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八雲で八晴!

ショートケーキのイチゴはいつ食べるか!
みたいな話かと思いきや、最後にちょっと注意!なものがあるので注意です。

八雲/八晴(恋人設定)

汗ばむ人々を、太陽は憎たらしくも真上から見下ろすお昼過ぎ。


講義が終わったのか、先ほどまでの静けさとは打って変わって窓の外から聞こえるのは雑多の音。

人と人とが会話をする声。コンクリと靴裏が擦れる音。

それらにかき消された、春をうたう小鳥たちはどこに行ってしまったのか。

そんなことを思っていると、チチチと小鳥がどこかで鳴いた。


耳に届くのは生物が生活をしていることを証明する雑音だらけ。

会話の一字一句を間違いなく聞き取ることは出来ないが、騒がしいとも取れる談笑は今日も平和ですと晴香に伝えていた。






四面を壁に囲まれた四角い部屋に閉じこもる晴香は、今日も平和だと確信し三角形の頂点にフォークを指した。

弾力があるもすぐに崩れるスポンジの感触がステンレスのフォークを通して伝わってくる。

削り取ったスポンジと生クリームの塊をフォークで掬い取り、パクリと口の中に入れた。

糖度とカロリーの高い生クリームが舌の上から口内へと広がっていく。
室内の温度に同調し生暖かくなったそれは口の中にしつこくまとわりついた。

蛍光灯の光に反射し艶やかに輝く赤い果実に、ごくりと喉がなった。


「うん、ケーキはやっぱりショートケーキだよね」

深く息を吐くのと同時に一日の疲れがどっと抜ける。
眼下にあるショートケーキを見下ろし、晴香は口の周りを一舐めした。

「ここのショートケーキ、おいしいって有名なんだって」

不恰好なショートケーキの頂点をまた削る。

「一日限定50個しか作らないみたいなの」

横に倒れそうになるスポンジをフォークで支える。
傾いたショートケーキは今にも崩れそう。

「ねえ、聞いてる八雲君?」

「あぁ」

視線を眼下のショートケーキから八雲に向ける。
久しぶりに見た八雲は、せっかくのケーキなのに、機嫌が良いようには見えなかった。
視線はケーキでもなければフォークでもなく、こちらを見つめている。

「な、何…?」

綺麗なままのフォークが、親指と人差し指に挟まれゆらゆらと揺れている。

「……どうして来なかった」

フォークをくるりと回し柄を掴むと、そのまま三つに分かれた先を突きつけられた。
いくらフォークでも刃は刃。思わず仰け反った晴香は待って待ってっと両手で制した。

「だから試験期間だったって何度も言ってるじゃない」

ここ数週間、試験期間に入ってしまい八雲の元になかなか会いに来れなかった。
八雲は頭がいいから勉強をしなくても赤点を採らないのだろうけど、晴香の頭はそうとはいかない。
努力して勉強しても中の上しか採れないのだ。

