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八雲で八晴です。
四周年のお祝いのお言葉、ありがとうございます!
お手数をお掛けしますが、本館ブログの方にて返信致しますので
よろしくおねがいします。
初っ端からベッドでごろごろしておりますのでご注意を。
八雲/八晴(恋人設定)
四周年のお祝いのお言葉、ありがとうございます!
お手数をお掛けしますが、本館ブログの方にて返信致しますので
よろしくおねがいします。
初っ端からベッドでごろごろしておりますのでご注意を。
八雲/八晴(恋人設定)
カーテンの隙間から差し込む朝日で、晴香は目を覚ました。
朝日とは言ったが、今が朝なのか昼なのか、晴香には知る術もない。
視界が定まらない目が捉えたのは、ぼやける白色だった。
白いものの正体が八雲の身体だと気付いたのは数分後のこと。
日焼けを知らない八雲の身体は、当たり前だが普段見ないところも白かった。
昨夜のことを思い出し、一人悶えたのは言うまでもない。
お寝坊さんの八雲には内緒だが、八雲が泊まった翌朝の恒例行事であった。
「ふふっ」
鎖骨に見つけた、まだ真新しい赤い痕を指でなぞり笑みを零す。
好きなだけ無防備な八雲を見れるこの時間が、晴香は大好きだった。
「ん…」
少し触り過ぎちゃったかな。
身じろぐのを見て、八雲から手を離す。
薄く開いた目は、左右で違う色をしている。
左の赤い目はもちろんのこと、夜のように深い色をした右目も、とても綺麗だ。
それだけじゃない。
女性のように白い肌も、男性らしい身体も。
すべてが綺麗だった。
それを美樹に話したら“親バカならぬ彼バカだ”と飽きれ顔で言われた。
そんなことを思い出していたら、八雲がもごもごと口を動かした。
「はるか…」
「おはよう、八雲君」
「……おはよう」
ごにょごにょと返事が聞き取りにくい。
まだ覚醒しきれていない八雲に、思わず口が綻ぶ。
眠くなると意識レベルが下がり感情がストレートになると聞いたことがある。
赤ん坊がぐずるのも、眠いのに眠れないという理由があるらしい。
赤ん坊───
晴香は八雲に視線を向けた。
シーツの上で横になる八雲は、寝ぼけ眼で晴香の手に指を絡めていた。
それに色気めいたものは感じられず、子が親を求めるような。甘えるような。
太陽のように暖かく、メレンゲのように甘く柔らかいものに感じられた。
母性というのだろうか。庇護欲というのだろうか。
つまりは言葉に表すには難しい、情欲にも似た感情がじわじわと湧く。
「八雲君ってば、もう!」
「!?」
ついには堪えきれなくなり、晴香は勢い良く抱きついた。
「っつ…!」
匂いを存分に味わう晴香の耳に、押し殺すような声が届く。
顔を上げると、青い顔で歯を食いしばる八雲がいた。
「八雲…くん?」
怪しく笑い、押し倒してくることは多々あった。
けれど、こんなにもつらそうな顔をしているのは初めてだ。
額には汗が小さな玉になって浮かんでいた。
心配になった晴香は身体を起こし、八雲を揺すり声を掛ける。
ぴくりと跳ねた八雲は食いしばった歯の隙間から声を漏らした。
「いた、い」
「え?」
「腰が…いたい」
医師の診断の結果、その名の通り腰痛だった。
安堵とともに飽きれとも取れる溜め息を吐いた。
ベッドにうつ伏せになる八雲を晴香はじとと見下ろした。
「自業自得よ」
「…うるさい」
八雲に睨まれるが、そんなところから睨まれても恐くない。
処方された痛み止めがまだ効かないらしく、首から下はびくともしない。
「いいから早く湿布を貼れ」
「貼ってください、でしょ」
細めた眼で八雲を睨む。
いつもは頭一つ分したにある顔が、随分と下にある。
八雲は憎たらしく鼻を鳴らすが、晴香の優越感に変化はなかった。
「まったく…」
「うっ」
冷湿布を取り出し、八雲の剥き出しの背中に乗せる。
背を反らした八雲はあまりの冷たさに声を上げた。
そして、反らした瞬間に襲ってきた腰痛に涙を浮かべた。
「この…っ」
歯を剥き出しに威嚇する八雲の背中に、また一枚冷湿布を乗せた。
今度は声を上げることはなかったが、痛みと冷たさに堪える八雲の体は小刻みに震えていた。
枕に顔を埋め、顔を上げようとしない。
(しょうがないなぁ、もう)
