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お久しぶりですおはよう。また名前変えました、カンナ改めyamaです。
久しぶりに出没したかと思いきや、新たなカプに手を染めました。

WJで連載していました、四ッ谷先輩の怪談です。ヨツマコです。

今年はうわきをしまくろうと思うんだ。
せっかく二次創作がすきなのに、一筋なんかじゃもったいない。
そう友人に言われたようななかったような。

とりあえずよろしくお願いします。


四ッ谷/オールキャラ五人組

「ひ、ヒナノぉ…」

「ほら、早くしないと見つかっちゃうよ」

「でも…」

「真が言い出しっぺでしょ」

「ち、違うもん!四ッ谷先輩だもんっ」

「はいはい」



門の向こうのヒナノの身体。

見慣れた親友だというのに、違うヒトに思えてしまう。

その姿はまるで、四ッ谷先輩の怪談に出てくるヒナノのような…


それもこれも“真夜中の学校”のせいであろう。

静けさが包む真っ暗な校舎に、今にも飲み込まれてしまいそうだ。



「真!置いてくよ」

「うああっ!待ってったらヒナノー」


校舎へ向かう後ろ姿に、真は慌てて門を飛び越えた。





「おぉ!やっと来たか!」

四ッ谷文太郎は屋上への訪問客を両手を広げ招き入れた。
足元にはクマキチが嬉しそうに走り回っている。

明かりが消されてしまった今、暗闇に浮かぶ白い顔はいくら命の恩人だとしても怖い。
わざとなのか火の灯ったろうそくを片手にしている。

「こんばんは」

「……中島は?」

「………」

ヒナノの足元には、白目を向いた中島。
口はぽっかり開き、一筋の涎が垂れていた。

「四ッ谷先輩、ただでさえ真は一杯一杯なんですから」

「アレは屋上まで届くいい悲鳴だった」

四ッ谷は転がった人形の生首を左手に、真を右手に抱えた。
伸びた真はそう簡単には目覚めず、されるがまま連れられていく。

“お持ち帰り”とはこのことだ。
一人納得するヒナノをよそに、四ッ谷はソファーにもたれた。
膝の間には当たり前のように真の姿。

「俺としては目の前で聞きたかったがな」

そう言う四ッ谷の目は、言葉とは裏腹に実に優しく見えた。
悲鳴をあげた際に乱れた髪を、人形を愛でるように撫でる。

「四ッ谷先輩って真のこと好きですよね」

「あぁ、稀に聞くいい悲鳴だからなッ!」

せっかく整えた髪を、褒めるようにぐしゃぐしゃと乱す。

「そうじゃなくて…」

ヒナノの声は届かない。
四ッ谷は腕の中の少女にお熱だから。


「くまきちもそう思うよね」

「わふっ」

肯定の返事と見做したヒナノは、真が起きるまでくまきちと遊ぶことにした。
暗闇を“くまきち”と書かれたボールが弧を描いた。





「うぅん…むにゃむにゃ」

「…ねぇ」

「んー…?」

「ねぇ……お、き、て?」

「び、びゃあああああ!」

真の悲鳴とは呼べない声が屋上に響いた。

「シシシッ」

目を丸くするヒナノとくまきち。
四ッ谷は一人、相変わらずの不気味な笑みを浮かべていた。

「なっ、なんで先輩がッ!」

ていうかここはドコっスかなんで先輩がいるんスかどうして夜なんスかそのロウソクはなんでスかさっきまでの山盛りスパゲッティナポリタンはどこにいったんスか返してせんぱいっ!

「うるさい」

「はむっ」

最初は耳を傾けていたものの、いたたまれなくなったのか手が口を塞ぐ。

「おはよう、真」

「あ、ヒナノ」

ドーシテアタシハココニイル、ノ?



「…天体観測」

「あ」

ヒナノに言われて思い出す。


幾数年に一度に訪れるというナントカ流星群。
天体少女というわけじゃあないけれど、世間が騒げばそりゃあ気になる。
こう見えても流行に敏感な女子中学生なのだから。

そしてそれをなんとなぁーく四ッ谷先輩に話してみたら、こうなった。
屋上で天体観測をしよう、ってことになったんだった。


「…そういえばそうだった」

「それより真」

「ん、なぁに?」

ヒナノの綺麗な顎がくいくいと何かを指す。
あたしより、ちょっと上の後ろ。

「?」

振り返って見るとそこには“2A”の組章。
視線を上げるとそこには、四ッ谷先輩の…


「ぎっ、やぁあああああああ!!」

ろうそくの明かりに照らされた四ッ谷の顔。
中島真、本日二度目の悲鳴が暗闇を駆けた。

「な、ななななんで四ッ谷先輩があたしをッ!?」

「倒れたおまえを誰が介抱してやったと思ってる!」

「え…先輩があたしを?」

「あぁそうだ」

「それはそれは…って思い出しました!元はといえば先輩のイタズラが原因じゃないスか!」

「うるさいぞ!」

四ッ谷と真の喧嘩を裂いたのはバタンという音と男の声。
音の方に目を向けると、そこには品茂の姿。

「品茂センセェ、どうしてこんなところに?」

「どうするんですか先輩、先生に見つかっちゃったじゃないっスか!」

「お前らが呼んだんだろ!」

校舎の鍵を開けておいてやったのは誰だと思ってる!

