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いやはや、ここの所タイトル考えなくて凄く楽です。カンナです。

良い夫婦の日っておまっ…どんだけ過ぎてんだー!ですね!
でも書きたかったんだもん!仕方ないじゃない!!
書きたいものを書きたい時に好きなだけ書く!…それが生き甲斐ってもんですよ。

今年はそれを貫きました。四月から。
確かそんな理由で、年中無休更新止めました。
年中無休って…今思えば凄いことしてたな…


さて、良い夫婦八雲版!
良い夫婦って言ってるくせに、恋人設定。

八晴:恋人設定

「やぁ!」



木枯らし吹き荒れる季節の中。

小沢晴香は映画研究同好会の扉を開いた。



「…また君か」


一番に耳に届いたのは、眠たそうな声。

けれども、一番に目にしたのは…


「よぅ、晴香ちゃんじゃねぇか」



茶色のコートを羽織った、後藤の姿であった。






寒い…と、八雲に目で訴えられ、晴香は慌てて扉を閉める。

「また事件ですか?」

だが、扉を閉めたって部屋の中が寒いのには変わりがない。

「あぁ……ちょっと、な」

室内でも、後藤がコートを着ている意味がやっとわかった。
よく見れば、八雲も緑色のダウンコートを着ているではないか。

「そういう晴香ちゃんこそ、トラブルか?」

「今日は、新作のスイーツを持ってきたんです!」

そう言って机の上にコンビニの袋を広げた。
大学に来る前に買ってきた、新作のプリン。


八雲の目が、子供のように輝いたのを見逃さない。


「…まだこんな奴と一緒にいると、婚期逃すぜ?」


婚期を逃す、なんて…

ちょっとお返ししてやろう。


「わっ!びっくりしたー」

わざとらしく驚きの声を上げ、後ろに下がる。

「…何してんだ?」

「あぁ、すみません。茶色くてクマかと思いました」

舌を出してそう言うと、後藤の頬が引きつるのが分かる。

「晴香ちゃん…ほんと、八雲に似てきたな…」

「何バカなことをしてるんですか?」

今まで黙っていた八雲が、溜め息と共に口を開いた。

「あぁ、居たんですね後藤さん。クマかと思いました」

「うるせーよ!…ったく」

ふと腕時計を見た後藤は、慌ててドアへ駈ける。

「…?用事でもあるんですか?」

「ん、あぁ…ちょっと、な」

明後日の方角を見つめ、しきりにネクタイを整えている。

「奥さんとデートだとさ」

「おまっ!何でそれ…っ」

八雲の言葉に、珍しく怒り以外の意味で顔を赤くする。

「で、デート…?」

だが、晴香はまだついて行けず、目をパチクリ。

「11月22日…良い夫婦の日にディナーに誘うなんて、ロマンチストですね」

気持ち悪いですよ。

満面の作られた笑みを向けられ、苛立ち気に髪を掻き回した。
よく見れば、髪も綺麗に整っているような気がする。

「…誰から聞いた」

「こんな所で時間くってて良いんですか?約束は五時だったはずですよ」

「やばっ」

再び腕時計を見た後藤は、映画研究同好会を飛び出した。






「八雲君、よく知ってたね」

パイプ椅子に腰を落とし、机の上のプリンに手を伸ばす。
パフェに見立てられて作られたそれは、少し早いクリスマス仕様。

「畠さんから聞いたんだ」

一足先にプリンに手を付けていた八雲が、食べながら喋る。

「…八雲君、お行儀悪いよ」

「君が話しかけてきたんだろ?」

「それはそうだけど…」

それ以上喋る気はないと言わんばかりに、八雲は口を閉ざしてしまった。
…きっと、プリンを味わいたいからに決まってる。



「良い夫婦の日かぁ〜…」

先ほどの後藤を思いだし、溜め息一つ。幸せな溜め息。

「…君には関係ないだろ」

「そうだけど…幸せそうだなって」


去り際に後藤が見せた笑みは、奥さんに宛てられたものだろう。


八雲もそのときの光景を思い出しているのか。
プリンを食べる手を止めた。


「…僕にはわからないな」

そして溜め息。私のとは違って、呆れの溜め息。

「えぇえぇ、八雲君には一生わかんないでしょーねっ!」

それが何だか知らないけれどカチンと来て。
晴香はプリンを手にしたまま背を向けた。

椅子から立つのは嫌だったから、椅子に跨って。



しばらくそのまま頬を膨らましていると、溜め息が聞こえた。

また皮肉が来るんだ。


そう思い、塞ごうとした晴香の耳に届いたのは…



