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八雲で斉藤家と晴香ちゃんのお話。
この間は日食でしたね。
赤くてきれいな満月が空には浮かんでいました。
そして今日は双子座流星群ですって!
私の住む街は曇っていますが…まだ希望は捨てませんよ。
※upされていなかったので再upです。お待たせしてしまいすいません!
八雲/八晴(友人設定)
この間は日食でしたね。
赤くてきれいな満月が空には浮かんでいました。
そして今日は双子座流星群ですって!
私の住む街は曇っていますが…まだ希望は捨てませんよ。
※upされていなかったので再upです。お待たせしてしまいすいません!
八雲/八晴(友人設定)
「天体観測?」
晴香は聞き返した。
「叔父さんが商店街のくじ引きで天体望遠鏡を当てたそうでな」
「へぇー」
「それで近々、隣街の自然公園に行こうと思っているらしい」
八雲は本を読むのをやめ、どうすると目で尋ねる。
「でも私が行っても邪魔じゃない…?」
「………。奈緒は君と行きたがっている」
「…では、お言葉に甘えて───」
晴香は朝から天体観測が楽しみで仕方がなかった。
講義中も浮かれてしまい何度注意をされたことか。
八雲のもとへ遊びに行ったときも「気持ちの悪い顔をするな」と言われ、脇腹をつついてやった。
あぁ、こんなにわくわくしたのはいつ以来だろう。
街灯に照らされた晴香は薄暗い夕刻の道をスキップ混じりに駆けた。
「お待たせしました」
「晴香お姉ちゃんっ!」
八雲の実家である寺の前に着いた晴香の足に奈緒が抱きつく。
頭をなで、頭の中で「こんばんは」と挨拶をした。
「やぁ、久しぶりだね。晴香ちゃん」
顔を上げると、軽自動車に荷物を積んでいる一心と目が合う。
晴香は今回のことについてお礼を言い頭を下げた。
「いやいや、こちらこそ。晴香ちゃんが来てくれたおかげで八雲も」
「叔父さん。無駄口叩く隙があったら荷物を運んでください」
声がした方へ振り返ると、荷物を抱えた八雲が階段から降りてくるところだった。
一番上に乗ったヤカンが落ちそうでとっさに取る。
「……ヤカン?」
晴香は手にした天体観測とは無縁のそれと向き合い見つめ合う。
「置いてくぞ」
「あ、待って!」
晴香はヤカンを手にしたまま後部座席に乗り込んだ。
八雲が運転する車で出掛けて30分。
辺りは完全に暗くなり、人工の灯りだけが夜の街を照らしている。
部活帰りの学生がポケットに手を入れているのを見て、カイロを貼ってきて正解だと思った。
「着いたぞ」
八雲の声にうつらうつらしていた奈緒が、背筋を伸ばす。
車から降りた晴香を寒さが襲い、思わずヤカンを抱える。
「わぁ!」
空を見上げた奈緒は思わず声を出した。
つられるように空を見上げた大人たちも、それぞれ声をあげる。
「きれい…」
見上げた星空に晴香の口からその言葉とともに白い息が漏れる。
ただ一人、冷静に荷物を運ぶ八雲の手が一瞬だけ止まった。
「いつまでもこんなところにいないで早く行きましょう」
「八雲君も感動というのを覚えた方がいいと思うなっ!」
「余計なお世話だ」
荷物を運ぶ八雲のあとを三人はぶーぶー言いながら追いかけた。
木々に囲まれたコンクリートの道をしばらく行くと、開けた原っぱに出た。
夏の夜はバーベキューをするのにちょうど良いであろうが、この寒さではさすがに誰もいない。
回りは林に囲まれており、原っぱの端に街灯がぽつりと立っている。
晴香は思わず八雲の袖を掴んでしまった。
「さて、望遠鏡を組立てようか」
一心の声がしたのと同時に一瞬で辺りが明るくなる。
振り返ると草の上にランタンが置かれていた。
どうやら一心が持ってきたよう。
隣では奈緒がレジャーシートを広げている。
