてやったというのに、晴香から返事は返ってこない。
聞こえるのは、堪えながらも笑う声。

「ふふふっ…晴香様が八雲君のために鍵を貸してあげましょーっ!」

ニコニコ笑いながらそう言うと、スクールバックの中を漁る晴香。
することのない八雲は、口をへの字に歪めて大人しく待つことにした。

「あ…あれ?」

明らかに変わった声音。

その違いに気が付き、八雲は晴香を見下ろした。
しゃがみ込み、鞄をひっくり返すようにして晴香は鍵を探していた。

嫌な予感と共に、今までのお返しをしたいというイタズラ心が湧いた。

「鍵は見つかったのか?は・る・か・さ・ま?」

「うっ」

見るからに晴香の身体が跳ねた。
そして、ゆっくりと目をそらす。

「…忘れました」

そうしばらくしない間に、成された告白。

コンクリートの地面に座った晴香が、ますます縮まった気がした。

「本当、何も役に立たないな」

「八雲君には言われたくないですーっ」とか、そんな返事を期待したが…

「ごめんなさい…」

返ってきたのは、暗いままの声での謝罪。

俯いたまま、そのままぺたんと尻餅。
真後ろに戸があり、背中をぶつける痛々しい音がした。
だが、晴香は泣くことも喚くこともなく、ただ丸まっていた…

「…急に静かになるなよ…」

気まずさ100%の八雲。
ガリガリと髪を掻き回し、迷った末に晴香の隣に腰を下ろした。
玄関の戸に背中をぶつけたが、泣かず喚かず黙ることにしよう。

「…おい」

顔を上げさせようと、肩に手を乗せる。
その肩が小刻みに震えていることに気付き、内心焦った。

「泣くような…ことか?」


「泣いてないもんっ」

そう言って上げられた顔は…

「………」

明らかに、泣き顔だった。


「どこが泣いてないんだ」

ポケットから丸まったハンカチを出し、その顔の涙を拭ってやる。
いやいやと暴れる晴香を押さえ、ハンカチを顔に押しつけた。


「泣いてっ、ないんだからっ」

涙が拭いにくいから、晴香を目の前に連れてきた。

「どの顔がそれを言える」

それでも逃げようとするものだから、背中に足を回して閉じこめた。

「泣いてなんか…ないっ」

身体が余りにも冷たかったから、学ランを脱いで羽織らせてやった。


「泣いてる」


両頬を両手で挟んで、真正面から見つめた。


眉間に寄った、似合わないシワ。
ズピーなんて、漫画みたいな鼻水をすする音。
ボロボロ落ちる、大粒の涙。

…ぐしゃぐしゃの泣き顔。

「こんなくだらないことで…短時間で、よく泣けるな」

「泣いて、なんかっないもん」

「嘘を付くな。あほ」

「あほじゃないもん!」

喚き散らしながら、もがき暴れる。
そのすべてを受け止め、八雲は溜め息を吐いた。

「殴りたいなら、好きなだけ殴れ」

ピタリと止まる手。

「その代わり、泣くのはやめろ」

「泣いてなんか…」

「君に泣かれると…その、どうしれば良いのか…わからなくなるんだ…」





それから、晴香が泣き止んだかどうかは…

二人だけの秘密。



けれど、帰ってきた一心が見たのは、互いに支え合うようにして…

眠る二人だった。



END。



本当は留守→遊びに行く→制服デートになる予定だったのにorz
次回こそ制服デート書くぞ!
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無題
鍵を忘れる八雲に笑いましたよ(笑)
泣く晴香に狼狽えてカワイイヨ!!

制服デート!!
次に書くんですか!良いですね~この二人ならほのぼのデートには、ならない気がします
シマちゃん 2009/06/04(Thu)18:43:45 編集
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