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おまたせしました、バレンタインのお話です!
あの名曲、ばれんたいんでーきっすを目標に書きました。
雰囲気だけね。
八晴:恋人未満
あの名曲、ばれんたいんでーきっすを目標に書きました。
雰囲気だけね。
八晴:恋人未満
カレンダーにはたくさんの×印。
毎日毎日、それが増えていくのが楽しみで。
けれど、どこかやっぱり不安で。
高鳴るドキドキの音は乙女のもの。
数週前から続くカレンダーの×印。
けれど、この×印を書くのも今日でおしまい。
なんてったって今日はバレンタインデーなんだもの。
14日と言う赤い字に、×ではなく○を書く。
今までは黒のボールペンだったが、今日は特別赤いペンで。
「よし!」
キャップを閉めた晴香は、くるりと回った。
それから、机の上の箱を手に取り微笑む。
今日はバレンタイン。
何週間も前からどんなチョコを送ろうかと悩み。
何日も前からどんな服を着ていこうか悩み。
計画を練りに練って、この日を迎えることが出来た。
「ふふっ」
可愛く装飾したリボンが崩れないように、鞄の中にそっと仕舞う。
いつもより桜色の唇が弧を描いた。
映画研究同好会。
その扉の前で、晴香は足を止めた。
ここまで来るのに、楽しみで楽しみでつい駆けてしまい息が荒い。
こんな姿を見せては、まるで急いで来たかのように思われてしまう。
胸に手を当て深呼吸。
それからチェック。桃色のベルトの腕時計。
お寝坊さんな彼のことだから、昼過ぎまで寝ているだろう。
そのことも想定し、遊びに行くには遅い時間にやってきた。
…と言っても、三時というおやつにピッタリな時間だけれど。
「よしっ」
最後にぺちりと頬を叩き、晴香はありったけの勇気で扉を開けた。
「やぁ!」
出来るだけ普段通りにと、作る笑顔。
ちょっとわざとらしかったかな?
という晴香の心配をよそに、部屋の主から帰ってこない返事に首を傾げる。
いつもの窓際パイプ席に、八雲の姿は見えない。
そのまま首が回る範囲で部屋の主を探す。
その姿は案外早く見つかった。
「あ」
使い古された寝袋が、こんもりと大きな山になっている。
ゆっくり上下する山に、晴香は昔見たアニメ映画を思い出した。
「化け猫じゃなくって、あれはお化けだけどね」
くすりと笑い、その顔を覗き込む。
「八雲くん」
呼びかけるも返事はなし。
きれいな寝顔の彼は、すやすや夢の中。
「仰向けで寝るなんて珍しい…」
寒い冬の日は、暖を求めるように丸まって寝ているのに。
仰向けに寝出すと言うことは、暖かくなってきたってことなのかしら?
小さく開いた三角の形をした口。
そんな乾いた唇に、晴香はそっと近付いた。
「……八雲くん」
俯いて落ちてきた前髪を耳に掛ける。
「好き、だよ」
ちゅ、とクリームで潤った唇がカサカサの唇に触れた。
一瞬、だったかもしれない。
静かに離れた晴香は、ぼんやりと彼の寝顔を見つめていた。
ふとした瞬間、自らが侵した重大なことに気がついた。
「や、やだ!」
ぼんっと顔が燃えるように熱くなる。
冷を求めて、手のひらを頬に当てがうが頬の勝ち。
あっという間に両手には熱が移った。
「ファーストキス、だったのに…」
ファーストキスだったのに、こんな寝込みを襲うようなこと…
「で、でも相手が覚えてなかったらノーカウントよね!」
うんそうだ。これは私だけの秘密にしておけば良いんだ。
うんそうだ、そうしよう。
「何がノーカウントだ?」
「!」
届いた声に肩が、身体が跳ねる。
「や、やくもくん…」
恐る恐る振り返ると、そこには八雲の姿。
トレーナーの上にジャージを羽織り、身体を起こしていた。
「いつから起きてらっしゃったのです、か…?」
「そのドアの向こうに不審者が現れたときからだよ」
「ふ、不審者ってねぇっ…!」
思わず顔を上げるが、ぱちりと目があった刹那に蘇る記憶…
「………」
「言い返さないのか?」
くすり。八雲お得意の意地悪な笑みが頭に浮かぶ。
けれど、晴香にはそれを見る勇気すら無くて。
正座を組んだ足の上で、拳を握ることしかできない。
「それで、僕に何の用だ?」
いじわる。わかってるくせに。
随分と丸くなった背中にそっと手を回す。
指先が触れた四角い箱。
この日のために、何時間もかけて選んだ小箱。
「……これっ!!」
精一杯の勇気を振り絞り、八雲に押しつける。
「べ、別に迷惑だったら捨てても返してくれてもも構わないし…!」
あぁ、でも八雲君にもったいないって気持ちがあるなら奈緒ちゃんにあげても構わないよ。八雲君、甘いもの好きだし甘めに作ってあるから奈緒ちゃんも食べれるだろうし。あ、手作りだから早めに食べてねって伝えておいてね。
唾が飛ぶのも気にせずに、まだまだ言葉が続く。
自分でも何を言っているのかわからないのが現状だ。
いつ止まるんだろうか、このお喋りでうるさい口は…
そんな口を止めたのは、意外にも八雲だった。
「誰が奈緒にあげると言った」
「え…?」
それって…それって、貰ってくれるってことなの…?
