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おおっふ…随分前に上げたかと思いきや、上げてなかったよばかん。
ボートでデートって良いですよね〜
というより、公園デートが良いんだと思うんだ!!のどかな中さ!
ちゅーとかしようとしたら、子供がきて「ちゅーしてるー」と辛かって去って行く…
二人は真っ赤になって俯いちゃうー…みたいな?
そんなわけで、ボートデートなお話!
多分続きそう。
恋人設定
ボートでデートって良いですよね〜
というより、公園デートが良いんだと思うんだ!!のどかな中さ!
ちゅーとかしようとしたら、子供がきて「ちゅーしてるー」と辛かって去って行く…
二人は真っ赤になって俯いちゃうー…みたいな?
そんなわけで、ボートデートなお話!
多分続きそう。
恋人設定
午後の静かな部屋。
映画研究同好会に来ていた晴香は、いつものようにのんびりと過ごしていた。
なんてったって、恋人である八雲君と一緒なんだから。
普通のカップルのように、始終イチャイチャしている訳じゃない。
そりゃ、少しはイチャイチャしてみたいとも思う。
けれど、相手は八雲。
そんなことを言った時には…
鼻で笑われて、皮肉を言われてはいおしまい。
それに…一緒にいるだけで幸せだから充分。
これ以上のこと、望まなくても良いくらい…
レポートも早くに提出してしまったため、特にすることがない。
そんな晴香は、女性誌を読んでいた。
“オススメデートスポット!”なんて文字を見たら、買わずにはいれず…
大学の購買部で買ってきた。
取りあえず、最低限のお付き合いはしている訳で。
デートだってするし、手だって繋ぐ。
キスも…したりする。
けれど、夜の関係に辿り着くには…まだまだほど遠い。
そのためには、この無欲男子をどうにかしないと。
「はぁ…」
そんな深い関係ばかりのページを閉じ、お目当てのページを開く。
“彼氏彼女に聞いた、デートスポットランキング”
“タダで過ごせるデートスポット”
“都内のオススメデートスポット”
その一つ一つに目を通しては、溜め息を繰り返した。
「ね、ねぇ…八雲君?」
恐る恐る話しかけてみる。
「…なんだ?」
読んでいた本をぺらりと捲る。
「レポートも終わったし…デート、したいなぁ…なんてっ」
「………」
変なことを言った覚えが無いのに、じろりと睨まれる。
「な、なによ…」
「君が暇でも、僕は暇じゃないんだ」
深い溜め息の後に聞こえた言葉。
「うん…ごめん…」
これでもかと言う程に縮こまる。
返事も返さない八雲は、何も言わずに本に目を戻した。
それを見た晴香も、静かに雑誌に目を戻す。
…私って、愛されてるのかな。
「遠出なんかも良いなぁ…」
いつも一方通行な行動。
デートをするときも、キスをするときも…
「あ、ここなら近そう」
私の方から“したい”と言わないとしてくれない。
だから、デートの予定を立てるのはいつも私。
「ボートとか乗りたいな…」
ひょんなことで別れてしまいそうで…恐い。
夜。
風呂から上がった晴香は、ベッドに腰掛け、髪を解かしていた。
視界の隅には、購買部で買った女性誌。
クシを机の上に置き、変わりにそれを手にし、ベッドに寝転がった。
開くのは、やっぱりデートスポットのページ。
一日のデート予定なんて表もあったりして…最後は結局ベッドにイン。
「うぅ〜っ」
思わず想像してしまい、枕に顔を埋める。
でも、八雲君のことだ…
「すっごいあっさりしてるんだろうけど…」
最低限のことだけして、満足したらそれで終わり。
「………」
そのとき、とある特集を思い出し、ページを捲る。
そこには、前のページとは違い、夜のお付き合いについて特集されていた。
すぐに使わない知識だとしても、いつか…いつかは使うかもしれない。
「へ、へぇー…男の人って、こういうのが好きなんだ…」
雑誌に書かれたことを、恥ずかしながらも読んでいく。
