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八雲で八晴、一つ前のお話の続きです。
まだまだ暑いですが、カレンダーを見れば夏も終わりですね。
それはそうと、前回のリベンジできました!
もしよろしければ、一つ前のお話と一緒にどーぞv
八雲/八晴(恋人設定)
まだまだ暑いですが、カレンダーを見れば夏も終わりですね。
それはそうと、前回のリベンジできました!
もしよろしければ、一つ前のお話と一緒にどーぞv
八雲/八晴(恋人設定)
自宅で過ごす休日ほど心身共に安らぐものは無いであろう。
正確には元自宅なのだが、あまり帰ることもなかった八雲にとって変わりはない。
住人が変わったとしても、長年過ごしたこの場所は、あの頃と変わらずに迎えてくれるから。
ただ一つ変わったことと言えば……
「あはは!いっくよー、奈緒ちゃん」
大切に思ってくれる人が一人減って。
守りたいと思う人が一人増えたことくらいだろう。
あまり広くはない庭に、家庭用のプールを広げて水遊びをするのは晴香と奈緒。
その姿は母親と子というより、年の離れた姉妹のよう。
晴香がまだ若い、というのもある。
だが、八割ほどは楽しむ姿があまりにも幼いというのに原因があると八雲は見た。
「子供が二人いるみたいだ」
「ちょっと、誰が子供なのよ」
小さな呟きも晴香の地獄耳は聞き逃さない。
“口”にしか出していないため、聞こえない奈緒は頭を傾げる。
次々と口から出てくる皮肉に、晴香はプールの水を八雲に向けて勢いよくかけた。
────子供っぽいはず。子供っぽいはずだった。
八雲は今まで、同い年である晴香に対して、どこか年下扱いしてきた。
見下す、の方が正しいかもしれない。
とにかく、晴香を“大人の女”として見ることはなかった。
そうだというのに、どうしたものか。
今の僕はおかしい。
どうにも視線が追うのは、手にした本の文字列ではなく、庭の晴香の姿。
奈緒だっているというのに、視線の先には何故か晴香がいた。
「………」
理由は分かっている。けれど視線を逸らすことは出来ない。
八雲は苦笑を浮かべ、ため息を吐いた。
すべての原因は、水着姿の晴香にあった。
別に、ハイレグな訳でもなければ、ましてや布の面積が非常に少ない訳でもない。
普段と比べて露出しているだけで、至って普通の可愛らしい水着である。
この御時世、雑誌やテレビを見れば水着姿の女性がいる。
進んで見るようなことはなくても、見慣れているはずだった。
なのにこれはどうしたことか。
彼女がそれを纏っただけで、視線を外すことが出来ない。
純粋に見惚れているならまだしも、視線はしゃがむ晴香の一点に集中する。
明らかに下世話なものだ。
いっそのこと気付いてほしい。
一発殴られれば、この桃色の雰囲気ともおさらば出来るであろう。
けれど鈍感な晴香が気付くわけがなく、八雲は肘に膝を付きうなだれた。
勘の良い女ならば、危険を察知し近付いては来ないであろう。
予想通りに近付いてきた晴香に、肩が跳ねた。
「大丈夫?」
「あ、あぁ…」
顔を上げられない。
彼女の裸体を見たことがない訳ではない。
でもそれは夜の、真っ暗な部屋の中での話。
太陽の下で見る身体の白さに、思わず目を細めた。
俯く八雲の顔を覗き込もうと、晴香はしゃがむ。
「ちゃんと水分取らないと、熱中症になっちゃうよ」
突然のことに八雲は驚くが、歯を食いしばり堪える。
「君こそそんなに肌を出して、後悔しても知らないぞ」
いろんな意味で。と言い掛け息を飲んだ。
自らの膝と体に押しつぶされたたわわな胸が、布切れ一枚の中で形を崩す。
クエスチョンマークを浮かべて小首を傾げる動作に、ふにゃりとまた形を変えた。
思わず口の中に溜まった唾をごくりと飲み込む。
何より下から見上げてくるこのグラビアアイドルのような構図。
最高のご褒美でもあったが、蜘蛛の糸のようにやせ細った理性が本能を抑える。
この場に奈緒がいなければ、誰も見てないのを良いことに、縁側に押し倒していただろう。
「………八雲君は肌が白い人の方が好き?」
本当は返答どころではないが、答えなければ怪しまれる。
八雲は晴香でいっぱいの頭をフルに回転させた。
「白くても黒くても、僕の好きな人は変わらない」
「八雲君…」
「けど、日焼けをして痛い思いをするのは君だ」
