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八雲で八晴、誕生日のお話です。
どうにか間に合いました…
甘さ控えめ、というより恋人同士のばかな会話みたいな。日常的なものです。
八雲/八晴(恋人設定)
どうにか間に合いました…
甘さ控えめ、というより恋人同士のばかな会話みたいな。日常的なものです。
八雲/八晴(恋人設定)
普段はポスターだけが貼り付けられた飾り気のない部屋が、帰宅したら違っていた。
細い色紙が輪になり繋がり、天井からぶら下がっている。
他にも花や蝶が壁に舞い、そこはまるで幼稚園。
懐かしさを感じながらも、部屋の主である斉藤八雲は首を振った。
「ハッピバースデートゥーユー」
「おい」
歌い終えた晴香は、手にしたクラッカーの残骸を腕に巻いて片付けている。
「なんだこれは」
「え、八雲君のお誕生日会だよ?」
「それは見て分かる。この飾り付けはなんだと、僕は言ってるんだ」
自らのお誕生日会。と聞いて照れる心を隠しつつ、あくまで冷静を装い訪ねる。
誕生日を祝ってくれたのは、これが初めてではない。
彼女に誕生日を教えてから、毎年のように祝ってくれている。
もちろん頼んでやってくれている訳ではない。
ちょっと部屋を空けている隙に、晴香が勝手に準備をしているのだ。
そして今年も、この日がやってきた。
夕飯の買い出しに部室を離れたらこれ。
部屋の中は誕生日会の装飾で溢れていた。
「これはね、授業で作ったの」
「は?」
君は大学ではなく、幼稚園に通っているのか。
言いかけて、晴香が文学部教育学科の生徒だということを思い出す。
自分は教育学科ではないので知らないが、そういう授業があったのだろう。
「そんなことより見てみて。今年は奮発してホールのケーキ買っちゃったの!」
手を取り、八雲を窓側のパイプ椅子に座らせる。
机の上に置かれた大きなケーキ屋の箱に、八雲は苦笑いを浮かべた。
「君は1ホールも食べるつもりか?」
「八雲君も一緒にね」
箱の中から晴香は慎重にケーキを取り出す。
「僕としては君を食べたかった」
「ばか、すぐそっちに運ぶ」
赤いイチゴが並ぶショートケーキの真ん中には、チョコレートのプレート。
そこに書かれているのは「おたんじょうびおめでとう やくもくん」の文字。
まさかこの年で、自らの誕生日にバースデーケーキを食べることになるとは。
突如聞こえてきたシャッター音に顔を上げると、晴香が携帯をこちらに構えている。
「勝手に撮るな」
「だって誕生日でしょ?写真撮らなくちゃ!」
他人の誕生日の何がそんなに楽しいのであろう。
出会ってから絶えることのない笑顔を、八雲は不思議に思った。
晴香は冷蔵庫から刃の長いナイフを取り出し、ケーキを分割していく。
「そんなもの、僕は置いた覚えはない」
「この前、パン持ってきたでしょ?あのとき私が置いてったの」
「………」
怒る気にもなれず、ただただため息を吐く。
ここの所、部室で晴香の私物を目にすることが多くなった気がしたがそういうことか。
「ここは君の物置きじゃ…」
「はい、八雲君の」
…まあ、今日のところは目の前に置かれたケーキに免じて、許してやろう。
冷蔵庫に入っていたフォークはきんきんに冷えていて、じわじわと指先の感覚を奪っていった。
しばらく生クリームを味わっていると、二人でいるには静かすぎることに気付き顔を上げる。
するとそこには肘を着き、こちらをじっと見つめる晴香がいた。
「おいしい?」
ぴたりと視線が交差し、晴香がにこりと微笑む。
「…まずくは、ない」
「えへへ、よかった」
そしてやっと、晴香はケーキに手を付けた。
けれど二人で食べるには、1ホールのケーキは大きく、半分も余ってしまった。
口の中で生クリームとスポンジの甘さと、イチゴの酸っぱさが混じり合う。
これはとても美味しいが、さすがにこの量は多すぎる。
膨れた腹を撫で、買ってきた夕飯は明日食べようと考えていたとき。
「はい」
晴香に大きな布袋を差し出され、思考が停止した。
幾分迷いながらも、八雲はそれを受け取った。
「お誕生日おめでとう、八雲君」
「………」
照れくさい。
けれど嬉しさの方が大きい。
この気持ちを晴香に気付かれたくない八雲は、にやける口元を必死で隠した。
「八雲君?」
「僕としては、君がメイド服でご奉仕してくれる方が良かったな」
照れ隠しに出てきた言葉は下品なもの。
意味を理解したのかしてないのかは知らないが、晴香は困ったように笑っていた。
「はいはい、今度してあげるから」
「………」
理解してないな。
とにかく、了承してくれたのには変わらないので素直に喜ぼう。
先ほどとは別の意味で緩んだ口元が怪しくつり上がる。
