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今日は読み切り版の四ッ谷先生です
先輩もすきですが先生もすき。七三、七三四ッ谷先生がすきなのです
あれはコミクスに収録されるのであろうか…
四ッ谷先生/ヨツマコ
先輩もすきですが先生もすき。七三、七三四ッ谷先生がすきなのです
あれはコミクスに収録されるのであろうか…
四ッ谷先生/ヨツマコ
七月、夏休み初日。
世間は入ったばかりの長期休暇に浮かれ、海にプールにお遊びに。
寝坊したって怒られない。夜更かししたって叱られない。
夏休み終了間際に追われる宿題のことなど忘れ、皆がエンジョイしているのだ。
…あたしを除いて。
「う、うぅーん…?」
右手に手にしたシャープペンシルが止まる。
止まる。と言っても、今までせわしなく動いていた訳でもなく。
この状態がもう何十分と続いていたりした。
「だからね中島サン、そこはそうじゃないんデスヨ?」
カツン。机の隅で音を鳴らすチョーク。
チョークを挟む小枝のように細い人差し指と親指。
そこから手首、白衣から覗くワイシャツ、白衣…と視線を上げていく。
最後にたどり着いた顔には眼鏡とともに冷めた笑みが張り付いていた。
「え、えへへ!」
「笑い事じゃない」
真の笑顔を払い落とすかのように、四ッ谷は容赦なく教科書で頭を叩いた。
世間は夏休み。けれどあたしは学校の教室。
それには深い理由があって。
中島真は長期休暇前にあった、期末テストの結果が赤点ギリギリだったのだ。
その結果、補習という名の地獄の勉強会に強制参加せねばならなかった。
「先生は悲しいぞ中島!お前がこんなにも馬鹿な奴だったとはっ」
「も、元はといえば先生のせいでしょ!」
そうなのだ。元はと言えばすべて、国語教師四ッ谷文太郎がいけないのだ。
テスト二週間前にはさすがの真も焦り、勤勉な学生宜しく勉強をしようとした。したのだが。
まるでそれを狙っていたかのように、四ッ谷は怪談創作の手伝いに真を呼び出したのである。
「あーあ、せんせーが呼び出したりなんかするからァー」
真は不満をぶつける。
だが四ッ谷はふんと鼻で笑う。
「一日しか手伝わなかったヤツが何を」
「うっ…」
確かにそれは四ッ谷の言う通り。
怪談創作の手伝いといっても、それは一日だけのこと。
しかも放課後、町内を響くチャイムの前には帰してくれたのが事実。
返す言葉が見つからず黙り込む真の頭を、四ッ谷は丸めた教科書で叩く。
「まァ、俺にも責任はあるからな」
「?」
叩かれた頭をさすりながら、真は顔を上げる。
「俺がしっかり教えてやる」
にやり。怪しく笑うその顔は、勝ち誇った顔で。
「う、うんっ!」
真のやる気も一気にヒートアップしたのだった。
「…で、なんだこれは」
朝から始まったワンツーマンの補習授業。
午前中も終わりに近付いた今、太陽は真上に見える。
数時間の成果を見ようと四ッ谷による即席テストを受けたのだ。
「お前……ちゃんと起きてたのか?」
「お、起きてたわよ!」
「……なのにこの結果って」
結果など聞くまでもない。残滅だ。
「仕方ないでしょ!暑くて頭に入んないんだから」
「だから俺が扇風機持ってきてやっただろ」
「あんなの扇風機じゃないわよ!」
気まずい雰囲気が教室を包む。
今にも止まりそうな扇風機が、カラカラと音を立てて回り続けていた。
「はぁ…」
二人しかいない教室を、四ッ谷の溜め息が満たす。
かたりと音を立て、椅子から立ち上がる四ッ谷。
「ちょ、どこいくの!?」
「一時間休憩」
「やった」
「お前は勉強」
「えぇーっ」
「サボるなよ」
そう言い残すと四ッ谷は本当に教室を出ていってしまった。
「…なによ」
真は口を歪めた。
背もたれに寄りかかり仰け反る。
「………」
逆さまに見える教室はワンダーランド。
四月に悩んだ自己紹介表。
五月に苦戦した習字。
六月以降、発行しない学級新聞。
七月の記憶に新しい“夏休みの過ごし方”が書かれたプリント。
壁一面に埋め尽くされた紙たちは、一学期の五ヶ月間を物語っていた。
ふと感じた心の寂しさに、真は机に伏せた。
ちらりと時計を見る。まだ五分とたっていない。
「先生まだかなぁ…」
手にしたシャープペンシルは、無為にノートを滑る。
芯が通ったあとを、鉛の粉が道をつくった。
「………」
それにも飽きた真の手から、シャープペンシルがからりと落ちた。
「はやく帰ってきてよ…ばか」
夏の日差しが眩しい。
セーラー服の中の汗臭い。家に帰ってシャワーを浴びたい。
「せんせ…」
中島真は目を閉じた。
カラカラとうるさい扇風機は、窓から吹く夏風にとうとう負けた。
ひやり。いやいやぺたり?
