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拾ってきたてのような、飼い主を信用していないような…
そんな八雲が書きたかったんす。
イメージはバンプさんの「K」な感じで。
…といっても、最初の辺りだけなんですけどね^^
ツンツンしてるけれど、感謝をしているような…
あ!死ネタじゃないんで安心して下さいね!
私自身、暗い話が苦手なので…
多分、これからも書くことはないと思う。
梅雨…梅雨話をもっと書きたいです。
毎日更新止めちゃったから、書きたいお話が書ききれない…
恋人未満
そんな八雲が書きたかったんす。
イメージはバンプさんの「K」な感じで。
…といっても、最初の辺りだけなんですけどね^^
ツンツンしてるけれど、感謝をしているような…
あ!死ネタじゃないんで安心して下さいね!
私自身、暗い話が苦手なので…
多分、これからも書くことはないと思う。
梅雨…梅雨話をもっと書きたいです。
毎日更新止めちゃったから、書きたいお話が書ききれない…
恋人未満
イライラする…
いつものように後藤が持ち込んできた事件。
なんだかんだ言いながら、結局引き受けて…
数日に渡って捜査をしたというのに…
あと一歩のとこで、犯人は自殺をし、事件は迷宮入りしてしまった。
「くそっ…」
道に転がっていた缶を蹴飛ばし、気を紛らわそうと空を見上げた。
空は、まるで心を映し出すかのように、灰色の空をしていた…
それからしばらくして…
灰色の空からは、ポツリポツと水滴が落ちてきた。
すぐに止むだろうと、気にせずに歩いていたが…
雨は、激しさを増すばかり。
けれど、今さら雨宿りをする気も無くて…
八雲は雨の中、傘も差さずに歩き続けた。
この冷たさが、今はちょうど良い…
“冷たい”なんて感覚を忘れるほど、雨に打たれていた。
錘を付けられたみたいに重い足を、ゆっくりと動かす。
傘を差した人々が、僕を避けて歩いていく。
見て見ぬフリ…こんなところでも、僕に対する対応は変わらない。
もう……どうでも良い…
路地裏に入り、コンクリートの壁に寄りかかって濡れた地面に座った。
屋根は無く、雨が容赦なく身体から熱を奪っていく。
身体は冷えきって震えるはずなのに、何故か震えは起きない。
どうやって、身体を動かすんだっけ…
そんなことを考えながら、八雲はゆっくりと目を閉じた。
「八雲君」
聞き慣れた声に名前を呼ばれ、つい顔を上げそうになる。
だが、寸のところで堪えた。
いま顔を上げてしまったら、何かに負けてしまいそうだったから…
「八雲君!」
今度は強く呼ばれる。
頭皮に雨粒が感じられなくなる。
これは、触覚の感覚まで麻痺してきたのか…
それとも、彼女が傘に入れてくれたからか…
「どうしたの?大丈夫?」
衣擦れの音と共に、近付いてくる温もり。
頬を、柔らかい布が触れた。
「…やめろ」
「こんなに濡れて…寒かったでしょ」
「やめろっ…」
「そうだ、家においで?」
「やめろって言ってるだろ!」
頬に触れていた手を振り払う。
離れた途端に、孤独を感じた。
「独りに…してくれ…」
絞り出したかのような声。
これ以上喋っては泣きそうな気がして、堪えるように下唇を噛んだ。
「後藤さんから、聞いたよ」
「………」
返す言葉も無ければ、続く言葉すら無い。
僕ら互いに、出てくる言葉を待っていたのかもしれない。
しばらくして、晴香が息を吐く音が聞こえた。
それが溜め息なのか、はたまた呼吸なのか、僕にはわからない。
「八雲君」
何度呼ばれたであろう名前。
僕は、それに返事を返さない。
「やっぱり私の家、おいで」
しつこい…
そんな言葉が頭をよぎった時、ぐいと引っ張られた。
驚いて顔を上げると、口をへの字に歪めて腕を引く晴香が目に入る。
両腕で引っ張っているため、雨を防ぐ傘は、無惨にも地面に転がっていた。
