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八雲で八晴。

eroりが書けなくなって来たという非常事態です。
とりあえずリハビリ。書けてますかね?

八雲/八晴(恋人or新婚)

「やっ、まだするのぉ…?」

「…まだ、ぜんぜん、愛してない」


とろんとした瞳でそう言うと、八雲は再び覆い被さってきた。






だいだい色の柔い電気の下。

気だるい身体は重く、起きあがることもままならない。
身体の節々、主に腰回りがひどく痛む。

それもこれもみんな、今隣で気持ちよさそうに眠るコイツのせいだ。


「何一人で寝てるのよ…」

スースーと寝息を立てる八雲の頬を、ぐーでこつんと小突く。

数時間前までは「やめて」と言っても止まらなかったのに。
自分が満足したらおねむとは。

…別に事後もイチャイチャしたいわけじゃない。

そりゃ少しは憧れる。憧れるけれど、そんなの八雲じゃない。
ただでさえ性欲が人一倍強い事実に、驚かされているのに。
延々と甘えられた日には、世界は豪雨に晒されるであろう。

自分だけ満足したらそれでおしまい。
これでこそ、八雲だ。



「んんっ」


晴香は大きく伸びる。
固まった背骨が、軽やかに音を立てた。

とりあえず服を着ようと布団の中を探る。
けれど布切れは見つからない。

不思議に思い、布団を肩に掛けながら起き上がり辺りを見渡す。

「あっ」

見つけた。

探し求めたものたちは、無惨にも床の上に放られていた。

昨夜はちゃんとベッドの中で行為をしたはず。
寝込みを襲われた恨みは忘れられない。

「…ということは」

八雲が床に放ったのか。

ため息をつき、恨めしそうに見下ろす。
晴香が布団を肩に掛けたため、身体の半分は布団の外。
瞼は閉じたまま、寒そうに身体を丸めた。

「もう…」

ベッドに倒れる。
バネが軋み、音が鳴る。
服と下着を取りに行こうと思ったが、寒さとズキズキ痛む身体に負けた。

明日も特に用事はない。
今日のところはこのまま寝てしまおう。

風邪を引かないことだけ祈り、枕に顔を埋めた。

シャンプーの匂いと、少し鼻に来る汗臭さ。
初めは何てことなかったけれど、さすがに息苦しくなり顔を上げる。

「ぷは」

新鮮な、真夜中独特の冷たい酸素が肺を満たす。
酸素不足に熱が高まった肌は、すぐに冷めて粟が立った。

シーツの上に肘を付き、二の腕をさする。

この時期に、裸で寝るのはさすがに寒い。
でも、布団からもベッドからも離れるのはいや。

「どうしよう…」

少しでも暖めようと頬を手のひらが包む。

そのとき、少しだけ。少しだけ布団が引っ張られたのに気が付いた。

「?」

引っ張られた方向、左側に目を向ける。
そこには寝癖だらけの髪が、生き物のように蠢いていた。

「八雲くん?」

起きたのかな。
少しの期待と少しの恨みを込めて、名前を呼ぶ。

けれど返事はない。

布団を捲り、顔を覗き込む。
そこには目を瞑り、すやすやと眠る八雲がいた。

「もう!」

どうやら、寒くて布団に潜ってきたよう。

こっちだって寒いというのに…剥いでやろうか。
布団を掴む手に力が籠もる。
だが、それは寸のところで止まった。

布団から手を離し、それを八雲の顔に近づける。
手の甲で触れた頬は、とても暖かかった。

「………」

そのまま撫でるように肌を滑る指。
いけない、と一度離れるも人差し指は頬をつついてしまった。

「起きちゃうかな」

晴香は暖を求めるように、布団の中の八雲の身体に擦りよった。
けれど起きる気配はない。

「起きないの?」

別に、起きてほしいわけじゃないけれど。

八雲に背を向け、背中とおなかをぴたりとくっつける。


素肌と素肌が触れ合う感触は、いつまで経っても慣れるものじゃない。

自分の腕と腕を擦り合わせたときとはまったく違う。

肌の堅さも柔らかさも、感じる温度も、全部が全部、ちがう。


八雲のこれを味わえるのが私だけだと思うと、無性に嬉しくなった。

「ふふっ」

八雲の腕を掴み、自らの身体に回してみた。
後ろから抱き締められているみたい。



だが、こんなにも密着していると無意識に思い出してしまうわけで…

「………」

熱くなる顔を冷ますように、頬を八雲の腕にぴたりとくっつけた。
骨と皮だらけの腕は、頬や胸板とは違いひんやりとしている。

抱かれるときは、その冷たい手のひらに震えていたけれど。
それが今は心地よい。

「…今日もたくさんされたなぁ」

八雲の腕の中、晴香は自らの手を伸ばした。
視界の範囲、二の腕から手の甲まで浮かぶ赤い痕。
光の少ないこの部屋で、その色を確認することは出来ない。

けれどそこには、確かにある。

前回のがやっと消えそうだったのに。上書きされてしまった。

「はぁ…」

伸ばした手を引っ込める。
それから人差し指、中指と指折り数を数えた。

片手がすべて埋まり、また指を開こうとしたとき。
手首に白い何かが絡まってきた。

「何してるんだ?」

「八雲君…!」

白いものの正体は八雲の指。
白蛇のように細く長いそれは、晴香の手首をいとも簡単に捕まえた。

肩に顎を乗せられ、耳元には甘い呼吸音。
ちらりと盗み見た横顔は、眠たそうに欠伸をかみ殺していた。

「…何をしてるんだ?」

先ほどよりも少しだけ強く訪ねられる。

「数、数えてたの」

「何の?」

「………」

それくらい察してよね!
数えていた自分も恥ずかしくが、口に出すのはもっと恥ずかしい。

何も言わず目を逸らしていると、さすがは八雲。
気付いたように「あぁ」と口にし続けた。


「それは君がイッた数?僕がイッた数?それとも」


挿れた数…?



やらしい言葉が吐息も交え囁かれ、全身の筋肉が収縮するように震えた。
耳の中を舌が這い、くちゃりと粘り気のある水音が鼓膜を揺らす。

「ひゃあっ、ん…やめ」

「やめない」

身体を半回転させられ、ベッドの上に俯せに倒される。
顔を押し付けられた枕が目の前でぐしゃりと形を崩した。

「何の数かは知らないが」

背骨の筋に這われた人差し指が、下へ下へと降りる。



「君が数えた数に、1を足しておいてくれ」






end.



回数的には晴香ちゃんが一番。何がとは言いませんが(;^ω^)
いや、言ってしまったか。遅かった。

話は変わりますが読みにくいかと思い、以前と比べて行換えしないようにしたんですが…
逆に読みにくいかな?
皆さま的には、前とどちらが読みやすかったですかね…?
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コメント
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無題
1を足しておいてくれ<1でいいんですか?
no name 2011/01/28(Fri)18:30:24 編集
無題
3くらい足しておきましょう
no name 2011/01/30(Sun)00:52:32 編集
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