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携帯の方から失礼します!
はじめてのことなので、無事にアップ出来ているか不安ですが…
無事に更新出来ていることを祈ります。
八雲で以前、一度だけ書いてみた探偵事務所パロです!
設定としては大学卒業後、健全なお付き合い中の二人が探偵事務所でお勤め中でございます。
※追記
やっぱり更新出来ていませんでしたorz
八雲パロ/斉藤八雲探偵事務所 二話
はじめてのことなので、無事にアップ出来ているか不安ですが…
無事に更新出来ていることを祈ります。
八雲で以前、一度だけ書いてみた探偵事務所パロです!
設定としては大学卒業後、健全なお付き合い中の二人が探偵事務所でお勤め中でございます。
※追記
やっぱり更新出来ていませんでしたorz
八雲パロ/斉藤八雲探偵事務所 二話
脇に挟んだ体温計がピピピと音をたてて鳴った。
他人より低い体温。平熱に戻ったことに、ほっと胸を撫で下ろす。
単に熱が下がったことに安堵したのではない。
これで仕事をさせてもらえる。
腰掛けたベッドから立ち上がった八雲は、着ていた寝間着を脱いだ。
風邪の原因は雨の日。依頼である迷い猫を探しをしていたときのこと。
雨が降り頻る中、傘も差さずに猫を追い掛けていたのがいけなかった。
徹夜続きで免疫力が落ちていたのかもしれない。
まだ書類作業も残っていたのだが、晴香が許してくれず。
ここ三日、八雲は事務所の倉庫兼私室である休憩室に缶詰めにされていた。
おかげでゆっくり休むことが出来たのだが、残っている仕事を思うと溜め息が出た。
とにかく今は、あの迷い猫の飼い主と連絡を取らねば。
ワイシャツのボタンを留め、八雲は仕事場のドアを開けた。
晴香はドアの開く音に顔を上げた。
この事務所にドアは二つ。
一つは依頼人を迎えるドアで、もう一つは休憩室のドアだ。
しかし「斉藤八雲探偵事務所」と書かれたプレートの下には、臨時休業を知らせる紙を貼った。
後藤など例外はいるが、今ドアが開くとしたら一ヶ所しかない。
「もう大丈夫なの?八雲君」
一段と寝癖が酷い。
そんな頭を八雲はガリガリ掻きながら、窓を背にしたデスクに向かう。
ソファーに腰掛けた晴香は、自然と見上げる形になる。
大学を卒業した今も、八雲の指定席は変わらない。
「熱は下がった?」
「………」
八雲の手から体温計が投げられる。
落としそうになりながらもキャッチした晴香は表示された数字を見る。
「体、だるかったりしない?」
「昨日も言ったが、もう完治してる」
…一般的な平熱よりは低いが、この体温なら大丈夫だろう。
体温計をケースに仕舞い、ペン立てに入れる。
「依頼人と連絡は?」
「…まだ取れなくて」
依頼人…つまり黒猫の飼い主と連絡が取れず、報告も出来ず仕舞い。
八雲が休んでいる間に、自宅を訪問したが人の気配は伺えず。
代わりに郵便受けには新聞とチラシが溢れ出ていた。
近所の人も話を聞いたが収穫はゼロ。
ただ大層可愛がっていたようで、黒猫を置いてどこかへ行くなど考えられなかった。
後藤に連絡をし、今は報告が来るのを待っているところだ。
「それで、アイツはどうした」
“アイツ”───
晴香は困ったように苦笑いを浮かべた。
眉間に皺を寄せ、八雲は席に着こうと椅子を引いた。
席に着こうとした…のだが。
「………」
椅子には、すでに先客の姿があった。
わずかに上下する黒い膨らみ。
クッションにしては立体的で、ぬいぐるみにしては飾り気がない。
「そこがお気に入りみたいで…」
晴香が困ったように苦笑いを浮かべる。
窓から降り注ぐやわらかい日射し。
小さな日だまりで微睡む黒猫。
いつもその日だまりは僕のものなのに───
そんなこと知ったこっちゃないと言わんばかりに、丸めた体は静かに上下していた。