聞きたいことは山ほどあるのに、今度はなぜか口が動かない。
あほみたいに口が開きっぱなしで、ばか丸出しだ。
数時間選び通した小箱が、八雲に奪われる。
「これは有り難くもらっておくよ」
まるで心の中を見透かされたような言葉に、恥ずかしさでいっぱいだ。
受け取ってくれたことに喜びたいのに。
「それより」
にやりと八雲が笑う。
「ほかに言うことがあるんじゃないか?」
ん、と唇を指す。
「な、なんでしょーか?」
知らばくれようにも、嘘を演じられるほどの力がない。
「人のファーストキスを奪っておいて、なんだそれは」
あぁ、八雲君もファーストキスだったの。
ということは、彼女もいないってことだよね。
「言えよ」
晴香の思考を途切れさせるには充分の三文字。
「えっと……あの…」
どきどき。二人の鼓動が早くなる。
「八雲君が…好き、です」
END.
バレンタインのお話でした!
八雲はきっと、早起きして待っていたと思います。寝たフリでね^^
なんだか久しぶりにほのぼのしたお話が書けたなー…
理由はたぶんね、あの青春といえば!な漫画、君と僕を読んだからだろうね!
もう初々しくてきゅんきゅんしましたわー。
弟くんが八雲に見えてきて仕方がない。さすがよ私の妄想眼。
新刊まだかなー。
毎日毎日、それが増えていくのが楽しみで。
けれど、どこかやっぱり不安で。
高鳴るドキドキの音は乙女のもの。
数週前から続くカレンダーの×印。
けれど、この×印を書くのも今日でおしまい。
なんてったって今日はバレンタインデーなんだもの。
14日と言う赤い字に、×ではなく○を書く。
今までは黒のボールペンだったが、今日は特別赤いペンで。
「よし!」
キャップを閉めた晴香は、くるりと回った。
それから、机の上の箱を手に取り微笑む。
今日はバレンタイン。
何週間も前からどんなチョコを送ろうかと悩み。
何日も前からどんな服を着ていこうか悩み。
計画を練りに練って、この日を迎えることが出来た。
「ふふっ」
可愛く装飾したリボンが崩れないように、鞄の中にそっと仕舞う。
いつもより桜色の唇が弧を描いた。
映画研究同好会。
その扉の前で、晴香は足を止めた。
ここまで来るのに、楽しみで楽しみでつい駆けてしまい息が荒い。
こんな姿を見せては、まるで急いで来たかのように思われてしまう。
胸に手を当て深呼吸。
それからチェック。桃色のベルトの腕時計。
お寝坊さんな彼のことだから、昼過ぎまで寝ているだろう。
そのことも想定し、遊びに行くには遅い時間にやってきた。
…と言っても、三時というおやつにピッタリな時間だけれど。
「よしっ」
最後にぺちりと頬を叩き、晴香はありったけの勇気で扉を開けた。
「やぁ!」
出来るだけ普段通りにと、作る笑顔。
ちょっとわざとらしかったかな?
という晴香の心配をよそに、部屋の主から帰ってこない返事に首を傾げる。
いつもの窓際パイプ席に、八雲の姿は見えない。
そのまま首が回る範囲で部屋の主を探す。
その姿は案外早く見つかった。
「あ」
使い古された寝袋が、こんもりと大きな山になっている。
ゆっくり上下する山に、晴香は昔見たアニメ映画を思い出した。
「化け猫じゃなくって、あれはお化けだけどね」
くすりと笑い、その顔を覗き込む。
「八雲くん」
呼びかけるも返事はなし。
きれいな寝顔の彼は、すやすや夢の中。
「仰向けで寝るなんて珍しい…」
寒い冬の日は、暖を求めるように丸まって寝ているのに。
仰向けに寝出すと言うことは、暖かくなってきたってことなのかしら?
