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さて、クリスマスイブ話八晴編です。
本当はもちょっと前に上げたかったのですが…

ちなみに実はもう一個、秋直版があったりなかったり。
クリスマス当日までに上げられるだろうか…

八雲と晴香は、二人で奈緒ちゃんへのプレゼントを選んでいると良いです。
それで夫婦と間違われれば良いんだ。
そのまま夫婦になっちゃえば良い(ry


さて、クリスマスイブ八晴編。
珍しく恋人未満なお話。

八晴:恋人未満

PM4:00…


待ち合わせ場所は、電車で数十分。


ショッピングモール、クリスマスツリーの下で。






「少し早く来過ぎちゃったかな?」


腕時計が示すのは、待ち合わせ時間の一時間も前。
ツリーの前に立つ晴香は、緩む口元をマフラーで隠し、彼の到着を待っていた。



事の始まりは三日前。

いつものように、八雲の巣である映画研究同好会に寄ったときのこと。
他愛のない会話が途切れたときに、珍しく八雲が口を開いたのだ。

そして口にしたのは…


「奈緒へのクリスマスプレゼントを買うのを手伝ってくれ」


…とのこと。

断る理由もない晴香は、大きく頷いたのだ。


けど、クリスマスイブにプレゼントを買うって…

「遅すぎよ、ねぇ…」



…まぁ良いか。


だって、クリスマスイブを八雲君と二人っきりで過ごせるんだもん。

それに明日は後藤さん宅でクリスマスパーティー。
二人っきりなれるチャンスは、きっと無い。



「えへへっ」


「何を笑ってるんだ…」


とうとう頭までおかしくなったのか?



とつぜん聞こえた声に、晴香の身体は飛び跳ねた。

「や、ややや八雲君っ!?」

慌てて振り返った先には、いつもの眠たそうな瞳をした八雲の姿。
うるさいと言わんばかりに、耳に指をつっこみ睨まれる。

「もう!遅いわよ!」

「待ち合わせは四時だろ?…君が早すぎるんだ」
「ま、まぁ…そうだけど…」

それは事実。

楽しみ過ぎて、待ち合わせまでまだなのにも関わらず走ってきた様。
一時間も前に付いて、イブに二人で過ごせることにニヤニヤとしていたら…

「あれ?でも…」

あることに気が付いた晴香は、腕時計を確認。


「あ」

「…何をニヤニヤしてる」


本日二度目のニヤニヤ発言。

だが、今回はおとなしく認めよう。


「う、ううん!なんでもない!」



だって、八雲君…


あの八雲君が、待ち合わせ時間三十分も前に来てくれたんだもん。



晴香は、緩む口と火照る頬を、マフラーに隠した。






「うーん…熊とウサギ、どっちが好きかな?」

「……さぁ、な」

「熊の方が好きだろうけど…被っちゃったら嫌だし…」

「………」

「あ、ぬいぐるみよりお人形の方が好きかな?」

「………」

「八雲君?」

「………」

「八雲君ってば!」

「ん、あぁ…」

返事は返ってきたが、それは曖昧なもの。
不思議に思った晴香は、熊とウサギのぬいぐるみを置いた。

「どうしたの?具合、悪い?」

「いや…」

そうは言うが、八雲の視線はきょろきょろと右往左往。
時々、頬を掻いては明後日の方角を見つめたりの繰り返し。

「八雲君…」

やっぱり、気分が悪いんだろうか。
どこか休む場所を探そうと店を出かけた時、晴香の肩に手が触れた。

「…こういう店、入るのはじめてで落ち着かないだけだから…」

だから、ほんとに大丈夫…

そう言った八雲の頬は、ほんのりと染まっていた。



八雲が“こういう店”と言うのは、ファンシーな雑貨屋さん。

桃色を基準とした、乙女チックなぬいぐるみやフリルが付いたお洋服。
幼い子供から大人の女性が大好きな、可愛らしいものが沢山揃っている。


「………」

晴香は改めて、八雲とバックの背景を合わせてみた。
それは合成写真のようで、あまりにも似合わなくて…


「ぷっ」

「っ……」


ついつい噴き出して笑ってしまった。

それに対し、八雲が凄い喧騒で睨んでくる。
だがそれは、真っ赤な顔と乙女チックな雰囲気にかき消されてしまった。

「くそっ…」

「ごめんごめんっ」


ああダメ。また笑ってしまいそう。


「ね、私が選んで買ってくるから」

「…?」

「八雲君はベンチにでも座って、休んできなよ」

「………」

怒っているのか考えているのか。
八雲はなかなか返事を返さない。



「ウサギ…」

しばらくすると、面倒くさそうに髪を掻き回しながらポツリと一言。

「?」

「さっきのぬいぐるみ……ウサギが、良い」

ボソボソと成され、完成した言葉に、晴香は笑顔で頷いた。

「うん!じゃあ買ってくるから、八雲君はベンチで待っててね!」

「………」

返事は返ってこなかったが、八雲が手を振ったのを勝手に了承の合図とした。






夜も日付が変わりそうな時刻の帰り道。

「送ってく」という言葉に甘えた晴香は、八雲とともに帰路についていた。



「ふふふ〜」

上機嫌に鼻歌を奏でている晴香に、八雲は不審の眼差しを向けている。

けれど、そんな目を向けられたって気にしない。

ファンシーなお店でのやり取りを思い出し、晴香はまた微笑んだ。



レジでウサギのぬいぐるみを買っているとき…

店員さんに言われたのだ。



「素敵な彼氏さんですね」


…って。



本当は恋人という仲ではない。
けれど、晴香は「はい!」とお礼もセットで返事を返した。
八雲が居たら、絶対に否定されたであろう言葉。


八雲になんて言おうかな?

ああやっぱり、これは内緒にしておこうかな?


晴香は緩みきった表情で、スキップを踏んだ。

「…上機嫌だな」

「うん!」

「上機嫌のとこ悪いが、君のマンション過ぎてるよ」

「……え?」

その言葉で現実に戻ってきた晴香は、慌てて振り返る。
そこには確かに、見慣れたマンションが建っていた。

「黙ってたらどこまでも行ってただろうな」

ポケットに手を突っ込み、苦笑を浮かべる八雲。

「き、気付いてましたよーだ!」

マンションとの、八雲との距離を縮める。
だが、八雲は気にした様子もなく、のんきに腕時計を見ていた。

「…あ」

「?」

何かに気付いたのか、八雲の表情が微かに変わった。
ポケットをガサガサと漁り、出てきたものを渡される。



彼から渡されたものは…



「!」




サンタの格好をした、黒猫のマスコット…






「……メリークリスマス」


「メリークリスマス、八雲君!」






END。



中途半端に終わるorz
友達以上恋人未満、糖分少なめを目指して書きました。

裏設定だと、八雲も晴香と過ごしたい一心で誘ったようです。
プレゼントも、みんなの前で渡せないチキンのため、前日に渡したというね。

ここの所、秋直ばかり書いていたからか二人の性格が違う気がする…
多作品を扱う人様を尊敬します(´・ω・`)

メリークリスマスイブー!
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