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真夜中にこんばんは!あけましておめでとうございます、カンナです!
今年も何卒、よろしくお願いします^^

さてさて、まさかの真夜中の出現。自分でもビックリです。
けれど今日は実家に帰るみたいなので、出てこれる可能性が低いので…
この時間帯にやってまいりました。


一発目は八晴で!
今年もぐだぐだとマイペースに更新していきたいと思うので、よろしくお願いします。

八晴:恋人未満

元旦の目覚めは……



ピンポーン、ピンポンピンポンピンポーン──



「もう…こんな朝早くに誰よっ…」



最悪なものだった。






今日は一月一日。


時計が指す時刻は朝の五時。

初日の出が昇る時間でもなければ、年賀状すら届いていない時間。

そんな、朝の早い早い時間帯。



昨晩は大晦日ということもあって、随分と遅くまで起きていた。

一人だと言うこともあり、好きなだけお酒を飲み、好きなときに眠る…
そんな、普段じゃ考えられない生活を送っていたのだ。


最後に時計を見たとき、三時を過ぎていたから…

まだ二時間も寝ていない。


お酒に強いこともあり、酔いは完全に醒めたが、身体が重い。
迷惑な訪問者を追い返したら、もう一眠りしよう。



「はーい…」

欠伸をかみ殺しながら、玄関のドアをあける。

郵便かな?それにしては随分と早いけど…


だがそれも、


「あぁ、君か」


ドアを開ければ分かるこ、と…?




「八雲君…?」

目をぱちくりさせ、現実であることを確かめる。
だが、目の前にいる人物は消えることもなく…


「そうだ、僕だ」


ドアの向こうでは、斉藤八雲が新年早々、面倒くさそうに髪を掻き回していた。



ドアを閉めようとしたけれど、その間に八雲の足が入り込んで邪魔をする。

「何で閉めるんだ…っ!」

「だ、だってビックリしちゃって…」

「そんなに驚くようなことじゃないだろっ…」

「驚くに決まってるでしょ!こんな朝早くよ!?」

「そう言う君こそ、このあいだ朝早くに来て勝手に寝てただろ!」

「そ、それは八雲君が起きないから…」

「っ…それより、良いからあけろ!」

足が痛い!
その目からぽろりと落ちた滴に、晴香は慌ててドアノブから手を離した。

「ご、ごめんなさい…」

「新年早々、とんだトラブルメーカーだな」

慌てて謝る晴香に対し、八雲は威張るように鼻をすんと鳴らす。
それにカチンと来た晴香は、頭を上げて吠えた。

「これは八雲君がいけないんじゃない!」

「僕は別に、悪いことなんてしていない」

「こんな朝っぱらくる人なんて、夜這いか寝込みを遅いに来る変態だけよ!」

口走ってから、あっと思った。

どうやら、やっぱりまだ酔っているのかもしれない。
普段なら出ることのないワードたちに、晴香は口元を押さえた。

「………」

恐る恐る見上げてみると、そこには晴香と同じく驚きを隠せない八雲。
いつも眠たそうな瞼が開き、黒と赤の瞳が私を見下ろしていた。


しばらくすると互いの目が合い、二人してそっぽを向く。


「…僕は、そこまで野蛮じゃない」

「わ、わかってるわよ…」


何となく気まずく、先ほどまでの言い合いが嘘のように静か。
とりあえず、こんな寒い外に八雲を居させる訳にはいかない。

「八雲君、上がってく?」

「いや、すぐ帰るから良い」

「…そう」

さっきまでは追い出そうとしていたのに、いざ「帰る」と言われると悲しくなる。


せっかく八雲君から会いに来てくれたんだもん…

理由はともあれ、あと少し…あと少しだけ一緒にいたい。


「…それじゃあ何の用?」

一緒にいたい。
そう思った晴香は、少しでも長居させようと話題を探す。

「…その、だな」

「?」

珍しく口ごもる八雲。

こんな朝から会えるということだけでも珍しいのに…いったい何だろう?

晴香は黒と赤の瞳を見上げ、次の言葉を待った。








「…あけましておめでとう」








「え…?」



しばらく開いた間。


そして、乾いた唇から出てきた言葉。



予想もしていなかった言葉に、晴香は八雲を見つめる。


確かにいま、この男の口から「あけましておめでとう」の言葉が…



「用事って……新年のあいさつしに来たの?」

核心を突いてしまったらしく、綺麗に整ったポーカーフェイスが崩れる。

「ね、年賀状出し忘れたから届けに来ただけだっ!」

頬を真っ赤に染めながら、コートのポケットから一枚のハガキを出した。
それをぐいぐい押しつけられ、晴香は断る隙もなく受け取る。

「切手代がもったいないから、手渡ししに来たんだ!」

勘違いするな!

…勘違いもなにも、そんなこと考える余地もないっていうのに。

「っ……」

いつも無口な男が、一気に喋りすぎたせいか。
激しい運動をした訳でもないのに、八雲の肩は大きく上下する。

八雲の呼吸が落ち着くのを待つ間、晴香はその姿を鑑賞していた。



真っ赤な顔に真っ赤な耳。

こんな寒空のなか、少し汗ばんだ身体。


新年早々、本当に良いものが見れた。



そうこうしている間に、呼吸を整えた八雲が小さな溜め息を吐く。

「…朝早く、すまなかった」

苦笑を浮かべた表情は、自らを嘲笑するかのよう。
そして、晴香に背を向けると片手を上げた。

「じゃあな」

そう言った八雲は、背を向けたまま歩みを進める。



その背中があまりにも寂しく思えて…




「八雲君!」



サンダルを履くのも忘れ、裸足で駆け出す。

まだ日の昇らない世界は、晴香の体温を奪っていった。



「…?」



やっとのことで追いついた晴香を、不思議そうな顔で見下ろす八雲。



そんな八雲に、晴香は出来る限りの笑顔をぶつけた。





「あけましておめでとう!」



裸足で追いかけてきた晴香を見て、八雲がまた苦笑を浮かべた。
けれど今度は“笑”の勝ち。


「今年こそトラブル拾ってくるなよ」

「そのときは八雲君、よろしくね!」

「まったく…」


呆れたように彼は口にしたけれど、その顔はとても暖かいものであった。
そして彼は、今度こそいなくなった…








「よしっ」


八雲の背中を最後まで見つめていた晴香は、急いで家の中へ駆けた。

二度寝を待つベッドを無視し、クローゼットの前に走る。


「八雲君、びっくりするだろうなぁー」

ふふふと笑い、お気に入りのワンピースに手を伸ばす。



いま会いに行くから、待っててね。






手にした年賀状には、細い字でこう書いてあった。




世界で一番最初に、あけましておめでとうを伝えたくて。






END.



改めて、あけましておめでとうございます!

昨年の終わりが“家族”でしたので、始まりは“ひとり”にしてみました!
…これまた偶然に「ひとりでよくね?」と、書き終えてから思ったんですが…
ま、いいよね!

新年と言うことで、ちょいちょい書き方を変えてみました。
空白を広く開けてみたり、空白を広く開けてみたり…
…それしかありませんがねっ!(悲)


そんなこんなで始まりました2010。
ギャグと甘々愛する管理人と、そんな管理人の妄想詰め込んだ夏缶を…
今年もよろしくお願いします!
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無題
明けましておめでとうございます!!

年賀状を口実に、朝っぱらから何をしている八雲君(笑)
そのまま、襲っ(自重)

今年も、変人ぷりと八晴ラブで生きますので(笑)
よろしくお願いいたしますm(_ _)m
シマちゃん 2010/01/02(Sat)20:44:59 編集
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