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八雲で高校生パロディ、高校生日記。

お話には関係ありませんが、本日で当サイトも三周年を迎えます…!
その辺りは本館の方で語るとして…
それでも一言だけ。ありがとうございました!

あとこれを機に、サイト名と管理人の名前を改名しました。
まぁ、なんと呼ばれても構わないのですが一応お知らせを。
その辺りは本館の方を(ry


さて、前回の続きです。

八雲/高校生日記 36話

「えへへっ」



晴香は緩みきった顔で、撮れたプリクラを眺めていた。


八雲と半分こにしたため、やけに長方形な形であるそれ。


「………」


それの片割れを眺め、八雲はため息を吐いた。


なんだかんだ無理矢理捕まえられ、捕らえた写真。

けれど写りは良く、最後の方は逃げるのも諦めていたため…



誰が見ても、普通のプリクラだった。






「もうそろそろ帰ってきたかな」

何が、と言いかけ思い出す。

そうだ。鍵を忘れ家に入れず、始まったんだ。


日も暮れだした。

そろそろ叔父さんが帰ってくる時間だ。



「あっと言う間だったね」

「僕にとってはそんなことなかった」

嘘。すべてがあっと言う間だった。

楽しいことはすぐに終わってしまうという言葉を思い出し、頬を掻いた。



「あっ」

晴香の足が止まる。

「?」

まだ何かし忘れたのかと、晴香の視線を追いかける。
そこにはアクセサリーを売る露店があった。

「ちょっとだけ、ちょっとだけ見てもいい?」

「…勝手にしろ」

八雲の了承を得て、駆け足で露店に向かう晴香。
することもない八雲は、その後ろを歩いて着いていった。

「………」

無愛想な店主。
一目見ての感想はそれだった。

美大卒、といった趣のためそれなりに洒落た格好をしている。
だが、髪が長く俯き気のために表情はわからない。

人が来ても何も言わず、ただただ口を一文字に結んでいた。


…いつもの僕も、こんな顔をしているのだろうか。

人のことも言えない。知らず知らずの間に唇を噛んでいた。



そんな店主を晴香は気にする様子もなく、木の台の上の商品を眺めていた。

「わぁ…」


キラキラと金色に輝くペンダント。

麻の糸が編まれた腕輪。

布とレースの髪飾り。


手作りらしいそれは、一つとて同じものはなかった。



それを一つ一つ手に取り、瞳を輝かせる姿はまさしく女の子で。

思わず見惚れている自分に気がついた。

「これかわいいなぁ…」

ぽつりと呟いた晴香の手元を、八雲は覗き込む。

そこには手芸糸とビーズで作られたストラップの姿。
色とりどりの暖色系のビーズと赤い糸。

他の商品と比べると、地味というか子供っぽいというか…

けれどそれが、晴香にはぴったりであった。

「………」

八雲は制服のポケットに手を入れると、小銭を店主に渡した。
ぼんやり見ていた晴香だが、意味に気がつき慌てて止める。

「わ、悪いよ!」

「…今日は全部君に払わせたんだ。その、お礼…だ」

自分で言っておいて恥ずかしい。
夕日の方を見て顔の赤さを隠した。

「でも…」

「いいから…。…これくらい、僕に払わせろ」

早く帰るぞ。
これ以上、この場にいたくない八雲は晴香の手を引っ張る。

「あ…じゃあ」

けれど晴香は足を止め、寒色系のストラップを手にし店主にお金を渡す。

「…そっちの方が良かったのか?」

「ううん、これは八雲君に」

そう言うと満面の笑みで、寒色系のストラップを渡してきた。

「今日付き合ってくれたお礼!」


鞄にも、携帯にも、キーホルダーやストラップは付けていない。


「…僕は、ストラップなんて使わない」


ストラップを受け取ることが出来ず、拳を握りしめた。



「じゃあ今日から使えばいいじゃない!」

一歩近付く距離。
その距離にどきまぎしていると、学ランのポケットから携帯を奪われた。

「おい、返せ!」

八雲は手を伸ばすが、晴香はするりとかわす。
そのまま八雲の手から逃げながら、帰路についていた。

「いい加減に…!」

「はい!」

肩に手が伸びかけたところで、晴香はやっと足を止める。
振り返り、返された携帯には、あの寒色系のストラップが付いていた…

外そうとするも冷えた指先には力が入らず、叶わない。


「お揃い、だね」


晴香は言いながら、自分の携帯に付いた暖色系のストラップを揺らした。



───今まで夕日に隠れて気付かなかった。


だが、日が沈んだ今。



晴香の顔が赤く染まっているのに気が付いた。



「………」

それは晴香も同じなのだろう。

僕の顔を見て、照れくさそうに笑っていた。



その笑顔を見たとき。

お揃い、のストラップを外すのを諦めた。






家である寺に着くと、窓から明かりが漏れているのに気が付く。
どうやら誰か帰ってきたようだ。

チャイムを鳴らすより前に、戸に手をかける。
すると、刃向かうことなくすんなり開いた。

「やぁ、おかえりなさい」

戸が開く音に気付いた一心が、居間から顔を覗かせる。
その顔はにやにやと意味深い笑みで…

「叔父さん、何考えてるんです」

「いーや、ただ二人の帰りが遅かったからナニをしていたのかなぁってね」

“二人”と“ナニ”を強調させる辺り、明らかに勘違いをしている。

「別に何もしてないです」

「か、鍵忘れちゃって…家に入れなくて…」

一心の言葉の裏に潜む下心に気付かない晴香は、恥ずかしそうに述べる。

「それはそれは…晴香ちゃんも大変だったね」

「でも八雲と一緒で楽しかったんで、良かったです」

「ほう…八雲と一緒で楽しかったのか」

「いい加減にしてください、叔父さん」

このままでは切りがない。
ため息を吐いた八雲は、部屋に向かった。

手洗いうがいしないと風邪ひいちゃうよ。
と呼ぶ声を無視し、部屋の戸を閉めた。

ポケットに入った携帯やら小銭やらを机の上に出す。

「そうだ、宿題…」

宿題があったんだと鞄を漁る。
一日中動きまわり疲れも溜まっている。
なのにまだ宿題が終わっていない。

すぐに寝ようと思っていた分、絶望。

教科書とノートを取り出したところで、何かが床に落ちた。

何だろうと拾い上げる。

「……!」


それは、プリクラだった。


「こんなのの何が面白いんだか」

椅子に座り、ペラペラと扇ぐ。

だが、写真の中の自分を見て目を疑った。


「八雲くーん、晩ご飯だよ」

…手帳にでも貼ろうか。

シールの角に爪を立てたとき、晴香が部屋の戸を開けた。


「あ、あぁ…いま行く」



とっさに教科書の下に隠したプリクラと、ストラップが付いた携帯電話。


プリクラの中の自分は、微かながらも笑っていた。






end.



ちょっとは、進みましたか、ね…?
以前「二人を進ませて!」とのお言葉を頂き、進めてみましたが…
関係は変わらず、部屋主と居候。

このあとはお揃いのストラップが見つかり、深く追求される感じで。
制服デートっていいですよね。学生の特権。
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コメント
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制服デートきゅんきゅんでした!

更新たのしみにしてます☆

こん 2011/03/07(Mon)02:32:03 編集
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