黒猫を退かそうと手を伸ばす。
しかし丸まっている猫の退かし方がわからない。
依頼で猫を捕まえるときは、ほとんどが網だ。
猫も警戒していて、丸くなっているところを捕まえるなどしたことがない。
「ふふっ」
黒猫を鋭い目付きで睨む八雲。
思わず笑みがこぼれた。
視線の矛先がこちらにやってきたため、慌てて口元を押さえる。
「依頼人の猫なんだ。ケージに入れておけ」
「でも、たまには運動させないといけないなと思って…」
「僕の目には寝ているようにしか見えないんだが?」
借りてきた猫という言葉があるが、それも数日のこと。
飼い猫だったことも大きいだろう。
八雲が布団の中で過ごしている間に、黒猫は探偵事務所に馴染んでいた。
「そういえば、後藤さんが夕方までには報告するって」
八雲はデスクから纏められた資料を手にすると、晴香の隣に腰掛けた。
ソファーが軋み、体が八雲の方へと少し傾く。
無理矢理にでも猫を退かすと予想していたので、大人しく諦めたことに少々驚く。
「そうか…」
八雲は一言そう言うと、紙にペンを走らせる作業を開始した。
病み上がりだと言うのに、ひと度仕事モードになるとこの集中力。
邪魔しちゃ悪いな。
聞きたいことはまだまだあったが大人しく待つことにした。
集中しているときの八雲の顔を見るのは嫌いじゃない。
黒と赤の瞳が一点を真っ直ぐ見つめていて、見惚れてしまう。
いつもの眠たそうな姿からは想像もつかない。
こんな傍で八雲を見たのは久しぶりだ。
デスクとソファーが指定席になった近頃。
隣に座ることさえ少なくなり、八雲との距離に鼓動が早まる。
そしてなにより、病に倒れたあの日。
八雲が告白した───
「何か用か?」
「な、なんでも」
慌てて目を逸らす。
ここに居ては八雲の邪魔になってしまう。
「コーヒーでも沸かしてこようかな」
小さな声で呟いた晴香は逃げるように立ち上がる。
その手を掴んだのは、八雲だった。
「八雲君?」
「………」
八雲は何も言わないし、こちらにも目を向けない。
握られた手首と八雲の顔を何度も見返し瞬きをする。
「あの…」
声をかけると手首を掴んでいた手が離れ、ぽんぽんとソファーを叩いた。
座れ、ということだろうか。
おずおずと今まで座っていたソファーに腰を下ろす。
相変わらず眼差しは資料に向いたままだが、八雲は満足したように仕事に戻った。
そばにいてほしかったのかな?と思うと口元が緩む。
堪えきれなくなった晴香は、勢いに任せて八雲に抱き付いた。
邪魔をするように全体重をかけてやる。
しかし八雲は「重い」と一言言うだけで、それ以上は何も言わなかった。
存分に甘えてやろう。
腰に回した手に力をかけようとしたその時。
「ニャア」という鳴き声が邪魔をした。
声のした方に目を向ける。
餌入れ代わりの皿の前で、黒猫が澄まし顔で座っていた。
「あ、ご飯あげてなかったね!ごめんごめん!」
餌の準備にかかろうと立ち上がった晴香の手首に、八雲の手が伸びる。
虚しくもすり抜けていく手首に、八雲は掴むことの出来なかった自らの手をしばし見つめた。
晴香は黒猫が餌を食す姿を丸くなって眺めている。
その姿は飽きる気配もなく、こちらに帰ってくる様子もない。
「おい」
耐えきれずに溜め息を吐いた八雲は、寝癖だらけの髪を掻きながら声をかけた。
ぎこちなく黒猫の背に手を伸ばしかけていた晴香は、口を尖らせつつも振り返る。
「どうしたの?」
「コーヒー」
「さっきはいらないって言ったじゃない」
「いらないとは言っていない」
ただ、引き留めただけ。
「いるならいるって初めから言ってよ」
ぶつぶつと小言を漏らしながらも、晴香は湯を沸かしに向かう。
顔を上げた猫が目だけで追いかけたが、気付かれることはなかった。
八雲は黒猫に向かって鼻を鳴らした。
end.
