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パロです。前から書きたかった先生と先輩と真ちゃんのお話
『四ッ谷先生』読んでいなくても、四ッ谷先生っていう先輩にそっくりな国語の先生がいるんだよ
ってことを頭に入れておいてくれれば普通に読めますのでどうぞ
四ッ谷の二人と真ちゃん
『四ッ谷先生』読んでいなくても、四ッ谷先生っていう先輩にそっくりな国語の先生がいるんだよ
ってことを頭に入れておいてくれれば普通に読めますのでどうぞ
四ッ谷の二人と真ちゃん
ブルーマンデー。
今日も今日とてあたしの脳みそでは理解できない授業に参加。
給食のおかわり戦争に出陣し。
昼休みにヒナノと休日にあったことを仲良く談笑して。
放課後。屋上で待つ先輩の元へ直行。
そんないつも通りのスケジュールのはずだったのに───
「ハジメマシテ。今日から国語を教えます四ッ谷文太郎です」
ブルーマンデー朝礼時。
その日事件は起きた。
「ねェねェ、四ッ谷先生て四ッ谷先輩と関係あるのかな」
「実は四ッ谷先生が四ッ谷先輩だったりして」
「怪談が集まらないから自分から探しに出てきたって噂だよ!」
「それより国語教師なのになんで白衣?」
「あ、次の授業国語じゃん!」
耳に入るは戯れ言。
今朝の朝礼に起きた“事件”は、あっという間に全校生徒中に広まり。
どこにいても“四ッ谷先生”の噂を耳にした。
「…真」
一時間目、例の先生による国語の授業がはじまる前。
ガヤガヤと“四ッ谷先生”の噂が流れる賑やかな教室。
隣の席に座るヒナノに小さな声で呼ばれる。
「………」
その表情は、皆まで言うまではない。
「あたし、先輩のとこ行ってくる」
思い切ったように立ち上がり、教室を飛び出した。
予鈴が鳴り教室へ戻っていく波を、真は逆らい走る。
“四ッ谷先輩”と“四ッ谷先生”──
名前だけではなく雰囲気も似た二人。
何かある、何かあるにちがいない。
階段まで辿り着き、屋上へと一気に駆け上がった。
とにかく先輩に会いに行かなくては。
「っ…!」
最後の曲がり角を曲がったとき。真は目を疑った。
屋上前の扉の前。
そこには、白い白衣が眩しい“四ッ谷先生”がいた。
真のことに気付かないのか扉の方を向いたまま動かない。
その後ろ姿はまっすぐに、四ッ谷先輩のいる屋上を見ている。
痺れを切らした真は、階段の下から声を張った。
「よ、四ッ谷先生ぇ…!」
硬質そうな束ねられた髪を、揺らし振り返る。
反射したメガネの奥の瞳が窺えない不安から、自然と身構えてしまう。
「いやぁ、助かりました!」
だが、そんな不安すら吹き飛ばしてしまう笑顔を見せられ、あっけらかんとなる真。
「教室に行こうと思ったんデスが、迷子になってしまって」
屋上前の踊り場を、ぐるりぐるりとゆっくり歩き回る。
それはどこか怪談を語るときの先輩のようで、その姿を払うように真は首を振った。
「でもアナタのおかげで助かりました」
ふわりと飛んだかと思いきや、いつの間にか目の前にある大きな身体。
「どうかお名前を」
「なっ、かしままことです」
「クラスは?」
「2A、すっ」
両手を握られ、ぐいぐいと近付いてくる身体と顔。
「ちょ、近っ…」
不気味な威圧感に、一歩後ろへと下がる。
すぽり。
何か、何かが抜けるような音。
そして、手に感じるずしりとした重たさ。
いやな予感がしつつも、両手へと視線を下ろす。
「ぎ」
自らの手にぶら下がった、肘から上がない生気の感じられない腕。
四ッ谷先生の白衣の袖には、腕がなくなっていた。
「ぎょえええええっ!!」
真の悲鳴が、二人きりの踊り場に響き渡った。
「ひゃー、は、は、は、はっ!」
ぶるぶると震える真に対し、声高々に笑い声をあげる先生。
この光景を、あたしはどこかで見たことがある。
「お前」
びくり。
そうだ。
「いい悲鳴だな」
四ッ谷先輩のときと一緒だ。
「そろそろ時間だ」
白衣の袖から出てくる本物の腕。
「時間ってなんですか」
「授業に決まっているだろう」
そうだ、確か2Aの次は国語の授業だった。
「…教室いこうとして屋上に来ちゃうってすごい方向音痴なんですね」
「うん」
腕をポケットにつっこみ、スッポスッポとスリッパを鳴らしながら真の横を通り過ぎていく。
