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LGでほのぼの甘い秋直です。
ライアーゲームの、ライアーゲームの再開はいつなのでしょうか…!
もう今年も半分すぎちゃいますよ!
LG/秋直(恋人設定)
ライアーゲームの、ライアーゲームの再開はいつなのでしょうか…!
もう今年も半分すぎちゃいますよ!
LG/秋直(恋人設定)
「寂しいんです」
「え…?」
「お願いします、秋山さん。一緒に、一緒に…」
寝て、ください…
俺と彼女は恋人同士か。
関係を名前で表せというならばそうであろう。
しかし実際は互いに「好き」と伝えあったところで止まり。
床をともにしたこともなければ、キスをした覚えすらない。
恋人らしいことは、手を繋ぐくらい。
そんな俺たちの関係は、友達と呼べるよりは深く。
恋人と呼べるには足りない、中途半端な関係だった。
それは仲の良い兄と妹のように。
近所に住むおじさんとこの界隈で無垢な娘さんのように。
友達以上恋人未満。
付き合っているはずなのに、その言葉がしっくりしていた。
────だから、彼女からのお誘いには心底驚いた。
肩に掛けたタオルで髪を拭きながら、秋山は洗面所から出てきた。
ここは神崎直の家。
母親は他界、父親はホスピスで療養中である彼女は一人で暮らしているようであった。
ワンルームの部屋にはベッドと、アンティークな家具たち。
どこで集めてきたのか不思議な雑貨が所々に飾られてる。
純和風なものから、西洋風なもの。どこぞかの民族が作ったであろう、木の彫り物まであった。
こう見ると彼女は衝動買いをする方なのだろう。
そういうところは実に女性らしいというか。
そこで改めて、女の部屋に泊まりに来ているのだと気付いた。
泊まりにくることは何度かあっても、今日ほど緊張で胸が張り裂けそうなのは初めてであろう。
余り人の部屋をじろじろ見るのも悪いだろうと思って、部屋の主である直の姿を探した。
一度見過ごしたが、直はベッドの上に並べられたぬいぐるみの中に紛れてぽつんと座っていた。
彼女らしい、ベビーピンクの寝間着。
袖や襟に縫いつけられたレースが、赤ん坊のそれに見え少しだけ緊張が解れた。
先に風呂に入ったというのに、その肌はまだほんのり桜色で。
見惚れていると、向こうも秋山に気付き抱えた膝から手を離した。
「あ、お湯加減大丈夫でしたか?」
「ちょっと熱かったけど、良い湯だったよ」
髪を絞るようにタオルを捻り、直の隣に…ぬいぐるみのクマを間に腰を下ろす。
ベッドのバネが軋む音に何故か胸が締め付けられた。
「……本当に良いのか?」
俺たちの関係は手繋ぎ止まり。
今まで泊まりに来たことは何度かあるが、全てフローリングの床で寝ている。
同じ布団で寝たことは…ない。
そんな不安と微かな期待に襲われる秋山とは逆に、直はけろりとした顔で言った。
「秋山さんが迷惑じゃなかったら…お願いします」
深々と頭を下げられては断るに断れない。
直より年上で、大人なんだからしっかりしないととは思っているのだが…
やっぱり、彼女が好きだった。
「……わかった」
「わあ、ありがとうございます!」
直の目を見れないまま、秋山は返事をした。
足をバタバタさせ喜びを現す直を宥めながら立ち上がり、電気を消しに向かう。
「あ、オレンジのお願いします」
「はいはい」
壁際のスイッチをカチカチと何度か押し、橙色の電球に合わせた。
小さな電球が、半透明のカバーを夕焼けのように赤く染める。
直はこの豆電球を付けないと眠れないらしい。
以前「子供だな」とからかったら「防犯のためです。すぐに逃げられるようにです」と返された。
それは確かに正論だが、あの時の逸らした視線は明らかに「眠れないんです」だった。
そんなことを考えながら戻ると、直はすでにベッドの上に寝転がっていた。
ただでさえ狭いシングルベッドに、もう一人分のスペースを開けて。
「さぁ秋山さん!早く!」
黒目がちな瞳を輝かせ布団を叩く。
……この辺りから、俺と彼女の思い違いに薄々気付きだした。