まだ猫ちゃんが馴れていないので勝ち誇れていますが、時間の問題ですね八雲さん^^
他人より低い体温。平熱に戻ったことに、ほっと胸を撫で下ろす。
単に熱が下がったことに安堵したのではない。
これで仕事をさせてもらえる。
腰掛けたベッドから立ち上がった八雲は、着ていた寝間着を脱いだ。
風邪の原因は雨の日。依頼である迷い猫を探しをしていたときのこと。
雨が降り頻る中、傘も差さずに猫を追い掛けていたのがいけなかった。
徹夜続きで免疫力が落ちていたのかもしれない。
まだ書類作業も残っていたのだが、晴香が許してくれず。
ここ三日、八雲は事務所の倉庫兼私室である休憩室に缶詰めにされていた。
おかげでゆっくり休むことが出来たのだが、残っている仕事を思うと溜め息が出た。
とにかく今は、あの迷い猫の飼い主と連絡を取らねば。
ワイシャツのボタンを留め、八雲は仕事場のドアを開けた。
晴香はドアの開く音に顔を上げた。
この事務所にドアは二つ。
一つは依頼人を迎えるドアで、もう一つは休憩室のドアだ。
しかし「斉藤八雲探偵事務所」と書かれたプレートの下には、臨時休業を知らせる紙を貼った。
後藤など例外はいるが、今ドアが開くとしたら一ヶ所しかない。
「もう大丈夫なの?八雲君」
一段と寝癖が酷い。
そんな頭を八雲はガリガリ掻きながら、窓を背にしたデスクに向かう。
ソファーに腰掛けた晴香は、自然と見上げる形になる。
大学を卒業した今も、八雲の指定席は変わらない。
「熱は下がった?」
「………」
八雲の手から体温計が投げられる。
落としそうになりながらもキャッチした晴香は表示された数字を見る。
「体、だるかったりしない?」
「昨日も言ったが、もう完治してる」
…一般的な平熱よりは低いが、この体温なら大丈夫だろう。
体温計をケースに仕舞い、ペン立てに入れる。
「依頼人と連絡は?」
「…まだ取れなくて」
依頼人…つまり黒猫の飼い主と連絡が取れず、報告も出来ず仕舞い。
八雲が休んでいる間に、自宅を訪問したが人の気配は伺えず。
代わりに郵便受けには新聞とチラシが溢れ出ていた。
近所の人も話を聞いたが収穫はゼロ。
ただ大層可愛がっていたようで、黒猫を置いてどこかへ行くなど考えられなかった。
後藤に連絡をし、今は報告が来るのを待っているところだ。
「それで、アイツはどうした」
“アイツ”───
晴香は困ったように苦笑いを浮かべた。
眉間に皺を寄せ、八雲は席に着こうと椅子を引いた。
席に着こうとした…のだが。
「………」
椅子には、すでに先客の姿があった。
わずかに上下する黒い膨らみ。
クッションにしては立体的で、ぬいぐるみにしては飾り気がない。
「そこがお気に入りみたいで…」
晴香が困ったように苦笑いを浮かべる。
窓から降り注ぐやわらかい日射し。
小さな日だまりで微睡む黒猫。
いつもその日だまりは僕のものなのに───
そんなこと知ったこっちゃないと言わんばかりに、丸めた体は静かに上下していた。
黒猫を退かそうと手を伸ばす。
しかし丸まっている猫の退かし方がわからない。
依頼で猫を捕まえるときは、ほとんどが網だ。
猫も警戒していて、丸くなっているところを捕まえるなどしたことがない。
「ふふっ」
黒猫を鋭い目付きで睨む八雲。
思わず笑みがこぼれた。
視線の矛先がこちらにやってきたため、慌てて口元を押さえる。
「依頼人の猫なんだ。ケージに入れておけ」
「でも、たまには運動させないといけないなと思って…」