「フヒヒッ」

「あ、そういえば」

「真…」

四ッ谷はわざとだが、真は明らかに忘れていたという顔。
ヒナノは呆れ溜め息を吐いた。

「せっかくお前たちに“イイモノ”を持ってきてやったのにな」

がさっとコンビニビニール袋が音を鳴らす。

品茂は手にした袋から、スナック菓子を取り出した。
じゅるり。真が涎を垂らす。

続いて出てきたのは飲むおしるこ。
ごくり。四ッ谷が涎を飲む。

抹茶アイス。ほねっこ。
きらり。ヒナノとくまきちの瞳が輝いた。


「ふっふっふっ…やさしーい担任が可愛い可愛い生徒のために夜食を買って──」

「コンバンハ」

きらめく夜空に冷めた声。
その場にいる者が恐る恐る振り返った。
くまきちは一匹、品茂のビニール袋に襲いかかる。

「工藤先生!」

「コンバンハ、中島さん」

キツネのような瞳にすべてが整って出来た顔。
キツメン先生こと、工藤先生のご登場だ。

「お前たち、工藤先生も呼んだのか」

「狐先生なんて呼ぶわけないでしょう」

「ボクはね、中島さんがいるところにならどこだって現れるんだよ」

「大事な大事な助手をストーカーするのはやめてもらえますか、工藤センセェ」

バチバチ。二人の間を火花がはぜる。


「それにしても…」

細長い目がすっと開く。
なにをしているのだ、という眼差し。

それをいち早く察知した四人は互いにそっぽを向いた。

「……まったく」

しばらくの間続く静寂を破ったのは、それを作り出した本人。
工藤は肩にかけた細長い鞄を下ろした。

「工藤先生、それはなんですか」

ヒナノが覗き込む。

「あんまり近付くと食われるぞ、ヒナノチャン」

「中島さんもそろそろ離れないと食べられちゃうよ」

「そ、そうだいい加減離してくださいよ先輩!」

「なんだ、イチャついてたんじゃないのか」

「で、なんですかそれ」

むきーっと腕の中でもがく真を無理矢理封じ込め、会話を続ける。

「じゃん」

ニコニコ笑顔の狐が出したのは、長くて白い筒。

「天体望遠鏡…?」

四ッ谷が眉を寄せる。

「本当は僕の28階高級マンションのルーフバルコニーで一人楽しもうと思ったんだけど」

こんな小汚い学校の屋上で天体観測をしようという君たちがあまりにも可哀想なものだから貸してあげようかと思ってね。

「…嫌みたらしいな奴だな」

「気付くのが遅すぎですよ、品茂先生」

「工藤先生…独り身なんだ…」

ふははははと大人気なく笑う工藤を、冷めた目で見やる。

「あ、流れ星」

「えっ」

ヒナノの声に真は顔を上げる。
だが、見上げた先には暗闇。
誰かさんの瞳のように細い三日月が夜空に浮かんでいるだけであった。

「そろそろ時間だな」

腕に巻かれた時計を見つめながら品茂は呟く。
その隣で工藤は天体望遠鏡を楽しそうに組み立て始めた。


「もうっいい加減離してくださ」

ふっ。
突然、屋上を照らしていたはずの灯火が風もないのに消えた。

屋上にいる皆が、息をのむ。


「シシシッ」


暗闇に響くは笑い声。
真後ろから聞こえるこの声は、四ッ谷のもの。


「皆さん、いまが何時かお分かりですか?」


いつの間にかふざけたような声は、怪談モードへと変化していた。

「……まさか」

焦ったようなヒナノの声。
その理由が分からない真は、誰かが口にするのを待った。


「午前二時」


切り離すような四ッ谷の声。
そこまで言われれば、いくら真でも察しがついた。

「ちょっ、先輩まさか最初っから怪談語るつもりでっ」

いくらなんでも耳元で怪談を語られるなんてごめんだ。
暗闇を真の手が漕ぐ。


「草木も眠る丑三つ時っ!」


「ひっ」


がしっ。先輩の大きな手が、真の手首をあっさり捕らえた。



「さァ、語って上げましょう!アナタのための怪談を!」





end.



屋上でこっそり天体観測とか憧れた中二でした。
周りに何もないから綺麗ですよね、きっと。

古舘先生、お疲れさまです。
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