小さく開いた三角の形をした口。
そんな乾いた唇に、晴香はそっと近付いた。
「……八雲くん」
俯いて落ちてきた前髪を耳に掛ける。
「好き、だよ」
ちゅ、とクリームで潤った唇がカサカサの唇に触れた。
一瞬、だったかもしれない。
静かに離れた晴香は、ぼんやりと彼の寝顔を見つめていた。
ふとした瞬間、自らが侵した重大なことに気がついた。
「や、やだ!」
ぼんっと顔が燃えるように熱くなる。
冷を求めて、手のひらを頬に当てがうが頬の勝ち。
あっという間に両手には熱が移った。
「ファーストキス、だったのに…」
ファーストキスだったのに、こんな寝込みを襲うようなこと…
「で、でも相手が覚えてなかったらノーカウントよね!」
うんそうだ。これは私だけの秘密にしておけば良いんだ。
うんそうだ、そうしよう。
「何がノーカウントだ?」
「!」
届いた声に肩が、身体が跳ねる。
「や、やくもくん…」
恐る恐る振り返ると、そこには八雲の姿。
トレーナーの上にジャージを羽織り、身体を起こしていた。
「いつから起きてらっしゃったのです、か…?」
「そのドアの向こうに不審者が現れたときからだよ」
「ふ、不審者ってねぇっ…!」
思わず顔を上げるが、ぱちりと目があった刹那に蘇る記憶…
「………」
「言い返さないのか?」
くすり。八雲お得意の意地悪な笑みが頭に浮かぶ。
けれど、晴香にはそれを見る勇気すら無くて。
正座を組んだ足の上で、拳を握ることしかできない。
「それで、僕に何の用だ?」
いじわる。わかってるくせに。
随分と丸くなった背中にそっと手を回す。
指先が触れた四角い箱。
この日のために、何時間もかけて選んだ小箱。
「……これっ!!」
精一杯の勇気を振り絞り、八雲に押しつける。
「べ、別に迷惑だったら捨てても返してくれてもも構わないし…!」
あぁ、でも八雲君にもったいないって気持ちがあるなら奈緒ちゃんにあげても構わないよ。八雲君、甘いもの好きだし甘めに作ってあるから奈緒ちゃんも食べれるだろうし。あ、手作りだから早めに食べてねって伝えておいてね。
唾が飛ぶのも気にせずに、まだまだ言葉が続く。
自分でも何を言っているのかわからないのが現状だ。
いつ止まるんだろうか、このお喋りでうるさい口は…
そんな口を止めたのは、意外にも八雲だった。
「誰が奈緒にあげると言った」
「え…?」
それって…それって、貰ってくれるってことなの…?
聞きたいことは山ほどあるのに、今度はなぜか口が動かない。
あほみたいに口が開きっぱなしで、ばか丸出しだ。
数時間選び通した小箱が、八雲に奪われる。
「これは有り難くもらっておくよ」
まるで心の中を見透かされたような言葉に、恥ずかしさでいっぱいだ。
受け取ってくれたことに喜びたいのに。
「それより」
にやりと八雲が笑う。
「ほかに言うことがあるんじゃないか?」
ん、と唇を指す。
「な、なんでしょーか?」
知らばくれようにも、嘘を演じられるほどの力がない。
「人のファーストキスを奪っておいて、なんだそれは」
あぁ、八雲君もファーストキスだったの。
ということは、彼女もいないってことだよね。
「言えよ」
晴香の思考を途切れさせるには充分の三文字。
「えっと……あの…」
どきどき。二人の鼓動が早くなる。
「八雲君が…好き、です」
END.
バレンタインのお話でした!
八雲はきっと、早起きして待っていたと思います。寝たフリでね^^
なんだか久しぶりにほのぼのしたお話が書けたなー…
理由はたぶんね、あの青春といえば!な漫画、君と僕を読んだからだろうね!
もう初々しくてきゅんきゅんしましたわー。
弟くんが八雲に見えてきて仕方がない。さすがよ私の妄想眼。
新刊まだかなー。
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