首筋に冷たいモノが触れた。
重たい瞼を持ち上げ、揺らぐ視界に映ったものは……
「なー、かー、しー、まーぁ?」
「ぎっ、ぎょえぇぇえええ!?」
「ウッ、ヒャ、ヒャ、ヒャヒャ!」
驚き椅子から落ちる真を、四ッ谷は腹を抱えて笑いこける。
「なっ、にすんのよ!」
どうやらいつの間にか眠ってしまったようだ。
時計は随分と進んでいた。
ハー、ハーと肩で息をする真は威嚇の眼差しで睨む。
だが涙目の威嚇など、四ッ谷の笑いは気付かない。
「っ…」
「ところで」
四ッ谷はレンズ向こうの目を細めた。
滅多に見ることの出来ない真剣な眼差しに、真の目は奪われる。
こうして下から見上げると、身体の大きさに大人の男の人ということを改めて実感した。
…これは、夏だから。あついからだろうか。
教室に二人っきりだからだろうか。
「な、なによ…」
先生と生徒なんて、禁断の関係だからだろうか。
火照る身体を冷房器具のない教室のせいにして、真は声にした。
微かに声が震え、口を結う。
かたり、かたりと一歩ずつ四ッ谷が近付いてくる。
どくん、どくんと鼓動が速くなる。
骨ばった手が真に伸びる。
ごくり。唾を飲み込んだとき。
「パンツ見えてるぞ」
────は?
真が下を見ると同時に、太ももまでずり下がったスカートがピンと張られた。
四ッ谷の手で。
「緑……ねぇ、真チャン?」
「え、えっち!」
真のビンタを四ッ谷は避ける。
へらへら笑いながら椅子に付く四ッ谷を、真は恨めしそうに睨んだ。
「…先生、あたしの下着見たの二回目」
「もっと見てるぞ」
「へ?」
「ひーふーみー…」
「ちょ、ちょっとなんでそんなに見てるの!?」
「それは内緒です」
唇に人差し指を当てる姿は悔しくも様になっていた。
納得しない真はしぶしぶ席に着く。
そんな真を見てから、四ッ谷はビニール袋を突き出した。
「?」
「ほら、これやるから午後も頑張れ」
」
ビニール袋の中には、チューブ型のアイスクリームが一つ。
「し、しぇんしぇー!」
感動のあまり、真の瞳には涙がキラリと輝いた。
「ほーれほれ、こういうときはなんて言うのかな?」
「先生だいすきっ!」
真は早速、チューブアイスを取り出す。
二つに割れる、コーヒー味のアイスクリーム。
「半分は俺のだ」
「あい」
差し出してきた四ッ谷の手に、半分に割ったチューブアイスを渡す。
夏風に、負けじと回る扇風機。
「これ食べたら再テストな」
「えー」
夏休みも補習も、まだまだ始まったばかりだ。
END.
