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八雲で八晴。
暑い日々が続きますね!
そんなわけでプールに行こうよ!なお話です。
八雲/八晴
暑い日々が続きますね!
そんなわけでプールに行こうよ!なお話です。
八雲/八晴
寺へと続く石造りの階段を、小沢晴香は軽快な音を立て上がっていた。
帽子を被っているにも係わらず、首筋には玉の汗が浮かんでいる。
焼けた肌には、日焼け止めクリームが塗ってある。
だが、効果は100パーセントではない。
「また焼けちゃうかな」
袖のある服を選ぶべきだった。と、今更になって後悔しても遅い。
日に焼けるのを少しでも防ごうと、晴香は母屋に向かって走り出した。
今、この家には八雲と奈緒が寝泊まりしている。
後藤さんが家を長期間空けるとのことで、八雲は留守番を任されたのである。
そして昨日。
珍しくメールが来たかと思えば、プールに行かないかと誘われた。
最初は滅多にないお誘いにベッドの上で転がり回ったが、よくよく考え頂を垂らす。
インドアな八雲のこと。
プールに行くのが面倒くさく、私に押しつけたのであろう。
けれど、久しぶりに奈緒とも遊びたい。
それに断る理由もない。
ベッドに寝転がったまま、晴香はイエスと返事をしたのだった。
少し日が落ちてからプールに向かおうか。
「それとも、暑いからこそ早めに行った方がいいのかな?」
いくら涼みに行くからと言って、プールまでは徒歩。
熱中症で倒れたりなんかしたら元も子もない。
「八雲君に相談してみよっと」
チャイム一度鳴らしてから、晴香は横開きのドアをスライドさせた。
「おじゃましまーす」
大きな声で、奥に向かって声を掛ける。
許可も取らず勝手に入ってきてしまったが、部屋に上がることはさすがに出来ない。
待てども待てども返事はなかった。
心配になった晴香は、もう一度声を掛けてから、急ぎ足で部屋に向かう。
戸を開けた先にいたのは、積み木遊びをする奈緒と、その後ろに座る八雲の姿だった。
「どうしたの?」
その異様な様子に声を掛けると、八雲に手を引かれて廊下に連れ出された。
「プールが休みだったんだ」
挨拶もなしに語られる真相。
「いつもなら大人しく引いてくれるのに…今日は機嫌が悪くなった」
助けてくれ。と口にはしないが、困ったように眉を八の字に懇願されてはしょうがない。
襖の隙間から奈緒の様子を伺い、一呼吸入れてから奈緒に心の中で声を掛けた。
「こんにちは、奈緒ちゃん」
「お姉ちゃん」
晴香の顔を見て、表情が明るくなったのも一瞬。
すぐに眉尻を垂らし口を一文字に結んでしまう。
こういう顔は八雲にそっくりだな、と思いながら晴香は奈緒の隣に腰掛けた。
「残念だね」
「…お姉ちゃんとプール、楽しみにしてたの」
「だから、今度僕が連れていってやると言って」
「お姉ちゃんがいい」
八雲の眉間に皺が寄る。
晴香は苦笑を浮かべ、奈緒と向き合った。
「そっかー、お姉ちゃんとが良いんだ」
困惑しながらも、その顔はどこか嬉しさに満ち溢れている。
こんなかわいい子に、そんなことを言われてはしょうがない。
「そうだ!今日はここに泊まってくから、明日は一番にプールに行こう?」
「!」
血のつながった兄妹が、ぱっと顔を上げる。
兄は嫌そうにしかめた顔で。妹は今日初めて見た笑顔で。
「ほんとう!?」
「うん、だから今日はお家で遊ぼうね」
こくこくと大きく頷いた奈緒が、積み上げた積み木を倒す勢いで飛びついてきた。
誰かさんに似た寝癖のついた髪からは、太陽の匂いがした。
「おい」
八雲に肩を掴まれ、晴香は振り返る。
露わになった肩に、その手は妙に汗ばんでいた。
「一人くらい泊まれるでしょ?」
「僕が言いたいのはそうじゃない」
「じゃ、後藤さんに了承を得ればいい?」
携帯を取り出そうとする腕を、八雲は慌てて止める。
「…なによ」
「………」
パクパクと酸素不足の金魚のように、口を閉じたり開けたり。
結局、最後は髪を掻き「わかった」とだけ口にして居間を出て行ってしまった。
「へんな八雲君」
「ねぇねぇ、お姉ちゃん」
八雲を目で追う晴香に、奈緒はおずおずと話しかける。
「お願いがあるの…」
八雲が居間に戻ってきたのは、それから一時間後のことだった。