晴香は背中から冷湿布を一枚取ると、手のひらで温めてやった。
伏せる八雲からは見えないが、見えなくて良かったかも。
と、晴香は小さく笑みをこぼした。
人肌に温まっていることを知ってか知らずか。
八雲が声を上げることはなかった。
しかし冷却作用のある湿布は、それでもすうすうとするようで。
苦虫を噛んだような、どこか気持ちが悪そうな顔をしていた。
「シャツ着なくていいの?」
「着たくない」
どうやら服を着ることも出来ないほど、腰痛は酷いらしい。
病院でもシャツを脱ぐのにとても苦労していた。
晴香は膝に乗せていた柔いブランケットを、剥き出しの背中に掛けてやった。
小さく礼を言う八雲に「どういたしまして」と晴香は苦笑を浮かべた。
「これに懲りたら、無理しちゃ駄目だよ?」
注意をすると八雲は鼻で笑って返してきた。
「元はと言えば、君の責任だ」
「へ?」
「もう忘れたのか?」
夜のこと。
八雲の一言に晴香が頬を染めたのは言うまでもない。
思い出すのは昨晩のこと。
静かで明るい部屋の現状とは対比した出来事が鮮明に浮かび上がる。
頭に血が上り顔が燃えるように熱い。
実際、晴香の顔は火がついたように赤く汗が浮かんでいた。
それを見た八雲が口の端を吊り上げくすりと笑った。
「昨日は僕も君も無理な体勢だったからな」
そんなこと言わないで!
晴香は八雲の口を塞ぎたい気持ちでいっぱいだったが、顔を見られまいと俯いたまま。
正座をした足の上でじっと汗ばんだ拳を握り締めていた。
「残念なことに今日は欲情した君に構ってやれない」
「だっ…誰がよ、よよよ欲情なんて…!」
「君があれだけのことに身体を痛めなかったのも新たな発見だ」
顔を上げた晴香は八雲を睨む。
瞳を潤した表情に八雲の嗜虐心がふつふつと起き上がる。
腰の痛みがないのならば、日が高いことも気にせず押し倒していただろう。
腰に感じる違和感は果たして腰痛によるものなのか。
身体の自由が聞かないことに、初めて絶望を覚えた。
何やら熱のこもった怪しい眼差しに気付いたのか、晴香が身構える。
この身体じゃ何も出来ないことが分からないのか…
八雲は溜め息を吐くと、枕に顔を埋めた。
「次こそ、忘れられない夜にしてやる」
すっと目を細めて視線を送ると、晴香が身体を震わせたのが分かった。
八雲は、薬の副作用で襲ってきた睡魔に、とりあえず身を任せることにした。
end.
たまには八雲が腰痛になっても良いんじゃないかなあ。
朝日とは言ったが、今が朝なのか昼なのか、晴香には知る術もない。
視界が定まらない目が捉えたのは、ぼやける白色だった。
白いものの正体が八雲の身体だと気付いたのは数分後のこと。
日焼けを知らない八雲の身体は、当たり前だが普段見ないところも白かった。
昨夜のことを思い出し、一人悶えたのは言うまでもない。
お寝坊さんの八雲には内緒だが、八雲が泊まった翌朝の恒例行事であった。
「ふふっ」
鎖骨に見つけた、まだ真新しい赤い痕を指でなぞり笑みを零す。
好きなだけ無防備な八雲を見れるこの時間が、晴香は大好きだった。
「ん…」
少し触り過ぎちゃったかな。
身じろぐのを見て、八雲から手を離す。
薄く開いた目は、左右で違う色をしている。
左の赤い目はもちろんのこと、夜のように深い色をした右目も、とても綺麗だ。
それだけじゃない。
女性のように白い肌も、男性らしい身体も。
すべてが綺麗だった。
それを美樹に話したら“親バカならぬ彼バカだ”と飽きれ顔で言われた。
そんなことを思い出していたら、八雲がもごもごと口を動かした。
「はるか…」
「おはよう、八雲君」
「……おはよう」
ごにょごにょと返事が聞き取りにくい。
まだ覚醒しきれていない八雲に、思わず口が綻ぶ。
眠くなると意識レベルが下がり感情がストレートになると聞いたことがある。
赤ん坊がぐずるのも、眠いのに眠れないという理由があるらしい。
赤ん坊───
晴香は八雲に視線を向けた。
シーツの上で横になる八雲は、寝ぼけ眼で晴香の手に指を絡めていた。
それに色気めいたものは感じられず、子が親を求めるような。甘えるような。
太陽のように暖かく、メレンゲのように甘く柔らかいものに感じられた。
母性というのだろうか。庇護欲というのだろうか。
つまりは言葉に表すには難しい、情欲にも似た感情がじわじわと湧く。
