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八雲で一人暮らしパロ!
前回から間が空いてしまいました…
更新率が高くなるとかなんとか言ってたんですが、すいませんorz
※追記!
UP出来ていませんでした、本当にすいません。
同じ失敗を犯さないよう、今後も気をつけさせてもらいます。
八雲/一人暮らしパロ
前回から間が空いてしまいました…
更新率が高くなるとかなんとか言ってたんですが、すいませんorz
※追記!
UP出来ていませんでした、本当にすいません。
同じ失敗を犯さないよう、今後も気をつけさせてもらいます。
八雲/一人暮らしパロ
そこは、晴香にとっても憧れの場所であった。
シンプルな間取り。
剥き出しのコンクリート。
都会的な雰囲気。
デザイナーズマンションとしては狭いものではあるが、冷たく感じるそこは自宅のそれとはかけ離れ自然と鼓動が高鳴った。
「わあ…!」
八雲が開けた戸の先。
新築のように綺麗なフローリングの廊下が続く。
塗り立てのワックスが、天井のライトに照らされ光り輝く。
越してきたばかりで物が少ないからか、そこはまるでモデルルームのよう。
玄関先で瞳を輝かせてはしゃぐ晴香に呆れながらも、八雲は晴香を部屋に招き入れた。
「おじゃましまーす」
パンプスを脱ぎきれいに揃える。
視界の隅で放られたスニーカーを睨み、放った張本人をも睨む。
気にする様子もなく部屋に上がる八雲を見て、しぶしぶスニーカーを揃えた。
文句の一つでも言おうとしたが、私は客人。彼は家主。
僕の家なんだから僕の自由だろ、と言い返す姿が目に浮かぶ。
そこで、八雲が一人暮らしを始めたのだと実感させられた。
「いつまでそこにいる」
声をかけられ顔を上げると、呆れ顔の八雲と目が合う。
おじゃましますと再度呟き、廊下の奥に進むとワンルームが広がっていた。
モノトーンを基調にした必要最低限の家具たちはひどく無機質に感じ、生活臭が感じられない。
そういえばデザイナーズマンションは部屋の間取りが複雑で、家具を配置しにくいと聞いたことがある。
でも、見る限りこの部屋の家具たちはきれいに並べられている。
「やっぱり…物が少ないからかな」
これじゃあの部室と同じだな。
八雲はどうやら、物がなくても生きていける人間らしい。
あの部室だから物が少ない、というわけではなさそう。
壁に立てかけられた形の成さないダンボールをつま先でつついた。
「麦茶でいいか?」
台所で冷蔵庫を漁る八雲に、晴香はお構いなくと返す。
八雲から飲み物を出してくれるだなんて、一人暮らしを始めて自立してきたのかな。
感心感心と一人腕を組んでいると、手にしている箱の存在を思い出した。
「あ、これ引越祝いのケーキ」
ここに来る途中で立ち寄った、スーパーの中にあるケーキ屋で買ったショートケーキ。
「……テーブルに置いといてくれ」
「はーい」
空いた間を礼と見なし、言われた通りローテーブルの上に置く。
袋の中から使い捨てのフォークを取り出したところで、皿が必要だということに気がついた。
「お皿とかない?」
「皿なんてない」
「え…」
「皿なんかなくても生きていけるからな」
見覚えのあるビーカーに麦茶が注がれるのを見て、晴香は寒気がした。
ビーカーをコップの代わりに使用していることもだが、食器類がないことにだ。
仕方ないなと呆れ、家に余ってるのがあったはずだし、今度持ってきてあげよう。
と、八雲から渡されたビーカーを手に、心に誓った。
「…高かったんじゃない?」
麦茶を飲み一息ついたところで、当初からの疑問を投げかける。
ローテーブルを挟んでいる八雲は、最初は何のことかと眉を潜め、しばらくしてあぁとのんきに返した。
「どうやら出るらしい」
何が、と口にしかける。が、何かがわかった晴香は静かに口を閉じ息をのんだ。
高いはずの高くない物件。
その理由は“出るらしい”。
「出るって…」
野良猫や野鳥でも飛んでくるのか。
それともシロアリ問題か。
いいや違う。
“ナニ”が出るのか。晴香にはよく分かっていた。
背筋がぶるりと震える。
「まぁ、今のところ見えないがな」
僕の瞳には。
そういう八雲は何故か楽しそうに見えた。
大学の近く。デザイナーズマンション。高い物件を安く借りられた。
メリットだらけで嬉しいのだろう。
「安心しろ。大丈夫だ」