「怖がっているのは、君一人だけみたいだな」
くっと八雲に喉で笑われ、晴香は慌てて袖から離れた。
「晴香ちゃんも夕飯はまだかい?」
「あ、まだです」
気まずい晴香に助け船を出したのは一心。
にやにやと笑っていた八雲が急に顔を引き締める。
「じゃあ一緒に食べようか」
そう言って取り出したのはカップ麺。
そのためのヤカンだったのか、と晴香は納得がいった。
折りたたみの小さな椅子に晴香は腰掛けていた。
小さなガスコンロを目の前に、ことこととお湯が沸くのを待っている。
少し離れたところでは一心と奈緒が説明書を片手に望遠鏡を組み立てている。
ああでもないこうでもないと苦戦しているようだ。
晴香は手伝おうとしたが親子水入らずのところを邪魔をしては悪い。
だからこうして火の番をしている。
ふと感じた人の気配に顔を上げると、そこには八雲の姿。
隣の椅子に腰を下ろした八雲は足元に置かれたカップ麺を選びだす。
夜に見る八雲の左目はまた違う色を見せ晴香の鼓動は知らず知らずのうちに高まった。
「八雲君は向こうに行かなくていいの?」
「どうして僕が」
「どうしてって…」
続く言葉が見つからず晴香はガスコンロの上のヤカンを見つめる。
「そういう君こそ行ってきたら良いじゃないか」
「えぇー…」
口ごもる理由は親子水入らずのところを邪魔したくない。
しかし今はもう少しだけ八雲の赤い目を見ていたい。
心の奥底で思う自分に気付き、晴香はヤカンに手を寄せた。
「寒いね」
「話をすり替えるな」
それ以降、会話は何も続かなかった。
何気なく空を見上げ、知っている星座はないか探す。
しかしたくさんの星が散りばめられた夜空で、星座を探すのは難しかった。
「あれがオリオン座だ」
「えっ!どれどれ?」
見かねた八雲がポケットから手を出し空を指す。
それでも分からない晴香は、椅子ごと八雲に近付いた。
「あれとあれを繋いで…」
「あ!真ん中に三つあるやつ?」
「…オリオン座くらい小学校のころに学ばなかったのか」
見つけた星座はどうやら正解だったらしく八雲の手はポケットに帰っていく。
「そういえばあんな形してたような気がするなぁ」
だが、どうしてあれが人の姿に見えるのかが分からない。
晴香はきらきら輝く星空とにらめっこを始めた。
そんな晴香に呆れ溜め息を吐いた八雲も空を見ようとした。
「………」
しかし視線は晴香から離れない。
いや外せなかった。
「あれがオリオン座かぁ…」
空を見上げる横顔があまりにも美しくて、思わず見惚れてしまった。
「ねぇ、ほかにも知ってる星はある?」
「…あ、あぁ」
振り返ってきた晴香から逃れるように空を見上げ視線を巡らせる。
「馬鹿な君でも見つけやすいのはオリオンの左上。あれとあれを繋いで双子座だ」
こんな僕があんな彼女に見惚れていただなんて悔しくて、馬鹿だけ少し強調。
しかし返事がない。
不振に思った八雲が隣に目を向けると、晴香がぼんやりとこちらを見ていた。
「…星は向こうだぞ」
「えっ!あ、うん!そうだね!」
そう言いながら晴香は慌てて空を見上げる。
そして明らかに違う方角を眺め「ふぅんあれがそうなんだ」と一人納得していた。
「それじゃなくて」
晴香の手を取り空を指す。
「!?」
「あれと、あれと…あれとを繋いで…」
空に浮かぶ星を一つ一つ繋いでゆく。
どうしてあれが双子のカストールとポリュデウケースに見えたのか。
僕には不思議で仕方がないが、見えるものがすべてではない。
見えないものだってこの世にはたくさんある。
「お兄ちゃーん!望遠鏡できたよー!」
「今行く」
だから今は探そうではないか。
「ほら行くぞ」
「あ。う、うん」
僕と彼女の関係のような。
名前も知らない、見えない何かを探して。
end.
