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もうバレンタインも過ぎてしまったがね!
節分なんか大昔なのにね!節分小説なんだごめんね!

あぁ…やっぱり計画的に書くものですね。
バレンタイン過ぎてしまいましたが、次の更新はバレンタイン。
ホワイトデーまでに上げられると嬉しいn(ry


八晴:新婚設定

鼻に来る、ツンとした香り。


なかなか噛み切ることの出来ない何か。


口に広がるは七色の味…








2月3日。


行事を大切にするこの国では、節分で賑わっていた。


特に興味が無かった旦那さんだけれども。

そういうことが大好きな奥さんに付き合い、節分を楽しんでいた。






「はー…」

太くて長くて黒いものを食べ終え、呼吸を整えるように息を吐く。
流石の八雲でも、滅多に食さないものに疲れの色を見せた。

冷茶が注がれたグラスを手にし、食道で渋滞するそれらを胃へと流し込む。


「………」

一息した八雲が目を向けたのは、太くて長くて黒いものを食べる原因を作った奥様。

こちらを向きながら、太くて長くて黒いものを口いっぱいに含んでいる。

その小さな口には大きすぎるらしく、苦しそうに目を閉じ目尻に涙を浮かべている。
「ふうん」とか「んっ」なんて生々しく艶めかしい声がときどき漏れた。


「…休憩したらどうだ?」


恵方巻き食べる、の。



太くて長くて黒いものなんて思うから変な気分になるんだ。

そう、あれは太巻き。

彼女の口に咥えられたのは太巻きなんだ。


隣にいるのは、今年の恵方を向いて食べる極々普通の小沢晴香。

決して、下心丸だしな目で見ているわけじゃない。

誰も決して、それが他人のものに見えて嫉妬の炎を燃やしてなどいない。



どきどき高鳴る鼓動が聞こえるんじゃないかと、僕はハラハラ。


「休憩したらどうだ?」


数秒前の言葉をリピート。
それは息苦しそうな彼女を思っての言葉だし、自分のための言葉でもある。

だが、帰ってきた返事は首振りノーサイン。

目を閉じ恵方を向いて無言で太巻きを丸かじり。
妙なところで完璧主義が働いている晴香は、それを忠実に守っているのだ。


「んっ……うん…」


だが、このままではこっちの身が持たない。
そう悟った八雲は、晴香が目を閉じているのを腕を組んで考え込んだ。





「はるか」



「!」


ピクリと跳ねる身体。

白く手入れの届いた頬が、赤く染まる。


けれどもそれだけ。

しばらく経つと、はむはむと口を動かすのを再開させた。



「……困ったな」

赤くなった顔やら耳に、ますます煩悩は暴走するばかり。
そんな八雲を知ってか知らずか、晴香に止める様子は見えない。

「こうなったら…」

物音を立てないように身体の向きを変え、目を閉じた晴香と向き合う。
真正面から見たその姿にまた、身体が熱くなる。


そっと近寄り、赤い耳に寄せるは唇。
さすがの晴香も気配に気付き、目を開ける。
だが、時すでに遅し。

ふ…っ、と耳に吐息を吹きかけた。


「ひゃっ」


ぴくんと跳ねた拍子に、憎きそいつがぽろりと落ちた。
ショックを受ける晴香には悪いが、陰で胸を撫で下ろす。


「八雲君のばかぁーっ!」

「言うことを聞かない君が悪いんだ」

耳を押さえて知らん顔。
指の間から鼓膜を揺する罵詈雑言にどうにか堪える。


「もう……あとちょっとだったのに…」

そう言うと落ちた太巻きを拾い、パクリと咥えた。

「次はサイズを考えろ」

「計画的に考えましたよーだ」

「さっきまでの苦しそうな顔をしていたのはどこの誰だ?」

「………」

顔を覗き込もうとしたがそらされる。
それに勝利を確信した八雲は、満足げに酎ハイに手を伸ばす。

「ちょっと、お酒苦手なんじゃないの?」

「苦手だからこそ克服するんだ」



奥さんが呑めて旦那が呑めないなんて許せない。

そう宣言した八雲は、モヤモヤした感情を隠すように口を付けた。








「はぁ……」



溜め息を吐いた晴香は、恐る恐る振り返る。


そこには、言葉通りベロンベロンに酔った八雲の姿…


いつも眠たそうなに細めている瞳は垂れ、涙目。

真っ赤に上気した頬に半開きの口は反則だと思う。


…それだけならば、どれだけ良かっただろう。

何故か八雲は、後ろから晴香を抱きしめるように、膝の間に閉じこめていた。
しかも、妙に満足そうな表情で。


酎ハイ三分の一でこれほどまでに酔うとは…

本当に弱いらしい。



「八雲君、もう寝る?」

「うん、ヤる」


何をヤるんだ、何を。



苦笑を浮かべていると、腰に回される手。
慌てて止めさせようとしたが、甘えるように摺り寄られては仕方がない。

溜め息を吐いた晴香は、八雲に寄りかかりながらその手を撫でた。


「まったく……まだ豆まきもしてないのに…」

「別に、しなくても良いだろ」

「八雲君は良くても、私が駄目なの」

八雲からときどき現れる鬼を退治しなくては。
そんなこと言えるわけが無く、晴香は溜め息でごまかした。


「ふーん…」

つまらなそうに口を尖らせ、首に顔を埋めてくる。
くすぐったさに身を捩ると、八雲が笑ったような気がした。

「……?」


不思議に思う裏で嫌な予感。

とっさに逃げようと起き上がったが、時すでに遅し…


「!?」


気付いたときには、後ろからむぎゅっと鷲掴みにされていた。

…胸を。


「え、えっち!変態!どこ触ってるのよ!」

「うるさい」

冷たい手が腹を這う感触に、思わず震える。
それに気を良くしたのか、上に上がる手と下に下がる手。

「まめなら、ここにある…」

「豆じゃないわよっ!」

「いいから君は黙ってろ」

「っ…」

首に噛みつかれ、声が出ない。
いいや。変な声を上げそうで恐い。

それを勝手に“了承”と見た八雲からの攻はもっと恐い。

「もう…なんでこんなになっちゃったのよ…」

寝癖だらけの頭をぐいと押す。

「君が、いけないんだ」

「何がよ」

思い当たる節など、これっぽっちもない。

「……君がいけないんだ」

絞り出された声が聞こえたかと思いきや、途端に変わる視界。

「ちょ、ばか!」

「僕は何一つ悪くない」

「人の話を聞きなさいーっ!」

「うるさい」








翌日、酔いが醒めた八雲は鬼を見たという…






END.



久しぶりにアイタタターなお話になってしまいました…

言い訳をしますとね!これ書き出した時、気分はもうバレンタインで!
節分?節分ってなんぞよ。
みたいなノリになってしまってですね!(必死
……すいませんorz

実は「僕の太巻きを食べry」みたいな下いことを書きかけたんス。
でもあきらかに節分から離れすぎ&申し訳が無く…

来年をお楽しみに!(逃
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