布団に潜る。彼女の方を向くべきか、背を向けるべきか。
悩んだ挙げ句、天井を見上げることにした。
いつもは彼女の心のように白い天井が、今は俺の心を表すかのようにぼんやりと染まっていた。
「ふふふっ」
「どうした?」
「何だかお兄さんが出来たみたいで嬉しいです」
この年まで一緒に寝るお兄さんはいないだろうけどね。
言うか言わないか、迷ったけれど彼女の夢を壊さないようにと言わないことにした。
その後もくだらないことを喋り、緊張も完全に解けた頃。
直が大きな欠伸を一つした。
「もう寝る?」
「……はい」
ふぁいとも聞き取れる返事。
閉じた瞼を掻きまた欠伸。
「………」
寝るかと聞いたのはこちらだが、さてどうしたものか。
このまま何もせずに寝ても良いのだろうか。
否、ここで何かをしなければ男ではなかろう。
「おやすみなさい」
「…おやすみ」
と熱く考えつつも、今宵も手を出すことは出来そうになかった。
眠れないと言ってきたのは向こうだ。ここは彼氏として抱きしめてやろう。
そう思い直がいる方へ寝返りを打つ。
「………」
するとそこには、クマのぬいぐるみを抱えて眠る姿があった。
クマを抱いているだけならまだしも、こちらに背を向けている。
腕枕をしてやるわけでも、抱きしめてやるわけでもない。
背中をポンポンと叩き、寝かしつけることもない。
なぜ自分がここにいるのか、存在意義が分からない。
「俺、なんでいるの?」
思わず出てきた言葉。
慌てて口を塞ぐも時既に遅し。
首を捻って見上げてきた直は、寝ぼけ眼で笑った。
「隣にいてくれるだけで幸せなんです」
その言葉を聴いた秋山は無性に直が愛しくなった。
たった数センチの溝すらも大きく感じ、気付いたときには後ろから抱きしめていた。
「秋山さぁーん?」
寝ぼけているのであろう。
自らを呼び続ける甘ったるい声を耳に、秋山は無視することを決めた。
「もう寝ちゃったんですかー」
秋山さん秋山さん。
彼女に髪に触れる顎がくすぐったい。
シャンプーは花の匂い。
暖かい身体は人よりも、犬とか猫とかに近かった。
「だいすきですよ」
「………」
「なーんちゃって!」
とにかく今日は、彼女の安眠を守ろう。
end.
こういう健全な秋直が好きです。
「え…?」
「お願いします、秋山さん。一緒に、一緒に…」
寝て、ください…
俺と彼女は恋人同士か。
関係を名前で表せというならばそうであろう。
しかし実際は互いに「好き」と伝えあったところで止まり。
床をともにしたこともなければ、キスをした覚えすらない。
恋人らしいことは、手を繋ぐくらい。
そんな俺たちの関係は、友達と呼べるよりは深く。
恋人と呼べるには足りない、中途半端な関係だった。
それは仲の良い兄と妹のように。
近所に住むおじさんとこの界隈で無垢な娘さんのように。
友達以上恋人未満。
付き合っているはずなのに、その言葉がしっくりしていた。
────だから、彼女からのお誘いには心底驚いた。
肩に掛けたタオルで髪を拭きながら、秋山は洗面所から出てきた。
ここは神崎直の家。
母親は他界、父親はホスピスで療養中である彼女は一人で暮らしているようであった。
ワンルームの部屋にはベッドと、アンティークな家具たち。
どこで集めてきたのか不思議な雑貨が所々に飾られてる。
純和風なものから、西洋風なもの。どこぞかの民族が作ったであろう、木の彫り物まであった。
こう見ると彼女は衝動買いをする方なのだろう。
そういうところは実に女性らしいというか。
そこで改めて、女の部屋に泊まりに来ているのだと気付いた。
泊まりにくることは何度かあっても、今日ほど緊張で胸が張り裂けそうなのは初めてであろう。
余り人の部屋をじろじろ見るのも悪いだろうと思って、部屋の主である直の姿を探した。
一度見過ごしたが、直はベッドの上に並べられたぬいぐるみの中に紛れてぽつんと座っていた。
彼女らしい、ベビーピンクの寝間着。
袖や襟に縫いつけられたレースが、赤ん坊のそれに見え少しだけ緊張が解れた。
先に風呂に入ったというのに、その肌はまだほんのり桜色で。
見惚れていると、向こうも秋山に気付き抱えた膝から手を離した。