「お兄ちゃーん!」
「あ、八雲君」
「……!?」
一度庭に目を向け、それから疑うように目を見開いて二度見する。
「なっ、…にをしているんだ!」
危うく手にした本を落とすところだった。
「何ってプールだよ」
当たり前のように返す晴香は、奈緒と顔を見合わせ笑う。
見慣れた簡素な庭には、見慣れないプールが出ていた。
プールと言っても、大人が二〜三人入るか入らないかの家庭用プール。
しかも深さも臑まで無いという、幼児向けのプールだ。
奈緒にだって、それは小さいように見えた。
「…何をしているんだ、君たちは」
プールで遊んでいる、というのは百本譲って認めよう。
ちょっと昼寝をしていたこの一時間の間に、何が起きたと言うのだろう。
「奈緒ちゃんがね、どうしてもプールに入りたいって言うから」
「そのプールはどうした」
「お父さんが、昔買ってくれたの」
奈緒の小さな手のひらが、水面をぱしゃりと叩いた。
「………」
お父さん、というのは一心であろう。このプールの対象年齢からして。
僕が家を出ていた間に、叔父さんはこんなものを奈緒に買っていたのか。
過去に浸り、伏せた目にきらりと輝く水滴が飛んできた。
それは濃い目のジーンズに、さらに濃い染みを作った。
「ほーら、いくよー!」
奈緒がまた水面を叩いたのかと思いきや、それは晴香が叩いて出来たものだった。
太陽の下、小さなプールの中。
幼い少女と遊ぶ姿は、母親のようにも見える。
どうしたらあそこまで楽しめるのだろう。
不思議に思いながらも、八雲は口の端をくいと上げた。
「馬鹿みたいに暴れるな。近所で「あの家には暴れ牛がいる」と噂される」
「暴れ牛ってなによ!」
「見たままのことを言っただけだ」
きゃんきゃん吠える晴香に肩を竦ませ、縁側に腰掛ける。
開いた文字だらけの紙は、太陽光を反射させ読む気を奪った。
けれで本は閉じないで、静かに栞を抜いた。
end.
もっとこう…水着にどきっみたいな話が書きたかったです。
自分ち、子供用プール、水着でお座りなシチュが書きたかったのに…
最近は何をかっこつけたいのか、良い話に持っていこうとしすぎな気がします。
しかも良い話書けないから、中途半端になってしまうorz
ええい、リベンジしてやるっ!
あまあまぎゃぐえっち書いてやる!
帽子を被っているにも係わらず、首筋には玉の汗が浮かんでいる。
焼けた肌には、日焼け止めクリームが塗ってある。
だが、効果は100パーセントではない。
「また焼けちゃうかな」
袖のある服を選ぶべきだった。と、今更になって後悔しても遅い。
日に焼けるのを少しでも防ごうと、晴香は母屋に向かって走り出した。
今、この家には八雲と奈緒が寝泊まりしている。
後藤さんが家を長期間空けるとのことで、八雲は留守番を任されたのである。
そして昨日。
珍しくメールが来たかと思えば、プールに行かないかと誘われた。
最初は滅多にないお誘いにベッドの上で転がり回ったが、よくよく考え頂を垂らす。
インドアな八雲のこと。
プールに行くのが面倒くさく、私に押しつけたのであろう。
けれど、久しぶりに奈緒とも遊びたい。
それに断る理由もない。
ベッドに寝転がったまま、晴香はイエスと返事をしたのだった。
少し日が落ちてからプールに向かおうか。
「それとも、暑いからこそ早めに行った方がいいのかな?」
いくら涼みに行くからと言って、プールまでは徒歩。
熱中症で倒れたりなんかしたら元も子もない。
「八雲君に相談してみよっと」
チャイム一度鳴らしてから、晴香は横開きのドアをスライドさせた。
「おじゃましまーす」
大きな声で、奥に向かって声を掛ける。
許可も取らず勝手に入ってきてしまったが、部屋に上がることはさすがに出来ない。
待てども待てども返事はなかった。
心配になった晴香は、もう一度声を掛けてから、急ぎ足で部屋に向かう。
戸を開けた先にいたのは、積み木遊びをする奈緒と、その後ろに座る八雲の姿だった。
「どうしたの?」
その異様な様子に声を掛けると、八雲に手を引かれて廊下に連れ出された。
「プールが休みだったんだ」
挨拶もなしに語られる真相。
「いつもなら大人しく引いてくれるのに…今日は機嫌が悪くなった」
助けてくれ。と口にはしないが、困ったように眉を八の字に懇願されてはしょうがない。