「八雲君も…好きだったりするのかな…」
あの八雲に限って…無いか。
何に対してか分からない溜め息を吐いたとき。
机の上に置かれた携帯が鳴り響き、ぴょんと飛び置きた。
バクバクとうるさい心臓を押さえながら、恐る恐る携帯に手を伸ばす。
珍しい…八雲君からだ。
向こうからの滅多に無い着信に、緩みきった表情で携帯を見つめる。
だが、待たせていることに気付き、慌てて通話ボタンを押した。
「も、もしもし?」
『僕だ』
遅いだとか、文句を覚悟したが、いつになっても文句は来ない。
『……明日、暇か?』
「う、うん。特に用は無いけど…」
『なら、明日…十時に駅前の時計台にいろ』
「え…な、なんで?」
話している途中だと言うのに、ぶちりと切れる携帯。
ツーツーと言う音だけが、付いていけない晴香の耳に届いた。
「…なんだろ…?」
もしかしたら、捜査のお手伝いかもしれない。
八雲からの電話と言ったら、ほとんどそれなのだから…
翌日。
晴香はマンションにある、エレベーターのボタンを押した。
これから、待ち合わせ場所である、駅前の時計台に向かうところ。
待ち合わせ時間まで、三十分以上ある。
もし、転んだとかでトラブルが発生しても、これなら大丈夫。
たまには先に着いて「遅い」って言ってやるんだから。
「遅い」
そう、こんな風に…
「って、えぇっ!?」
エレベーターが開いての第一声は、そんなすっとんきょんなもの。
慌てて顔を上げた先には、声の持ち主である八雲がいた。
「え!えっ!?な、何でこんな所に…」
待ち合わせは駅前の時計台であり、私の家ではない。
「…遅いから、迎えに来た」
ガリガリと髪を掻き回しながら、眠たそうに大あくび。
「遅いって…待ち合わせ時間まで、三十分以上も…」
話は終わっていないというのに、一人玄関ロビーを出ていく八雲。
その後を、晴香は慌てて追いかけた。
電車に乗って、十分ちょっと。
降りた先の街を、二人は歩いていた。
八雲が前を歩き、数歩後を追いかけるようにして歩く。
「ね、ねぇ。今日はどんな事件なの…?」
そう訪ねると、八雲はこれまでに見たことのないような渋い顔を見せた。
…別に、変なことを言った覚えはない。
捜査のお手伝いをするのだ。
事件の内容くらい、教えてくれたって…
「君は何を勘違いしてる?」
「何って…」
勘違いも何も、まだ何も…
「これはデートだ」
「………えっ!?」
どこが!?と突っ込みそうになるのを堪える。
そして、微かに頬を染めた八雲を見つめた。
「僕だって…オシャレしてきたというのに……気付かないのか?」
耳に掛かった髪を、さらりと払う。
あぁ、確かによく見てみれば、髪の毛がいつもよりサラサラだ。
でも、それを抜いてしまえば、いつもの八雲そのまんま。
寝癖だって直ってないし、服装だって変わらない。
でも、デートなら…
「ま、待って!私もオシャレしてくるっ…」
捜査かと思っていたから、動きやすさ面を一番にしたため…
今日の服装は、パーカーにジーンズという、デートにふさわしくないもの。
くるりと方向を変え、駅へと向かおうとする。
だが、そんな晴香を八雲は止めた。
「君は…それ以上、可愛くならなくって良いんだ…」
まさかの発言に、正直鳥肌が立った。
ここにいるのは、八雲の皮を被った偽物なんじゃないかとすら疑った。
「で…でも…」
それでも駅に向かおうとする晴香に、八雲は呆れたように溜め息を吐く。
そして、顔を逸らして一言…
「僕が、初めて計画したデートなんだ……言うことを聞け」
不器用だけれど、真っ直ぐな言葉に…
「…うんっ」
晴香は頷くしかなかった。
「そっ、それで…どこに行くの?」
駅から離れていく所を見ると、デパートで買い物だとかでは無いようだ。
「…公園」
「公園って…あの池のある大きな?」
駅から歩いて十分ちょっとの場所にある、大きな公園。
休日は、バザーなんかもやっていて、家族連れもカップルもいる…
デートには持って来いの場所。