着ていたシャツを脱ぎ、晴香の肩に掛けてやる。
せめてもの防衛術。君にとっても、僕にとっても。
こんなことをして何になる。我ながら溜め息が出た。
「あ、ありがと」
八雲らしからぬ行動に驚きつつ、よいしょよいしょとシャツに腕を通す晴香。
男物の服は小柄な晴香には大きく、水着をすっぽりと隠す。
これはこれでやばい。
薄手のワイシャツは、水に濡れた素肌にぴたりとくっつき、ラインを露わにする。
「うわー…ぺたぺたくっつく」
腕に張り付いた布を指で引っ張る。
ちらりと八雲の顔色を伺い、ちょっと困ったような笑みを浮かべた。
「でも日焼けは嫌だから我慢するね」
そう言うと晴香は、長い袖を捲る。
そのまま腕に鼻を擦り付けると、八雲君の匂いがするー、とのん気に笑った。
そんな晴香を尻目に、微かに火照った顔で言われた八雲の理性は崩壊寸前。
上半身が裸になった分、体温が下がるかと思えば余計に上がった。
奈緒に自慢をする姿は子供そのもの。
けれど、やっぱり彼女は女だった。
瞼に手を付いた八雲は、いち早くこの場から退散することを決める。
赤い顔であることが気付かれる前に。
「あれ。どこに行くの、お兄ちゃん」
立ち上がった八雲を見て、奈緒が訪ねる。
さすがは妹、と褒めたくなった。
「新しいシャツを持ってくるだけだ」
「えっ!」
顔を青ざめ、さっきまで喜んで着ていたシャツを脱ぎ出す晴香。
止めようとも思ったが、ぺたぺたとくっついてうまくいかないようだ。
「こ、これ返すよ」
「突然どうした」
「だってわざわざ着替えなくても…」
「君は僕にこの格好でいろと言うのか?」
晴香の手が止まる。奈緒も心配そうに二人の顔色を伺っていた。
「着替えって程でもないし、君が気にするようなことじゃない」
奈緒にも「気にしなくて良い」と伝えるも、晴香の落ち込みように心配そうだ。
後ろ髪引かれる思いだが、逃げるチャンスと見た八雲が背を向けようとしたとき。
「そうだ!」
奈緒の声が頭に届く。
「お兄ちゃんも、水着に着替えればいいんじゃない」
「……は?」
「奈緒、お兄ちゃんとも遊びたいなー」
ニコニコと純粋無垢な笑顔が向けられる。
目を反らした先に、それは良いアイデアだと瞳を輝かせた晴香も居た。
無視しようと思えば無視出来たはず。
今までだって他人にはそうしてきた。
けれど八雲の返事は────
「…今日だけだからな」
end.
奈緒ちゃんは八雲似の戦略家になるのかな。
正確には元自宅なのだが、あまり帰ることもなかった八雲にとって変わりはない。
住人が変わったとしても、長年過ごしたこの場所は、あの頃と変わらずに迎えてくれるから。
ただ一つ変わったことと言えば……
「あはは!いっくよー、奈緒ちゃん」
大切に思ってくれる人が一人減って。
守りたいと思う人が一人増えたことくらいだろう。
あまり広くはない庭に、家庭用のプールを広げて水遊びをするのは晴香と奈緒。
その姿は母親と子というより、年の離れた姉妹のよう。
晴香がまだ若い、というのもある。
だが、八割ほどは楽しむ姿があまりにも幼いというのに原因があると八雲は見た。
「子供が二人いるみたいだ」
「ちょっと、誰が子供なのよ」
小さな呟きも晴香の地獄耳は聞き逃さない。
“口”にしか出していないため、聞こえない奈緒は頭を傾げる。
次々と口から出てくる皮肉に、晴香はプールの水を八雲に向けて勢いよくかけた。
────子供っぽいはず。子供っぽいはずだった。
八雲は今まで、同い年である晴香に対して、どこか年下扱いしてきた。
見下す、の方が正しいかもしれない。
とにかく、晴香を“大人の女”として見ることはなかった。
そうだというのに、どうしたものか。
今の僕はおかしい。
どうにも視線が追うのは、手にした本の文字列ではなく、庭の晴香の姿。
奈緒だっているというのに、視線の先には何故か晴香がいた。
「………」
理由は分かっている。けれど視線を逸らすことは出来ない。
八雲は苦笑を浮かべ、ため息を吐いた。
すべての原因は、水着姿の晴香にあった。
別に、ハイレグな訳でもなければ、ましてや布の面積が非常に少ない訳でもない。
普段と比べて露出しているだけで、至って普通の可愛らしい水着である。
この御時世、雑誌やテレビを見れば水着姿の女性がいる。
進んで見るようなことはなくても、見慣れているはずだった。
なのにこれはどうしたことか。