「お、おい…何をしてっ」
一生懸命に引っ張っているものの。
成人男性を成人女性が起きあがらせようなんて無理な話で。
「聞いてるのか!」
自棄になって立ち上がる。
だが、そのせいでバランスを崩す晴香。
「わっ」
慌てて離れていく手を引っ張り、自らの方へと引き寄せる。
「あ、ありがと」
今日、まともに見た彼女の顔は…
びしょ濡れに似合わない笑顔を浮かべていた。
「何をヘラヘラ笑っている…」
「やっと八雲君、見てくれたから」
そう言いながら、地面に転がった傘を拾い上げる。
そして、僕に雨が当たらないようにと、背伸びをして傘を差す。
少し離れた二人の距離。
そのため、晴香の上は未だに雨が降り続いていた。
「濡れるだろ…」
傘の柄を押し、晴香の上に傘を移動させようとする。
「私のこと濡らしたくないなら、私の家に来て」
「…行く意味が分からない」
「分からなくて良いの」
「………」
僕が、彼女の言うことを聞いたのは…
彼女の家に行くからじゃなくて、彼女を濡らさないためだ。
自分自信にそう言い聞かせた八雲は、晴香が手にする低い傘の下を、
屈みながら歩いた。
「痛っ」
途中、傘の骨に髪をひっかけたとき、感覚が戻っているのに気が付いた。
「さっ。早速、お風呂に入って!」
家まで送り届け、帰ろうとしたとき。
突然首根っこを掴まれ、家の中に連れ込まれた。
「…帰る」
「そんなこと後藤さんにも言って、あんなとこで倒れてたのはどこの誰?」
「倒れてたわけじゃ…」
「言い訳は良いから、お風呂に入りなさい!湯船も溜めてあるんだから」
洗面所に連れられ、二人きりになったところで鍵を閉められる。
…洗面所の鍵って、こんなときに使うんだったか…
「嫌だ。僕は帰るんだ」
「そんなこと言うなら、私が脱がしちゃうわよ」
「出来るものならやってみろ」
「やってやるわよ」
その言葉が晴香に火をつけたのか分からない。
だが、ニヤリと笑って壁に押しつけてきたのは事実だ。
「まったく…服もまともに脱げないなんて…何歳よ」
ボタンを一つ一つ外し終えた晴香が、ズボンに手を伸ばしてきた。
「ちょ、どこまで脱がせる気だ!」
「どこまでって…全部に決まってるでしょ。お風呂入るんだから」
ジーンズのボタンが外され、ファスナーに手が触れた。
「わ、わかった!風呂に入るから、ここから先はっ…」
「最初からそう言えば良いのよ」
下がりそうになるジーンズを上げる。
「あ、服はそのカゴに入れて置いてね」
「…わかったから、早く出てけ」
「はいはい」
晴香が出ていくのを見届けたと同時に、八雲はずるずると尻餅を付いた。
「なんであいつは…」
ガリガリと濡れた髪を掻き回し、八雲は脱ぎかけだったシャツをカゴに入れた。
風呂から上がった八雲は、目を疑った。
カゴに入れて置いたはずの服は綺麗さっぱり無くなり…
代わりに、見知らぬチェックの服が綺麗に畳まれていた。
ついでに言うと、先ほどまで眠っていた洗濯機が、現役活動中…
「おい…」
洗面所から顔だけ出し、晴香を呼ぶ。
「なにー?」
台所に居たのか、桃色のエプロンで手を拭きながらやってきた。
「服…」
「あ、ビショビショだったから洗っちゃった」
「…服が乾くまで、僕に裸で居ろというのか?」
「カゴに代わりの洋服置いておいたから…それ着て良いよ」
「…あのチェックのか?」
「うん。じゃ、火付けっぱなしで着ちゃったから」
そう言うと、晴香は台所に帰っていく。
残された八雲は、脱衣場の戸を閉め、彼女が準備してくれた服を広げた。
「服って…」
パジャマじゃないか…
下着まで準備されていたのは、少々複雑だったが…
他に着る物がないため、しぶしぶ履いた。
「良かった〜、サイズぴったり!」
脱衣場を出て、一番にパチパチと拍手をされるが、余りいい気分ではない。
「…いいのか?勝手に着ちゃって…」
一番気掛かりだったことを口にする。
