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八雲で斉藤医院パロ。

久しぶりの斉藤医院です。
去年「読みたい!」というお言葉をもらったのに答えられなかったので…
今年はそういうものを、少しずつでも答えていきたいと思います。
書けないものもあるかと思いますが、よろしくお願いします。


八雲/斉藤医院(パロ)

足は軽やか、バンビのごとく跳ね進み。


郊外のそのまた外れにある田舎道。

誰もいないのを良いことに、鼻歌交じりに枯れ木の間を進む。


向かうはセクハラ地獄の職場。斉藤医院。


けれど今日は、やっぱり足が軽かった。






「おはようございまーす!」

元気なあいさつは朝日を部屋に連れ込んだ。

共に、ガララと一枚板の戸がレールを走る。
古く寂れた引き戸は、途中で突っかかりながらもどうにか開いた。

返事など元から期待していない。
診察室と書かれた扉を素通りし、奥にあるロッカールームに一直線。

晴香は部屋に入るなり再度扉と向かい合い。
侵入されないように鍵を閉め、覗かれないようにカーテンを閉め。

三度指さし確認をし、荷物を下ろした。

「安全確認異常なし!」

まぁ、この時間ならば先生は寝ているんだろうけれど。

晴香はこれからのスケジュールを頭の中で整えながら、着替えをはじめた。


晴香の仕事はこの診療所である所長、斉藤八雲を起こすことから始まる。
その後、起床早々のセクハラをかわし、諦めたら諦めたで二度寝をさせまいと動き。

それからお掃除。
別の意味で「掃除しろ」と言ってくる八雲を無視し、花壇のお花に水をあげて。

「今日は患者さん来るかなぁ…」

病院としては患者がいない方が本望なのだろう。
けれど生きている限り、病気だって怪我だってする。そんなことありえない。
だから働いている身として、患者が来ない…というのは困りものなのだ。


そうこう考えているうちに着替え終わり、鏡の前に立つ晴香。
少し伸びた前髪をピンで留め、身なりを整える。
出会う人があのセクハラ医師だけだとしても、身だしなみを整えるのは乙女の基本。

「よし!」

準備万端。頬をパシッと叩き気分を仕事モードに入れ替える。
そんなとき、ふと鏡越しの紙袋が目に入る。

「あ、忘れてた」

今日、やけに足が軽かった理由を思い出した。


紙袋を胸に、晴香は口角をくいと怪しく上げた。






「先生、朝ですよ。起きてください」

診療室。カーテンで区切られた患者用の簡易ベッドが八雲の寝床。
家に帰るのがめんどくさいのか、八雲は診療室に住み着いている。

「せんせっ。せーんせ!」

肩を揺らすも起きる気配はない。

どこから持ってきたのか、ベッドの上には毛布やら羽布団やら。
私物化も良いところだ。

「………もうっ!」

起きる気配のない八雲に嫌気がさし、ベッドに勢い良く腰をおろす。
ぎしりとバネと鉄パイプが軋んだ。

「早く起きないかなぁ…」

桃色のナースサンダルを履いた足がぶらぶら揺れる。
そんな、警戒心ゼロの晴香に音もなく忍び寄る手。

腕を捕まれたときにはもう遅く、晴香は布団の中に引きずり込まれてしまった。

「ちょ…なにっ!?」

世界はとつぜん暗転し、考える間もなく晴香は手足をばたつかせる。
だが射し込んできた一筋の光により、瞬く間にいつもの世界に戻ることが出来た。
けれど目の前は純白。いつまでたっても視界は晴れない。