先生と真ちゃんでした。
先輩も好きだけど先生も好きです。
単行本に四ッ谷先生は収録されるのだろうか。
されるのならば、七三四ッ谷も収録されるのだろうか。(←
先生は夏休みとか、真ちゃん呼び出してそう。
でもって夕方のチャイムが鳴る前に帰してそう。(なんという健全
だって中学生だもの。
世間は入ったばかりの長期休暇に浮かれ、海にプールにお遊びに。
寝坊したって怒られない。夜更かししたって叱られない。
夏休み終了間際に追われる宿題のことなど忘れ、皆がエンジョイしているのだ。
…あたしを除いて。
「う、うぅーん…?」
右手に手にしたシャープペンシルが止まる。
止まる。と言っても、今までせわしなく動いていた訳でもなく。
この状態がもう何十分と続いていたりした。
「だからね中島サン、そこはそうじゃないんデスヨ?」
カツン。机の隅で音を鳴らすチョーク。
チョークを挟む小枝のように細い人差し指と親指。
そこから手首、白衣から覗くワイシャツ、白衣…と視線を上げていく。
最後にたどり着いた顔には眼鏡とともに冷めた笑みが張り付いていた。
「え、えへへ!」
「笑い事じゃない」
真の笑顔を払い落とすかのように、四ッ谷は容赦なく教科書で頭を叩いた。
世間は夏休み。けれどあたしは学校の教室。
それには深い理由があって。
中島真は長期休暇前にあった、期末テストの結果が赤点ギリギリだったのだ。
その結果、補習という名の地獄の勉強会に強制参加せねばならなかった。
「先生は悲しいぞ中島!お前がこんなにも馬鹿な奴だったとはっ」
「も、元はといえば先生のせいでしょ!」
そうなのだ。元はと言えばすべて、国語教師四ッ谷文太郎がいけないのだ。
テスト二週間前にはさすがの真も焦り、勤勉な学生宜しく勉強をしようとした。したのだが。
まるでそれを狙っていたかのように、四ッ谷は怪談創作の手伝いに真を呼び出したのである。
「あーあ、せんせーが呼び出したりなんかするからァー」
真は不満をぶつける。
だが四ッ谷はふんと鼻で笑う。
「一日しか手伝わなかったヤツが何を」
「うっ…」
確かにそれは四ッ谷の言う通り。
怪談創作の手伝いといっても、それは一日だけのこと。
しかも放課後、町内を響くチャイムの前には帰してくれたのが事実。
返す言葉が見つからず黙り込む真の頭を、四ッ谷は丸めた教科書で叩く。
「まァ、俺にも責任はあるからな」
「?」
叩かれた頭をさすりながら、真は顔を上げる。
「俺がしっかり教えてやる」
にやり。怪しく笑うその顔は、勝ち誇った顔で。
「う、うんっ!」
真のやる気も一気にヒートアップしたのだった。
「…で、なんだこれは」
朝から始まったワンツーマンの補習授業。
午前中も終わりに近付いた今、太陽は真上に見える。
数時間の成果を見ようと四ッ谷による即席テストを受けたのだ。
「お前……ちゃんと起きてたのか?」
「お、起きてたわよ!」
「……なのにこの結果って」
結果など聞くまでもない。残滅だ。
「仕方ないでしょ!暑くて頭に入んないんだから」
「だから俺が扇風機持ってきてやっただろ」
「あんなの扇風機じゃないわよ!」
気まずい雰囲気が教室を包む。
今にも止まりそうな扇風機が、カラカラと音を立てて回り続けていた。
「はぁ…」
二人しかいない教室を、四ッ谷の溜め息が満たす。
かたりと音を立て、椅子から立ち上がる四ッ谷。
「ちょ、どこいくの!?」
「一時間休憩」
「やった」
「お前は勉強」
「えぇーっ」
「サボるなよ」
そう言い残すと四ッ谷は本当に教室を出ていってしまった。
「…なによ」
真は口を歪めた。
背もたれに寄りかかり仰け反る。
「………」
逆さまに見える教室はワンダーランド。
四月に悩んだ自己紹介表。
五月に苦戦した習字。
六月以降、発行しない学級新聞。
七月の記憶に新しい“夏休みの過ごし方”が書かれたプリント。
壁一面に埋め尽くされた紙たちは、一学期の五ヶ月間を物語っていた。
ふと感じた心の寂しさに、真は机に伏せた。
ちらりと時計を見る。まだ五分とたっていない。
「先生まだかなぁ…」
手にしたシャープペンシルは、無為にノートを滑る。
芯が通ったあとを、鉛の粉が道をつくった。
「………」
それにも飽きた真の手から、シャープペンシルがからりと落ちた。
「はやく帰ってきてよ…ばか」
夏の日差しが眩しい。
セーラー服の中の汗臭い。家に帰ってシャワーを浴びたい。
「せんせ…」
中島真は目を閉じた。
カラカラとうるさい扇風機は、窓から吹く夏風にとうとう負けた。
ひやり。いやいやぺたり?
