×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
八雲で八晴です。そして昨日のつづき。
あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします…!
そして、年始早々ぐだぐだしちゃいました…!
八雲/八晴(恋人未満)
あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします…!
そして、年始早々ぐだぐだしちゃいました…!
八雲/八晴(恋人未満)
───眩しい。
瞼の裏から光が射し込んでくる。
血塗られたように赤い視界を解くために、晴香は重い瞼を持ち上げた。
目を擦りながら焦点を会わせると、電球とご対面。
白い蛍光灯は、朝日に負けながらも己を主張していた。
…どうやら付けっ放しで寝てしまったよう。
やっちゃったなぁと少しの反省をしながら、大きな欠伸を一つ。
大きく息を吸った鼻が、独特の匂いを拾った。
なんだろうと不思議に思い、目を横に向ける。
するとそこには、一升瓶がごろりと転がっていた。
あぁ、そういえば昨夜はコレを飲んだんだっけ。
誰と?何故?
疑問は確かに浮かんだ。
けれど脳を叩くような痛みに負け、晴香は考えるのを放棄してしまう。
「うぅー…」
一度自覚してしまえば、気付かなかったことには出来ない。
頭に脳に、身体に響く鈍痛。
視界が回る。
吐き気もする。
とにかく呼吸だけでも落ち着かせようと、晴香は胸元に手を置いた。
…正確には、置こうとした。
「?」
手のひらは胸に届く前にボサボサの、毛玉のような塊にぶつかった。
なんだろうと思いながらも深くは考えず、それを撫でてみる。
正体は分からない。
わからないけれど、それが暖かいものだと言うことはわかった。
宙を見上げながら、早朝の肌寒さに暖を求め、正体不明のそれを引き寄せた。
「…っ」
突如聞こえる唸り声。
思わず目を見開くが、睡魔に襲われる瞼は下がる一方。
まぁいいか。なんてのんきに、もう一度それを抱きしめた。
「うっ」
「………」
今度はしかと聞こえた。
しかもすごい近く。
そう、胸元の辺りで…
「………」
嫌な予感は当たるもの。
恐る恐る下ろした視線の先に見えたものに、晴香は絶句した。
「……やっと、起きたな」
「きゃあああっ!!」
絶たれた声はどこへやら。
一度戻った声は、普段の叫び声の何十倍にも響いた。
それを胸元で聞きながら、耳を塞ぐ八雲はうるさいと言いたげ。
うるさいのは認めよう。
だが、それよりもまず…
「どうして八雲くんがここにいるの!?」
どうして私の部屋にいるの。
どうして私の…胸元にいるの。
頭痛の酷い頭に、大声はガンガンと響いた。
くらくらする視界の中、どうにか八雲を見下ろす。
「覚えてないのか?」
上目遣いに見上げてくる八雲に、自然と鼓動は速まる。
「…昨日の君は最悪だった」
鼓動、聞こえないかな。
なんて心配をするのをよそに、八雲は淡々と話し出す。
「君は酔っ払った挙げ句、僕を抱き締めたまま眠りについたんだ」
一行で終わる説明。
それだけでも、心を落ち着かせるには充分だった。
そこで、未だに八雲を抱き締めていることに気付き慌てて離す。
「ご、ごめんなさい…」
けれど八雲が離れていくことはない。
床の上、晴香の胸元に顔を埋めたまま固まったままだ。
「どうしたの…?」
恥ずかしい気持ちでいっぱいだけど、精一杯の平常心を装う。
アルコールが抜け切れていないのか、顔が燃えるように熱い。
八雲は最後までこちらに目を向けず、こう言った。
「柔らかいんだな」
「えっ」
はじめは何のことだか理解出来なかった。
が、理解してからは酷かった。
自分でもよく覚えてはいないが、正気を取り戻したとき。
八雲に何故か正座で「ごめんなさい」と謝られていた。
「どうして八雲くんがここにいるの?」
「今日は何月何日だ」
赤く腫れた頬を撫でながら、訪ねる八雲。
何を言っているのだろうと思いながら「12月」と言い掛けて止まる。
壁に掛けた2010年度カレンダーに、今日はない。
「1月1日…」
