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八雲で晴香幼獣化パロディ、きょうのはるかです。
記念すべき(?)きょうのはるか30話。
夜、眠れないときってありますよね。
小さい頃、そんなときは父が散歩に連れてってくれたのを覚えています。
八雲/きょうのはるか30
記念すべき(?)きょうのはるか30話。
夜、眠れないときってありますよね。
小さい頃、そんなときは父が散歩に連れてってくれたのを覚えています。
八雲/きょうのはるか30
「やきゅ…」
「………」
「やきゅもきゅん」
「……なんだ」
「ねんね、ないない」
真夜中。日付が変わってちょっとした頃。
腕の中の晴香が、珍しく真顔で言ってきた。
「頑張って寝ろ」
けれど晴香は首を横に振るばかり。
これには深い深い訳があり。
すべての原因は今日の昼間にあった…
「やーきゅー!やーきゅ!」
「………」
「おてけ、おけて!」
「………」
「ねーねっ!」
「………」
「きゅーうーうー!」
「………」
「………きぅ」
床にぺたんと尻尾が垂れた。
興奮して動いていた耳も今はいつもの垂れた耳。
人が行き交うのどかな休日。
朝ご飯も昼ご飯も食べ終えた八雲はベッドの上にいた。
ここのところ忙しく、学生らしく徹夜でレポートに励んでいた。
そのレポートも今朝方終わり、そんな八雲にとっては久しぶりの休み。
することのないと言うのは本当だが、それよりも徹夜尽くしの身体は睡魔に勝てず。
八雲は昼寝の真っ最中であった。
「きう…」
いくら呼びかけても揺らしても。
起きる気配のない八雲に、晴香はとぼとぼとベッドから離れる。
「きゅ!」
が、台所まで行くとくるりと振り返り、八雲目掛けて勢い良く走り出す。
「きゅっ!」
「うっ…」
ベッドの手前でジャンプを決めた晴香は、八雲の腹に無事着地した…
「…おい」
八雲が目を開けると、身体の上に晴香がいた。
布団に顔を埋め、楽しそうに足をバタバタさせている。
とんだ起こされ方をした八雲は、不機嫌そうに眉を寄せ晴香を睨んだ。
だが、晴香は気分上々。
むしろ瞼を開けてくれたのが嬉しいのか、目前まで迫ってきた。
「やきゅだ!」
瞳を輝かせ、嬉しそうにパタパタ尾を振る。
「…だから何だ」
枕元の携帯に手を伸ばす。
時刻は昼間の1時過ぎ。
昼寝を始めてから30分も経っていない。
「おてけ!」
「おて…?」
そんな中でも晴香はしつこく話しかける。
「おて、おけて!」
「あぁ…起きて、か」
そう言いながらも、頭まで布団を被る八雲に晴香は頬を膨らました。
「おちゃんぽ!」
「今日はお散歩は休み。お散歩はなし」
寝返りをうつ。晴香は口をぽかんと開けしばらく固まる。
小さな脳みそが理解する頃には、怒ることはなくしょぼんとうなだれてしまった。
「おちゃんぽ…ないない…」
すでに寝掛ける八雲の耳に届く声。
起こそうとしているようだが、手のひらの指圧は長く続かない。
諦めたのか、と寝入りそうだったとき。
「くちゅん」
あまりにも切ない、鼻をすする音がした。
「………」
それから立ち去ろうとする晴香の身体を抱き寄せ、八雲は腕の中に閉じこめた。
「きゅ…?」
涙が浮ぶ瞳が、腕の中から見上げてくる。
泣かせた、という罪悪感が気まずく髪を掻き回した。
「…一緒にお昼寝、するぞ」
「!」
「それで良いか?」
「やきゅといっちょ!ちゅき!」
「…そうか」
ぎゅーっと胸に抱きついてきた晴香を、八雲はそっと抱きしめ返した。
昼間抱き締めた晴香を、真夜中にも抱き締める。
ポンポンと背中を優しく叩いてやるも、晴香の瞳はぱっちりと開いたままだった。
「ねんね、ないない」
「……眠れなくなったか」
あの後は日が沈むまでともに寝てしまい、眠れなくなるのもわかる。
八雲は目の上に手を置き、瞼を下げようとする。
けれど手が退いても、晴香の瞳はぱっちりと開いたままだった。
「目を閉じろ」
「きゅ!」
ぎゅーっと瞼が閉じられる。
力がこもっているのが見てわかる。瞼だけでなく、頭まで下がってきた。
そんな旋毛を眺めながら、八雲は背中を鼓動のリズムに合わせて優しく叩く。