首筋に冷たいモノが触れた。
重たい瞼を持ち上げ、揺らぐ視界に映ったものは……
「なー、かー、しー、まーぁ?」
「ぎっ、ぎょえぇぇえええ!?」
「ウッ、ヒャ、ヒャ、ヒャヒャ!」
驚き椅子から落ちる真を、四ッ谷は腹を抱えて笑いこける。
「なっ、にすんのよ!」
どうやらいつの間にか眠ってしまったようだ。
時計は随分と進んでいた。
ハー、ハーと肩で息をする真は威嚇の眼差しで睨む。
だが涙目の威嚇など、四ッ谷の笑いは気付かない。
「っ…」
「ところで」
四ッ谷はレンズ向こうの目を細めた。
滅多に見ることの出来ない真剣な眼差しに、真の目は奪われる。
こうして下から見上げると、身体の大きさに大人の男の人ということを改めて実感した。
…これは、夏だから。あついからだろうか。
教室に二人っきりだからだろうか。
「な、なによ…」
先生と生徒なんて、禁断の関係だからだろうか。
火照る身体を冷房器具のない教室のせいにして、真は声にした。
微かに声が震え、口を結う。
かたり、かたりと一歩ずつ四ッ谷が近付いてくる。
どくん、どくんと鼓動が速くなる。
骨ばった手が真に伸びる。
ごくり。唾を飲み込んだとき。
「パンツ見えてるぞ」
────は?
真が下を見ると同時に、太ももまでずり下がったスカートがピンと張られた。
四ッ谷の手で。
「緑……ねぇ、真チャン?」
「え、えっち!」
真のビンタを四ッ谷は避ける。
へらへら笑いながら椅子に付く四ッ谷を、真は恨めしそうに睨んだ。
「…先生、あたしの下着見たの二回目」
「もっと見てるぞ」
「へ?」
「ひーふーみー…」
「ちょ、ちょっとなんでそんなに見てるの!?」
「それは内緒です」
唇に人差し指を当てる姿は悔しくも様になっていた。
納得しない真はしぶしぶ席に着く。
そんな真を見てから、四ッ谷はビニール袋を突き出した。
「?」
「ほら、これやるから午後も頑張れ」
」
ビニール袋の中には、チューブ型のアイスクリームが一つ。
「し、しぇんしぇー!」
感動のあまり、真の瞳には涙がキラリと輝いた。
「ほーれほれ、こういうときはなんて言うのかな?」
「先生だいすきっ!」
真は早速、チューブアイスを取り出す。
二つに割れる、コーヒー味のアイスクリーム。
「半分は俺のだ」
「あい」
差し出してきた四ッ谷の手に、半分に割ったチューブアイスを渡す。
夏風に、負けじと回る扇風機。
「これ食べたら再テストな」
「えー」
夏休みも補習も、まだまだ始まったばかりだ。
END.
先生と真ちゃんでした。
先輩も好きだけど先生も好きです。
単行本に四ッ谷先生は収録されるのだろうか。
されるのならば、七三四ッ谷も収録されるのだろうか。(←
先生は夏休みとか、真ちゃん呼び出してそう。
でもって夕方のチャイムが鳴る前に帰してそう。(なんという健全
だって中学生だもの。
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