「お詫びにケーキだって買ってきてあげたんだから…」

いい加減ゆるしてくれたっていいじゃない。

試験の度にお詫びの品を献上している晴香の財布は現在進行形でピンチだ。
それでも八雲の機嫌が直るなら安い方。

ケーキの上に乗っかったイチゴを見つめ、フォークから口を離した。

「ごめん、ね?」

「………」

何が功を奏したか、目前からフォークは去る。
ほっと胸を撫で下ろし、晴香はショートケーキに向き直り削っては食する単純な作業を再開した。

一日50個限定の味はよく分からない。
そうなのと、そうじゃないのとを食べ比べなければ限定の味というのを知ることは出来なかった。

まあ、おいしいものが食べられるだけで私のお腹は満足している。

八雲の口元にフォークが運ばれるのに気付き、視線を上げた。

「ちょっ…!」

そこで見たものに晴香は思わず立ち上がった。

お皿の上には生クリームとスポンジだけのケーキ。
イチゴはフォークの先。

ショートケーキの主役がいなくなったケーキは、見ているこっちが寂しくなった。

「…なんだ」

仏頂面の八雲は、フォークの先にイチゴを突き刺し今にも食べようとしていた。

「なんだじゃなくって、何でイチゴを一番に食べようとしてるの!?」

イチゴは普通、最後に食べるものでしょ!
晴香が訴えると、八雲は呆れたようにため息を吐きイチゴを食した。

「僕は一番最初に食べる派なんだ」

咀嚼しながら述べられた言葉に、信じられないと席につく。

「おいしいものは最後に取って置くものでしょ…?」

「君の当たり前を僕に押しつけるな」

イチゴを食べ終えた八雲は、スポンジを削り食べる。
八雲の舌は50個限定の味を見極めているのか、食していくスピードは並みではない。

「それに、おいしいものは先に食べるものだ」

「…そういうもの?」

「人それぞれってことで良いだろ」

「まぁ…いっか」

人が一人一人違う考えを持つように、それはそれでいいのかもしれない。
ただ、スポンジの部分を食べるより先にイチゴを食べるのは晴香には理解し難かった。

「というわけで」

カチン、とステンレス製のフォークが机の上に置かれる。

「へ?」

腰を上げ机に手を突きぐいと接近してくる八雲に、晴香は目を見開いた。
身を守ろうと下がるも、背中はすぐに背もたれにぶつかり叶うことはなかった。

下の唇に親指を押し付けられ、思わず呼吸が止まる。
残念そうな表情で「吐息が良いのに」とこぼされた言葉は聞こえないフリ。

「ちょ、ちょっと八雲君…?何しようとしてるの?」

「ナニしようとしているだけだが?」

薄々感ずいてはいたが、実際に言葉で聞くのとでは危機感は全然違った。

何が八雲をそういう気持ちにさせたのかとか、思うことはたくさんあったが、全ての思考は八雲を止めさせるという使命に駆られて考えることは出来なかった。
ただ、八雲がやる気だということはいくら鈍感な晴香にもわかった…

「ま、待って!待って待って!」

「お詫びはコレでいい」

「コレで良いって……っ!」

弾力のある唇を押す指が、ちゅるりと中に入ってきた。
生クリームでも唇に付いていたのか、八雲の指は甘い。

「んぅっ…」

油断していたため、あっさりと侵入してきたそれに為すすべもなく晴香は堪えた。
一度奥に侵入してきた指が、するすると歯茎を撫でる。

「やだ…まだお昼だよ」

「どうせ誰も来ない」

「外…休み時間で人、いっぱい…」

「君が声を出さなければ良い話だ」

「……ケーキ、まだ残ってる」

「僕はもう食べ終わった」

「夜まで待って…」

「嫌だ」


それに────


「本当に嫌なら、噛むなり抵抗すればいい」


そういうと八雲は自ら、上の犬歯に親指を食い込ませる。
抵抗したいのに身体が言うことを聞かない。晴香は、されるがままに八雲を見上げた。


「……コレが良い、な」

涙目で、いやいやと首を振る晴香に、八雲は溜まったものを飲み込んだ。


涙目。火照た頬上。目遣い。

晴香がああいう行為に馴れないのと同じで、これはいつになっても慣れないものだ。



指を引き抜くと、ちゅぽんとそれはそれは卑猥な水音が聞こえた。

唾液に濡れた指を舐め、八雲は晴香の耳元で囁いた。



「僕は、おいしいものは先に食べる派なんだ」






end.



口の中に指を入れるシチュってエロイっすよね。

疑似的なキスというか、指入れたまま耳元では言葉攻めという。
それで晴香ちゃんから「おねがい…」とか言わせるに違いない。斉藤のSはドSのS!

本当は上に書いたようなことを書きたかったので、またリベンジしたいです。
でも上に書いちゃったしもういいかなとも思っt
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