スピーカーから響く、授業開始のチャイム。
あぁ、急いで教室に戻らなくては。
そのチャイムにかき消されそうな小さな声が聴こえた。
「だって“四ッ谷先輩”に会いにきたんだからね」
「え?」
とっさに振り返るも、そこに四ッ谷先生の姿はなかった。
耳を澄まし聞こえるスリッパの音。
それを頼りに追いかけ、真は声を張る。
「四ッ谷先生!そっち、2Aの教室じゃないっすよ!」
赴任早々、授業に遅刻してきた“四ッ谷先生”の噂は、放課後には全校生徒の間に広まっていた。
それと“四ッ谷先生に浮気をした十間島さん”の噂も。
「う、浮気って…」
通りすがりに聞こえた戯れ言に、真はうなだれる。
隣のヒナノが笑いながらも励ましてくれた。
もちろん浮気なんてしていない。
ただ一緒に遅刻して教室に入ってきただけなのだ。
…そもそも、浮気ってなんだ。
あたしは四ッ谷先輩と付き合っているわけじゃあないんだから、浮気もなにもないだろう。
「でも四ッ谷先輩とは違ってまともそうな人だったね」
「まともォ〜?」
頭をよぎるは作り物の腕でイタズラをしてきた四ッ谷先生の姿。
ヒナノにそれをバラしてやろうとしたが、授業中の姿を思い出して止まる。
確かに授業は真面目で、でも面白おかしく説明をし生徒の心を掴んでいるようにみえた。
しかも余った時間に『きょうの怪談』なる怪談話をしはじめ、男女ともに支持率は上がっていた。
事実、授業終了後に黄色い声援を振り撒く女子に囲まれていたし。
なんだかそれが憎たらしくて、四ッ谷先生の本性をヒナノに話してやった。
話し終える頃にはヒナノの笑いはただの苦笑いに代わっていた。
「…偶然、なのかな」
名前、風貌、怪談好き。
ヒナノの白くて細い指が三本立つ。
「…今度こそ、先輩のとこ行ってくる」
部活があるというヒナノと別れ、本日二度目の同じ道を真は駆けていった。
“四ッ谷先生”と“四ッ谷先輩”───
ドッペルゲンガーではないけれど、二人は出会ってはいけない。
そんな予感がした。
ブルーマンデー放課後。
出会ってはいけない二人が出会う。
END.
四ッ谷先生と四ッ谷先輩と真ちゃん
高校設定にするか中学設定にするか迷いましたが、やっぱり屋上でしょってことで中学設定に
公式でも三人の絡みとかみてみたいす
長編にがてだからなぁ…そのうちぐだぐだして短編になるに違いない
気まぐれでつづきまっする
今日も今日とてあたしの脳みそでは理解できない授業に参加。
給食のおかわり戦争に出陣し。
昼休みにヒナノと休日にあったことを仲良く談笑して。
放課後。屋上で待つ先輩の元へ直行。
そんないつも通りのスケジュールのはずだったのに───
「ハジメマシテ。今日から国語を教えます四ッ谷文太郎です」
ブルーマンデー朝礼時。
その日事件は起きた。
「ねェねェ、四ッ谷先生て四ッ谷先輩と関係あるのかな」
「実は四ッ谷先生が四ッ谷先輩だったりして」
「怪談が集まらないから自分から探しに出てきたって噂だよ!」
「それより国語教師なのになんで白衣?」
「あ、次の授業国語じゃん!」
耳に入るは戯れ言。
今朝の朝礼に起きた“事件”は、あっという間に全校生徒中に広まり。
どこにいても“四ッ谷先生”の噂を耳にした。
「…真」
一時間目、例の先生による国語の授業がはじまる前。
ガヤガヤと“四ッ谷先生”の噂が流れる賑やかな教室。
隣の席に座るヒナノに小さな声で呼ばれる。
「………」
その表情は、皆まで言うまではない。
「あたし、先輩のとこ行ってくる」
思い切ったように立ち上がり、教室を飛び出した。
予鈴が鳴り教室へ戻っていく波を、真は逆らい走る。
“四ッ谷先輩”と“四ッ谷先生”──
名前だけではなく雰囲気も似た二人。
何かある、何かあるにちがいない。
階段まで辿り着き、屋上へと一気に駆け上がった。
とにかく先輩に会いに行かなくては。
「っ…!」
最後の曲がり角を曲がったとき。真は目を疑った。
屋上前の扉の前。
そこには、白い白衣が眩しい“四ッ谷先生”がいた。
真のことに気付かないのか扉の方を向いたまま動かない。
その後ろ姿はまっすぐに、四ッ谷先輩のいる屋上を見ている。
痺れを切らした真は、階段の下から声を張った。
「よ、四ッ谷先生ぇ…!」
硬質そうな束ねられた髪を、揺らし振り返る。