起き上がろうとするも、身体を動かすことが出来ない。

「…うぅん」

頭上から聞こえてきたうねり声に顔を上げる。


…ここまでくれば予想も付くが。

そこには八雲がいた。



晴香の背中に腕を回し、抱き枕を抱えるように抱きしめている。

「斉藤先生!朝ですよ!」

両手が使えない晴香は、胸板に頭を押しつけ起こそうとする。
それでも起きる気配のない八雲に、思わずため息を吐いた。



そんな、気を抜いたときだった。

「ひゃっ!」

「相変わらず、触り心地がいいな」

「起きてたの!?」

「誰も寝てるとは言ってない」

「じゃあ早く起きて、お仕事してください!」

「…うるさい」

「もっ、ももも揉まないで!」

腕の中で慌てふためく晴香に優越感。
涙目、赤い顔、上目遣いという三種の神器が揃った今。
朝という状況もあってか、八雲の脳内は桃色に染まっていた。


そして、止めようとする晴香を無視し、尻に置いた手を下へと滑らせた。


「朝はやっぱり生足が…」


突然、言いかけた言葉がそこで止まる。同時に手も止まる。

「?」

二人の頭にクエスチョンマークが浮かぶ。
八雲も晴香も不思議そうな顔で相手を見やり、確かめるように下を向いた。


一瞬、晴香を拘束していた力が緩む。
その隙をついた晴香は、八雲の腕の中から脱出することに成功した。

そして捕まえられまいと、ベッドの隅に逃げる。
だが、八雲の腕が追いかけてくることはない。

「せんせ…?」

恐る恐る声をかけるも無視。
ふと眼差しが下半身に向けられることに気付き足を閉じる。
そしてその視線を追いかけるように下を向いた。


「あっ」


そこには、丈が少し短いスカートから伸びる黒い脚。



「………ストッキング、か?」

「う、うん」


あまりにも真面目な顔で尋ねられ、拍子が抜ける。
だがそれは八雲も同じだったようで。


先ほどまでの盛りが嘘のよう。

気まずそうに髪を掻いていた。


八雲の珍しい姿に、晴香は優越感に浸った。


「生足じゃなくて、残念ね!」

ベッドから飛び降りた晴香は、少しだけ有る胸を張ってこう言ったのだった。






「………」

八雲は朝起きてからずっと、落ち着かなかった。
けれどそれはお得意のポーカーフェイスに隠され、誰にもばれてはいない。

「砂糖は2つ、ですよね?」

「あぁ…」


診療室の中。

自然と目が向かうのは一人のナース…の、黒のストッキングに包まれた脚。


「でも本当、パンスト履いて良かったー」

ストッキングとパンストなるものの違いはよく分からない。

だが、腿から踝にかけての曲線は美しく、見事な曲線美を描いているのは確かで。

伸縮性のある生地はよく伸び。
膝を曲げる度に薄くなり地肌の白を浮かび上がらせていた。


「先生にえっちなこともされないし、何より温かいし」


正直、生足よりエロい。



「…百歩譲って良いとしよう。だが、どうして黒ストッキングなんだ?」

「これしかなかったんです。肌色のパンストは伝線してて」

そこまで言うとコーヒーを沸かす手を止め、視線だけを送ってきた。

「変、ですかね…?」

「いや…」


むしろ、淡いピンクのナース服に黒は良いと思う。
何より黒いストッキングはそそる。

いつもの僕なら口にしていたであろう台詞を飲み込み堪える。


「あっ!」

いい加減置きようとベッドから降りたとき、晴香が声を上げる。
顔を上げると、腰丈の観葉植物の前でしゃがみこんでいた。

「?」

「あーあ、またやっちゃった…」

「…どうした?」

「その……枝に引っかけちゃったみたいで…」

見ると彼女のストッキングは、すっぽり楕円形に破けていた。

周りの漆黒のせいか、そこから覗く地肌がやけに輝いて見え。


治まりかけた熱を、再び蘇えらせた。



「もう使えないなぁ…」

「いいや、充分に使える」

「え?…ってなに破いてるんですか!?」

「ストッキングは二度楽しめるんだな」

「ちょ、やっ…!いやぁああ!!」



朝っぱらから院内には、悲鳴が響いた。






end.



黒ストッキングとかえろりです。破け方も。
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