…どこからどう見ても、男物のパジャマ。
彼女は一人暮らしだから…
…認めたくないが、きっとこれはコイツの彼氏か誰かの…
「うーん…って言っても。これ、お父さんのために買ったのだし…」
「お父さん?」
思ってもみなかったワードに、八雲は眉を寄せた。
「お父さんがこっちに着た時に買ったんだけど…サイズ間違えちゃって」
「………」
脳裏に浮かぶのは、小柄な彼女の父親。
自分で言うのも何だが…
どちらかと言うと背が高い僕にぴったりのパジャマを買うなんて…
「…本当、君はおっちょこちょいだな」
「そっ、そんなことより!髪の毛ビショビショじゃない!」
ぐいと顔を近付けられ、湯上がりの頬が別の意味で赤くなる。
「別に、僕はビショビショで構わない…」
「八雲君は良くても、私は良くないの!」
そう怒鳴り、晴香はどこかに消えていく。
帰りの支度をしようとしたが、持ち物なんて何にもない。
荷物はすべて、後藤さんちに置きっぱなしだ。
「そろそろ帰…」
「はい、そこに座って」
聞こえなかったのか、わざとなのか。
床の上に座るよう促される。
「おい、聞いてるのか?」
「聞いてませーん。それより早く座りなさいよ」
「座る意味が…」
「これ以上、床を濡らすつもり?」
言われてから気が付いた。
僕の足下には水が滴り落ち、床を濡らしていく。
そういえば、彼女の家のタオルだと思うとまともに使えず…
身体しか拭いていなかった。
「まったく…」
床の上を拭い、無理矢理その床の上に座らせられる。
そして、床を拭いたタオルで、わしゃわしゃと髪を拭かれた。
「あ、どうせならドライヤーも掛けよっか!」
ドライヤーを取りに、洗面所に消えていく。
戻ってきたら戻ってきたで、早速と言わんばかりに…
ドライヤーのスイッチが入った。
もの凄い音と共にもの凄い風。
…今の僕には、それだけで吹き飛ばされそうだ。
けれど…
「!」
「ほら、フラフラしない!」
髪を解かしてくれる手が、そう簡単には飛ばさせない…
と言っているようだった。
「……ありがとう…」
「何か言った?」
「もう君は幻聴が聞こえるようになったのか?」
「なっ、何にも聞こえませーん!」
ドライヤーの音に紛れて、素直じゃない僕は素直にお礼を言った。
END。
ドライヤーに紛れてお礼〜が書きたかっただけなのに…長っ!
落ち込んだ八雲を出すには、やっぱ事件が絡むのかな…って。
もしくはおやつのプリンを食べられた後とか。
いつものように後藤が持ち込んできた事件。
なんだかんだ言いながら、結局引き受けて…
数日に渡って捜査をしたというのに…
あと一歩のとこで、犯人は自殺をし、事件は迷宮入りしてしまった。
「くそっ…」
道に転がっていた缶を蹴飛ばし、気を紛らわそうと空を見上げた。
空は、まるで心を映し出すかのように、灰色の空をしていた…
それからしばらくして…
灰色の空からは、ポツリポツと水滴が落ちてきた。
すぐに止むだろうと、気にせずに歩いていたが…
雨は、激しさを増すばかり。
けれど、今さら雨宿りをする気も無くて…
八雲は雨の中、傘も差さずに歩き続けた。
この冷たさが、今はちょうど良い…
“冷たい”なんて感覚を忘れるほど、雨に打たれていた。
錘を付けられたみたいに重い足を、ゆっくりと動かす。
傘を差した人々が、僕を避けて歩いていく。
見て見ぬフリ…こんなところでも、僕に対する対応は変わらない。
もう……どうでも良い…
路地裏に入り、コンクリートの壁に寄りかかって濡れた地面に座った。
屋根は無く、雨が容赦なく身体から熱を奪っていく。
身体は冷えきって震えるはずなのに、何故か震えは起きない。
どうやって、身体を動かすんだっけ…
そんなことを考えながら、八雲はゆっくりと目を閉じた。
「八雲君」
聞き慣れた声に名前を呼ばれ、つい顔を上げそうになる。
だが、寸のところで堪えた。
いま顔を上げてしまったら、何かに負けてしまいそうだったから…