「何をぼやっとしている。早く行くぞ」
「あ、うん!」
確かに、八雲にはデパートなんかよりも、公園の方がお似合いだ。
ベンチに寝転がって、猫みたいにお昼寝なんかしていそう。
小さく笑った晴香は、慌てて八雲の背中を追いかけた。
だが、何が不満だったのか…
くるりと振り返る。
不思議に思い、小首を傾げていると…
「遅い」
手を握られた。
「え……えっ!?」
理解しきらないうちに、八雲に手を引かれる。
…今日は、こんな声を出してばっかだ。
一生懸命に理解しようとするが、右手に感じる温もりに、脳内は爆発寸前。
顔が真っ赤な晴香は、それを見られないように、下を向いて歩いた。
そんなこんなしている間に、目的地に着いたのか、足を止める八雲。
辿り着いたのは…
この公園の看板スポットである、大きな池…
の、ボート乗り場。
「昨日…」
「?」
「ボート、乗りたいって言ってただろ?」
だから、乗りに着た。
八雲は一度も振り返らなかったが、髪の隙間から覗く耳が真っ赤だった…
「八雲君…」
聞いていないのかと思ったら、しっかりと聞いていてくれる。
そうだ。これが八雲君だ。
いつも面倒くさそうにしているけど、私を見ていてくれる…
これが、私の恋人。
嬉しさに微笑んでいられたのもつかの間。
この公園…池に伝わる話を思い出し、晴香の足が止まった。
「どうした?」
「や、やっぱ駄目っ!」
八雲の手を握り、涙目で訴える。
「…何故だ?」
眉を八の字に下げ、しょんぼり顔。
…そんな悲しそうな顔、させたくない。
「ここの池のボートに乗るとね…別れるって言い伝えがあるの…」
一人や二人じゃない…
実際に別れた、という人にも会ったことがある。
「だから…だからね、また別の場所で…」
ぐい…っと腕が引っ張られ、前のめりに倒れる。
「ち、ちょっと…!」
「その話。嘘だって証明してやる」
「証明って…乗ったら別れちゃ…」
「神様でも仏様でも…別れさせれるものなら、掛かってこい」
「え…?」
「君が別れたいと言いだしても…」
八雲を見上げるも、太陽が眩しくて目を細めた。
「僕は絶対に別れさせない」
「……ばか」
私だって、別れるわけないじゃない…
END。
ながったる!
実際にゃ、ボートの操縦が下手で、水が跳ねたり、時間内に返せなかったり…
それが原因で喧嘩になって別れやすい…だったはず!
映画研究同好会に来ていた晴香は、いつものようにのんびりと過ごしていた。
なんてったって、恋人である八雲君と一緒なんだから。
普通のカップルのように、始終イチャイチャしている訳じゃない。
そりゃ、少しはイチャイチャしてみたいとも思う。
けれど、相手は八雲。
そんなことを言った時には…
鼻で笑われて、皮肉を言われてはいおしまい。
それに…一緒にいるだけで幸せだから充分。
これ以上のこと、望まなくても良いくらい…
レポートも早くに提出してしまったため、特にすることがない。
そんな晴香は、女性誌を読んでいた。
“オススメデートスポット!”なんて文字を見たら、買わずにはいれず…
大学の購買部で買ってきた。
取りあえず、最低限のお付き合いはしている訳で。
デートだってするし、手だって繋ぐ。
キスも…したりする。
けれど、夜の関係に辿り着くには…まだまだほど遠い。
そのためには、この無欲男子をどうにかしないと。
「はぁ…」
そんな深い関係ばかりのページを閉じ、お目当てのページを開く。
“彼氏彼女に聞いた、デートスポットランキング”
“タダで過ごせるデートスポット”
“都内のオススメデートスポット”
その一つ一つに目を通しては、溜め息を繰り返した。
「ね、ねぇ…八雲君?」
恐る恐る話しかけてみる。
「…なんだ?」
読んでいた本をぺらりと捲る。
「レポートも終わったし…デート、したいなぁ…なんてっ」
「………」
変なことを言った覚えが無いのに、じろりと睨まれる。
「な、なによ…」
「君が暇でも、僕は暇じゃないんだ」