「そ、そっか」
八雲が言うのだから間違いない。
ただ火のないところに煙は立たない。
いないと分かっていても、晴香の肩身はいつの間にか縮まっていた。
けれどそれも最初だけ。
ケーキを食べ終わる頃には、晴香の調子も元通りになっていた。
今までそういうものに関わってきたからか。
八雲が“大丈夫”というからには大丈夫なのだろう。
嘘を言っていることも考えられたが、その考えはすぐになくなった。
その一に八雲の表情が柔らかいこと。
その二にもしいるとするならば、八雲はここに越してきていないだろう。
「んーおいしかったー!」
立ち上がり天井に向かって大きく伸びる。
間食としてのショートケーキは胃袋をほどよく満たした。
そして、倒れるようにしてベッドの上に寝転がった。
「…僕のベッドで勝手に寝るな」
「えー、これくらいいいじゃないー」
気分の良い晴香は、身なりが崩れていることも知らず足をばたつかせる。
ベッドの上で身体を半回転させ、うつ伏せになる。
買ったばかりの新しい掛け布団に、まだお日様の匂いはしない。
少し硬い布の感触は決して気持ちのいいものではないが、どこか冷たく乗っかっている分には良かった。
「八雲君の匂いがするー」
「嗅ぐな馬鹿」
くんくんと鼻を押しつけていると、布団を奪われシーツの上に転がり落ちた。
真正面に広がる白い天井に、八雲がひょこりと現れた。
「もう!何するのよ!」
仰向けに寝転がった晴香は、地団太を踏みながら取られた掛け布団に手を伸ばす。
「それはこっちの台詞だ。人の家で勝手なことをするな」
「八雲君だって私の家でよく寝てるじゃない!」
「床でだ。僕は床で寝てるだろ」
「う…」
遊びに来ては好き勝手眠るところに漬け込もうとしたが無理だった。
クッションを枕にいつもフローリングの上で寝ている。
何か別の言い訳を探そうと、掛け布団の角に口元を埋める。
目を逸らしていたからか。ベッドが軋んだことに気付けなかった。
「それに…僕はここまではしゃがない」
気付いたら視界一杯に八雲の顔があって、息を飲む。
そこで部室にいるのではなく、異性の部屋にいるのだと思い出し呼吸が止まった。
「あ……」
どうやらそれは八雲も同じだったらしく、目前の瞼が見開かれ瞬き一つしない。
「…少しは男の部屋だと自覚しろ」
「う、うん」
数分後、退いた八雲の耳は真っ赤に染まっていた。
END.
本当はもっとがっつり襲わせようともしましたがむらむら度が足りませんでした…
次こそは!
シンプルな間取り。
剥き出しのコンクリート。
都会的な雰囲気。
デザイナーズマンションとしては狭いものではあるが、冷たく感じるそこは自宅のそれとはかけ離れ自然と鼓動が高鳴った。
「わあ…!」
八雲が開けた戸の先。
新築のように綺麗なフローリングの廊下が続く。
塗り立てのワックスが、天井のライトに照らされ光り輝く。
越してきたばかりで物が少ないからか、そこはまるでモデルルームのよう。
玄関先で瞳を輝かせてはしゃぐ晴香に呆れながらも、八雲は晴香を部屋に招き入れた。
「おじゃましまーす」
パンプスを脱ぎきれいに揃える。
視界の隅で放られたスニーカーを睨み、放った張本人をも睨む。
気にする様子もなく部屋に上がる八雲を見て、しぶしぶスニーカーを揃えた。
文句の一つでも言おうとしたが、私は客人。彼は家主。
僕の家なんだから僕の自由だろ、と言い返す姿が目に浮かぶ。
そこで、八雲が一人暮らしを始めたのだと実感させられた。
「いつまでそこにいる」
声をかけられ顔を上げると、呆れ顔の八雲と目が合う。
おじゃましますと再度呟き、廊下の奥に進むとワンルームが広がっていた。
モノトーンを基調にした必要最低限の家具たちはひどく無機質に感じ、生活臭が感じられない。
そういえばデザイナーズマンションは部屋の間取りが複雑で、家具を配置しにくいと聞いたことがある。
でも、見る限りこの部屋の家具たちはきれいに並べられている。
「やっぱり…物が少ないからかな」
これじゃあの部室と同じだな。
八雲はどうやら、物がなくても生きていける人間らしい。
あの部室だから物が少ない、というわけではなさそう。
壁に立てかけられた形の成さないダンボールをつま先でつついた。
「麦茶でいいか?」
台所で冷蔵庫を漁る八雲に、晴香はお構いなくと返す。
八雲から飲み物を出してくれるだなんて、一人暮らしを始めて自立してきたのかな。