「八雲君!」
今度は強く呼ばれる。
頭皮に雨粒が感じられなくなる。
これは、触覚の感覚まで麻痺してきたのか…
それとも、彼女が傘に入れてくれたからか…
「どうしたの?大丈夫?」
衣擦れの音と共に、近付いてくる温もり。
頬を、柔らかい布が触れた。
「…やめろ」
「こんなに濡れて…寒かったでしょ」
「やめろっ…」
「そうだ、家においで?」
「やめろって言ってるだろ!」
頬に触れていた手を振り払う。
離れた途端に、孤独を感じた。
「独りに…してくれ…」
絞り出したかのような声。
これ以上喋っては泣きそうな気がして、堪えるように下唇を噛んだ。
「後藤さんから、聞いたよ」
「………」
返す言葉も無ければ、続く言葉すら無い。
僕ら互いに、出てくる言葉を待っていたのかもしれない。
しばらくして、晴香が息を吐く音が聞こえた。
それが溜め息なのか、はたまた呼吸なのか、僕にはわからない。
「八雲君」
何度呼ばれたであろう名前。
僕は、それに返事を返さない。
「やっぱり私の家、おいで」
しつこい…
そんな言葉が頭をよぎった時、ぐいと引っ張られた。
驚いて顔を上げると、口をへの字に歪めて腕を引く晴香が目に入る。
両腕で引っ張っているため、雨を防ぐ傘は、無惨にも地面に転がっていた。
「お、おい…何をしてっ」
一生懸命に引っ張っているものの。
成人男性を成人女性が起きあがらせようなんて無理な話で。
「聞いてるのか!」
自棄になって立ち上がる。
だが、そのせいでバランスを崩す晴香。
「わっ」
慌てて離れていく手を引っ張り、自らの方へと引き寄せる。
「あ、ありがと」
今日、まともに見た彼女の顔は…
びしょ濡れに似合わない笑顔を浮かべていた。
「何をヘラヘラ笑っている…」
「やっと八雲君、見てくれたから」
そう言いながら、地面に転がった傘を拾い上げる。
そして、僕に雨が当たらないようにと、背伸びをして傘を差す。
少し離れた二人の距離。
そのため、晴香の上は未だに雨が降り続いていた。
「濡れるだろ…」
傘の柄を押し、晴香の上に傘を移動させようとする。
「私のこと濡らしたくないなら、私の家に来て」
「…行く意味が分からない」
「分からなくて良いの」
「………」
僕が、彼女の言うことを聞いたのは…
彼女の家に行くからじゃなくて、彼女を濡らさないためだ。
自分自信にそう言い聞かせた八雲は、晴香が手にする低い傘の下を、
屈みながら歩いた。
「痛っ」
途中、傘の骨に髪をひっかけたとき、感覚が戻っているのに気が付いた。
「さっ。早速、お風呂に入って!」
家まで送り届け、帰ろうとしたとき。
突然首根っこを掴まれ、家の中に連れ込まれた。
「…帰る」
「そんなこと後藤さんにも言って、あんなとこで倒れてたのはどこの誰?」
「倒れてたわけじゃ…」
「言い訳は良いから、お風呂に入りなさい!湯船も溜めてあるんだから」
洗面所に連れられ、二人きりになったところで鍵を閉められる。
…洗面所の鍵って、こんなときに使うんだったか…
「嫌だ。僕は帰るんだ」
「そんなこと言うなら、私が脱がしちゃうわよ」
「出来るものならやってみろ」
「やってやるわよ」
その言葉が晴香に火をつけたのか分からない。
だが、ニヤリと笑って壁に押しつけてきたのは事実だ。
「まったく…服もまともに脱げないなんて…何歳よ」
ボタンを一つ一つ外し終えた晴香が、ズボンに手を伸ばしてきた。
「ちょ、どこまで脱がせる気だ!」
「どこまでって…全部に決まってるでしょ。お風呂入るんだから」
ジーンズのボタンが外され、ファスナーに手が触れた。
「わ、わかった!風呂に入るから、ここから先はっ…」
「最初からそう言えば良いのよ」
下がりそうになるジーンズを上げる。
「あ、服はそのカゴに入れて置いてね」
「…わかったから、早く出てけ」
「はいはい」
晴香が出ていくのを見届けたと同時に、八雲はずるずると尻餅を付いた。