お楽しみはまたに取っておき、しゅるりと赤いリボンを解く。
布袋の中に手を入れると、ほどよい堅さの塊に触れた。
「枕?」
それは空豆の色をした枕だった。
「八雲君、いっつも床で寝てるでしょ?あったら便利かなぁって!」
彼女のことだから、雑貨や小物かと思った予想は見事に外れる。
まさか誕生日プレゼントに日常品を貰うことになるとは誰が想像したことか。
あまりの異色さに、八雲はしばらく枕を見つめていた。
「どう…かな?」
どうやらそれは贈った張本人も同じ気持ちらしく、どこか心配そうな顔。
「僕には君の膝があるから充分だ」
晴香が頬を染める。机の下ですねを蹴られた。
頭を置くへこみを拳で押す。
柔らかすぎず、むしろ少し堅めの枕で、寝るのには丁度良さそう。
「君が泊まるときにでも使うか」
「えー。せっかくなら八雲君に使って貰いたいのに…」
頬を膨らます姿は、他人が見れば怒っているようだが、八雲には嬉しそうに見えた。
反応よりも、受け取ってくれたことの方が、晴香にとって大きいらしい。
「ああでも、君が泊まるときは僕の腕の中だから…これは必要ないな」
最初はハテナマークを頭に浮かべていた晴香だが、意味を理解して耳まで赤くなった。
一瞬の間にころころと変化する表情の豊かさに関心しながら、晴香の蹴りを受ける。
「…まあ、八雲君にあげたんだから八雲君の自由だけどさ」
「じゃあ…」
つまらなそうに口を尖らせる晴香の顔に、ぐいと自らのそれを寄せる。
枕を持つ晴香の手の上から、男にしては細い指が包み込む。
「これは君の家に置いといてくれ」
「えっ」
「近いうちに泊まりにいく」
空いた逆の手で身体を引き寄せ、耳元でそっと囁いた。
晴香の耳に、わざと吐息がかかるように。
八雲が離れると、晴香はすぐに俯いた。
りんごのように赤い耳に、思わず唇を舐める。
「今日でも、いいよ」
もじもじと膝を擦り合わせ、縮こまる姿は小動物そのもの。
きっと僕は今、それを狙う肉食獣のような顔をしているのであろう。
「随分と積極的だな」
「べ、別に何をするとは言ってないもん!」
「ほう…ナニをしたいのか」
「ばか八雲!すぐそっちの方に持ってく!」
「楽しみにしてるよ」
ああ、ついでにご奉仕もしてもらおうか。
end.
最後ぐっだぐだになりました。
この八雲はオープンスケベな感じで書いてみましたが…
久しぶり過ぎてよくわからなくなりました。
オープンというよりは、さらりと言っちゃう八雲になっちゃった。
しかもキスやら甘い成分がないという(^p^)どんまい
ハッピーバースデー八雲!
細い色紙が輪になり繋がり、天井からぶら下がっている。
他にも花や蝶が壁に舞い、そこはまるで幼稚園。
懐かしさを感じながらも、部屋の主である斉藤八雲は首を振った。
「ハッピバースデートゥーユー」
「おい」
歌い終えた晴香は、手にしたクラッカーの残骸を腕に巻いて片付けている。
「なんだこれは」
「え、八雲君のお誕生日会だよ?」
「それは見て分かる。この飾り付けはなんだと、僕は言ってるんだ」
自らのお誕生日会。と聞いて照れる心を隠しつつ、あくまで冷静を装い訪ねる。
誕生日を祝ってくれたのは、これが初めてではない。
彼女に誕生日を教えてから、毎年のように祝ってくれている。
もちろん頼んでやってくれている訳ではない。
ちょっと部屋を空けている隙に、晴香が勝手に準備をしているのだ。
そして今年も、この日がやってきた。
夕飯の買い出しに部室を離れたらこれ。
部屋の中は誕生日会の装飾で溢れていた。
「これはね、授業で作ったの」
「は?」
君は大学ではなく、幼稚園に通っているのか。
言いかけて、晴香が文学部教育学科の生徒だということを思い出す。
自分は教育学科ではないので知らないが、そういう授業があったのだろう。
「そんなことより見てみて。今年は奮発してホールのケーキ買っちゃったの!」
手を取り、八雲を窓側のパイプ椅子に座らせる。
机の上に置かれた大きなケーキ屋の箱に、八雲は苦笑いを浮かべた。
「君は1ホールも食べるつもりか?」
「八雲君も一緒にね」
箱の中から晴香は慎重にケーキを取り出す。
「僕としては君を食べたかった」
「ばか、すぐそっちに運ぶ」
赤いイチゴが並ぶショートケーキの真ん中には、チョコレートのプレート。
そこに書かれているのは「おたんじょうびおめでとう やくもくん」の文字。
まさかこの年で、自らの誕生日にバースデーケーキを食べることになるとは。
突如聞こえてきたシャッター音に顔を上げると、晴香が携帯をこちらに構えている。
「勝手に撮るな」
「だって誕生日でしょ?写真撮らなくちゃ!」
他人の誕生日の何がそんなに楽しいのであろう。
出会ってから絶えることのない笑顔を、八雲は不思議に思った。
