忍者ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

八雲で八晴です。

そんなことよりも!未だにふわふわしています…!
舞台見たのとすてきな皆さんにお会いできたのが同日だなんて…
私にとっては衝撃が多過ぎます!嬉しすぎる!

…と、まぁそのすてきゾーンなお話は日記で書くとして。
恋人未満?恋人設定?な八晴でございます。


八雲/八晴(恋人未満か恋人設定かは内緒)

「お姉ちゃん!」



玄関を開けて、一番に飛んできたのは奈緒。

腕に抱えた荷物を下ろし、小さな身体を抱きしめ返す。


続けて聞こえた足音に顔を上げると、一心さんが来るところだった。


「やぁ、わざわざすまなかったね」

「いいえ、私も暇でしたから」

「お姉ちゃん、遊ぼう遊ぼう!」

「…おい」


和やかな雰囲気に不機嫌な声が聞こえる。

声のする方に目を向けると、そこには声と同じく不機嫌そうな八雲がいた。



「どうして君がいる」






冬の日、休日。

晴香は八雲の実家である斉藤家に来ていた。


冬休みという長く短い期間中。

一心に「遊びに来ないか」と誘われたのが理由だけれど。
本心は、実家に帰っているであろう八雲の顔を拝みたかったからである。



「やぁ!」

「…叔父さん」

八雲に声をかけるも無視されてしまう。
その視線の先には一心の姿。

「これは一体どういうことですか」


…どうやら、私が来ることが八雲には伝わっていなかったようだ。

「どうって、晴香ちゃんに遊びにこないかい、って誘っただけだぞ?」

「だから…どうして誘ったんですか」

そんなに私に会いたくなかったのか!
怒り半分呆れ半分。

「ここは私の家だ。私が何をしようと私の勝手じゃないか」

「………」

さすがの八雲も、この言葉には黙る。

「お姉ちゃん!はやく行こう?」

「あぁうん、ちょっと待ってね」


すれ違い様。

八雲に睨まれたような気がし、晴香は目を合わせないようにした。






家に上がってすぐに、奈緒とままごとをはじめた。

どうやら晴香が来る前に八雲と遊んでいたよう。
居間の一角には、プラスチックで出来た野菜たちが並べられている。



それから、日が沈む頃。
少し早い夕飯をご馳走になった晴香は、膨れた腹を撫でた。

「ごちそうさまです」

「口にあったかな?」

「はい。とてもおいしかったです」

「晴香ちゃんが手伝ってくれたおかげだよ」

言いながら、照れくさそうに剃りあげられた頭を掻く。
それをみた八雲が、お茶を飲みながら呟いた。

「寒空の中、醤油を買い出しに出たのは誰だと思っているだ」

子供のような言い分に思わず苦笑い。

話を逸らそうと辺りを見回す。
すると、隣に座る奈緒の姿が目に入った。

「奈緒ちゃん?」

「……ん、なぁにお姉ちゃん?」

答える奈緒は、前後に揺れる船のよう。

「奈緒、眠いのかい?」

「んーん、まだお姉ちゃんと、…遊ぶ」

そう言うも、眠たげな表情は顔から離れない。

眠そうな顔があまりにも八雲にそっくりで、思わず吹いた。
八雲にバレてしまったのか睨まれ、慌てて顔の筋肉を引き締める。

「奈緒はもう寝なさい」

「………」

睡魔に襲われてても、頭は下がらない。
寝ぼけ眼のまま畳の目を眺め、口を尖らせている。

「奈緒」

力強さが込められた八雲の声に、肩を縮めてしまう。
それから逃れるように、膝に顔を埋めてきた奈緒。

驚きもしたが、奈緒の気持ちが分からないでもない。

「こら、晴香ちゃんが困ってるだろう?」

「いいですよ。私が寝るまで、奈緒ちゃんをここに居させても」

膝に埋まった頭を撫でる。
異母でも、艶のある髪は八雲にそっくりだ。

「お姉ちゃん、どこにも行かない?」

「うん。今日は一緒に寝ようね」

「お父さんも?」

「あぁ」

「お兄ちゃんも?」

「………」

「八雲君も!一緒に寝てくれるからね」

「…うん!」