深い溜め息の後に聞こえた言葉。
「うん…ごめん…」
これでもかと言う程に縮こまる。
返事も返さない八雲は、何も言わずに本に目を戻した。
それを見た晴香も、静かに雑誌に目を戻す。
…私って、愛されてるのかな。
「遠出なんかも良いなぁ…」
いつも一方通行な行動。
デートをするときも、キスをするときも…
「あ、ここなら近そう」
私の方から“したい”と言わないとしてくれない。
だから、デートの予定を立てるのはいつも私。
「ボートとか乗りたいな…」
ひょんなことで別れてしまいそうで…恐い。
夜。
風呂から上がった晴香は、ベッドに腰掛け、髪を解かしていた。
視界の隅には、購買部で買った女性誌。
クシを机の上に置き、変わりにそれを手にし、ベッドに寝転がった。
開くのは、やっぱりデートスポットのページ。
一日のデート予定なんて表もあったりして…最後は結局ベッドにイン。
「うぅ〜っ」
思わず想像してしまい、枕に顔を埋める。
でも、八雲君のことだ…
「すっごいあっさりしてるんだろうけど…」
最低限のことだけして、満足したらそれで終わり。
「………」
そのとき、とある特集を思い出し、ページを捲る。
そこには、前のページとは違い、夜のお付き合いについて特集されていた。
すぐに使わない知識だとしても、いつか…いつかは使うかもしれない。
「へ、へぇー…男の人って、こういうのが好きなんだ…」
雑誌に書かれたことを、恥ずかしながらも読んでいく。
「八雲君も…好きだったりするのかな…」
あの八雲に限って…無いか。
何に対してか分からない溜め息を吐いたとき。
机の上に置かれた携帯が鳴り響き、ぴょんと飛び置きた。
バクバクとうるさい心臓を押さえながら、恐る恐る携帯に手を伸ばす。
珍しい…八雲君からだ。
向こうからの滅多に無い着信に、緩みきった表情で携帯を見つめる。
だが、待たせていることに気付き、慌てて通話ボタンを押した。
「も、もしもし?」
『僕だ』
遅いだとか、文句を覚悟したが、いつになっても文句は来ない。
『……明日、暇か?』
「う、うん。特に用は無いけど…」
『なら、明日…十時に駅前の時計台にいろ』
「え…な、なんで?」
話している途中だと言うのに、ぶちりと切れる携帯。
ツーツーと言う音だけが、付いていけない晴香の耳に届いた。
「…なんだろ…?」
もしかしたら、捜査のお手伝いかもしれない。
八雲からの電話と言ったら、ほとんどそれなのだから…
翌日。
晴香はマンションにある、エレベーターのボタンを押した。
これから、待ち合わせ場所である、駅前の時計台に向かうところ。
待ち合わせ時間まで、三十分以上ある。
もし、転んだとかでトラブルが発生しても、これなら大丈夫。
たまには先に着いて「遅い」って言ってやるんだから。
「遅い」
そう、こんな風に…
「って、えぇっ!?」
エレベーターが開いての第一声は、そんなすっとんきょんなもの。
慌てて顔を上げた先には、声の持ち主である八雲がいた。
「え!えっ!?な、何でこんな所に…」
待ち合わせは駅前の時計台であり、私の家ではない。
「…遅いから、迎えに来た」
ガリガリと髪を掻き回しながら、眠たそうに大あくび。
「遅いって…待ち合わせ時間まで、三十分以上も…」
話は終わっていないというのに、一人玄関ロビーを出ていく八雲。
その後を、晴香は慌てて追いかけた。
電車に乗って、十分ちょっと。
降りた先の街を、二人は歩いていた。
八雲が前を歩き、数歩後を追いかけるようにして歩く。
「ね、ねぇ。今日はどんな事件なの…?」
そう訪ねると、八雲はこれまでに見たことのないような渋い顔を見せた。
…別に、変なことを言った覚えはない。
捜査のお手伝いをするのだ。
事件の内容くらい、教えてくれたって…
「君は何を勘違いしてる?」
「何って…」
勘違いも何も、まだ何も…
「これはデートだ」
「………えっ!?」
どこが!?と突っ込みそうになるのを堪える。
そして、微かに頬を染めた八雲を見つめた。