晴香は冷蔵庫から刃の長いナイフを取り出し、ケーキを分割していく。
「そんなもの、僕は置いた覚えはない」
「この前、パン持ってきたでしょ?あのとき私が置いてったの」
「………」
怒る気にもなれず、ただただため息を吐く。
ここの所、部室で晴香の私物を目にすることが多くなった気がしたがそういうことか。
「ここは君の物置きじゃ…」
「はい、八雲君の」
…まあ、今日のところは目の前に置かれたケーキに免じて、許してやろう。
冷蔵庫に入っていたフォークはきんきんに冷えていて、じわじわと指先の感覚を奪っていった。
しばらく生クリームを味わっていると、二人でいるには静かすぎることに気付き顔を上げる。
するとそこには肘を着き、こちらをじっと見つめる晴香がいた。
「おいしい?」
ぴたりと視線が交差し、晴香がにこりと微笑む。
「…まずくは、ない」
「えへへ、よかった」
そしてやっと、晴香はケーキに手を付けた。
けれど二人で食べるには、1ホールのケーキは大きく、半分も余ってしまった。
口の中で生クリームとスポンジの甘さと、イチゴの酸っぱさが混じり合う。
これはとても美味しいが、さすがにこの量は多すぎる。
膨れた腹を撫で、買ってきた夕飯は明日食べようと考えていたとき。
「はい」
晴香に大きな布袋を差し出され、思考が停止した。
幾分迷いながらも、八雲はそれを受け取った。
「お誕生日おめでとう、八雲君」
「………」
照れくさい。
けれど嬉しさの方が大きい。
この気持ちを晴香に気付かれたくない八雲は、にやける口元を必死で隠した。
「八雲君?」
「僕としては、君がメイド服でご奉仕してくれる方が良かったな」
照れ隠しに出てきた言葉は下品なもの。
意味を理解したのかしてないのかは知らないが、晴香は困ったように笑っていた。
「はいはい、今度してあげるから」
「………」
理解してないな。
とにかく、了承してくれたのには変わらないので素直に喜ぼう。
先ほどとは別の意味で緩んだ口元が怪しくつり上がる。
お楽しみはまたに取っておき、しゅるりと赤いリボンを解く。
布袋の中に手を入れると、ほどよい堅さの塊に触れた。
「枕?」
それは空豆の色をした枕だった。
「八雲君、いっつも床で寝てるでしょ?あったら便利かなぁって!」
彼女のことだから、雑貨や小物かと思った予想は見事に外れる。
まさか誕生日プレゼントに日常品を貰うことになるとは誰が想像したことか。
あまりの異色さに、八雲はしばらく枕を見つめていた。
「どう…かな?」
どうやらそれは贈った張本人も同じ気持ちらしく、どこか心配そうな顔。
「僕には君の膝があるから充分だ」
晴香が頬を染める。机の下ですねを蹴られた。
頭を置くへこみを拳で押す。
柔らかすぎず、むしろ少し堅めの枕で、寝るのには丁度良さそう。
「君が泊まるときにでも使うか」
「えー。せっかくなら八雲君に使って貰いたいのに…」
頬を膨らます姿は、他人が見れば怒っているようだが、八雲には嬉しそうに見えた。
反応よりも、受け取ってくれたことの方が、晴香にとって大きいらしい。
「ああでも、君が泊まるときは僕の腕の中だから…これは必要ないな」
最初はハテナマークを頭に浮かべていた晴香だが、意味を理解して耳まで赤くなった。
一瞬の間にころころと変化する表情の豊かさに関心しながら、晴香の蹴りを受ける。
「…まあ、八雲君にあげたんだから八雲君の自由だけどさ」
「じゃあ…」
つまらなそうに口を尖らせる晴香の顔に、ぐいと自らのそれを寄せる。
枕を持つ晴香の手の上から、男にしては細い指が包み込む。
「これは君の家に置いといてくれ」
「えっ」
「近いうちに泊まりにいく」
空いた逆の手で身体を引き寄せ、耳元でそっと囁いた。
晴香の耳に、わざと吐息がかかるように。
八雲が離れると、晴香はすぐに俯いた。
りんごのように赤い耳に、思わず唇を舐める。
「今日でも、いいよ」
もじもじと膝を擦り合わせ、縮こまる姿は小動物そのもの。
きっと僕は今、それを狙う肉食獣のような顔をしているのであろう。
「随分と積極的だな」
「べ、別に何をするとは言ってないもん!」
「ほう…ナニをしたいのか」
「ばか八雲!すぐそっちの方に持ってく!」
「楽しみにしてるよ」
ああ、ついでにご奉仕もしてもらおうか。
end.
最後ぐっだぐだになりました。
この八雲はオープンスケベな感じで書いてみましたが…
久しぶり過ぎてよくわからなくなりました。
オープンというよりは、さらりと言っちゃう八雲になっちゃった。
しかもキスやら甘い成分がないという(^p^)どんまい
ハッピーバースデー八雲!
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