そうだ、すべて思い出した。
一人で年を越して数年。
八雲と出会ってまた数年。
一人で年を越すのも、一人で年を越す八雲を見るのも辛く。
一緒に年を越そうと思って、家に誘ったんだった。
その内に、友達以上恋人未満の関係が進むことを期待して。
「その顔だと思い出したみたいだな」
「ご、ごめんなさい…」
「わかれば良いんだ」
「…だからと言って、胸を揉んでいいわけじゃないと思うんだけど」
八雲の言い方にカチンとし、思わず顔を上げて噛みつく。
「っ……君は」
何かを言いたそうにしているが、口は酸素不足の金魚のよう。
しばらく開いたり閉じたりしていたが、悔しそうに一文字に結ばれた。
「……言っておくが、僕は揉んでない」
「一晩、人の胸に顔埋めてたのはどこの誰よ」
「あれは不可抗力だっ!」
声を大々にして言う八雲の顔は、新年早々真っ赤に染まっていた。
「それに」
それだけ言うと再び黙り込んでしまう。
諭すように見つめていると、諦めたのか小さな声でこう言った。
「一晩中、堪えた僕の身にもなれ」
鼻の下を掻く姿は純情な少年のよう。
あの皮肉屋で、人を寄せ付けない奴がこんな表情を持っているだなんて。
「…触ろうにも、触れなかったんだぞ」
「八雲くん」
床に手をつき乗り出す。
ほんの少しだけ、八雲が逃げるように仰け反った。
「八雲くんって今流行りのヘタレ?」
露骨に嫌な顔をされる。
まぁ“ヘタレ”と言われて喜ぶ人間なんて滅多にいないのだろうけれど。
「君を、傷つけたくなかった」
真面目な顔をして告白されるが、やっぱり笑ってしまう。
「そういうのをヘタレって言うんだよ」
八雲には睨まれたが、口から漏れる笑い声が途切れることはなかった。
「じゃあ、触らせろ」
「へ?」
腹を抱える晴香は、八雲の言葉に思わず耳を疑った。
顔を上げると、すぐそこまで八雲が迫っているところだった。
「ちょ、ちょっと待って…!」
「一晩君に付き合ってやったんだから、交代だ」
ニヤリとつり上がる口元。
怪しく、卑しく動く指。
「限界が近いんだから、大人しく触られてろ」
なんて命令だ!
だが晴香に、自棄になっている八雲を止められるはずもなく。
新年早々、新たな八雲を見た。
end.
新年早々ぐだぐた。
これは、今年はぐだぐだな一年だよってことなんだろうか…
いや、今年も、か。
なにはともあれ、今年も一年よろしくお願いします!
瞼の裏から光が射し込んでくる。
血塗られたように赤い視界を解くために、晴香は重い瞼を持ち上げた。
目を擦りながら焦点を会わせると、電球とご対面。
白い蛍光灯は、朝日に負けながらも己を主張していた。
…どうやら付けっ放しで寝てしまったよう。
やっちゃったなぁと少しの反省をしながら、大きな欠伸を一つ。
大きく息を吸った鼻が、独特の匂いを拾った。
なんだろうと不思議に思い、目を横に向ける。
するとそこには、一升瓶がごろりと転がっていた。
あぁ、そういえば昨夜はコレを飲んだんだっけ。
誰と?何故?
疑問は確かに浮かんだ。
けれど脳を叩くような痛みに負け、晴香は考えるのを放棄してしまう。
「うぅー…」
一度自覚してしまえば、気付かなかったことには出来ない。
頭に脳に、身体に響く鈍痛。
視界が回る。
吐き気もする。
とにかく呼吸だけでも落ち着かせようと、晴香は胸元に手を置いた。
…正確には、置こうとした。
「?」
手のひらは胸に届く前にボサボサの、毛玉のような塊にぶつかった。
なんだろうと思いながらも深くは考えず、それを撫でてみる。
正体は分からない。
わからないけれど、それが暖かいものだと言うことはわかった。
宙を見上げながら、早朝の肌寒さに暖を求め、正体不明のそれを引き寄せた。
「…っ」
突如聞こえる唸り声。
思わず目を見開くが、睡魔に襲われる瞼は下がる一方。
まぁいいか。なんてのんきに、もう一度それを抱きしめた。
「うっ」
「………」
今度はしかと聞こえた。
しかもすごい近く。
そう、胸元の辺りで…
「………」
嫌な予感は当たるもの。
恐る恐る下ろした視線の先に見えたものに、晴香は絶句した。
「……やっと、起きたな」
「きゃあああっ!!」
絶たれた声はどこへやら。