「僕の目には寝ているようにしか見えないんだが?」
借りてきた猫という言葉があるが、それも数日のこと。
飼い猫だったことも大きいだろう。
八雲が布団の中で過ごしている間に、黒猫は探偵事務所に馴染んでいた。
「そういえば、後藤さんが夕方までには報告するって」
八雲はデスクから纏められた資料を手にすると、晴香の隣に腰掛けた。
ソファーが軋み、体が八雲の方へと少し傾く。
無理矢理にでも猫を退かすと予想していたので、大人しく諦めたことに少々驚く。
「そうか…」
八雲は一言そう言うと、紙にペンを走らせる作業を開始した。
病み上がりだと言うのに、ひと度仕事モードになるとこの集中力。
邪魔しちゃ悪いな。
聞きたいことはまだまだあったが大人しく待つことにした。
集中しているときの八雲の顔を見るのは嫌いじゃない。
黒と赤の瞳が一点を真っ直ぐ見つめていて、見惚れてしまう。
いつもの眠たそうな姿からは想像もつかない。
こんな傍で八雲を見たのは久しぶりだ。
デスクとソファーが指定席になった近頃。
隣に座ることさえ少なくなり、八雲との距離に鼓動が早まる。
そしてなにより、病に倒れたあの日。
八雲が告白した───
「何か用か?」
「な、なんでも」
慌てて目を逸らす。
ここに居ては八雲の邪魔になってしまう。
「コーヒーでも沸かしてこようかな」
小さな声で呟いた晴香は逃げるように立ち上がる。
その手を掴んだのは、八雲だった。
「八雲君?」
「………」
八雲は何も言わないし、こちらにも目を向けない。
握られた手首と八雲の顔を何度も見返し瞬きをする。
「あの…」
声をかけると手首を掴んでいた手が離れ、ぽんぽんとソファーを叩いた。
座れ、ということだろうか。
おずおずと今まで座っていたソファーに腰を下ろす。
相変わらず眼差しは資料に向いたままだが、八雲は満足したように仕事に戻った。
そばにいてほしかったのかな?と思うと口元が緩む。
堪えきれなくなった晴香は、勢いに任せて八雲に抱き付いた。
邪魔をするように全体重をかけてやる。
しかし八雲は「重い」と一言言うだけで、それ以上は何も言わなかった。
存分に甘えてやろう。
腰に回した手に力をかけようとしたその時。
「ニャア」という鳴き声が邪魔をした。
声のした方に目を向ける。
餌入れ代わりの皿の前で、黒猫が澄まし顔で座っていた。
「あ、ご飯あげてなかったね!ごめんごめん!」
餌の準備にかかろうと立ち上がった晴香の手首に、八雲の手が伸びる。
虚しくもすり抜けていく手首に、八雲は掴むことの出来なかった自らの手をしばし見つめた。
晴香は黒猫が餌を食す姿を丸くなって眺めている。
その姿は飽きる気配もなく、こちらに帰ってくる様子もない。
「おい」
耐えきれずに溜め息を吐いた八雲は、寝癖だらけの髪を掻きながら声をかけた。
ぎこちなく黒猫の背に手を伸ばしかけていた晴香は、口を尖らせつつも振り返る。
「どうしたの?」
「コーヒー」
「さっきはいらないって言ったじゃない」
「いらないとは言っていない」
ただ、引き留めただけ。
「いるならいるって初めから言ってよ」
ぶつぶつと小言を漏らしながらも、晴香は湯を沸かしに向かう。
顔を上げた猫が目だけで追いかけたが、気付かれることはなかった。
八雲は黒猫に向かって鼻を鳴らした。
end.
まだ猫ちゃんが馴れていないので勝ち誇れていますが、時間の問題ですね八雲さん^^
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