バンプさんの天体観測やらプラネタリウムを聞きながら書きました。
途中でスノースマイルな要素も入れようとしましたが収集がつかなくなるので泣く泣く断念。
今年こそは、スノースマイルでお話を書きたいです!
僕の右ポケットにお招きしようではありませんか!
バンプも天体観測(実際するの)もすごくいいですよ…!大好きです!
晴香は聞き返した。
「叔父さんが商店街のくじ引きで天体望遠鏡を当てたそうでな」
「へぇー」
「それで近々、隣街の自然公園に行こうと思っているらしい」
八雲は本を読むのをやめ、どうすると目で尋ねる。
「でも私が行っても邪魔じゃない…?」
「………。奈緒は君と行きたがっている」
「…では、お言葉に甘えて───」
晴香は朝から天体観測が楽しみで仕方がなかった。
講義中も浮かれてしまい何度注意をされたことか。
八雲のもとへ遊びに行ったときも「気持ちの悪い顔をするな」と言われ、脇腹をつついてやった。
あぁ、こんなにわくわくしたのはいつ以来だろう。
街灯に照らされた晴香は薄暗い夕刻の道をスキップ混じりに駆けた。
「お待たせしました」
「晴香お姉ちゃんっ!」
八雲の実家である寺の前に着いた晴香の足に奈緒が抱きつく。
頭をなで、頭の中で「こんばんは」と挨拶をした。
「やぁ、久しぶりだね。晴香ちゃん」
顔を上げると、軽自動車に荷物を積んでいる一心と目が合う。
晴香は今回のことについてお礼を言い頭を下げた。
「いやいや、こちらこそ。晴香ちゃんが来てくれたおかげで八雲も」
「叔父さん。無駄口叩く隙があったら荷物を運んでください」
声がした方へ振り返ると、荷物を抱えた八雲が階段から降りてくるところだった。
一番上に乗ったヤカンが落ちそうでとっさに取る。
「……ヤカン?」
晴香は手にした天体観測とは無縁のそれと向き合い見つめ合う。
「置いてくぞ」
「あ、待って!」
晴香はヤカンを手にしたまま後部座席に乗り込んだ。
八雲が運転する車で出掛けて30分。
辺りは完全に暗くなり、人工の灯りだけが夜の街を照らしている。
部活帰りの学生がポケットに手を入れているのを見て、カイロを貼ってきて正解だと思った。
「着いたぞ」
八雲の声にうつらうつらしていた奈緒が、背筋を伸ばす。
車から降りた晴香を寒さが襲い、思わずヤカンを抱える。
「わぁ!」
空を見上げた奈緒は思わず声を出した。
つられるように空を見上げた大人たちも、それぞれ声をあげる。
「きれい…」
見上げた星空に晴香の口からその言葉とともに白い息が漏れる。
ただ一人、冷静に荷物を運ぶ八雲の手が一瞬だけ止まった。
「いつまでもこんなところにいないで早く行きましょう」
「八雲君も感動というのを覚えた方がいいと思うなっ!」
「余計なお世話だ」
荷物を運ぶ八雲のあとを三人はぶーぶー言いながら追いかけた。
木々に囲まれたコンクリートの道をしばらく行くと、開けた原っぱに出た。
夏の夜はバーベキューをするのにちょうど良いであろうが、この寒さではさすがに誰もいない。
回りは林に囲まれており、原っぱの端に街灯がぽつりと立っている。
晴香は思わず八雲の袖を掴んでしまった。
「さて、望遠鏡を組立てようか」
一心の声がしたのと同時に一瞬で辺りが明るくなる。
振り返ると草の上にランタンが置かれていた。
どうやら一心が持ってきたよう。
隣では奈緒がレジャーシートを広げている。
「怖がっているのは、君一人だけみたいだな」
くっと八雲に喉で笑われ、晴香は慌てて袖から離れた。
「晴香ちゃんも夕飯はまだかい?」
「あ、まだです」
気まずい晴香に助け船を出したのは一心。
にやにやと笑っていた八雲が急に顔を引き締める。
「じゃあ一緒に食べようか」
そう言って取り出したのはカップ麺。
そのためのヤカンだったのか、と晴香は納得がいった。