感心感心と一人腕を組んでいると、手にしている箱の存在を思い出した。
「あ、これ引越祝いのケーキ」
ここに来る途中で立ち寄った、スーパーの中にあるケーキ屋で買ったショートケーキ。
「……テーブルに置いといてくれ」
「はーい」
空いた間を礼と見なし、言われた通りローテーブルの上に置く。
袋の中から使い捨てのフォークを取り出したところで、皿が必要だということに気がついた。
「お皿とかない?」
「皿なんてない」
「え…」
「皿なんかなくても生きていけるからな」
見覚えのあるビーカーに麦茶が注がれるのを見て、晴香は寒気がした。
ビーカーをコップの代わりに使用していることもだが、食器類がないことにだ。
仕方ないなと呆れ、家に余ってるのがあったはずだし、今度持ってきてあげよう。
と、八雲から渡されたビーカーを手に、心に誓った。
「…高かったんじゃない?」
麦茶を飲み一息ついたところで、当初からの疑問を投げかける。
ローテーブルを挟んでいる八雲は、最初は何のことかと眉を潜め、しばらくしてあぁとのんきに返した。
「どうやら出るらしい」
何が、と口にしかける。が、何かがわかった晴香は静かに口を閉じ息をのんだ。
高いはずの高くない物件。
その理由は“出るらしい”。
「出るって…」
野良猫や野鳥でも飛んでくるのか。
それともシロアリ問題か。
いいや違う。
“ナニ”が出るのか。晴香にはよく分かっていた。
背筋がぶるりと震える。
「まぁ、今のところ見えないがな」
僕の瞳には。
そういう八雲は何故か楽しそうに見えた。
大学の近く。デザイナーズマンション。高い物件を安く借りられた。
メリットだらけで嬉しいのだろう。
「安心しろ。大丈夫だ」
「そ、そっか」
八雲が言うのだから間違いない。
ただ火のないところに煙は立たない。
いないと分かっていても、晴香の肩身はいつの間にか縮まっていた。
けれどそれも最初だけ。
ケーキを食べ終わる頃には、晴香の調子も元通りになっていた。
今までそういうものに関わってきたからか。
八雲が“大丈夫”というからには大丈夫なのだろう。
嘘を言っていることも考えられたが、その考えはすぐになくなった。
その一に八雲の表情が柔らかいこと。
その二にもしいるとするならば、八雲はここに越してきていないだろう。
「んーおいしかったー!」
立ち上がり天井に向かって大きく伸びる。
間食としてのショートケーキは胃袋をほどよく満たした。
そして、倒れるようにしてベッドの上に寝転がった。
「…僕のベッドで勝手に寝るな」
「えー、これくらいいいじゃないー」
気分の良い晴香は、身なりが崩れていることも知らず足をばたつかせる。
ベッドの上で身体を半回転させ、うつ伏せになる。
買ったばかりの新しい掛け布団に、まだお日様の匂いはしない。
少し硬い布の感触は決して気持ちのいいものではないが、どこか冷たく乗っかっている分には良かった。
「八雲君の匂いがするー」
「嗅ぐな馬鹿」
くんくんと鼻を押しつけていると、布団を奪われシーツの上に転がり落ちた。
真正面に広がる白い天井に、八雲がひょこりと現れた。
「もう!何するのよ!」
仰向けに寝転がった晴香は、地団太を踏みながら取られた掛け布団に手を伸ばす。
「それはこっちの台詞だ。人の家で勝手なことをするな」
「八雲君だって私の家でよく寝てるじゃない!」
「床でだ。僕は床で寝てるだろ」
「う…」
遊びに来ては好き勝手眠るところに漬け込もうとしたが無理だった。
クッションを枕にいつもフローリングの上で寝ている。
何か別の言い訳を探そうと、掛け布団の角に口元を埋める。
目を逸らしていたからか。ベッドが軋んだことに気付けなかった。
「それに…僕はここまではしゃがない」
気付いたら視界一杯に八雲の顔があって、息を飲む。
そこで部室にいるのではなく、異性の部屋にいるのだと思い出し呼吸が止まった。
「あ……」
どうやらそれは八雲も同じだったらしく、目前の瞼が見開かれ瞬き一つしない。
「…少しは男の部屋だと自覚しろ」
「う、うん」
数分後、退いた八雲の耳は真っ赤に染まっていた。
END.
本当はもっとがっつり襲わせようともしましたがむらむら度が足りませんでした…
次こそは!
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