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八雲で高校生パロディ、高校生日記です。


前回、まだ続くと言っておきながらラストです。
年末在庫上げちゃう祭。

なんだかんだ、溜まっていたものを吐き出すことができてよかったです。
上げないで捨てちゃうのももったいないし。
だからと言って、季節外れなものを上げるのも気が引けましたし。
またやりたいです。はい。と言うより、ちゃんと上げない私がいけないんだ…


これは、今年のお正月に上げようとしていたものです。
けれど半分書いたところで書けなくなり、最近になって最後まで書きました。

高校生日記自体、一年半ぶりですね…
思ってみればこれも平和パロ?

八雲/高校生日記(パロ)

私の足下には、乙女の宿敵とも言えるヤツがいた。



「………」



動かないソレと見つめ合うこと数十分。

いい加減、勝負をつけようとそーっと一歩、足を進める。


ぎゅっと目を閉じ、両足を揃えて。

深呼吸をして、出来るだけ減らそうとする本心が、無意識の背伸び。



「………」



恐る恐る開いた瞳が捕らえたのは……






戦場は洗面所。

敵は体重計。


勝敗を決めるは、過去の自分。






「ふ、増えてる…っ」


ガクリと膝の力が抜けると同時に、晴香の中の何かもガクリと折れた。


…晴香の体重を支えているのは、薄っぺらの箱。

小さな窓から覗くメモリを指すのは赤い針。


その針が指した重さは、年を越す前よりも明らかに増えていて…


「ど…どうしよう…」


そんな数十キロも増えたわけではない。
けれど、何キロでも何グラムでも。

増えたら増えたで、それは乙女にとっては悲劇そのものなのだ。


「………」


そんなとき、ふと目に入ったのは…

自身を包む、布切れたち。



「す、少しでも減っていますよーにっ」


布擦れの音のあと、目を閉じ足を体重計に乗せた。
ひやりと冷たいアルミは、冬の空気と合わさり肌に粟を作り出す。


恐る恐る開いた瞳が捉えたのは、先ほどとあまり変わらないメモリ…



「やっぱり太ってる…」


「何してるんだ?」



憂鬱にまみれた溜め息を追うように、続くは男の声。

「!?」

誰にも見られないようにと、こっそり洗面所に閉じこもっていたはず。
だから、誰かの声などするわけがなく…

驚いた晴香が振り返ると、そこには眠たそうな顔をした八雲がいた。


「な、何してるのよ!」

言われた言葉をそのまま返す。
それが不快だったのか、眉間に皺を寄せて溜め息をつかれた。

「何って……トイレに行ったから手を洗いに来ただけだ」

「……あっそ」

八雲に気付かれないよう、体重計からこっそり降りる。
願わくば、気付かないで欲しい…


「それで、君は何をしてるんだ?」

「………」


けれど、願いは叶わず。
何と答えようかと、晴香は頭を働かせる。


「ま、どうせ正月の間に体重が増えていたとかだろ?」

「うっ…」

ピタリと当てられてしまっては、返す言葉もない。

体重が増えたことだけでもショックだというのに。
これからやってくるであろう、八雲の馬鹿にした笑いと皮肉。


身も心もボロボロになるのを、晴香は大人しく待った。


けれど、聞こえてきたのはぷっ…という噴き出すような笑いで。
思わず顔を上げると、体重計を片手に笑っている八雲と目が合った。



「ほら」

体重計を床に置き、肩に手を置かれぐいと引っ張られる。
よろけた足が踏むのは、体重計の冷たい感触。


「…何よ」


現実を見たくない本心が、瞼を閉じさせる。

「目、開けろ」

「どうせ太ってるって言いたいんでしょ」

「………」


こうなったら意地でも目を開けるもんか。


自棄になった晴香は、ぎゅーっと目を閉じ、身体を固くする。


「いいからほら、目を開けろ」

「いーやーっ!」

「嫌じゃなくって…」

「嫌なものはいやなの!」


どうして八雲が、こんなにもしつこいのか分からない。

そんなしつこさに嫌気が差し、声を上げようとしたそのとき。


「!」


すっ…と首筋を何かが掠り、身体の力が一気に抜けた。
別の声が上がりそうになるのを堪え、慌てて振り返ると八雲の姿。

呆れたように息を吐き、人差し指を下に向けた。


「いいから、下を見てみろ」

「………」


逃げ場のない晴香は、八雲に促されるがまま足下の体重計へと目を向けた。
ドキドキと、アクション映画のクライマックスのように胸が高鳴る。


赤い針が指したメモリの位置は…



「…減ってる!」


思わずあげた声に、八雲うるさいと耳に指を突っ込んだ。
そんなことを気にする余地もなく、晴香は八雲に詰め寄る。

「な、なんで!?」

詰め寄られた八雲は困ったように眉を寄せ、それから呆れたようにため息をついた。

「君は目を閉じて体重計に乗っていただろ」

「うん」

何度も何度も、現実を見る瞳は怖がり瞼に隠れていた。

「…メモリがずれてたんだよ」

「ずれ…?」

「だから、僕が直した」

確かめるように一歩後ろへ下がる。
回転を始める数字。ピタリと赤い針が差したのは、0であった。

「だから君が太った訳じゃない。わかったら早くそこを退け」

早く手を洗ってコタツに潜って寝たいんだ。
続けてそう言われるも、足は動かない。


「…おい」

「でも」


遮る声。


「やっぱり、太った…」

落胆の声を上げ、肩を落とす。
それを聞いた八雲に、苦笑とも取れる顔で見下ろされた。

「気にするほど、太ってるとは思わないぞ」

「この悩み、八雲君には一生わからないわよ」

くすんと鼻を鳴らししゃがみ込む。
ますます落ち込んでしまった晴香に、困ったように鼻頭を掻く八雲。

皮肉ばかりを生み出してきた頭をフル回転させ、励ましの言葉を探した。

「女性らしい体型になってきたんじゃないのか…?」

「女性らしい?」

「その、…胸、とか大きくなる時期だろ」

八雲に言われ、胸元を見下ろしてみる。

腿と身体の間に、押しつぶされた胸。
…確かに、以前と比べれば大きくなったかもしれない。

「この時期は無理なダイエットはしないで栄養を取る。授業で習っただろ」

受けるのが少し恥ずかしい、保険医の授業で、確かに習った覚えがある。



「だから、気にするな」


ぽん、と頭に乗せられた手は、とても暖かかった。






「あーら、ナニしてるのかしら」

突如と介入してきた美雪に、二人の身体が揺れる。

「み、美雪さん…!」

「いいのよ晴香ちゃん、そのままで」

そう言うと、口元を歪め怪しげに笑う美雪。
それにしても、と溜めてから、くすりと鼻を鳴らした。

「八雲ってば晴香ちゃんのそんなとこばっか見てたのねぇ」

「っ!」

どちらともなく赤くなる顔。

「いいのよぉ、八雲のむっつりは今に始まったことじゃないもの…ねぇ?」

「や、八雲君のえっち!」

「いってぇ!」






end.



高校生なはずなのに喋りが現代風に…
リハビリ、というよりコツを掴まねば。

晴香がどんな格好かはご想像にお任せします^^
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