折りたたみの小さな椅子に晴香は腰掛けていた。
小さなガスコンロを目の前に、ことこととお湯が沸くのを待っている。
少し離れたところでは一心と奈緒が説明書を片手に望遠鏡を組み立てている。
ああでもないこうでもないと苦戦しているようだ。
晴香は手伝おうとしたが親子水入らずのところを邪魔をしては悪い。
だからこうして火の番をしている。
ふと感じた人の気配に顔を上げると、そこには八雲の姿。
隣の椅子に腰を下ろした八雲は足元に置かれたカップ麺を選びだす。
夜に見る八雲の左目はまた違う色を見せ晴香の鼓動は知らず知らずのうちに高まった。
「八雲君は向こうに行かなくていいの?」
「どうして僕が」
「どうしてって…」
続く言葉が見つからず晴香はガスコンロの上のヤカンを見つめる。
「そういう君こそ行ってきたら良いじゃないか」
「えぇー…」
口ごもる理由は親子水入らずのところを邪魔したくない。
しかし今はもう少しだけ八雲の赤い目を見ていたい。
心の奥底で思う自分に気付き、晴香はヤカンに手を寄せた。
「寒いね」
「話をすり替えるな」
それ以降、会話は何も続かなかった。
何気なく空を見上げ、知っている星座はないか探す。
しかしたくさんの星が散りばめられた夜空で、星座を探すのは難しかった。
「あれがオリオン座だ」
「えっ!どれどれ?」
見かねた八雲がポケットから手を出し空を指す。
それでも分からない晴香は、椅子ごと八雲に近付いた。
「あれとあれを繋いで…」
「あ!真ん中に三つあるやつ?」
「…オリオン座くらい小学校のころに学ばなかったのか」
見つけた星座はどうやら正解だったらしく八雲の手はポケットに帰っていく。
「そういえばあんな形してたような気がするなぁ」
だが、どうしてあれが人の姿に見えるのかが分からない。
晴香はきらきら輝く星空とにらめっこを始めた。
そんな晴香に呆れ溜め息を吐いた八雲も空を見ようとした。
「………」
しかし視線は晴香から離れない。
いや外せなかった。
「あれがオリオン座かぁ…」
空を見上げる横顔があまりにも美しくて、思わず見惚れてしまった。
「ねぇ、ほかにも知ってる星はある?」
「…あ、あぁ」
振り返ってきた晴香から逃れるように空を見上げ視線を巡らせる。
「馬鹿な君でも見つけやすいのはオリオンの左上。あれとあれを繋いで双子座だ」
こんな僕があんな彼女に見惚れていただなんて悔しくて、馬鹿だけ少し強調。
しかし返事がない。
不振に思った八雲が隣に目を向けると、晴香がぼんやりとこちらを見ていた。
「…星は向こうだぞ」
「えっ!あ、うん!そうだね!」
そう言いながら晴香は慌てて空を見上げる。
そして明らかに違う方角を眺め「ふぅんあれがそうなんだ」と一人納得していた。
「それじゃなくて」
晴香の手を取り空を指す。
「!?」
「あれと、あれと…あれとを繋いで…」
空に浮かぶ星を一つ一つ繋いでゆく。
どうしてあれが双子のカストールとポリュデウケースに見えたのか。
僕には不思議で仕方がないが、見えるものがすべてではない。
見えないものだってこの世にはたくさんある。
「お兄ちゃーん!望遠鏡できたよー!」
「今行く」
だから今は探そうではないか。
「ほら行くぞ」
「あ。う、うん」
僕と彼女の関係のような。
名前も知らない、見えない何かを探して。
end.
バンプさんの天体観測やらプラネタリウムを聞きながら書きました。
途中でスノースマイルな要素も入れようとしましたが収集がつかなくなるので泣く泣く断念。
今年こそは、スノースマイルでお話を書きたいです!
僕の右ポケットにお招きしようではありませんか!
バンプも天体観測(実際するの)もすごくいいですよ…!大好きです!
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