「なんであいつは…」
ガリガリと濡れた髪を掻き回し、八雲は脱ぎかけだったシャツをカゴに入れた。
風呂から上がった八雲は、目を疑った。
カゴに入れて置いたはずの服は綺麗さっぱり無くなり…
代わりに、見知らぬチェックの服が綺麗に畳まれていた。
ついでに言うと、先ほどまで眠っていた洗濯機が、現役活動中…
「おい…」
洗面所から顔だけ出し、晴香を呼ぶ。
「なにー?」
台所に居たのか、桃色のエプロンで手を拭きながらやってきた。
「服…」
「あ、ビショビショだったから洗っちゃった」
「…服が乾くまで、僕に裸で居ろというのか?」
「カゴに代わりの洋服置いておいたから…それ着て良いよ」
「…あのチェックのか?」
「うん。じゃ、火付けっぱなしで着ちゃったから」
そう言うと、晴香は台所に帰っていく。
残された八雲は、脱衣場の戸を閉め、彼女が準備してくれた服を広げた。
「服って…」
パジャマじゃないか…
下着まで準備されていたのは、少々複雑だったが…
他に着る物がないため、しぶしぶ履いた。
「良かった〜、サイズぴったり!」
脱衣場を出て、一番にパチパチと拍手をされるが、余りいい気分ではない。
「…いいのか?勝手に着ちゃって…」
一番気掛かりだったことを口にする。
…どこからどう見ても、男物のパジャマ。
彼女は一人暮らしだから…
…認めたくないが、きっとこれはコイツの彼氏か誰かの…
「うーん…って言っても。これ、お父さんのために買ったのだし…」
「お父さん?」
思ってもみなかったワードに、八雲は眉を寄せた。
「お父さんがこっちに着た時に買ったんだけど…サイズ間違えちゃって」
「………」
脳裏に浮かぶのは、小柄な彼女の父親。
自分で言うのも何だが…
どちらかと言うと背が高い僕にぴったりのパジャマを買うなんて…
「…本当、君はおっちょこちょいだな」
「そっ、そんなことより!髪の毛ビショビショじゃない!」
ぐいと顔を近付けられ、湯上がりの頬が別の意味で赤くなる。
「別に、僕はビショビショで構わない…」
「八雲君は良くても、私は良くないの!」
そう怒鳴り、晴香はどこかに消えていく。
帰りの支度をしようとしたが、持ち物なんて何にもない。
荷物はすべて、後藤さんちに置きっぱなしだ。
「そろそろ帰…」
「はい、そこに座って」
聞こえなかったのか、わざとなのか。
床の上に座るよう促される。
「おい、聞いてるのか?」
「聞いてませーん。それより早く座りなさいよ」
「座る意味が…」
「これ以上、床を濡らすつもり?」
言われてから気が付いた。
僕の足下には水が滴り落ち、床を濡らしていく。
そういえば、彼女の家のタオルだと思うとまともに使えず…
身体しか拭いていなかった。
「まったく…」
床の上を拭い、無理矢理その床の上に座らせられる。
そして、床を拭いたタオルで、わしゃわしゃと髪を拭かれた。
「あ、どうせならドライヤーも掛けよっか!」
ドライヤーを取りに、洗面所に消えていく。
戻ってきたら戻ってきたで、早速と言わんばかりに…
ドライヤーのスイッチが入った。
もの凄い音と共にもの凄い風。
…今の僕には、それだけで吹き飛ばされそうだ。
けれど…
「!」
「ほら、フラフラしない!」
髪を解かしてくれる手が、そう簡単には飛ばさせない…
と言っているようだった。
「……ありがとう…」
「何か言った?」
「もう君は幻聴が聞こえるようになったのか?」
「なっ、何にも聞こえませーん!」
ドライヤーの音に紛れて、素直じゃない僕は素直にお礼を言った。
END。
ドライヤーに紛れてお礼〜が書きたかっただけなのに…長っ!
落ち込んだ八雲を出すには、やっぱ事件が絡むのかな…って。
もしくはおやつのプリンを食べられた後とか。
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