一度戻った声は、普段の叫び声の何十倍にも響いた。
それを胸元で聞きながら、耳を塞ぐ八雲はうるさいと言いたげ。
うるさいのは認めよう。
だが、それよりもまず…
「どうして八雲くんがここにいるの!?」
どうして私の部屋にいるの。
どうして私の…胸元にいるの。
頭痛の酷い頭に、大声はガンガンと響いた。
くらくらする視界の中、どうにか八雲を見下ろす。
「覚えてないのか?」
上目遣いに見上げてくる八雲に、自然と鼓動は速まる。
「…昨日の君は最悪だった」
鼓動、聞こえないかな。
なんて心配をするのをよそに、八雲は淡々と話し出す。
「君は酔っ払った挙げ句、僕を抱き締めたまま眠りについたんだ」
一行で終わる説明。
それだけでも、心を落ち着かせるには充分だった。
そこで、未だに八雲を抱き締めていることに気付き慌てて離す。
「ご、ごめんなさい…」
けれど八雲が離れていくことはない。
床の上、晴香の胸元に顔を埋めたまま固まったままだ。
「どうしたの…?」
恥ずかしい気持ちでいっぱいだけど、精一杯の平常心を装う。
アルコールが抜け切れていないのか、顔が燃えるように熱い。
八雲は最後までこちらに目を向けず、こう言った。
「柔らかいんだな」
「えっ」
はじめは何のことだか理解出来なかった。
が、理解してからは酷かった。
自分でもよく覚えてはいないが、正気を取り戻したとき。
八雲に何故か正座で「ごめんなさい」と謝られていた。
「どうして八雲くんがここにいるの?」
「今日は何月何日だ」
赤く腫れた頬を撫でながら、訪ねる八雲。
何を言っているのだろうと思いながら「12月」と言い掛けて止まる。
壁に掛けた2010年度カレンダーに、今日はない。
「1月1日…」
そうだ、すべて思い出した。
一人で年を越して数年。
八雲と出会ってまた数年。
一人で年を越すのも、一人で年を越す八雲を見るのも辛く。
一緒に年を越そうと思って、家に誘ったんだった。
その内に、友達以上恋人未満の関係が進むことを期待して。
「その顔だと思い出したみたいだな」
「ご、ごめんなさい…」
「わかれば良いんだ」
「…だからと言って、胸を揉んでいいわけじゃないと思うんだけど」
八雲の言い方にカチンとし、思わず顔を上げて噛みつく。
「っ……君は」
何かを言いたそうにしているが、口は酸素不足の金魚のよう。
しばらく開いたり閉じたりしていたが、悔しそうに一文字に結ばれた。
「……言っておくが、僕は揉んでない」
「一晩、人の胸に顔埋めてたのはどこの誰よ」
「あれは不可抗力だっ!」
声を大々にして言う八雲の顔は、新年早々真っ赤に染まっていた。
「それに」
それだけ言うと再び黙り込んでしまう。
諭すように見つめていると、諦めたのか小さな声でこう言った。
「一晩中、堪えた僕の身にもなれ」
鼻の下を掻く姿は純情な少年のよう。
あの皮肉屋で、人を寄せ付けない奴がこんな表情を持っているだなんて。
「…触ろうにも、触れなかったんだぞ」
「八雲くん」
床に手をつき乗り出す。
ほんの少しだけ、八雲が逃げるように仰け反った。
「八雲くんって今流行りのヘタレ?」
露骨に嫌な顔をされる。
まぁ“ヘタレ”と言われて喜ぶ人間なんて滅多にいないのだろうけれど。
「君を、傷つけたくなかった」
真面目な顔をして告白されるが、やっぱり笑ってしまう。
「そういうのをヘタレって言うんだよ」
八雲には睨まれたが、口から漏れる笑い声が途切れることはなかった。
「じゃあ、触らせろ」
「へ?」
腹を抱える晴香は、八雲の言葉に思わず耳を疑った。
顔を上げると、すぐそこまで八雲が迫っているところだった。
「ちょ、ちょっと待って…!」
「一晩君に付き合ってやったんだから、交代だ」
ニヤリとつり上がる口元。
怪しく、卑しく動く指。
「限界が近いんだから、大人しく触られてろ」
なんて命令だ!
だが晴香に、自棄になっている八雲を止められるはずもなく。
新年早々、新たな八雲を見た。
end.
新年早々ぐだぐた。
これは、今年はぐだぐだな一年だよってことなんだろうか…
いや、今年も、か。
なにはともあれ、今年も一年よろしくお願いします!
PR
この記事にコメントする