忍者ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

あるのは必然だけ…

どーもっ!
友達から借りたホリックを全部読み終わったんでアニメの方も見ました!
いや〜、こちらもプロダクションIGですね。

それよりも天命探偵、続編決定らしいです!
おめでとうございます!


さてお題。

心霊探偵八雲 お色気同盟さまよりお借りした
『キスで3題』より

恋人未満

02.セカンドキス

ある晴れた昼下がりのこと。

晴香はいつものように映画研究同好会こと八雲の隠れ家に来ていた。
椅子にふんぞり返った八雲は辞書のようなハードカバーのページをペラリと捲っている。

晴香はというと…

「…君は何をしているんだ?」
「人形劇の練習。今度ね、発表するんだ」

詳しく言えば講義の一つで、表現力とやらを見るらしい。
その発表という名のテストが来週に迫っていたのだ。

「ふ〜ん…」
つまらなそうに口を閉じた八雲が晴香を見上げる。
晴香の手には手袋のように手を入れて動かすぬいぐるみが両手につけられていた。
右手に黒い猫。左手に白いうさぎ。

それを先ほどから動かしていた。


「うさぎさんうさぎさん」
晴香は右手の猫の口を閉じたり開けたりを繰りかえさせる。その度に首についた鈴が音を奏でる。
「なーに?猫さん」
右手の動きを止めると、今度は左手のうさぎの腕を動かす。
「一緒に遊びましょ」
「いいよ。遊ぼう!」
すると晴香は器用に手を使い、二匹を踊らせる。
その様子を八雲はじっと見つめていたのだが、晴香は気がつかなかった。
気付かない晴香に少々むっとした八雲はその手から猫を奪ってしまう。


…別に嫉妬していたわけではない。


「あ…猫さんが…」
晴香は空になった右手と八雲の顔を交互に見合わせる。
そして何を思ったのか、うさぎを右手に移動させる晴香。
「悪魔大王っ!猫さんを返して!」
悪魔大王という言葉に反応し、ピクリと眉を寄せる八雲。
きっ、と強く睨みつけるが晴香にはダメージが効かない。
「誰が悪魔大王だ?」
「そりゃ、八雲君だよ。ほら、役になりきって!」
「なんで僕がそんなことをしなければならない?」
「私の演技力をつけるために!」
楽しそうにニコニコと笑った晴香はうさぎの手を器用に動かす。
「猫さんが…猫さんが捕まっちゃったっ!」
名演技とでも言いたくなるような声で言うと、晴香は八雲にうさぎを近付ける。
不快そうにますます顔を歪める八雲は、手元にあったハードカバーの本を片手に持つ。
何をするのだろうか、と晴香が首を傾げる。
すると八雲はその角でうさぎの頭を叩いた。
「あぁっ〜!ひどいっ!」
「酷くないだろ。君が悪魔大王なんて言うからだ」
「ぶー!意地悪なんだからぴったりだと思うけど?」
腕を組むとつん、と横を向いてしまう晴香。
そんな姿を見た八雲は呆れたように溜め息を吐くと髪をかき回す。
「……助けろ、うさぎ」
そんな小さな声が聞こえ、思わず八雲を見上げる晴香。
そこには照れたように頬を染めた八雲がいた。
「…なんだ、やらないのか?」
「………」
そんな八雲に晴香はポカーンと口を開いてしまう。
恥ずかしそうに目をそらすと赤い頬を掻く八雲。
「…別にやりたくないならいいが…」
「ううん!」
晴香はいつもよりも首を大きく横に振るとにっこりと笑う。

そこから八雲と晴香の人形劇が始まった…



「違うっ!そこのセリフはギャグにしないでよ!」
「は?ここはこうしないと話が暗い一方だろ」
ひょんな言葉の違いで二人の間で喧嘩が勃発してしまった。


もともとシナリオも台本もない人形劇。
二人の意見はもちろんくい違い、始まってから数分もしないうちに喧嘩が始まったのだ。

それが現在まで引きずっているのである。


「さっきから八雲君は違いすぎます!」
晴香は右手のうさぎを振り回しながらそう怒鳴る。
それに対して右手の猫を持った八雲は腕をくむ。
「何を言ってる。君はすぐに恋愛物にしたがって話がぐちゃぐちゃなんだ」

喧嘩のタネはそれが最初だった。
晴香が恋愛物が良いと言い張るせいで話がグダグダになっていたのだ。

「乙女は恋愛物が好きなのっ!」
「恋愛経験がないくせに恋愛物にしようとするな」
「うっ…」
図星だと言うことが見てすぐに分かる。
片眉を上げ、顔を引きつらせているからだ。
「そ…そんな事言ってる八雲はどうなのよ」

あ、話をそらしたな。

「…恋愛経験がない二人で恋愛物なんて出来るわけがないだろ」
正直の気持ちを言うのは性に合わないが、コレで諦めてくれるだろう。
だが何故かその言葉に安心した…というより嬉しそうな表情を見せる。
「…何だよ」
八雲が声を掛けると真っ赤に頬を染める晴香。
「べ…別にっ!」
そんな晴香を不思議そうな眼差しで首を傾げた八雲。
だがしばらくするとそんなことも気にならなくなる。
「じゃあ恋愛物は却下だな」
「えぇっ!待ってよ!」
晴香が静止をかけると八雲がジロリと睨みを効かせる。
そんな睨みに一瞬怯んでしまう晴香だったがすぐに立ち直り口を開きかけた。
だがその前に八雲が口を開く。
「最低限キスくらいの経験がないと恋愛物なんて出来ないだろ」
「………」
八雲のその言葉にしばらく考える晴香。
そして自らの右手のうさぎと八雲の顔を交互に見つめる。
「なんだ?」
首を傾げた八雲に晴香は勢いよく立ち上がると前乗りになる。
突然のことに身動きが出来なかった八雲はその動きについていけなかった。

「えいっ!」

「っ!?」

唇に触れたふわふわな感触…

「………?」
八雲が口元に触れているそれを開いた左手で引っこ抜き、じっと見つめる。
そこには晴香の右手にあったうさぎのぬいぐるみ。
「えへへ〜。奪っちゃった」
どこかの女優がCMで言っていたキャッチフレーズをそのまま言う晴香。
苦笑を浮かべていた八雲が文句も言えずに黙り込んでいた。
「これでキスしたことがある人が出来たね!」
何故かガッツポーズをした晴香は椅子に腰を下ろす。


…気に食わない

もの凄く気に食わない!


八雲は立ち上がると晴香の肩を強く掴む。
そして晴香が文句を言う前にうさぎを唇に押しつけてやる。
「っ!?」
慌てて状況を読み込んだ晴香が八雲の胸板を押し返す。
真っ赤な顔の晴香に対して八雲は平然とした顔をしていた。
「な…何するのよ!」
真っ赤な晴香の顔を見てニヤリと楽しそうに笑う八雲。
「両方キス経験者の方がよりリアルに出来るだろ?」
「っ!」
「でも…」
立ち上がると前乗りになる八雲が晴香の顎に手をかける。


「セカンドキスは、人間同士だ…」


晴香が文句を言う前にその唇を塞いだ。


END。



友達〜恋人への道!
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
[70]  [69]  [68]  [67]  [66]  [65]  [64]  [63]  [62]  [61]  [60
カレンダー
09 2025/10 11
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
プロフィール
HN:
朝田よる
性別:
非公開
ブログ内検索
最新コメント
[05/23 ひなき]
[09/13 murasame]
[07/19 delia]
[06/27 delia]
[05/20 delia]
忍者ブログ [PR]