眠いにも関わらず、奈緒は笑顔を見せた。
それからしばらくもしないうちに聞こえた寝息。

一心は諦めたように息を吐く。

「悪いねぇ、晴香ちゃん」

「いえいえ。…それにしてもかわいい寝顔ですねぇ…」

「寝顔が高校生のときの明美ちゃんにそっくりなんだ」

「え、寝顔を見るような仲だったんですか?」

「いやいや、変なことはしてないよ」

ただ、私の目を盗み見て授業中に寝る子だったんだ…


「…おい」

暖かい思い出話の中、不機嫌そうな声。
振り返ってみると、そこには眉を寄せて座っている八雲がいた。

「寝る…ってどういうことだ」

「えっ」


思わず頬が熱くなる。

そんな、一心さんがいる前で“寝る”だなんて…


「…君はなにを勘違いしている」

ため息。それから晴香と同じく頬を染める。


「僕は普通に、寝るってどういうことなんだと聞いているんだ」


そこまで言われて理解した。

先ほど、一心と話していた「私が寝るまで…」の意味を聞いているのだろう。

そこでふとした疑問。


「あれ?話してなかったっけ」

「………」

驚く晴香。ニコニコと笑う一心。

一人だけ知らないのが不満なのか、少しだけ。
ほんの少しだけ眉毛がピクリと動いた。

それがいつものぶっきらぼうな姿とは真反対で。
思わず笑ってしまい、八雲に睨まれた。


「今日はここに泊まるんだよ」

「………」


あ、すごい嫌そうな顔してる。

「晴香ちゃんが泊まるからって、変なことはしちゃあダメだぞ。八雲?」

「誰がこんな色気のない女に手を出すんですか?」

「ちょっと。どういう意味よそれ」


噛みついてみるも無視。

八雲は威嚇丸出しの眼差しで、一心を睨みつけていた。


「おや?私はてっきりそういう関係なのだと思っていたんだが…」

「トラブルメーカーとそれに巻き込まれた不運な青年。それだけの関係です」

「恋人と言う名の?」

「だから恋人じゃありません!」


振り回されている八雲を見るのは楽しい。

八雲に睨まれないように、下を向き奈緒の髪を撫でながら堪える。


「…そんなこと言って、晴香ちゃんが泊まるからドキドキしてるんだろう?」

「誰がそんなこと…」


嘘だ。

八雲も睡魔に襲われているのか、気持ちが顔に出やすくなっている。


「…まぁ、残念なことに奈緒との約束もあるからね」

「…さっきから叔父さんは何が言いたいんですか」

「晴香ちゃんと二人きりにはなれないよ…ってことだ」

「…叔父さんも気をつけた方が良いですよ」

「どうしてだい?」

「こいつの寝相の悪さは世界一です。一緒に寝たら僕らの身が危ない」

「そ、そんなに酷くないもん!」


これには思わず声を上げた。

そりゃあ、寝返りくらいはうつ。
だからと言ってそれが世界レベルだとは思わない。


「ふっ、どこが酷くないんだ?」


久々に勝ち誇った顔の八雲。



「それにしても八雲」


そんな八雲に、一心はのんきに茶を啜りながら話した。


「恋人でもない八雲が」





どうして晴香ちゃんの寝相の悪さを知っているんだい?






end.



八雲は全力で隠していそうです。
でもきっと、ぽろって出ちゃうんです。ぽろりもあるよ。
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
[535]  [534]  [533]  [532]  [531]  [530]  [529]  [528]  [527]  [526]  [525
カレンダー
09 2025/10 11
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
プロフィール
HN:
朝田よる
性別:
非公開
ブログ内検索
最新コメント
[05/23 ひなき]
[09/13 murasame]
[07/19 delia]
[06/27 delia]
[05/20 delia]
忍者ブログ [PR]