彼女がそれを纏っただけで、視線を外すことが出来ない。
純粋に見惚れているならまだしも、視線はしゃがむ晴香の一点に集中する。
明らかに下世話なものだ。
いっそのこと気付いてほしい。
一発殴られれば、この桃色の雰囲気ともおさらば出来るであろう。
けれど鈍感な晴香が気付くわけがなく、八雲は肘に膝を付きうなだれた。
勘の良い女ならば、危険を察知し近付いては来ないであろう。
予想通りに近付いてきた晴香に、肩が跳ねた。
「大丈夫?」
「あ、あぁ…」
顔を上げられない。
彼女の裸体を見たことがない訳ではない。
でもそれは夜の、真っ暗な部屋の中での話。
太陽の下で見る身体の白さに、思わず目を細めた。
俯く八雲の顔を覗き込もうと、晴香はしゃがむ。
「ちゃんと水分取らないと、熱中症になっちゃうよ」
突然のことに八雲は驚くが、歯を食いしばり堪える。
「君こそそんなに肌を出して、後悔しても知らないぞ」
いろんな意味で。と言い掛け息を飲んだ。
自らの膝と体に押しつぶされたたわわな胸が、布切れ一枚の中で形を崩す。
クエスチョンマークを浮かべて小首を傾げる動作に、ふにゃりとまた形を変えた。
思わず口の中に溜まった唾をごくりと飲み込む。
何より下から見上げてくるこのグラビアアイドルのような構図。
最高のご褒美でもあったが、蜘蛛の糸のようにやせ細った理性が本能を抑える。
この場に奈緒がいなければ、誰も見てないのを良いことに、縁側に押し倒していただろう。
「………八雲君は肌が白い人の方が好き?」
本当は返答どころではないが、答えなければ怪しまれる。
八雲は晴香でいっぱいの頭をフルに回転させた。
「白くても黒くても、僕の好きな人は変わらない」
「八雲君…」
「けど、日焼けをして痛い思いをするのは君だ」
着ていたシャツを脱ぎ、晴香の肩に掛けてやる。
せめてもの防衛術。君にとっても、僕にとっても。
こんなことをして何になる。我ながら溜め息が出た。
「あ、ありがと」
八雲らしからぬ行動に驚きつつ、よいしょよいしょとシャツに腕を通す晴香。
男物の服は小柄な晴香には大きく、水着をすっぽりと隠す。
これはこれでやばい。
薄手のワイシャツは、水に濡れた素肌にぴたりとくっつき、ラインを露わにする。
「うわー…ぺたぺたくっつく」
腕に張り付いた布を指で引っ張る。
ちらりと八雲の顔色を伺い、ちょっと困ったような笑みを浮かべた。
「でも日焼けは嫌だから我慢するね」
そう言うと晴香は、長い袖を捲る。
そのまま腕に鼻を擦り付けると、八雲君の匂いがするー、とのん気に笑った。
そんな晴香を尻目に、微かに火照った顔で言われた八雲の理性は崩壊寸前。
上半身が裸になった分、体温が下がるかと思えば余計に上がった。
奈緒に自慢をする姿は子供そのもの。
けれど、やっぱり彼女は女だった。
瞼に手を付いた八雲は、いち早くこの場から退散することを決める。
赤い顔であることが気付かれる前に。
「あれ。どこに行くの、お兄ちゃん」
立ち上がった八雲を見て、奈緒が訪ねる。
さすがは妹、と褒めたくなった。
「新しいシャツを持ってくるだけだ」
「えっ!」
顔を青ざめ、さっきまで喜んで着ていたシャツを脱ぎ出す晴香。
止めようとも思ったが、ぺたぺたとくっついてうまくいかないようだ。
「こ、これ返すよ」
「突然どうした」
「だってわざわざ着替えなくても…」
「君は僕にこの格好でいろと言うのか?」
晴香の手が止まる。奈緒も心配そうに二人の顔色を伺っていた。
「着替えって程でもないし、君が気にするようなことじゃない」
奈緒にも「気にしなくて良い」と伝えるも、晴香の落ち込みように心配そうだ。
後ろ髪引かれる思いだが、逃げるチャンスと見た八雲が背を向けようとしたとき。
「そうだ!」
奈緒の声が頭に届く。
「お兄ちゃんも、水着に着替えればいいんじゃない」
「……は?」
「奈緒、お兄ちゃんとも遊びたいなー」
ニコニコと純粋無垢な笑顔が向けられる。
目を反らした先に、それは良いアイデアだと瞳を輝かせた晴香も居た。
無視しようと思えば無視出来たはず。
今までだって他人にはそうしてきた。
けれど八雲の返事は────
「…今日だけだからな」
end.
奈緒ちゃんは八雲似の戦略家になるのかな。
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