「きゅぅ…」
けれど睡魔はやっては来ず。
再び開いた瞳は、落ち込んだように伏せられた。
「………」
元はといえば長時間昼寝をさせてしまった僕に原因がある。
このまま晴香を放り一人で眠るわけにもいかない八雲は深くため息を吐いた。
それを見た晴香は何を思ったか、瞳を潤ませ口を結う。
「はりゅ、いーこちゅる…!」
そういうと、ぎゅうと眉間に皺が寄るほど力強く目を閉じた。
何がどうしたのかと思えば、僕が怒ったと思ったようだ。
「…別に怒ってない、ぞ」
それでも晴香はやめない。
涙を浮かべた晴香に、出かけたため息は飲み込まれた。
代わりに晴香を胸に抱え、起き上がる。
「やきゅ…?」
「昼間に、行けなかったからな」
「?」
「……散歩」
「!」
ぱたりと尾が一揺れ。
それから何度も何度も、確認するように顔を覗いてきた。
───幼い頃、寝れない僕を抱き抱え叔父がしてくれた…
「散歩…夜のお散歩に行くぞ」
夜のお散歩に。
防寒対策をした晴香を抱え、八雲は一歩一歩。
踏みしめるように急な外階段を降りていった。
「きゅ…きゅ…きゅっ!」
「静かにしろ。しーっ…だ」
一段降りる度に鳴く晴香に注意をする。
コクコクと頷き黙り込む姿はいつもより興奮気味。
…十数年前の僕もこうだったのだろうか。
考えて八雲は、ため息を吐いた。
夜に寝付けなかった幼い僕を、叔父さんはいつも外に連れ出してくれた。
夜の世界は昼間のものとは反転した“静”の世界。
月明かりは眩き、空気は優しく。
それはどんな子守歌ともかけ離れたものであった。
行く先もなく街を歩く。
寝静まった真夜中。
住宅街に囲まれたこの道を、欠けた月と街灯が照らす。
「きゅふふ」
腕の中、コートの中に収まった身体がもぞもぞと動く。
晴香を着ているコートの中に入れ、出きる限りファスナーを締めた今。
帽子を被った頭だけがコートから出ている。
「寒くないのか?」
防寒対策と言っても、晴香共々まともな防寒着を持っていない。
「んーん!」
頬は、ほんのり桜色。
笑みが絶えない楽しそうな顔。
僕と君とで月の下。
静かな夜の散歩に出よう。
寝れない晴香に幼い頃の自分を重ねた、八雲なのでした。
end.
本当は夜のお散歩がメインだったんですが…
前振りが長くなりすぎましたorz
続きどうしようかな…
「………」
「やきゅもきゅん」
「……なんだ」
「ねんね、ないない」
真夜中。日付が変わってちょっとした頃。
腕の中の晴香が、珍しく真顔で言ってきた。
「頑張って寝ろ」
けれど晴香は首を横に振るばかり。
これには深い深い訳があり。
すべての原因は今日の昼間にあった…
「やーきゅー!やーきゅ!」
「………」
「おてけ、おけて!」
「………」
「ねーねっ!」
「………」
「きゅーうーうー!」
「………」
「………きぅ」
床にぺたんと尻尾が垂れた。
興奮して動いていた耳も今はいつもの垂れた耳。
人が行き交うのどかな休日。
朝ご飯も昼ご飯も食べ終えた八雲はベッドの上にいた。
ここのところ忙しく、学生らしく徹夜でレポートに励んでいた。
そのレポートも今朝方終わり、そんな八雲にとっては久しぶりの休み。
することのないと言うのは本当だが、それよりも徹夜尽くしの身体は睡魔に勝てず。
八雲は昼寝の真っ最中であった。
「きう…」
いくら呼びかけても揺らしても。
起きる気配のない八雲に、晴香はとぼとぼとベッドから離れる。
「きゅ!」
が、台所まで行くとくるりと振り返り、八雲目掛けて勢い良く走り出す。
「きゅっ!」
「うっ…」
ベッドの手前でジャンプを決めた晴香は、八雲の腹に無事着地した…
「…おい」
八雲が目を開けると、身体の上に晴香がいた。
布団に顔を埋め、楽しそうに足をバタバタさせている。
とんだ起こされ方をした八雲は、不機嫌そうに眉を寄せ晴香を睨んだ。
だが、晴香は気分上々。
むしろ瞼を開けてくれたのが嬉しいのか、目前まで迫ってきた。
「やきゅだ!」
瞳を輝かせ、嬉しそうにパタパタ尾を振る。
「…だから何だ」
枕元の携帯に手を伸ばす。
時刻は昼間の1時過ぎ。
昼寝を始めてから30分も経っていない。
「おてけ!」
「おて…?」
