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もう終わってしまった作品に付いては妄想するしかない。
いや、終わってない作品についても妄想してますが。
というより妄想だけが生き甲斐。


秋になってしまいましたが気分は夏で!さいきんそんなんばっか!えへっ

428:ヨツマコ(なんかいろいろ注意)

「つ、か、れ、タァーッ!」



屋上へと続く階段を、ふらふらふらと上っていく。

右へ左へ揺れる足は千鳥足。


それでも屋上を目指すのはやめれない。

屋上が、先輩が磁石のS極ならば、あたしはN極。


この先、どんな困難があったってあたしたちは史上最強の磁石を目指すのだ。

と、誰に宣言するでもなく、寄りかかるようにドアノブに手をかけた。





「ちわぁー……すっ」


倒れ込むように屋上へと足を踏み入れる。
サンサンに輝く太陽が迎える屋上は、正直キツい。

そんな中、傘の下の黒いソファの下にいる先輩はいつものように迎えてくれた。
だが、さすがに普段とは違う様子に気付いたのか眉を寄せて真を見やった。

「……どーした、珍しく元気ないな」

「バリバリ元気ないっス」

「女の子の日か」

「ちがいます」

ソファの後ろ、白いチェアに仰向けになって倒れ込む。
太陽の熱に浴びせられたプラスチックは生暖かかった。


「…昨日、体育祭があったんスよ」

「あぁ、そうだったな」

「で、今日もまた体育だったんです」

「ほうほう」

「しかも部活で試合まであったんです」

「なるほどな」


要は疲れているのだ。

いくら体育会系だからと言っても、所詮は人間。
疲れることだってある。


気を使ってくれたのか、四ッ谷の手が傘の柄を掴み真の方へと傾けた。
漆黒色の傘が、真の頭上に広がる青空を隠した。


「…先輩はいいですよね、体育祭も部活もなくて」

試験もなんにもなくてほんと、妖怪みたいっス。そのうちそのサンダルと髪の毛で闘い出すんじゃあないですか。お父さんは目玉だったりします?

普段から溜め込んでいたストレスを発散するかのように、イヤミを込めて言ってやる。
キシシ、という声に真は顔を上げた。


「…じゃあ、そんなお疲れな真チャンに優しい先輩からプレゼントだッ!」

「え、ちょ、怪談フルコースはいやっスよ!」


慌てて構える真に対し、ぎしりと軋む白いチェア。

目の前に広がったのは青空でもなく傘でもなく。


「もっと、もっと、イイコト。だ」


何かを企んだ笑顔の先輩であった…





顔の横につかれた手。

太股の横に置かれた膝。


四ッ谷の四肢の檻に捕まった真は逃げることができないでいた。


「なに、するんですか…」

恐る恐る訪ねるも、四ッ谷の口は静かに一文字に結ばれるだけ。
普段垣間見ることのできないまじめな表情に、ますます動くことができなくなった。


顔の横にあった手が、身体のラインにそって制服の上から下へと降りていく。
肩、二の腕、手首に手のひら、脇腹、腰。


それはもういやらしさたっぷりに降ろされる。


そして脚へと辿りついた手は、スカートの中へと潜りこんだ。


「まって、やだ。だめっ」

さすがに声を上げるが、聴いてはくれない。

太股を内側から外側へと舐めるように探るように撫で回す。
細く冷たい指が内側を掠る度に、変な声を上げそうになる。

制止よりもこの声を聴かれたくなく、真は口を閉じた。


五本の指が白い肌に食い込む。


「ん…っ!」


びくり。真の身体が跳ねる。

それをみた四ッ谷は、一文字に閉じた口端を堪えるように上げた。


「中島ァ…」


指先の揉む力は弱くなったり強くなったり。

身を捩る真を横目に四ッ谷は親指の力を強めた。


硬くなった身体の力が抜け、親指から広がるような気持ちよさ。

昨日今日と溜まった疲れが、みるみるうちに解消していく。


そう、それはまるで揉みほぐされているかのように…




「はひ…?」


先ほどまで感じたやらしさが、今は感じられない。

いやむしろ、気持ちよさというか優しさというか。


不思議に思った真は、固く閉じていた瞼を開け四ッ谷を見上げた。



「俺はただ、マッサージしてやろうとしただけだ」

にやり。

ちょっと前まで真面目な顔してた奴が、いまは子供みたいに無邪気な笑みを浮かべていた。
訂正、無邪気ではなく不気味な。

「なァに考えてたのかな、真ちゃん?」

四ッ谷に言われ、途端に込み上げてくるのは顔の熱さと恥ずかしさ。
しかもそれを目の前の男に指摘され、ただただ俯くことしかできなかった。

「ずいぶんかわいい声で鳴くんだな」

悲鳴以外ではじめてゾクゾクしたぞ!
ますます真っ赤になる真とは対照的に楽しそうに笑う四ッ谷。


笑い事じゃない!