「あ、お湯加減大丈夫でしたか?」
「ちょっと熱かったけど、良い湯だったよ」
髪を絞るようにタオルを捻り、直の隣に…ぬいぐるみのクマを間に腰を下ろす。
ベッドのバネが軋む音に何故か胸が締め付けられた。
「……本当に良いのか?」
俺たちの関係は手繋ぎ止まり。
今まで泊まりに来たことは何度かあるが、全てフローリングの床で寝ている。
同じ布団で寝たことは…ない。
そんな不安と微かな期待に襲われる秋山とは逆に、直はけろりとした顔で言った。
「秋山さんが迷惑じゃなかったら…お願いします」
深々と頭を下げられては断るに断れない。
直より年上で、大人なんだからしっかりしないととは思っているのだが…
やっぱり、彼女が好きだった。
「……わかった」
「わあ、ありがとうございます!」
直の目を見れないまま、秋山は返事をした。
足をバタバタさせ喜びを現す直を宥めながら立ち上がり、電気を消しに向かう。
「あ、オレンジのお願いします」
「はいはい」
壁際のスイッチをカチカチと何度か押し、橙色の電球に合わせた。
小さな電球が、半透明のカバーを夕焼けのように赤く染める。
直はこの豆電球を付けないと眠れないらしい。
以前「子供だな」とからかったら「防犯のためです。すぐに逃げられるようにです」と返された。
それは確かに正論だが、あの時の逸らした視線は明らかに「眠れないんです」だった。
そんなことを考えながら戻ると、直はすでにベッドの上に寝転がっていた。
ただでさえ狭いシングルベッドに、もう一人分のスペースを開けて。
「さぁ秋山さん!早く!」
黒目がちな瞳を輝かせ布団を叩く。
……この辺りから、俺と彼女の思い違いに薄々気付きだした。
布団に潜る。彼女の方を向くべきか、背を向けるべきか。
悩んだ挙げ句、天井を見上げることにした。
いつもは彼女の心のように白い天井が、今は俺の心を表すかのようにぼんやりと染まっていた。
「ふふふっ」
「どうした?」
「何だかお兄さんが出来たみたいで嬉しいです」
この年まで一緒に寝るお兄さんはいないだろうけどね。
言うか言わないか、迷ったけれど彼女の夢を壊さないようにと言わないことにした。
その後もくだらないことを喋り、緊張も完全に解けた頃。
直が大きな欠伸を一つした。
「もう寝る?」
「……はい」
ふぁいとも聞き取れる返事。
閉じた瞼を掻きまた欠伸。
「………」
寝るかと聞いたのはこちらだが、さてどうしたものか。
このまま何もせずに寝ても良いのだろうか。
否、ここで何かをしなければ男ではなかろう。
「おやすみなさい」
「…おやすみ」
と熱く考えつつも、今宵も手を出すことは出来そうになかった。
眠れないと言ってきたのは向こうだ。ここは彼氏として抱きしめてやろう。
そう思い直がいる方へ寝返りを打つ。
「………」
するとそこには、クマのぬいぐるみを抱えて眠る姿があった。
クマを抱いているだけならまだしも、こちらに背を向けている。
腕枕をしてやるわけでも、抱きしめてやるわけでもない。
背中をポンポンと叩き、寝かしつけることもない。
なぜ自分がここにいるのか、存在意義が分からない。
「俺、なんでいるの?」
思わず出てきた言葉。
慌てて口を塞ぐも時既に遅し。
首を捻って見上げてきた直は、寝ぼけ眼で笑った。
「隣にいてくれるだけで幸せなんです」
その言葉を聴いた秋山は無性に直が愛しくなった。
たった数センチの溝すらも大きく感じ、気付いたときには後ろから抱きしめていた。
「秋山さぁーん?」
寝ぼけているのであろう。
自らを呼び続ける甘ったるい声を耳に、秋山は無視することを決めた。
「もう寝ちゃったんですかー」
秋山さん秋山さん。
彼女に髪に触れる顎がくすぐったい。
シャンプーは花の匂い。
暖かい身体は人よりも、犬とか猫とかに近かった。
「だいすきですよ」
「………」
「なーんちゃって!」
とにかく今日は、彼女の安眠を守ろう。
end.
こういう健全な秋直が好きです。
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