「八雲君ってば、もう!」
「!?」
ついには堪えきれなくなり、晴香は勢い良く抱きついた。
「っつ…!」
匂いを存分に味わう晴香の耳に、押し殺すような声が届く。
顔を上げると、青い顔で歯を食いしばる八雲がいた。
「八雲…くん?」
怪しく笑い、押し倒してくることは多々あった。
けれど、こんなにもつらそうな顔をしているのは初めてだ。
額には汗が小さな玉になって浮かんでいた。
心配になった晴香は身体を起こし、八雲を揺すり声を掛ける。
ぴくりと跳ねた八雲は食いしばった歯の隙間から声を漏らした。
「いた、い」
「え?」
「腰が…いたい」
医師の診断の結果、その名の通り腰痛だった。
安堵とともに飽きれとも取れる溜め息を吐いた。
ベッドにうつ伏せになる八雲を晴香はじとと見下ろした。
「自業自得よ」
「…うるさい」
八雲に睨まれるが、そんなところから睨まれても恐くない。
処方された痛み止めがまだ効かないらしく、首から下はびくともしない。
「いいから早く湿布を貼れ」
「貼ってください、でしょ」
細めた眼で八雲を睨む。
いつもは頭一つ分したにある顔が、随分と下にある。
八雲は憎たらしく鼻を鳴らすが、晴香の優越感に変化はなかった。
「まったく…」
「うっ」
冷湿布を取り出し、八雲の剥き出しの背中に乗せる。
背を反らした八雲はあまりの冷たさに声を上げた。
そして、反らした瞬間に襲ってきた腰痛に涙を浮かべた。
「この…っ」
歯を剥き出しに威嚇する八雲の背中に、また一枚冷湿布を乗せた。
今度は声を上げることはなかったが、痛みと冷たさに堪える八雲の体は小刻みに震えていた。
枕に顔を埋め、顔を上げようとしない。
(しょうがないなぁ、もう)
晴香は背中から冷湿布を一枚取ると、手のひらで温めてやった。
伏せる八雲からは見えないが、見えなくて良かったかも。
と、晴香は小さく笑みをこぼした。
人肌に温まっていることを知ってか知らずか。
八雲が声を上げることはなかった。
しかし冷却作用のある湿布は、それでもすうすうとするようで。
苦虫を噛んだような、どこか気持ちが悪そうな顔をしていた。
「シャツ着なくていいの?」
「着たくない」
どうやら服を着ることも出来ないほど、腰痛は酷いらしい。
病院でもシャツを脱ぐのにとても苦労していた。
晴香は膝に乗せていた柔いブランケットを、剥き出しの背中に掛けてやった。
小さく礼を言う八雲に「どういたしまして」と晴香は苦笑を浮かべた。
「これに懲りたら、無理しちゃ駄目だよ?」
注意をすると八雲は鼻で笑って返してきた。
「元はと言えば、君の責任だ」
「へ?」
「もう忘れたのか?」
夜のこと。
八雲の一言に晴香が頬を染めたのは言うまでもない。
思い出すのは昨晩のこと。
静かで明るい部屋の現状とは対比した出来事が鮮明に浮かび上がる。
頭に血が上り顔が燃えるように熱い。
実際、晴香の顔は火がついたように赤く汗が浮かんでいた。
それを見た八雲が口の端を吊り上げくすりと笑った。
「昨日は僕も君も無理な体勢だったからな」
そんなこと言わないで!
晴香は八雲の口を塞ぎたい気持ちでいっぱいだったが、顔を見られまいと俯いたまま。
正座をした足の上でじっと汗ばんだ拳を握り締めていた。
「残念なことに今日は欲情した君に構ってやれない」
「だっ…誰がよ、よよよ欲情なんて…!」
「君があれだけのことに身体を痛めなかったのも新たな発見だ」
顔を上げた晴香は八雲を睨む。
瞳を潤した表情に八雲の嗜虐心がふつふつと起き上がる。
腰の痛みがないのならば、日が高いことも気にせず押し倒していただろう。
腰に感じる違和感は果たして腰痛によるものなのか。
身体の自由が聞かないことに、初めて絶望を覚えた。
何やら熱のこもった怪しい眼差しに気付いたのか、晴香が身構える。
この身体じゃ何も出来ないことが分からないのか…
八雲は溜め息を吐くと、枕に顔を埋めた。
「次こそ、忘れられない夜にしてやる」
すっと目を細めて視線を送ると、晴香が身体を震わせたのが分かった。
八雲は、薬の副作用で襲ってきた睡魔に、とりあえず身を任せることにした。
end.
たまには八雲が腰痛になっても良いんじゃないかなあ。
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