叫びたいのは山々であったが、そんな余裕などいまの真には存在しなかった。



「ほら俯せになれ」

落ち着きを取り戻してきた頃。
タイミングを見計らったかのように、ポンポンと腰を叩かれた。

「へんなこと、しないでくださいよ」

落ち着きはしてきたが、顔が熱いのには変わらない。
赤いであろう顔を隠したいというのも押して、真は言われるがままに白いチェアに俯せた。

脚の付け根辺りに跨った四ッ谷はさっそくと言わんばかりに背中に手を伸ばした。



最初は警戒心丸出しの真であったが、確かにくる気持ちよさにそれは段々と薄れていった。


「あぁー…もうちょっと右、お願いします…」

「ここらか?」

「そこそこ、そこです」

肩甲骨辺りを四ッ谷の親指が押す。

「先輩、マッサージうますぎます」

「こう見えて好きだからな」

「へぇー、意外ですね」

背中を押していた指が下と下がっていく。

「…ローションもあるけど、使うか?」

「いいですねぇ、オイルマッサージとか大人っぽくてすてきっス」

腰の疲れも取れてきた頃。
わき腹を手のひらで撫でられくすぐったさが襲ってくる。
身を捩る真をよそに、四ッ谷の手はどんどん下がる。

「やだぁ、くすぐったいですよー」

その間も四ッ谷の手は止まらない。
セーラー服の中に滑り込んだ手は、薄い腹をさらりと撫でた。
汗ばんだ腹は、さらりというよりぺたり。

「くすぐったいのは最初だけ、すぐに気持ちよくなるから安心していいぞ!」

「そう言って痛くするつもりですね、先輩」

「そんなことはない」

「……本当すか?」

「知りたい?」

「そりゃ気持ちいいなら…───」



バタン。

二人きりの屋上世界にドアが開く音。
音のした方へと目を向けると、ドアに寄りかかった工藤の姿。

「あ、工藤先生!」

「やぁ、コンニチハ」

起き上がろうとするも、四ッ谷のせいで身体を起こすことができない。
そんな二人をみた工藤は、狐目をさらに細めて笑みを見せた。

「四ッ谷くんはいったいナニをしてるのかな?」

「………」

「先輩、珍しくマッサージしてくれてるんですよ」

明日は雨ですね、きっと!
にこりとした満面の笑みに、工藤は作られた笑顔で返す。

「それはそうと中島さん、品茂先生が呼んでたよ」

「え、品茂先生が?」

「ホラホラ、はやく行かないと。大変なことになっちゃうよ」

四ッ谷の腕を掴み、無理矢理引き剥がす。

「大変なことってなんですかー?」

起き上がった真はケラケラと笑いながら、一礼して去っていった。





「…さて、と」

ドアが閉まる音。四ッ谷は工藤の腕を払い落とした。

「四ッ谷くん、きみは中学生の女の子にナニをしようとしていたのカナ?」

「センセェこそ、覗きだなんて悪い趣味をお持ちで」

「生徒指導だよ。最近は生徒の淫らな行為が目立つからね」

「随分と熱心なことで」

ところで。工藤は冷ややかな目で四ッ谷を見下ろした。

「ローションって…四ッ谷くん、中島さんにナニをするつもりカナ?」

「電気マッサージ器もありますよォ」

「……きみ、最低だね」

「工藤先生には言われたくありませんね」

そんな屋上に、ダッダッダッと駆けてくる音。
休む間もなくドアが開く音。

「工藤先生!品茂先生、呼んでなんてなかったじゃないスか!」

「あれれーおかしいなぁ」

「先輩!マッサージのつづき、お願いします!」

「おうおう、それじゃあこっちにこい中島」

「はぁーい」

「…じゃあ僕は監視させてもらおうかな」

「監視って、へんなことする訳じゃないんですからー」



キシシと笑う少女をよそに、男二人は苦笑を浮かべた。

そんな夏戦のはじまり。





END.



真ちゃんは日々、先輩にセクハラを受けてそうです。
というより先輩はオープンな気がします。むっつりよりオープンなスケベ。
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