そんな中でも晴香はしつこく話しかける。
「おて、おけて!」
「あぁ…起きて、か」
そう言いながらも、頭まで布団を被る八雲に晴香は頬を膨らました。
「おちゃんぽ!」
「今日はお散歩は休み。お散歩はなし」
寝返りをうつ。晴香は口をぽかんと開けしばらく固まる。
小さな脳みそが理解する頃には、怒ることはなくしょぼんとうなだれてしまった。
「おちゃんぽ…ないない…」
すでに寝掛ける八雲の耳に届く声。
起こそうとしているようだが、手のひらの指圧は長く続かない。
諦めたのか、と寝入りそうだったとき。
「くちゅん」
あまりにも切ない、鼻をすする音がした。
「………」
それから立ち去ろうとする晴香の身体を抱き寄せ、八雲は腕の中に閉じこめた。
「きゅ…?」
涙が浮ぶ瞳が、腕の中から見上げてくる。
泣かせた、という罪悪感が気まずく髪を掻き回した。
「…一緒にお昼寝、するぞ」
「!」
「それで良いか?」
「やきゅといっちょ!ちゅき!」
「…そうか」
ぎゅーっと胸に抱きついてきた晴香を、八雲はそっと抱きしめ返した。
昼間抱き締めた晴香を、真夜中にも抱き締める。
ポンポンと背中を優しく叩いてやるも、晴香の瞳はぱっちりと開いたままだった。
「ねんね、ないない」
「……眠れなくなったか」
あの後は日が沈むまでともに寝てしまい、眠れなくなるのもわかる。
八雲は目の上に手を置き、瞼を下げようとする。
けれど手が退いても、晴香の瞳はぱっちりと開いたままだった。
「目を閉じろ」
「きゅ!」
ぎゅーっと瞼が閉じられる。
力がこもっているのが見てわかる。瞼だけでなく、頭まで下がってきた。
そんな旋毛を眺めながら、八雲は背中を鼓動のリズムに合わせて優しく叩く。
「きゅぅ…」
けれど睡魔はやっては来ず。
再び開いた瞳は、落ち込んだように伏せられた。
「………」
元はといえば長時間昼寝をさせてしまった僕に原因がある。
このまま晴香を放り一人で眠るわけにもいかない八雲は深くため息を吐いた。
それを見た晴香は何を思ったか、瞳を潤ませ口を結う。
「はりゅ、いーこちゅる…!」
そういうと、ぎゅうと眉間に皺が寄るほど力強く目を閉じた。
何がどうしたのかと思えば、僕が怒ったと思ったようだ。
「…別に怒ってない、ぞ」
それでも晴香はやめない。
涙を浮かべた晴香に、出かけたため息は飲み込まれた。
代わりに晴香を胸に抱え、起き上がる。
「やきゅ…?」
「昼間に、行けなかったからな」
「?」
「……散歩」
「!」
ぱたりと尾が一揺れ。
それから何度も何度も、確認するように顔を覗いてきた。
───幼い頃、寝れない僕を抱き抱え叔父がしてくれた…
「散歩…夜のお散歩に行くぞ」
夜のお散歩に。
防寒対策をした晴香を抱え、八雲は一歩一歩。
踏みしめるように急な外階段を降りていった。
「きゅ…きゅ…きゅっ!」
「静かにしろ。しーっ…だ」
一段降りる度に鳴く晴香に注意をする。
コクコクと頷き黙り込む姿はいつもより興奮気味。
…十数年前の僕もこうだったのだろうか。
考えて八雲は、ため息を吐いた。
夜に寝付けなかった幼い僕を、叔父さんはいつも外に連れ出してくれた。
夜の世界は昼間のものとは反転した“静”の世界。
月明かりは眩き、空気は優しく。
それはどんな子守歌ともかけ離れたものであった。
行く先もなく街を歩く。
寝静まった真夜中。
住宅街に囲まれたこの道を、欠けた月と街灯が照らす。
「きゅふふ」
腕の中、コートの中に収まった身体がもぞもぞと動く。
晴香を着ているコートの中に入れ、出きる限りファスナーを締めた今。
帽子を被った頭だけがコートから出ている。
「寒くないのか?」
防寒対策と言っても、晴香共々まともな防寒着を持っていない。
「んーん!」
頬は、ほんのり桜色。
笑みが絶えない楽しそうな顔。
僕と君とで月の下。
静かな夜の散歩に出よう。
寝れない晴香に幼い頃の自分を重ねた、八雲なのでした。
end.
本当は夜のお散歩がメインだったんですが…
前振りが長くなりすぎましたorz
続きどうしようかな…
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