襖の隙間から奈緒の様子を伺い、一呼吸入れてから奈緒に心の中で声を掛けた。
「こんにちは、奈緒ちゃん」
「お姉ちゃん」
晴香の顔を見て、表情が明るくなったのも一瞬。
すぐに眉尻を垂らし口を一文字に結んでしまう。
こういう顔は八雲にそっくりだな、と思いながら晴香は奈緒の隣に腰掛けた。
「残念だね」
「…お姉ちゃんとプール、楽しみにしてたの」
「だから、今度僕が連れていってやると言って」
「お姉ちゃんがいい」
八雲の眉間に皺が寄る。
晴香は苦笑を浮かべ、奈緒と向き合った。
「そっかー、お姉ちゃんとが良いんだ」
困惑しながらも、その顔はどこか嬉しさに満ち溢れている。
こんなかわいい子に、そんなことを言われてはしょうがない。
「そうだ!今日はここに泊まってくから、明日は一番にプールに行こう?」
「!」
血のつながった兄妹が、ぱっと顔を上げる。
兄は嫌そうにしかめた顔で。妹は今日初めて見た笑顔で。
「ほんとう!?」
「うん、だから今日はお家で遊ぼうね」
こくこくと大きく頷いた奈緒が、積み上げた積み木を倒す勢いで飛びついてきた。
誰かさんに似た寝癖のついた髪からは、太陽の匂いがした。
「おい」
八雲に肩を掴まれ、晴香は振り返る。
露わになった肩に、その手は妙に汗ばんでいた。
「一人くらい泊まれるでしょ?」
「僕が言いたいのはそうじゃない」
「じゃ、後藤さんに了承を得ればいい?」
携帯を取り出そうとする腕を、八雲は慌てて止める。
「…なによ」
「………」
パクパクと酸素不足の金魚のように、口を閉じたり開けたり。
結局、最後は髪を掻き「わかった」とだけ口にして居間を出て行ってしまった。
「へんな八雲君」
「ねぇねぇ、お姉ちゃん」
八雲を目で追う晴香に、奈緒はおずおずと話しかける。
「お願いがあるの…」
八雲が居間に戻ってきたのは、それから一時間後のことだった。
「お兄ちゃーん!」
「あ、八雲君」
「……!?」
一度庭に目を向け、それから疑うように目を見開いて二度見する。
「なっ、…にをしているんだ!」
危うく手にした本を落とすところだった。
「何ってプールだよ」
当たり前のように返す晴香は、奈緒と顔を見合わせ笑う。
見慣れた簡素な庭には、見慣れないプールが出ていた。
プールと言っても、大人が二〜三人入るか入らないかの家庭用プール。
しかも深さも臑まで無いという、幼児向けのプールだ。
奈緒にだって、それは小さいように見えた。
「…何をしているんだ、君たちは」
プールで遊んでいる、というのは百本譲って認めよう。
ちょっと昼寝をしていたこの一時間の間に、何が起きたと言うのだろう。
「奈緒ちゃんがね、どうしてもプールに入りたいって言うから」
「そのプールはどうした」
「お父さんが、昔買ってくれたの」
奈緒の小さな手のひらが、水面をぱしゃりと叩いた。
「………」
お父さん、というのは一心であろう。このプールの対象年齢からして。
僕が家を出ていた間に、叔父さんはこんなものを奈緒に買っていたのか。
過去に浸り、伏せた目にきらりと輝く水滴が飛んできた。
それは濃い目のジーンズに、さらに濃い染みを作った。
「ほーら、いくよー!」
奈緒がまた水面を叩いたのかと思いきや、それは晴香が叩いて出来たものだった。
太陽の下、小さなプールの中。
幼い少女と遊ぶ姿は、母親のようにも見える。
どうしたらあそこまで楽しめるのだろう。
不思議に思いながらも、八雲は口の端をくいと上げた。
「馬鹿みたいに暴れるな。近所で「あの家には暴れ牛がいる」と噂される」
「暴れ牛ってなによ!」
「見たままのことを言っただけだ」
きゃんきゃん吠える晴香に肩を竦ませ、縁側に腰掛ける。
開いた文字だらけの紙は、太陽光を反射させ読む気を奪った。
けれで本は閉じないで、静かに栞を抜いた。
end.
もっとこう…水着にどきっみたいな話が書きたかったです。
自分ち、子供用プール、水着でお座りなシチュが書きたかったのに…
最近は何をかっこつけたいのか、良い話に持っていこうとしすぎな気がします。
しかも良い話書けないから、中途半端になってしまうorz
ええい、リベンジしてやるっ!
あまあまぎゃぐえっち書いてやる!
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