反射したメガネの奥の瞳が窺えない不安から、自然と身構えてしまう。
「いやぁ、助かりました!」
だが、そんな不安すら吹き飛ばしてしまう笑顔を見せられ、あっけらかんとなる真。
「教室に行こうと思ったんデスが、迷子になってしまって」
屋上前の踊り場を、ぐるりぐるりとゆっくり歩き回る。
それはどこか怪談を語るときの先輩のようで、その姿を払うように真は首を振った。
「でもアナタのおかげで助かりました」
ふわりと飛んだかと思いきや、いつの間にか目の前にある大きな身体。
「どうかお名前を」
「なっ、かしままことです」
「クラスは?」
「2A、すっ」
両手を握られ、ぐいぐいと近付いてくる身体と顔。
「ちょ、近っ…」
不気味な威圧感に、一歩後ろへと下がる。
すぽり。
何か、何かが抜けるような音。
そして、手に感じるずしりとした重たさ。
いやな予感がしつつも、両手へと視線を下ろす。
「ぎ」
自らの手にぶら下がった、肘から上がない生気の感じられない腕。
四ッ谷先生の白衣の袖には、腕がなくなっていた。
「ぎょえええええっ!!」
真の悲鳴が、二人きりの踊り場に響き渡った。
「ひゃー、は、は、は、はっ!」
ぶるぶると震える真に対し、声高々に笑い声をあげる先生。
この光景を、あたしはどこかで見たことがある。
「お前」
びくり。
そうだ。
「いい悲鳴だな」
四ッ谷先輩のときと一緒だ。
「そろそろ時間だ」
白衣の袖から出てくる本物の腕。
「時間ってなんですか」
「授業に決まっているだろう」
そうだ、確か2Aの次は国語の授業だった。
「…教室いこうとして屋上に来ちゃうってすごい方向音痴なんですね」
「うん」
腕をポケットにつっこみ、スッポスッポとスリッパを鳴らしながら真の横を通り過ぎていく。
スピーカーから響く、授業開始のチャイム。
あぁ、急いで教室に戻らなくては。
そのチャイムにかき消されそうな小さな声が聴こえた。
「だって“四ッ谷先輩”に会いにきたんだからね」
「え?」
とっさに振り返るも、そこに四ッ谷先生の姿はなかった。
耳を澄まし聞こえるスリッパの音。
それを頼りに追いかけ、真は声を張る。
「四ッ谷先生!そっち、2Aの教室じゃないっすよ!」
赴任早々、授業に遅刻してきた“四ッ谷先生”の噂は、放課後には全校生徒の間に広まっていた。
それと“四ッ谷先生に浮気をした十間島さん”の噂も。
「う、浮気って…」
通りすがりに聞こえた戯れ言に、真はうなだれる。
隣のヒナノが笑いながらも励ましてくれた。
もちろん浮気なんてしていない。
ただ一緒に遅刻して教室に入ってきただけなのだ。
…そもそも、浮気ってなんだ。
あたしは四ッ谷先輩と付き合っているわけじゃあないんだから、浮気もなにもないだろう。
「でも四ッ谷先輩とは違ってまともそうな人だったね」
「まともォ〜?」
頭をよぎるは作り物の腕でイタズラをしてきた四ッ谷先生の姿。
ヒナノにそれをバラしてやろうとしたが、授業中の姿を思い出して止まる。
確かに授業は真面目で、でも面白おかしく説明をし生徒の心を掴んでいるようにみえた。
しかも余った時間に『きょうの怪談』なる怪談話をしはじめ、男女ともに支持率は上がっていた。
事実、授業終了後に黄色い声援を振り撒く女子に囲まれていたし。
なんだかそれが憎たらしくて、四ッ谷先生の本性をヒナノに話してやった。
話し終える頃にはヒナノの笑いはただの苦笑いに代わっていた。
「…偶然、なのかな」
名前、風貌、怪談好き。
ヒナノの白くて細い指が三本立つ。
「…今度こそ、先輩のとこ行ってくる」
部活があるというヒナノと別れ、本日二度目の同じ道を真は駆けていった。
“四ッ谷先生”と“四ッ谷先輩”───
ドッペルゲンガーではないけれど、二人は出会ってはいけない。
そんな予感がした。
ブルーマンデー放課後。
出会ってはいけない二人が出会う。
END.
四ッ谷先生と四ッ谷先輩と真ちゃん
高校設定にするか中学設定にするか迷いましたが、やっぱり屋上でしょってことで中学設定に
公式でも三人の絡みとかみてみたいす
長編にがてだからなぁ…そのうちぐだぐだして短編になるに違いない
気まぐれでつづきまっする
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