「他人の幸せなんて、本人しか分からないんだよ」



八雲から出た言葉とは思えず、つい振り返る。


「僕らには分からないくらい、幸せだろうからな」


そこには、平然とプリンを食べながら呟く八雲がいた。

「違うか?」

「う、ううん!違くないよ!きっと!」


ロマンチストは八雲君じゃない。


口が滑りそうになり、慌てて飲み込んだ。


「…ね。八雲君は今、幸せ?」


あ、また変なことを言い出したって顔してる。

「さっき言っただろ、他人の幸せなんて…」

「でも聞きたいの」

ちゃんと向かい合って座り、机に肘を付いてその上に顎を乗せる。
それで、ちょっと上目遣いに見上げる。


…八雲君が上目遣いに弱いってこと、知ってるんだから。


「………。…幸せ」

ぼそりと聞こえた声。

それに気を良くした晴香は、ちょこりと小首を傾げる。

「どうして?」

「っ……」


睨まれたって怖くない。

そんな真っ赤な顔してるんだもの。


「や・く・も・くん?」

「っくそ…」


机に伏せたのが、白旗を上げたサイン。

くすりと笑った晴香は、ごめんねと謝ってから止めていた手を動かした。



「良い夫婦、か…」

ぽつりと呟き、長野にいる両親の顔を思い出す。

頑固者で、滅多に口を開かない父とお喋り好きな母。
正反対な二人だが、娘から見ても良い夫婦だと思う。

父に足りないものを母が、母に足りないものを父が。
互いに補い、今があるんだと思う。


「あ、八雲君と私も近いのかな?」

「何がだ?」

いつの間にか顔を上げた八雲と目が合う。

「良い夫婦になれるかな…って」

「は?」

八雲の眉間に、シワが寄る。


「誰と?」


「八雲君と」


「誰が?」


「私が」


その返答に、苦笑と鼻で笑われた。

「そんなの、結婚してみないと分からないだろ」

「そりゃそうだけど…想像するくらい良いじゃない」

「想像…ね」


見つめた八雲の顔が、あまりに悲しそうでそれ以上何も言えなかった。

ただ、静寂だけが辺りを包む。






「ごちそうさま」

プリンを食べ終えた八雲が、カップを置く。
私はまだ、半分も食べていないのに。


「これ、いくら?」

「い、いいよ!私が好きで買ってきたんだから…」

「借りを作るのは趣味じゃないんだ」

“借り”という言葉を聞き、晴香はどこか寂しくなった。



…まだ、貸し借りにこだわるような関係なんだ…


「…180円、です」

ポケットから財布を出し、カチャリと机に置かれる。


顔を上げた晴香は、それを見て目を丸くした。



「お釣りはいらない」



机の上には、銀色に輝く指輪がひとつ。



「…結婚、しないか?」









「はいっ」






END。



まさかプロポーズするとは思わなかったぞっ!
いや、書いた本人が何言っとんじゃこらーなんですけどね。

私、しっかりお話を考える前に書く人なんです。
だから、そのときのノリでオチが決まる…というね!
気付いたらまったく違う作品になってたなんて、日常茶飯事ですよHAHAHA☆
だからグダグダしたのが多いんです(逃)

いやはや…未だに信じられない…
数分前の私の指先よ、どうした一体。

6月よりも11月に式挙げる人が多いって聞いたからかな…?

でも、こんなプロポーズも良いですよね。
ツンデレ八雲君は、素直じゃないからこう…
こっそりプロポーズしそうです。

いや、でもこの八雲はかっこいいと思いますよ。(当社率)
なんてったって、「おつりはいらない」だなんてまあ…
私も一度は言ってみたいよ。へいたくしー!
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無題
きゃ~
待ってました!!八雲~
しれっとプロポーズなんて

美味しいところを持っていく!!
良い夫婦の日
結婚したら、この二人は何時までもラブラブで子供も呆れるくらいが楽しそうですね
シマちゃん 2009/12/07(Mon)22:08:12 編集
無題
きゃ~、なんて素敵なプロポーズ! 高級レストランのディナーがなくても、ロマンチックな夜景がなくても、二人は大丈夫!!きっと世界一良い夫婦になれるよ!
陽輝 2011/03/24(Thu)20:31:53 編集
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