「僕だって…オシャレしてきたというのに……気付かないのか?」
耳に掛かった髪を、さらりと払う。
あぁ、確かによく見てみれば、髪の毛がいつもよりサラサラだ。
でも、それを抜いてしまえば、いつもの八雲そのまんま。
寝癖だって直ってないし、服装だって変わらない。
でも、デートなら…
「ま、待って!私もオシャレしてくるっ…」
捜査かと思っていたから、動きやすさ面を一番にしたため…
今日の服装は、パーカーにジーンズという、デートにふさわしくないもの。
くるりと方向を変え、駅へと向かおうとする。
だが、そんな晴香を八雲は止めた。
「君は…それ以上、可愛くならなくって良いんだ…」
まさかの発言に、正直鳥肌が立った。
ここにいるのは、八雲の皮を被った偽物なんじゃないかとすら疑った。
「で…でも…」
それでも駅に向かおうとする晴香に、八雲は呆れたように溜め息を吐く。
そして、顔を逸らして一言…
「僕が、初めて計画したデートなんだ……言うことを聞け」
不器用だけれど、真っ直ぐな言葉に…
「…うんっ」
晴香は頷くしかなかった。
「そっ、それで…どこに行くの?」
駅から離れていく所を見ると、デパートで買い物だとかでは無いようだ。
「…公園」
「公園って…あの池のある大きな?」
駅から歩いて十分ちょっとの場所にある、大きな公園。
休日は、バザーなんかもやっていて、家族連れもカップルもいる…
デートには持って来いの場所。
「何をぼやっとしている。早く行くぞ」
「あ、うん!」
確かに、八雲にはデパートなんかよりも、公園の方がお似合いだ。
ベンチに寝転がって、猫みたいにお昼寝なんかしていそう。
小さく笑った晴香は、慌てて八雲の背中を追いかけた。
だが、何が不満だったのか…
くるりと振り返る。
不思議に思い、小首を傾げていると…
「遅い」
手を握られた。
「え……えっ!?」
理解しきらないうちに、八雲に手を引かれる。
…今日は、こんな声を出してばっかだ。
一生懸命に理解しようとするが、右手に感じる温もりに、脳内は爆発寸前。
顔が真っ赤な晴香は、それを見られないように、下を向いて歩いた。
そんなこんなしている間に、目的地に着いたのか、足を止める八雲。
辿り着いたのは…
この公園の看板スポットである、大きな池…
の、ボート乗り場。
「昨日…」
「?」
「ボート、乗りたいって言ってただろ?」
だから、乗りに着た。
八雲は一度も振り返らなかったが、髪の隙間から覗く耳が真っ赤だった…
「八雲君…」
聞いていないのかと思ったら、しっかりと聞いていてくれる。
そうだ。これが八雲君だ。
いつも面倒くさそうにしているけど、私を見ていてくれる…
これが、私の恋人。
嬉しさに微笑んでいられたのもつかの間。
この公園…池に伝わる話を思い出し、晴香の足が止まった。
「どうした?」
「や、やっぱ駄目っ!」
八雲の手を握り、涙目で訴える。
「…何故だ?」
眉を八の字に下げ、しょんぼり顔。
…そんな悲しそうな顔、させたくない。
「ここの池のボートに乗るとね…別れるって言い伝えがあるの…」
一人や二人じゃない…
実際に別れた、という人にも会ったことがある。
「だから…だからね、また別の場所で…」
ぐい…っと腕が引っ張られ、前のめりに倒れる。
「ち、ちょっと…!」
「その話。嘘だって証明してやる」
「証明って…乗ったら別れちゃ…」
「神様でも仏様でも…別れさせれるものなら、掛かってこい」
「え…?」
「君が別れたいと言いだしても…」
八雲を見上げるも、太陽が眩しくて目を細めた。
「僕は絶対に別れさせない」
「……ばか」
私だって、別れるわけないじゃない…
END。
ながったる!
実際にゃ、ボートの操縦が下手で、水が跳ねたり、時間内に返せなかったり…
それが原因で喧嘩になって別れやすい…だったはず!
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